メルクマール

若旦那のはしゃぎっぷりと、崇子が出張っていることから、こりゃ失敗パターンだなと思っていたのですが、途中からいい感じに回り始めて、「お、このままいっちゃうのか？」と思わせる展開です。

若旦那回は待望でした。　この作品はNHKの朝ドラのごとく、もっぱら女性のがんばりが目立っているのですが、女性が主な視聴者の朝ドラとは違い、この作品の主な視聴者は男性でしょうから、男性陣の頑張りにも期待したいのでした。　普段は頼り無い若旦那の、ちょっといいところを見てみたい。

若旦那は映画に思い入れがあって、さらにそれは、姉への思い入れに繋がっているのでしょう。　むしろ後者が先なのかな。　プールで水と戯れる姉の姿が脳裏に焼き付いていて、それをフィルムに残したいと考えたのが、映画を撮ろうとしたキッカケなのかもしれない。　

若旦那は、いまだに姉には敵わないと思っていて、その抜きがたい劣等感が、彼の頼りない性格を作ったと思えます。　映画を撮り、それを成功させることで、彼は姉の呪縛から解き放たれ、ブランニュー若旦那として生まれ変われるのかもしれません。　そしてそのためには、「原風景」であるプールのシーンが重要なのでしょう。

女将は、そんな事情が薄々分かっているから、今回は若旦那の好きにさせて、見守っているのではないでしょうか。 　成功するにしろ失敗するにしろ、息子がその姉を乗り越えるために必要なことだと。

僕はすっかり若旦那に感情移入したので、映画が成功することを切実に祈っています。　だからラストの電話が気になって仕方ないのでした。　せっかくいい感じだったのに、あの電話のベルは、うたかたの夢から現実に引き戻される目覚まし時計のベルのようではないですか。　うまい引きだと言えますが、来週まで辛いですよ。

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