そこそこ面白いのだけれど、そろそろ『現代魔法』の描写を掘り下げて欲しいところです。よくわかる現代魔法 第3話 「Deus In Machina」 の感想。
この作品に期待しているのは、『現代魔法』というユニークな設定なんですよね。魔法とテクノロジーの組み合わせは他にもありますが、『現代の』コンピュータ科学と魔法の融合というのが面白いところだと思っています。でも、まだ今のところ「なにやらパソコンでも魔法が使えるらしい」という以上の描写が出てこないのですね。後回しになっているのでしょうか。来週も水着回だし…
いつのまにか嘉穂も現代魔法を習っていて、基本的なコードを動かしていました。”切れている電源をオンにする”というものらしいですが、まぁ確かに、携帯電話などはソフト的にスイッチが切れているだけ(物理的には切れていない)ので、現代魔法としては初歩的なのでしょう。
それにくらべて、タライの召還は間違いなく高度な魔法ですが、あれは現代魔法なのでしょうか? ”己の肉体だけでコードを組み上げる”のが古典魔法だそうなので、その定義ならば、こよみはPCを使わずにタライ召還するので古典魔法っぽいですが。こよみはPCはからきしダメのようなので、古典魔法を習ったほうが早い気もする。
嘉穂にもPCの勉強を手伝ってもらっているようですが、嘉穂は先生としてどうなん? 彼女が使っているテキストを見て笑ってしまいました。以下はその本のタイトルと帯の文。
よくわかるアセンブラプログラミング
Windows プログラム解析初めてのx86コード完全解説書
Pentium4命令まで完全網羅
完全フリーアセンブラプログラミング
解析・改造ができる
マニアックすぎるよ! アセンブラとはいわゆる『機械語』で、いまどきアセンブラでプログラミングすることは、PCではほとんどありません。あるとすれば、他人が作ったプログラムを解析してハックするような用途で、この本はあきらかにそういう人向けだな…
もちろん、アセンブラは知っていたほうがいいです。プログラムのバグが、どうしてもアセンブラでしか追えないこともあるので。でも初心者のこよみに、この本はスパルタンすぎるでしょう。現代魔法にはアセンブラが必須なのか、あるいは単に嘉穂の趣味なのか。
ストーリーのほうは、サスペンスとコメディのバランスが取れていて、それなりに楽しめました。ただ、敵の正体や目的がわからないままだし、人間関係もいまいちわからないので、座りの悪さはあります。こういう作品では、出し惜しみするよりも早めに見せておいたほうが良いのでは、と思うのですが。
実は敵の正体は、1話で弓子にパンツを投げつけられて泣いた男の子、というオチは無しですか?
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それではしつれいします
http://www.amazon.co.jp/dp/4839912025
「読むに値するかびみょーかと思われ」と嘉穂なら言ってくれそう。
# 日本語MSDNのAPIリファレンス程度には役立つかもしれないけど・・・
”オブジェクト”はこの場合”オブジェクト指向”のことだと思われますね。大雑把に言えば、「プログラムを再利用しやすくするための手法」でしょうか。
プログラミングはバグとの戦いであり、なるべく既存の(実績のある)コードを使いまわすことが、バグを少なくするための重要なポイントです。
ただし、再利用など考えずに、純粋に効率最優先で書いたほうが、プログラムの実行速度は速くなります。再利用を重視するオブジェクト指向には、いくらかの無駄は避けられないのです。
しかし現在では、PCは十分に速いし、家電などに組み込まれているCPUでさえ、かなり高速になってきているので、オブジェクト指向による性能の低下はほとんど問題になりません。なので、開発効率のよい(バグの少ないプログラムが少ない手間で書ける)オブジェクト指向が主流になっています。
”オブジェクト指向”と”アセンブラ”は本来は対立する概念ではないですが(前者は手法で、後者は言語なので)、アセンブラは実行効率が最優先の場合に使われ、その代わりに開発効率はきわめて悪いので、ある種、対極的なものとも言えます。
嘉穂の「オブジェクト全盛の時代にアセンブラはどうかと」という台詞は、それを踏まえてのものでしょう。いまどきアセンブラでカリカリに最適化したコードなんて流行らないよ、という。それはその通りです。ゲーム機など特殊なものを除けば。ゲーム機もほとんどはCやC++で書きますが、特に高速化が必要な部分(描画関係など)だけはアセンブラで書くことが稀にあります。
『現代魔法』も、ゲームプログラミングに似たとところがあるのかもしれません。1話で、ミサさんはC++でコードを書いていましたが、でも現代魔法の習得にはアセンブラも必要なんですよね? ということは、プログラムのコアになる重要な部分を、アセンブラを使って最適化してやる必要があるのでしょう。やはり、現代魔法は簡単ではないようです。
■優さんコメントありがとうございます!
うっわ、まさに帯の文章とかそのまんまですね。元ネタの本の許諾は受けているのだろうか?
アマゾンでの評価が、ものすごく低くて笑いました。まじめなアセンブラの解説本と思わせて、ゲーム改造などのノウハウ本みたいですね。やっぱ「いまどきのアセンブラ」の使い道は、一般的にはこの程度ということでしょうか。