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Landscapes by the roadside

路傍学会


建物のLandscape 45

足立区千住 安養院 大黒湯唐破風
  大黒湯1
 足立区千住五丁目、旧日光街道から安養院の山門が見える。
  大黒湯2
 山門脇には地蔵菩薩の両側に青面金剛が祀られている。
 20141231日号で報告したのだが、改めて当時の写真を見てみると、あれ! 青面金剛が入れ替わっている。
  大黒湯3
 以前は合掌している青面金剛は地蔵尊の右に、ショケラを持つ青面金剛は左にあったのだが。どうしてこのようなことが起きるのか。路傍学会の興味は尽きない。
  大黒湯4
 位置が変わったおかげで、ショケラ持ちの青面金剛の右側面が良く見えるようになった。「貞享三丙寅天(1686)建之 寛延二己巳天(1749)再建 寛政年中再建/安政二乙卯天(1855)再建 明治六癸(1873)再建」と読めるが、4回も再建されたということだろうか。
  大黒湯5

 今回、安養院を訪れたのは大黒湯の唐破風の移築が完了したと聞いたからだ。京都の古刹を思わせるような出来栄えである。

  3大黒湯 安養院

 49日号で報告したように、たまたま安養院の前を通りかかった際に、大黒湯の唐破風の移築が進められていることを知った。この時は向拝虹梁が仮組された状態だった。

  大黒湯7

 5月には覆屋の中で作業が行われており、様子を窺うことはできなかった。

  大黒湯8

 6月、唐破風の曲線が現れてきた。銅板奉納を募っていた。

  大黒湯9

 8月、屋根に銅板が葺かれていた。赤銅色が美しい。路傍学会相談役の細岡氏から銅板を葺いているとの連絡を受け、撮影したものである。

  大黒湯10

 9月、移築工事は完了した。蟇股には大黒天も見える。入湯客を迎えていた大黒天が、これからは参拝者を迎える。

  大黒湯11

 923日には完成披露が行われた。内側から撮影してみた。

  大黒湯12

 上がり框にケロリンが置いてある。大黒湯で使われていたものだろうか。

  6大黒湯

 その大黒湯は、4月には工事用のパネル、シートで囲まれ、千鳥破風の一部だけが見える状態だった。

  大黒湯14

 5月に訪れると、解体が進み、パネルの上に煙突だけがぽつんと見えた。

  大黒湯15

 9月には、跡地は更地となり、駐車場になっていた。

  千住寿町・大黒湯①

 これは20188月に撮影した大黒湯である。入口屋根が唐破風と千鳥破風の二重破風で、大屋根は千鳥破風を入口側三方に配するという豪壮な造り。キングオブ銭湯と呼ばれた大黒湯は姿を消したが、関係者の熱い思いが実を結び、その入口屋根を移築することができた。皆さまのご労苦に感謝!

  1. [ edit ]
  2. 建物
  3. / trackback:0
  4. / comment:2

  1. [ 編集 ]
  2. 2022/10/03(月) 19:57:33 |
  3. URL |
  4. まるほ
唐破風部分だけでも移築されたのは幸い。大黒湯はずっと続くものとばかり思っていたのが、いつの間にか、鋼板塀で囲まれてしまった。
安養院での公開の日に、煙突に取り付いていた、大きな猫のごときものは何だったのかと尋ねようとしたが失念。ありゃりゃ。

Re: タイトルなし

  1. [ 編集 ]
  2. 2022/10/03(月) 21:50:11 |
  3. URL |
  4. 路傍学会長
まるほ 様
コメントありがとうございます。
キングオブ銭湯の称号を持つ大黒湯が姿を消したのは残念ですが、
関係者の努力で、その玄関屋根が移築できたのは不幸中の幸いだと思います。

あの煙突に付いていたのは、猿だと思っておりましたが、
猫ですか?
 路傍学科長拝

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