メルクマール

この作品、実はそれほど大好きでもないので、感想は書いていませんでした。でも今回はめっちゃ面白くて、これはバカウケだろうと感想ブログさんを回ったら、けっこう否定的な意見が多いじゃないですか。なので、礼讃する記事を書くことにしました。

事前に、twitterで「今夜の”迷い猫”は大地監督」というつぶやきを見ていたので、期待していました。といっても、最近の大地監督の作品は見ていないのですが、『十兵衛ちゃん』が強く印象に残っています。

当時は今ほどアニメに興味がなく、たまたま見たのですが、すっとぼけた日常シーンと、戦闘シーンのシリアスでケレン味たっぷりの演出の落差に、「これすごいかも」と思ったものでした。

その片鱗は、卓球のシーンで見ることができます。卓球って、そこそこ出来る人同士でラリーしていると、メトロノームのような単調なリズムで延々と打ち合えますよね。その単調さがあの長回しのシーンでしたが、そこからダイナミックなスローモーションのシーンの落差が効果的でした。映画『ピンポン』（名作です）をリスペクトしている気もします。でもこれがしょせん温泉卓球であり、微エロ風味もあるのが笑えるところ。

声優さんもノリノリで良かった。「それでもまだ、寒いものですね」と夏帆と向き合うシーンでの、「ど、どーしましょうねぇ」というセリフは、2回目でも吹き出しました。なんと、大地監督は音響監督も兼ねているようで、絵コンテで自分が考えた通りの演技をしてほしい、というこだわりからなのでしょうね。音楽も良かったですね。

今回は夏帆を紹介する回でもあったのでしょうけれど、インパクト十分だったと思えます。ラストで、去っていくヘリコプターを見上げながら、黒服軍団に囲まれてニヤリとほほ笑む夏帆は、今後のドラマを予感させるに十分でした。

そんなわけで、僕はすごく楽しみました。ありがちな温泉回でも、「大地監督が作ればこうなる」という主張にあふれていて。でも普段の”迷い猫”が気に入っている方や、原作のファンには受け入れられにくいのかもしれません。それはわかる気がします。

なので、大地監督のオリジナル作品に期待したいのでした。最近はもっぱら短編の帯アニメ専門のようですが、十兵衛ちゃんのような、大地監督節炸裂の作品をじっくり見たいものです。十兵衛ちゃんを見返そうとも思いました。第一話が、バンダイチャンネルで無料配信されています。

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