メルクマール

最初から最後まで、葵と葛がいかに対照的か、というのを描いているんですよね。見本写真の撮影をする前から、軽く引き受けようとする葵に対して、葛はミッションの難しさを提示して慎重な態度でした。

撮る写真も対照的なようですね。感性で撮る葵に対して、あくまで理詰めで、見本としての情報量も重視する葛。 ちなみに、蝋の食品サンプルは日本の発明で、1923年に日本橋の白木屋デパートの食堂が飾ったのが最初と言われています。

レストランでの会話によると、葵はヨーロッパで暮らした経験があるようです。その影響か、「一国の利益よりも世界が平和であることが大切」という”世界市民”的な感覚を持っているように見えますね。第一次大戦の反省から、このころに流行っていた思想です。それによって国際連盟が出来ました。　一方で葛はコテコテの日本人で、日本の国益を第一に考えているようです。軍人ですしね。

かっぱらいのアジトをつかむのに、葵は情報屋を問い詰め、葛は市民から情報を集めました。猫を追うにも、葵は猫を直接追いかけ、葛は猫の通り道を予測しました。やり方は違うけれど、結局二人とも、同じ結果を得ています。

そんな二人のことを、雪菜が言い当てていました。違う視点があるからこそ、同じ目標に向かったときに強みになると。いいコンビだと。それは本当に、その通りなのでしょう。

雪菜の出番は少なかったけれど、けっこう印象的だったのでは。彼女のキャラクタは、パッと雰囲気を変える力があります。いわゆる類型的なお嬢様キャラではなく、普通にしていても上品さが出ていますね。声優さんも、けっこう合ってるのではと思えてきました。

いつものスパイ活劇とは一転して、日常的な騒動だったけれど、葵と葛の持ち味を出し合って成し遂げたという点では、いいミッションだったのでしょう。
葛が猫（包子）の写真を飾ったのは、あの騒動を実は彼が楽しんだということを、彼なりに表現しているのでは。 反発しながらも仲が良いことを表す、いいシーンでした。

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