メルクマール

くるみが風早に告白しないのは、彼女が慎重派で、風早が自分を好きなことに確証が持てないからだ、と思っていたのですが、実はもっと根が深い理由があったのですね。風早が好きなのに、そのことを誰にも言えないというのは、とても辛かったでしょう。

たぶん、本来のくるみは、普通に素直な子だったのでは。でもあの事件以来、周囲に本心を出せないようになり、そのことが、今のくるみの裏表のある性格を作ったと思えます。

でも、くるみは爽子と出会って、爽子に対しては「風早が好きだ」という本心を出すことができました。そのことが彼女を少しづつ変えて、今回の告白につながったのでしょう。そしてこれからは、もっと地を出して生きるようになれそうです。

くるみの告白シーンは、１カット１カットが本当に素晴らしくて、何度も見ました。数年間育んできた想いを、この数十秒にぶつけたくるみの感情の爆発が、ダイレクトに伝わってきて泣けましたよ。今回は脚本だけでなく、演出も作画監督も女性のチームであり、女の子の表現にリアリティがあったのでは。

くるみはピカレスク（愛すべき悪役）なので、ピカレスクの真価は”いかに華麗に破滅するか”だと書いてきました。今回、くるみの見事な散りざまを見ることができて、僕はもう、思い残すことはない気分です。ここで終わってもいいやと。あとは余生ということで。

少し時間は戻りますが、くるみと爽子のガールズトークが見られたのも良かった。同じ人を好きになった同士なので、話は合うはずなんですよね。二人は友達にはなれないけれど、深いところでつながっていて、その関係を表す言葉として「ライバル」は適切なのでしょう。

このところ、もっぱら爽子とくるみの関係が描かれてきましたが、ここからはついに、爽子と風早に焦点が当たるのかな。恋愛感情を意識している二人が、これからどう振舞うのか。余生の楽しみと言うには、もったいないかもしれません。

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