メルクマール

後味は、あまり良くなかったですね。軍事的に天使に対抗するのではなく、政治的手段を取ったということで、アメリカの中南米政策を思わせます。反米政権があると、戦争ではなく、CIAの裏工作によって政治的に失墜させるのが常套手段でした。

さらに、親米政権を作るところまでやるのが戦略ですが、ゆりはそこまでは考えていなかったようです。「天使は神の遣いではなく、自分たちと変わらないのかもしれない」という仮説を確認するための作戦でした。そしてその仮説は、残念にも当たったわけです。

この作品は、置かれた異常な状況から脱出することが目的の、いわゆる”脱出もの”だと思われます。その脱出の重要な手掛かりが天使だったのですが、それが断たれたようにも見えます。天使を倒しても神に辿り着くことはできないのかもしれない。

しかしそこに、”次の政権”が現れました。ゆりが攻撃を控えさせたのは、彼らの出方を見るためでしょう。今や、残された数少ない手掛かりだから。

というのも、個人ではなく、“生徒会長という地位”に意味がある可能性があるからです。副会長君は、生徒会長代理になったとたんに態度が変わりました。わりと不自然なので、生徒会長という地位が、個人に特別な力を与えるのかもしれません。マンガでは生徒会長の権力がやけに強かったりしますが、あの世界です。

となると、ゆりがやるべきことは、”自身が生徒会長になる”あるいは”自身の傀儡を生徒会長にする”ことでは。それが戦略というものです。ガルデモをうまく使えば可能かもよ？　

それにしても、今回は天使こと”たちばなかなで”が不憫でしたね。教室でも常に１人でいて、食堂にも１人でやってきて、わりと孤独なように見えます。人望というよりは、成績とか真面目さが理由で、教師によって生徒会長に選ばれたのでしょう。１人ぼっちだった彼女は、”生徒たちのため”に与えられた役目を全力でつとめていて、その真剣さがあの無敵の能力の源泉（の一つ）だったのかも。　3話の感想で、天使にも救いがあるといいのだがと書いたのですが、今はそれを切に願っています。

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