よろず相談事例から2
1.雇用保険基本手当の上限額は、59歳までだと8,265円、60歳から7,096円と差があります(令和3年9月1日現在)。ここで言う年齢はどの時点の年齢のことを指しているのでしょうか?
厚生労働省が発行するリーフレットによれば、ずばり、離職時の年齢のことを言っています。
雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ
2.従業員が別会社に雇用されて副業に従事したいといってきた時の備え
一般的な経営者の視点からすれば、副業・兼業を就業規則で公然と認めることは、たとえ許可制を敷いたとしてもリスクが高いものになると考えられます。もちろん、就業時間以外の時間を労働者が自由に使う権利は当然ありますので、就業規則で副業・兼業を一律禁止しようが、その違反行為に対して懲戒規定を設けようが、それらの法的な有効性には疑問符がつきます。しかし、社内規則として一定の歯止めの効果は依然として期待できるものと言えます。
近年、いわゆるWワークに従事する者が増加傾向にあると言われています。この場合の保険関係は、どこから光を当てるかによって様々な論点があり、複雑を極めています。例えば、2以上の事業所に勤務する被保険者の保険料の問題があります。各事業所それぞれで社会保険に加入する義務が生じる場合は、算出した報酬月額の合算額をその報酬月額として、1つの報酬月額が算出されることになっています。この場合の手続きは、被保険者が「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所に提出します。具体例で考えると次のようになります。
(例)甲は、A企業で100,000円、B企業で200,000円の月給が支給されているとします。この場合、標準報酬月額は、300,000となります。
厚生年金保険料の月額は、
甲: 300,000 × 91.5/1,000 = 27,450円
A: 300,000 × 91.5/1,000 × 100,000/300,000 =9,150円
B: 300,000 × 91.5/1,000 × 200,000/300,000 =18,300円
しかしながら、このような計算式が必要になるのは、A企業およびB企業の両社で正社員の四分の三以上の所定労働時間および所定労働日数を満たしている場合であって、通常のWワークの場合、副業の会社ではこの基準を満たさず、社会保険に加入することはないと考えられます。
3.事後重症の障害年金裁定請求の場合、保険料納付要件はどの時点を見るのか?
近年、心の不調による疾患で日常生活を送ることが困難になったり、仕事をすることができなくなって障害年金受給のための裁定請求をする事例が増加傾向にあります。障害年金を受給するためには、(1)初診日における被保険者等要件、(2)障害認定日における障害の程度要件、(3)保険料納付要件の3つ全てを満たす必要があります。
しかし、心の不調による疾患のような場合では、10年以上前に初診日があって、悪化と小康状態を繰り返したのち、障害年金の要件を満たしているのではないかと請求を行うこともあるようです。このとき、10年以上前の初診日が証明でき、それから1年6箇月後の認定日の診断書が当時のかかりつけの病院等から発行されれば、時効にかからない5年以内に発生した支分権の障害年金から受給が可能になると考えられます。(3)保険料納付要件をどこで見るかというと、初診日の前日において、その初診日の属する前々月までに被保険者期間があるときは、当該被保険者期間における保険料納付期間等が当該被保険者期間の三分の二以上を満たしていること、または、特例でその初診日の属する前々月までの1年間に保険料の滞納期間がないこと、という点を見てゆきます。
心の不調による疾患のような場合では、10年以上前の認定日の診断書では症状の点で障害の程度が軽い、その時点の診断書が用意できないなどの事例が相当数にのぼるのではないかと思われます。その場合には、いわゆる事後重症による裁定請求が考えられます。この場合でも、やはり初診日が重要で、(3)保険料納付要件をどこで見るかというと、前述と同様の初診日基準で見ていくことになります。事後重症の請求日を基準に保険料の納付要件を見るわけではありません。一方、診断書は当然現在の症状が書かれた直近のものを添付することになります。
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厚生労働省が発行するリーフレットによれば、ずばり、離職時の年齢のことを言っています。
雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ
2.従業員が別会社に雇用されて副業に従事したいといってきた時の備え
一般的な経営者の視点からすれば、副業・兼業を就業規則で公然と認めることは、たとえ許可制を敷いたとしてもリスクが高いものになると考えられます。もちろん、就業時間以外の時間を労働者が自由に使う権利は当然ありますので、就業規則で副業・兼業を一律禁止しようが、その違反行為に対して懲戒規定を設けようが、それらの法的な有効性には疑問符がつきます。しかし、社内規則として一定の歯止めの効果は依然として期待できるものと言えます。
近年、いわゆるWワークに従事する者が増加傾向にあると言われています。この場合の保険関係は、どこから光を当てるかによって様々な論点があり、複雑を極めています。例えば、2以上の事業所に勤務する被保険者の保険料の問題があります。各事業所それぞれで社会保険に加入する義務が生じる場合は、算出した報酬月額の合算額をその報酬月額として、1つの報酬月額が算出されることになっています。この場合の手続きは、被保険者が「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所に提出します。具体例で考えると次のようになります。
(例)甲は、A企業で100,000円、B企業で200,000円の月給が支給されているとします。この場合、標準報酬月額は、300,000となります。
厚生年金保険料の月額は、
甲: 300,000 × 91.5/1,000 = 27,450円
A: 300,000 × 91.5/1,000 × 100,000/300,000 =9,150円
B: 300,000 × 91.5/1,000 × 200,000/300,000 =18,300円
しかしながら、このような計算式が必要になるのは、A企業およびB企業の両社で正社員の四分の三以上の所定労働時間および所定労働日数を満たしている場合であって、通常のWワークの場合、副業の会社ではこの基準を満たさず、社会保険に加入することはないと考えられます。
3.事後重症の障害年金裁定請求の場合、保険料納付要件はどの時点を見るのか?
近年、心の不調による疾患で日常生活を送ることが困難になったり、仕事をすることができなくなって障害年金受給のための裁定請求をする事例が増加傾向にあります。障害年金を受給するためには、(1)初診日における被保険者等要件、(2)障害認定日における障害の程度要件、(3)保険料納付要件の3つ全てを満たす必要があります。
しかし、心の不調による疾患のような場合では、10年以上前に初診日があって、悪化と小康状態を繰り返したのち、障害年金の要件を満たしているのではないかと請求を行うこともあるようです。このとき、10年以上前の初診日が証明でき、それから1年6箇月後の認定日の診断書が当時のかかりつけの病院等から発行されれば、時効にかからない5年以内に発生した支分権の障害年金から受給が可能になると考えられます。(3)保険料納付要件をどこで見るかというと、初診日の前日において、その初診日の属する前々月までに被保険者期間があるときは、当該被保険者期間における保険料納付期間等が当該被保険者期間の三分の二以上を満たしていること、または、特例でその初診日の属する前々月までの1年間に保険料の滞納期間がないこと、という点を見てゆきます。
心の不調による疾患のような場合では、10年以上前の認定日の診断書では症状の点で障害の程度が軽い、その時点の診断書が用意できないなどの事例が相当数にのぼるのではないかと思われます。その場合には、いわゆる事後重症による裁定請求が考えられます。この場合でも、やはり初診日が重要で、(3)保険料納付要件をどこで見るかというと、前述と同様の初診日基準で見ていくことになります。事後重症の請求日を基準に保険料の納付要件を見るわけではありません。一方、診断書は当然現在の症状が書かれた直近のものを添付することになります。
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2021年09月02日 11:00 | 人事労務