メルクマール

第一次大戦では、ドイツとフランスは全長300Kmの塹壕を作ってにらみ合い、戦線は膠着しました。そうなった理由は、機関銃の発達のためと言われます。機関銃を設置して守りを固めている塹壕に、歩兵が突撃しても犠牲が増えるばかり。攻撃側には防御側を圧倒する戦力が必要で、つまり、『防御側有利』のルールでした。

これを、『攻撃側有利』のルールに変えようというのが電撃戦です。敵の前線の弱いところを探し、そこを集中攻撃して突破して、開いた穴に先鋭部隊を突入させる。突入した部隊は止まらずに、その機動力で身を守りつつ、敵の指揮命令系統や補給を寸断して戦局を有利にする、というもの。基本的な考え方は、古代ギリシアの斜線陣からあり、ドイツ軍の発明というわけでもないのですが。

電撃戦のポイントは、突破する場所を攻撃側が自由に選ぶことができ、相手にとって一番嫌な戦力をぶつけられることです。歩兵なら火砲、火砲なら爆撃機など。つまり『攻撃側有利』のルールですね。今回の試験召還も、攻撃側が先手を取って、自分の得意科目で勝負することで、戦局を有利に運ぶことができました。

成績の悪い人でも、一つくらいは得意科目があるものです。それを最大限に生かせば、下位クラスが上位クラスに勝つチャンスが生まれるので、なるほど、単に総合成績だけではなく、「生徒の良いところを伸ばす」システムだと言えるかもしれません。

さらに情報戦の要素も。雄二はあえて悪い成績を取って相手を攪乱したわけで、相手を油断させるために力を抜く、”三味線を弾く”というやつですね。

迂回作戦の要素もありました。敵が想定したルートを通らず、思わぬ方面から攻めることですが、明久は特殊能力によって迂回路を切り開き、奇襲に成功したのです。

これらがスピーディーに展開して、なかなかおもしろかったですね。なるほど、これをやりたいがための設定なんだな、と。　敵が姑息な手段を使い、それを堂々と打ち破る展開にはカタルシスがありました。

次回はいよいよＡクラスと対決ですが、その勝利の先に何があるのか、雄二の言う「学力だけが全てじゃないことを証明したい」の真意が何なのか、気になるところです。

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