メルクマール

この物語の、当面の目的は2つだと思えます。一つはセルティの首探し。もう一つは杏里の友人である美香を探すこと。その二つが、おそらくつながったのでしょう。矢霧がいっしょにいた、首に傷のある女性。あの体が美香で、頭がセルティなのだと思われます。

杏里があの女性を街で呼び止めたとき、後姿で美香だと思ったけれど、振り返ると顔が違うことに気づいたわけで、そう考えるとつじつまが合います。となると、ホルマリン漬け？になっている首は美香のものなんでしょうね。

門田は例の製薬会社を見張っていて、正義感からなんとかしたいと思っているらしい。新羅は製薬会社に雇われたけれど、そこで行われていることをある程度知っており、嫌悪感を抱いている。もしかしたらセルティの首のことを知っているのかな？　いろいろなところが繋がって、緊張感が高まってきました。

一方で、全体のトーンとしては、「失せ物を探す」というテーマで比較的ゆったりと進んでいきます。ピアノ主体のゆったりした音楽がそれを裏打ちしていますね。実際のところ、失せ物は焦って探してもなかなか見つからなくて、気を抜いたときにポロっと出ていたりします。杏里の靴がそうやって見つかったように。

セルティも、首を捜すために焦る気持ちが、静雄と新羅のおかげで少し和らいで、久しぶりに昔の夢を見ることができたようです。「失せ物を探したければ、焦るのは回り道」ということを、言いたかったのでしょう。

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