メルクマール

女子がお互いの髪をいじっている姿はしばしば見かけますが、あれはサルの”毛づくろい”みたいなものなのでしょう。　チンパンジーなどのサルは、お互いに毛づくろい（グルーミング）をする習性があり、重要なコミュニケーション手段だと考えられています。親愛の情を表したり、仲直りしたり、お礼だったり。毛づくろいを観察すると、サル社会の様子がわかるそうです。

毛づくろいの習性は、言語の発達によって衰えますが、一部は握手やハグなどのスキンシップに形を変えます。女子が互いの髪の毛をいじるのは、毛づくろいが最も原始的な形で残っていると思えます。

今回は、ほぼ全編が髪型をどうするかという話で、日常そのものです。でも、それは女子にとっての話ですね。男としては、「髪の毛さらさら～」とか言いながら互いの髪を触ることは無いわけで、決して体験することのない、めくるめく非日常の世界だと言えます。「エスパー戦士になって異界からの侵略者と戦う」のと同じくらい、非日常です。

髪の毛の動きとか、細かいところはものすごくリアルですね。日常風景なので、リアルかそうでないかは一発でわかります。　「日常的なリアルを追及しつつ、ある種の非日常を描く」ことが、この作品の力でしょう。けいおん！！のエッセンスはそこにあるのでは。

ところで、サル社会では、毛づくろいされるほうが一般的に上位です。それを当てはめると、序列的には　紬→澪→律→唯　となりますか。わりと、この序列は正しいと思えます。唯はメンバーから叱咤されることも多いけれど、軽音部のムードメーカーは彼女だから。

唯が前髪を切るシーンでは、全員が自分のことのように緊張していました。慰めるのも必死ですね。　でもその後、おやつで機嫌を直した唯を見て、他のメンバーも幸せな気分になったようです。そういう唯の天真爛漫さ救われているので、つい唯を甘やかすのでしょう。

これから、受験というハードな現実が待っているわけですが、そこでも唯の前向きで明るいところが、みんなの救いになるのでは。がんばってほしいですね。

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