2015~2016年頃、スピーキングで伸び悩みを感じていたのですが、2016年07月から、フラッシュカード(単語カード)アプリ「AnkiDroid/Anki」を使った瞬間英作文を再開してから、流暢さと表現力を向上できるようになってきました。
当時は、後先考えずに何でもかんでも片っ端からカード登録していたのですが、2017年に入ってから、どうも非効率だと感じるようなことが増えてきたので、効率的にトレーニングできるように試行錯誤してきました。
そのカード登録する際の編集の仕方のノウハウをまとめたのが「フラッシュカード瞬間英作文を快適化する14のコツ」です。
この記事では、「どういう種類の英文をカード登録すると実用的か?」「どういった英文をカード登録すると身につきやすいか?」という視点でまとめてみました。
瞬間英作文 初級者向け
瞬間英作文「初級者」向けではありますが、おそらく「初心者」向けではないと思います。
もし難しいようであれば、まずは『文法項目別の瞬間英作文本』の1冊やり込んで、中学文法である程度瞬間英作文ができるようになってからトライするとハードルが下がるはずです。
(1) 自分に関すること
英会話初心者の方は、まず自分のことを英語で説明できるようになることを強くお勧めします。理由は2つ。(2) 「まったく話せない」がなくなる
心理学や脳科学の研究で、他人のことよりも自分のことの方が記憶に残りやすいということが分かっています。
また、英会話では自分のことを話すことが多い → 練習した英文が長期記憶に定着しやすい → スラスラ言えるようになってくるんですよ。
僕は両親譲りなのか、年齢より若く見えるのと、「not as...as」の構文を覚えられると思って登録しました。ちなみに、若く見られるのは、良いこともありますが、年下に見られてバカにされることもあります。
詳しくは次の記事で。
【参考】オンライン英会話 初心者は「自分を英語で説明できる」ようになれ!
(2) 英会話や独り言で、英語で言えなかったこと
オンライン英会話や英語で独り言をやっていると、「○○って英語で何て言うんだろう?」というのが頻繁にあると思うんですよ。
そこでオンライン辞書やネットなどで調べるわけですが、それで終わってしまうとやっぱり定着しにくいんですよね。
というわけで、僕はそれをカード登録しています。
例えば、12月にクリスマスの話題になったときに、「日本のクリスマスには宗教的意味合いはないんだ」的なことを言いたかったんですよ。
「religious(宗教的な)」は使えていたのですが、「意味合い」が出てこなかったので調べて、次の英文を登録しました。
流れとしては次のような感じです。
Step 2:オンライン辞書・文法書・英辞郎・Weblio英語例文検索・DMM英会話なんてuKnow?などで調べる
Step 3:NetspeakやDo People Sayで正確さや使用頻度をチェック
Step 4:フラッシュカードアプリに登録
Step 5:瞬間英作文でスラスラ言えるまで回す
→ 英会話や独り言でも言えるようになる
リスニング・リーディングだけでなく、スピーキングも結局、地道なトレーニングの積み重ねが大事で、英語で言えないことを1つ1つ減らしていく壮大な作業だなと。
【参考】オンライン英会話 スピーキングの流暢さを促進する「英語で独り言」
(3) 会話でよく使われるフレーズ
TOEICから離れると、「TOEICではめったに or 絶対に出ないけど、実際の会話では頻繁に使われるフレーズ」というのが、思っていた以上にたくさんあることに気づいてくると思うんです。
僕の場合、
などを視聴していて「よく出会うけど、イマイチ意味がつかめていないな」「このフレーズは英会話で使えるようになりたい!」と思ったフレーズを登録するようにしています。
「I bet(きっと~だ)」は実際の会話ではよく出ますが、TOEICには出ないですよね。なんでだろう。カジュアル過ぎるからかな。英検ではちょこちょこ出るんですけど。
映画やドラマだと「I bet(アイベッ)」ってすごく早くて短いので、2016年の頃は瞬時に聞き取れませんでした。そこで何枚かカード登録して回しました。そのお陰で最近では一発で聞き取れるようになってきました。
(4) 苦手な文法・構文
● 英会話でまだ使えるようになっていない文法・構文
も登録するようにしています。
例えば、2016年頃はまだ「should have 過去分詞」「must have 過去分詞」「might have 過去分詞」が苦手だったんですよ。
そこでそれらを含む英文をカード登録してから、徐々にスラスラ言えるようになり、瞬時に聞き取れるようにもなってきたのですが、今度はそれらの否定形も瞬時に聞き取れないことに気づいてきました。
そこで登録したのが次の英文。
これめっちゃ使いそうでしょ(笑)
こんな感じで、可能な限り
● 実際に自分が英会話で使いそうな英文
● 状況をイメージしやすい英文
を登録する、もし見つからなければ、そういう英文に作り変えることが、瞬間英作文を自作する際のコツだと感じています。
(5) 苦手な発音・アクセント
すでにオンライン英会話などで英語を話しておられる方は痛感されていると思いますが、発音が悪いと、こちらの英語が相手に通じないんですよね。
また、リスニングも伸びづらく、音読も楽しくないです。しかもいったん身につけた発音は矯正するのが困難です。
なので、僕はリスニングだけでなく、リーディングでも、Google DictionaryやWeblioポップアップ英和辞典で、不明な発音をチェックするようにしています。
そして、
● 発音やアクセントが日本語とは違う要注意単語
に出会ったらフラッシュカードに登録しています。
例えば、ペンギンって英語では「ペングゥィン」みたいな発音なんですよね。あと、北極と南極がスラスラ言えなかったので、次の英文を作りました。
ちなみに、「ペンギンは北極にはいない」という fact も覚えられます(笑)
【参考】やらない人は損してる!発音を学ぶことで得られる4つの効果
瞬間英作文 中級者向け
おそらく2万文くらいは瞬間英作文をやってきたと思うのですが、瞬間英作文はパッシブ語彙を「アクティブ語彙」化するトレーニングだと考えています。
自分がすでに聞き取れる・読める語彙を使えるようにするためのトレーニング。
というのも、まったく知らない単語が含まれる英文で瞬間英作文しても、定着度はあまり良くないなと。
一度スラスラ言えるようになっても、普段から英会話で使ったり、リスニング・リーディングで頻繁に出会うことがなかった場合、しばらくすると忘却してしまうんです。そういう失敗を何度もやってます(笑)
なのでここからは、そこそこ英語力がある中級者の方向けになると思います。
それなりに語彙力・文法力・構文力が求められるので、TOEIC 900点&英検準1級くらいあったほうがいいかもしれません。
アクティブ語彙については、次の記事をご覧下さい。
【参考】スピーキングが上達する!アクティブ語彙(運用語彙)の増やし方
(6) 日本の食・文化・慣習
TOEICと英検での勉強や映画やドラマでのトレーニングで、最も身につきにくい英語力の1つが、日本の食・文化・慣習を説明することだと感じています。
英検の場合、日本の社会問題については説明できるようになってきますが、それ以外は身につきにくいと思うんですよね。
また、【 オンライン英会話 】では、日本のことについて説明しないといけない場合がありますが、レッスン後に何も調べず放置していると、日本を説明する英語力は身につきにくいなと。
なので、自分で補完していく必要があります。
そこで僕は、「NHK WORLD TV」や「ニュースで英会話」で日本に関するニュースや番組が頻繁に流れるので、自分が使いそうな英文に出会ったら登録するようにしています。
以前は「神様」は「God」ばかり使っていたんです。
ところが、「NHK WORLD TV」の番組の1つ「Trails to Tsukiji」を見ていたら、「deity」と表現していたんです。
調べてみたら「God」は「一神教における神」で、日本人がよく使う「山の神様」のように、多神教的な意味で「神様」と言いたいときは「deity」を使うことを学びました。
【参考】「「NHK WORLD TV Live」が中級者の多聴に最適な5つの理由」
また、「書籍とCDを使って勉強したい」という方は、「日本を英語で紹介するための本5選&勉強のやり方」をご覧下さい。
(7) 名言・格言・ことわざ
偉人の格言、自分の好きなアーティストやスポーツ選手の名言、本やWeb記事を読んでいて出会った良い言葉、ことわざを使えるようにしておくと、
(2) 英会話やディスカッションの引き出しを増やせる
(3) 仕事やビジネスにも役立つ
(4) 使える文法が身につく
(5) ユーモアも身につく
などのメリットがあると感じています。詳しくは次の記事で。
【参考】英語の名言を瞬間英作文でやると一石五鳥な件
(8) 科学的な調査結果
自分にとって興味深い科学的な調査結果を見つけたら、なるべくやさしい英文を探して登録しています。英会話のネタになりますし、英検などで essay を書くときの主張の根拠として使うこともできます。
例えば、Tea Romih教授の「Humans Are Visual Creatures」という記事が面白かったので、その中にあった次の文をカード登録しました。
「visual」「indirectly」「devoted to」はどれもリスニング・リーディングでは理解できますが、スピーキングでは使えていないと感じたんですよね。
あと、「人間は視覚からの情報をかなり重視している」というのは英会話のネタになるなと。
また、米国での再犯率について調べていたら、「76% of all inmates end up back in jail within 5 years. Here’s how I broke the cycle.」という記事に出会いました。
僕は「prisoner」「lead to」「cause」を使うことが多く、「inmate」「end up」はあまり使えていないと感じたので、早速
という感じでカード登録しました。「犯罪」「刑務所」「受刑者」「再犯率」のトピックが出てきたときに使えますね。
(9) 健康系
健康に興味のある人は、例えば「kiwi benefits」で検索すると、キウイの効果に関するサイトがたくさんヒットします。
そこで、自分が純粋に覚えたいこと、アクティブ語彙(使える語彙)にレベルアップさせたい単語・文法・構文があれば登録していくといいです。
僕は「比較」の「同格」は使い慣れてきつつありますが、「~の2倍多くの~」がスラスラ言えないと感じたので登録しました。
「(食べ物)には (栄養)が含まれる」的な英文をいくつか登録してきたことで「contain」は使い慣れてきましたし、「include」との違いも感覚的に分かってきました。たぶん(笑)
【参考】「健康」に興味ある英語学習者にお勧めの無料マテリアル9選
(10) 歴史的事実
次は無料で読めるニュースサイト「Newsela」の「China's Great Wall built to send enemies a message: "Keep out!"」(中国の万里の長城に関する話)を読んでて出会った英文です。「紀元前」「~全土」が英語で言えなかったのと、「rule」は使えても「conquer」は使えていないと思ったので登録しました。
一般教養として、中国の秦の始皇帝の時代と万里の長城ができた時代を覚えておくこともできます。
次は英検の読解問題で出会った英文です。確か「WHOが昆虫食(entomophagy)を勧める」トピックだったと思います。
かなり長い英文なので瞬間英作文向きではないのですが、実に面白い(ガリレオ風に)と思ったのと、「人間の価値観は時代によって変わる」「将来、昆虫食が普通になるかもしれない」という主張の根拠になると思ったので登録しました。
(11) 数字の読み方や算数
普段から意識してトレーニングしていないと、「1億」「20万」を英語でサッと言うのって難しいと思うんですよ。「英語ニュースサイト」を読んでいると、「6 feet」「10 pounds」「2 inches」「100 degrees fahrenheit」がよく出るのですが、日本とは違う単位なので感覚的につかみにくいわけです。
また、「in 1902」「in 1800」「Louis XVI」はどう発音するかイマイチ分からなかったり、「小数点」「分数」「加減乗除」も英語できちんと言えない。あと、僕はなぜか「€(ユーロ)」と「£(ポンド)」を混同してしまいがちだったんですよね(笑)
そろそろ放置プレイもよくないなと思うようになってきたので登録していくことにしました。
個人的に、「1億」を英語で言える(聞き取れる・読める)ようにするのに最も適した英文は、日本の人口かなと。
重要度・緊急度の高いものだけ登録する
「Anki/AnkiDroid」で片っ端からカード登録していると、半年~1年後の日々のノルマが大変なことになります。
トレーニング不要だと感じたカードは、破棄せずに「保留」(AnkiDroidでは「カードの表示を中止」)にすればOKですが、それでも大量に出てくるのは面倒になります。
なので、なるべく「自分が今すぐ使えるようにしたいもの」といった重要度・緊急度の高いものから登録していくことをお勧めします。
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