メルクマール

タイトルにある『よすが』は、『寄す処』から来ていて、『身をよせる場所』『身寄り』といた意味です。そこから転じた『手がかり』という意味もあり、今はそちらが多く使われている気がします。「昔を偲ぶよすが」とか。

この作品では、『身寄り』の意味が強いでしょう。　それは悠と穹のことであり、一葉と瑛のことです。悠と穹は両親がいないし、一葉は父親と対立しているし、瑛は認知されない私生児です。この世でよすがになるものはお互いしかいないという、強い絆を表しているのでしょう。

映像は、派手さはないけれど印象的です。引いた俯瞰で広い大地を映したり、アオリで広い空を映したりという構図が多いですね。空間の広がりと、その中にポツンといる人間を描写することで、「広い世界での貴重なよすが」を表現しているのでしょう。

今回、悠と一葉が接近しました。お互いに兄弟のことを優先しがちで、立場が似ていることに共感したからでしょう。それにしても、悠は子供の頃に穹ともキスしたようなので、さてはキス魔だな。この調子でいろんな女の子とチュッチュするのでしょうか。

なぜ、恋人はキスをするのでしょうね。人間は基本的には一人で生きているのですが、そばにいてくれる、分身のような存在を求めています。そして、その存在と一つになりたいと願っていて、それが身体の内面を接触させる、キスという行為に駆り立てるのでしょう。

そうやって一つになると、もう他人ではないという感覚になります。お互いが『よすが』になったと言えるでしょう。

二人がチュッチュしている間、ハブられた穹と瑛が楽しそうに会っていたのが、今後の波乱を暗示しています。やはり、メインヒロインは穹だと思うのですが、彼女はどう巻き返すでしょうか。

あと、海のシーンで悠が海に入らなかったのは、なにか事情があるのかな。彼にも秘密がありそうです。　ラストで瑛が倒れたのも気がかり。一葉は異常に瑛のことを心配していますが、それと倒れたことと関係あるのかどうか。　静かなようで、濃密なドラマになっています。

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