メルクマール

それらがエネルギーとなってAIMネットワークを形成するのでしょう。今回の『AIMバースト』の化物のうめき声（佐天を含む）を聞いていて、そう思いました。

しかしそもそも、なぜそんなに”能力”が大切なのか。普通の学校では”学力”が重視されますが、それは学力があると、いい学校に進学できて、職業選択の幅が広がり、良い人生を送れる確率が高まると考えられているからです。

でも”学力”はあくまで手段にすぎず、学力が無いから幸せになれないわけではありません。ロールプレイングゲームでは、HPの高いキャラ、MPの高いキャラ、敏しょう性の高いキャラなど、様々な特徴のあるキャラでパーティーを作ることが肝要。　実際の社会でも、そのような様々なパラメータを持つ人が必要とされているわけです。

その点、学園都市では、『超能力レベル』という唯一のパラメータで評価されていますね。そこで疑問なのですが、そもそも、能力が高いと何が良いのでしょうか？　やはり就職に有利なんですかね。でも、美琴や”一方通行”のようなレベル5の能力が必要な仕事というのは、多くは思いつきません。

どうしても、真っ先に考えられるのは『軍事利用』です。

もしかして、学園の外では”超能力戦争”が行われているのかな。そして、能力者になって、お国のために戦うことがカッコイイと思われている？　だとしたら、それは一種の『幻想』でしょう。えてして、社会は『幻想』から成り立っていますが。

そんなことを気にするのは、佐天の「今後」が気がかりだからです。　とりあえずレベルアッパーの昏睡からは覚め、「能力よりも大切なものがある」と気づいたけれど、彼女のコンプレックスの根本は解決されていません。今後、彼女が学園都市で居場所を見つけて、彼女なりの役割を果たす展開を期待しているのですが。きっと、何かあると思うのですよね。その鍵は、能力がすべてという『幻想』をぶち壊すことにあるのでは。

今回は戦闘シーンとして見ごたえがありました。考えてみれば、美琴のレベル５の能力をフルパワーでぶっ放す相手として、生身の人間は役不足で（上条さんを除く）、彼女が思う存分暴れるためにも、ああいう怪物は必要だったのでしょう。全力のレールガンにスカッとしました。

美琴の心情は、あまりスカッとはしていないようですけれど。　彼女はもっぱら、「自分が悩みに気づいてあげられなかったのが悪い」という内省に向かっています。確かに無神経な発言はあったので、それは反省して良いのですが、今回の根本原因は、学園都市の歪んだシステム（あるいは『幻想』）にあるでしょう。

そちらに考えが行かないのは、まだまだ彼女たちは幼く、自分の手の届く世界のことしか考えられないからで。でもやがて、歪が彼女たちの目にも見えるようになり、直面する時が来るのかもしれません。

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