ガンダム00(ダブルオー)劇場版を見た後だから、特にそう思うのでしょうけれど、この作品は「すごくまっとうなガンダムだなー」という印象ですね。 機動戦士ガンダムUC episode 2 『赤い彗星』 の感想です。
内容のネタバレがあります。原作小説は未読です。
ちなみに、僕はガンダム00もとても好きですよ。感想記事を見ていただければ、僕のダブルオーへの愛は伝わると思います。→ 劇場版 機動戦士ガンダム00 感想(ネタバレあり)
でもそれはそれとして、この作品の「いかにもガンダム」な感じも、とても好きですね。テーマは、地球の支配階級とスペースノイドの対立という、お馴染みのものです。シャアとおぼしき人物が登場して、お約束のセリフの数々(「3倍のスピードです!」、「当たらなければどうということはない」など)が飛び出します。 「これこれ」という安心感がありますな。
主人公が偶然、あるいは強引にガンダムに乗り込むのはお約束ですが、でも従来のガンダムが、本当に勝手に乗ってしまうのに対して、この作品では、一応、承認の上で乗り込んでいます。最初はビスト財団のカーディアスの手引きだったし、2回目はアナハイムの重役が関わっていました。
本来、重要機密であるガンダムが、勝手に乗り込んで動いてしまうのは妙な話なので(セキュリティはどうなってるんだという)、こちらのほうが納得感があります。他にも細かいところが、SFやミリタリー的により「ありそうな」方向にリファインされていると思えます。
主人公とヒロインが、敵味方に分かれて戦うのもガンダムのお約束ですが、雰囲気は違いますね。従来のガンダムでは、主人公やヒロインは、それぞれの陣営のイデオロギーに縛られていて、しばしば相手のことよりも、所属陣営を優先します。
でも、バナージやミネバは、より柔軟に見えます。少なくともバナージは、地球連邦にはあまり縛られていなくて、利害が対立してもミネバ(オードリー)のことを優先するでしょう。
ミネバは、バナージが最優先ではありませんが、ネオジオンの言うとおりに動くつもりもありません。そもそも、ユニコーンガンダムがネオジオンに渡されることを、阻止したかったわけですし。
彼女は、なによりも平和を望んでいるのでしょう。そのために、やるべきことを自分で決めています。すごい娘ですね。誰にも頼れないという、そのプレッシャーは大変なものなはずで。 バナージはそんな彼女に、「君はどうしたいんだい。しなければならないことではなくて、君がやりたいこと、君自身がどうしたいのかを教えてよ」 と言いました。「君がやりたいことならば、僕は助ける」という気持ちでしょう。
「しなければならないこと」だけを考えてきたオードリーにとって、その言葉は新鮮だったはず。そしてこの言葉で、バナージはミネバにとって『唯一の味方』になったのです。今回、二人の絡みは少なかったですが、それでもしっかり絆を強化したように見えます。 この作品はきっと、第一にバナージとミネバのラブストーリーなのでしょう。
資源衛星のパラオは、元はアステロイドベルト(火星と木星の間)にあったということで、地球から遠いので補給が大変で、太陽の光も弱くしか届かない、劣悪な環境だったのでしょうね。棄民だったという、スペースノイドの悲哀の記念碑だと言えます。キリスト教がローマの奴隷の間で流行ったように、そういう悪い環境だからこそ、ジオン家への崇拝が育まれたというマリーダの説明は、納得できるものでした。
メカ描写が、例によって素晴らしいですね。特にGの表現が。加速したり、キックを食らったりしたときのパイロットの体にかかる負荷が、映像から伝わってきます。 UCガンダムの変形シーンも素晴らしくカッコイイ。
全体として、1話のほうが面白かったのは確かです。スペクタクルな導入から、ヒロインとの出会いと、緊迫感のある展開。そして戦闘になり、最後はガンダムが覚醒するという、派手でスカッとする展開でした。。
今回は、ガンダムが出撃するものの、いまいち戦果をあげていないし、主人公は囚われるしで、もやもやしたものは残ります。でもそれは、ストーリー進行上仕方ないことです。上に書いたように、ディティールで楽しめたし、ラブストーリーや戦争の是非といった、作品のテーマの部分が興味深かったので、PlayStation Networkに支払った1000円分の満足感は十分にありました。次回が待ちきれません。
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