高年齢者雇用安定法改正案の骨子
昨日15日は、政府により希望する高齢者が70歳まで働けるようにするための高年齢者雇用安定法改正案の骨格が発表されたことが話題になっておりました。改正案の骨格は15日の未来投資会議に提示され、改正案は来年の通常国会に提出される予定です。日経紙の記事によれば、「内閣府の試算によると、65~69歳の就業率が60~64歳と同水準になれば、就業者数は217万人増える。勤労所得は8.2兆円増加し、消費支出には4.1兆円のプラスだ。政府の調査では65~69歳の高齢者の65%は「仕事をしたい」と感じている。一方で実際にこの年齢層で就業している人の割合は46.6%にとどまる。」ということですから、生産年齢人口が急速に減少している(註)ことで人手不足が顕著な昨今の状況に対応した一つの答えになっています。
希望する高齢者が70歳まで働けるようにするため企業がとる施策として提示されたのは、(1)定年延長(2)定年廃止(3)契約社員や嘱託などによる再雇用、これらは、65歳までの雇用を義務化した現行法で採られている方式です。これらに加え、(4)他企業への再就職支援(5)フリーランスで働くための資金提供(6)起業支援(7)NPO活動などへの資金提供、といった社外での就労機会を得られるように支援する方法も認められています。
とはいえ、先日トヨタ自動車社長がもはや終身雇用制度を維持していくことは困難ととれる発言を行うなど、企業の人件費抑制の姿勢は、この人手不足の状況下でも顕著に変わってきたとは言えません。今回の施策も、政府が企業にお願いする形で実現した場合、高齢者の賃金は低い水準に抑えられ、さらに現役世代についても生涯賃金を急増させない水準が意識されて賃金制度が改められる事態を呼び込む恐れもあります。政府が、65歳~70歳の雇用については、当初努力義務での運用を始めるとしているのもうなづけます。
(註)2018年の15~64歳の「生産年齢人口」は前年比51万2千人減の7545万1千人。総人口に占める割合は59.7%で、1950年以来最低となりました。
希望する高齢者が70歳まで働けるようにするため企業がとる施策として提示されたのは、(1)定年延長(2)定年廃止(3)契約社員や嘱託などによる再雇用、これらは、65歳までの雇用を義務化した現行法で採られている方式です。これらに加え、(4)他企業への再就職支援(5)フリーランスで働くための資金提供(6)起業支援(7)NPO活動などへの資金提供、といった社外での就労機会を得られるように支援する方法も認められています。
とはいえ、先日トヨタ自動車社長がもはや終身雇用制度を維持していくことは困難ととれる発言を行うなど、企業の人件費抑制の姿勢は、この人手不足の状況下でも顕著に変わってきたとは言えません。今回の施策も、政府が企業にお願いする形で実現した場合、高齢者の賃金は低い水準に抑えられ、さらに現役世代についても生涯賃金を急増させない水準が意識されて賃金制度が改められる事態を呼び込む恐れもあります。政府が、65歳~70歳の雇用については、当初努力義務での運用を始めるとしているのもうなづけます。
(註)2018年の15~64歳の「生産年齢人口」は前年比51万2千人減の7545万1千人。総人口に占める割合は59.7%で、1950年以来最低となりました。
2019年05月16日 08:00 | 人事労務