萌え要素の一切無い、硬派さが潔い。 ヨルムンガンド 第1話 『ガンメタル・キャリコロード』 のレビューーです。 最初なので、なるべく放送内容のネタバレをしないように書きます。
主人公たちは武器商人の一味という、なかなか渋い設定です。 武器商人を描いた作品と言えば、フレデリック・フォーサイスの小説、『戦争の犬たち』を思い出しますね。 主人公は傭兵なのですが、武器商人と連絡を付け、交渉し、密輸の段取りを付けて実行するという一連の「ビジネス」が、ものすごく緻密にリアルに描かれています。 リアルなのも当然で、実際にフォーサイスは、アフリカのある民族を助けるために、傭兵を雇って武器を送る計画を実行したのでした。 港の税関で引っかかって失敗したのですが。
ガチ経験者のフォーサイスと比べるのは酷ですが、この作品が、どれくらい武器商人のビジネスをリアルに描いてくれるのか興味を持っていました。 1話を見る限りでは、まだなんとも言えません。 僕がイメージする武器商人よりは、ずいぶん派手なようです。
軍が発注した貨物を税関が止めるというのは、日本のような文民統制の国ではあり得ない話ですが、政情不安定で軍部が強い国ならばあり得るのでしょう。 軍部が政府の許可を得ずに、独自判断で民間のブローカーから仕入れたという設定なのでしょうね。 Mig-29の近代化改修キットということで、中身は主に電子機器なので、兵器と言われなければ分かりません。 このあたりは面白いです。
戦闘機は高価なので長く使いたいのですが、電子機器は陳腐化するので、電子機器を新しくする『近代化改修』がしばしば行われます。 それにより、古い機体でも最新鋭の兵装(ミサイルなど)が搭載可能になって、戦闘力が飛躍的に向上することもあります。 さらにMig-29に関して言えば、輸出仕様はロシア本国仕様よりも性能を落した、いわゆるモンキーモデルなので、使用国側が独自に改修して、その成果を改修キットとして他の国に売ることもありました。 今回の商品は、その手のものなのでしょう。
ココは、武器商人である理由を「世界平和のため」とうそぶきます。 それは皮肉なのか、それとも本心なのでしょうか。 平気で人を殺す様子は、平和主義者には見えません。 なにか高い理想があるのかもしれませんが、当面はピカレスク(悪漢)ものとして、そのカッコよさを楽しむのがいいのでしょう。
武器商人の仕事は、戦闘よりも交渉が重要はなずで、今回も交渉シーンはちらっとありましたが、より交渉での駆け引きを前面に出したエピソードが見たいなと思います。 ココはきっと、凄腕のビジネス・ウーマンなのでしょうし。 彼女はいいキャラだと思いますね。
第1話は、ストーリーよりもアクションを見せることに主眼を置いているようでした。 このまま映像のカッコよさで押し通すのか、あるいはリアルなストーリーが用意されているのかはわかりませんが、いずれにしても尖った作品になりそうです。
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