メルクマール

宇宙人もの？のラブコメだったんですねぇ。　同じ監督の「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の連想から、叙情的な青春モノを想像していたのですが、もっとコメディ色が強いようです。　

宇宙人なのか未来人なのか、はたまた異世界人なのかはわかりませんが、イチカが何のためにやってきたのかが焦点でしょう。　今日泊まるところも無いという準備の無さなので、遭難したのかもしれません。　でもわざわざ学校に通うあたり、確かな目的があるようにも見えます。

自主映画を撮る話とは知っていましたが、フィルムの8mmカメラとは驚きました。　フジカP300で、40年以上前の品です。　こちらのサイトに使い方など書かれていて、参考になります。　→フジカ　Ｐ３００　で撮影しよう

フィルムは一巻き1500円くらいして、それで3分ほどしか撮影できません。　ちゃんと撮れているかは現像するまで確認できず、観るには別に映写機が必要です。　カメラは音声は記録できなくて、別撮りしてアフレコする必要があります。　今はケータイでも手軽に動画が取れるのに、それと比べてどれだけ大変か。　しかも画質はケータイのカメラよりも劣ります。（フィルムならでの味はあるが）

なのにあえて、フィルムカメラを使うのは何故でしょうか。　主人公の海人は両親を亡くしているので、その遺品なのかもしれませんね。　人やその記憶はいつか消えてしまうので、何かを残しておきたいと。　そう思ったキッカケが”両親の死”なのであれば、その遺品を使うのは当然の発想でしょう。

海人が、純粋にこういうものが好きだというのもあるのでしょう。　実際、海人は普段はダウナーな雰囲気ですが、カメラをいじる時は無邪気で楽しそうでした。　近頃はこういうメカメカしいものは貴重なので、僕もワクワクしますね。

一方、宇宙人？であるイチカはいろいろオーバーテクノロジーな装備を持っているので、それとの対比にもなっています。　文字を自動的に翻訳するメガネは、ドラえもんのひみつ道具チックですが、僕も欲しいな。　

海人がモノローグで2回、「カメラが回り始める」と言っていましたが、この表現も、若い世代は分からないかもしれません。　フィルムカメラはもちろん”回る”し、テープのビデオカメラも回るのですが、今や回るところが無い、メモリ記録のカメラが主流ですから。　でもやはり、「カメラが回る」というセリフには雰囲気があって、その雰囲気を生かすには、アナログなフィルムカメラが最適でしょう。

宇宙人の美少女がやってきて大騒動、というラブコメだけではなく、雰囲気のあるドラマもやるという意気込みが、あの8mmフィルムカメラには込められていると思えます。　期待したいですね。

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