メルクマール

澪がいかにしてあがり症を克服するか、という話になるかと思ったら、本番では大丈夫だったようです。ステージの上でライトを浴びていると、客席はあまり見えないので、稽古の時よりも集中できるのかもしれません。

梓の視点が多いこの作品ですが、今回もそうでした。先輩たちが劇の練習に夢中なことを淋しく思っています。４対１ですから、疎外感はどうしても感じてしまうでしょう。 「練習ができなくて心配」というのもあるだろうけれど、淋しさのほうが先に立っていると思えます。あのふくれっ面からして。

劇の鑑賞では、唯のことばっかり見ていましたね。観客が澪と律のラブシーンで盛り上がっているときも、唯のことが気になって仕方がない。　また、ラストシーンでは、律たちの演技に驚いて、「すごく練習しただろうな。そりゃ音楽室に来る時間無いよ」と思い、軽音部がニの次になっていることを悲しんでいます。

つまり、梓は劇の内容を、ほとんどまともに見ていません。これは伏線になっています。　唯から「どうだった？わたしたちの劇」と聞かれた時、梓は内容を見ていないので、答えに詰まってしまうのでした。焦ったことで、つい本心を喋ってしまいます。

本心とは、「みなさん、あまり部室に来てなかったから、ライブのこと、あんまり大切に思ってないのかなって…」という言葉で、これは先輩たちへの直接的な非難なので、すぐに気付いてフォローしようとします。　でも3年生組には、梓の淋しい心の内は伝わって、ここから挽回しょうと決意するのでした。いつになく真面目に練習に取り組みます。

淋しかったのは唯も同様のようで、埋め合わせとばかりに、梓を構っています。それを梓は鬱陶しそうにかわしていますが、唯の寝顔にはほほ笑んでいましたね。なんだかんだで、唯に構ってもらうのは嬉しいのでしょう。淋しかった反動もあり。いつも唯にはツンツンしている梓の、珍しいデレでした。

文化祭準備の、忙しくも高揚した雰囲気は懐かしいものがあります。そんな懐かしさに浸らせつつ、梓の心の機微を描いた回でした。

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