国民年金追納、特例期間後も5年分可能に
1.国民年金保険料の納付期限の現状
今朝の日本経済新聞電子版によれば、厚生労働省は「国民年金の加入者が納めていない保険料を過去5年分まで後払いできるようにする。現在は特例で10年分を追納できるが、2015年10月からは2年に短縮される。特例期限の終了後も2年を超す期間の追納を認めることで納付を促し、老後に十分な年金を受け取れずに生活保護に陥る人を減らす。」との方針を決定したようです。
簡単に記事を解説すると、国民年金法による保険料の納付に係る時効は2年なのですが、平成24年の10月から平成27年9月末までの3年間に限り、10年遡った期間中にある国民年金保険料の「未納」について保険料を納めることができる後納制度が現在施行されています。厚生労働省は、今回の後納制度が来年9月で終了した後の措置として、5年分の追納を認めることにしていくようです。この際の法令的措置は、期限を区切った特例措置(「後納」)によるのか国民年金法自体の時効を変更するのか、記事からは読み取ることはできませんが、おそらくは前者になるのでしょう。
2.無年金者を減らすための国民年金に関する改正点
また、平成26年(2014年)4月から、年金機能強化法(平成24年8月成立)に基づく年金制度の改正が行われています。国民年金に係る無年金者を減らすための措置については、以下の通りです。
(1)国民年金任意加入被保険者の保険料未納期間の取扱い
例えば、昭和36年4月1日から61年3月31日までの期間で、厚生年金保険の被保険者の配偶者であり、当該被保険者から扶養されていた者は、国民年金の加入に関して任意だったわけです。この者が、年金に関する意識が比較的高かったために任意加入手続をしたものの、その後何らかの事情で保険料を納付できなくなった場合です。この結果生じた任意加入期間は、これまで「未納」期間として取り扱われてきました。しかし、今後は、敢えて任意加入しなかった場合と同様、「未納」期間ではなく、「合算対象」期間として処理されることになりました。日本国民が非居住者になっている場合や平成3年3月以前までの学生の場合などで、同じように任意加入して保険料を納付できなかった期間の取扱いも同様に変更されています。
(2)免除期間に係る保険料の取扱い
国民年金保険料を前納した後、法定免除、申請免除、一部免除、学生納付特例、又は若年者納付猶予などに該当することになった場合、前納保険料のうち、これらの措置に該当するようになった月分以降の保険料については還付が受けられることになりました。
また、法定免除については、免除要件に該当した後に納付されていた保険料は必ず還付される取扱いが是正され、希望すれば、還付を受けずに保険料を納付することが可能になりました。つまり、法定免除に該当してからも、保険料を納付することや前納が可能になりました。これは、障害基礎年金の受給権者などから、障害の状態が軽快した場合に障害年金が支給停止され、老齢基礎年金を受給することになるため、保険料を納付しておきたいという希望があったためといわれています。免除後の追納という制度を利用することも出来たのですが、加算金が課されることや前納制度が利用できないなどの不便を被っているとの指摘もあったようです。
(3)国民年金保険料免除の遡及期間を過去2年に
保険料免除の遡及は、通常の保険料納付の時効と同様、過去2年分となりました。学生納付特例及び若年者納付猶予についても同様です。このことは、対象となる前年及び前々年の所得により制度適用のための要件審査ということを意味しますので、最大で4年分の所得証明書が必要になってくると思われます。
(4)付加年金保険料の納付期限延長
予め付加保険料納付の申出を行った期間については、通常の国民年金保険料と同じく、2年の時効が適用されることになりました。
国民年金に関する厚生労働省の顕著な考え方は、(1)保険料納付率を高めて制度への信頼を確保する、(2)そのために未納者に対する厳しい取立てをも辞さない、(3)困窮者に対して免除制度の積極的利用を促す、といった飴と鞭の併用といったところのようです。
今朝の日本経済新聞電子版によれば、厚生労働省は「国民年金の加入者が納めていない保険料を過去5年分まで後払いできるようにする。現在は特例で10年分を追納できるが、2015年10月からは2年に短縮される。特例期限の終了後も2年を超す期間の追納を認めることで納付を促し、老後に十分な年金を受け取れずに生活保護に陥る人を減らす。」との方針を決定したようです。
簡単に記事を解説すると、国民年金法による保険料の納付に係る時効は2年なのですが、平成24年の10月から平成27年9月末までの3年間に限り、10年遡った期間中にある国民年金保険料の「未納」について保険料を納めることができる後納制度が現在施行されています。厚生労働省は、今回の後納制度が来年9月で終了した後の措置として、5年分の追納を認めることにしていくようです。この際の法令的措置は、期限を区切った特例措置(「後納」)によるのか国民年金法自体の時効を変更するのか、記事からは読み取ることはできませんが、おそらくは前者になるのでしょう。
2.無年金者を減らすための国民年金に関する改正点
また、平成26年(2014年)4月から、年金機能強化法(平成24年8月成立)に基づく年金制度の改正が行われています。国民年金に係る無年金者を減らすための措置については、以下の通りです。
(1)国民年金任意加入被保険者の保険料未納期間の取扱い
例えば、昭和36年4月1日から61年3月31日までの期間で、厚生年金保険の被保険者の配偶者であり、当該被保険者から扶養されていた者は、国民年金の加入に関して任意だったわけです。この者が、年金に関する意識が比較的高かったために任意加入手続をしたものの、その後何らかの事情で保険料を納付できなくなった場合です。この結果生じた任意加入期間は、これまで「未納」期間として取り扱われてきました。しかし、今後は、敢えて任意加入しなかった場合と同様、「未納」期間ではなく、「合算対象」期間として処理されることになりました。日本国民が非居住者になっている場合や平成3年3月以前までの学生の場合などで、同じように任意加入して保険料を納付できなかった期間の取扱いも同様に変更されています。
(2)免除期間に係る保険料の取扱い
国民年金保険料を前納した後、法定免除、申請免除、一部免除、学生納付特例、又は若年者納付猶予などに該当することになった場合、前納保険料のうち、これらの措置に該当するようになった月分以降の保険料については還付が受けられることになりました。
また、法定免除については、免除要件に該当した後に納付されていた保険料は必ず還付される取扱いが是正され、希望すれば、還付を受けずに保険料を納付することが可能になりました。つまり、法定免除に該当してからも、保険料を納付することや前納が可能になりました。これは、障害基礎年金の受給権者などから、障害の状態が軽快した場合に障害年金が支給停止され、老齢基礎年金を受給することになるため、保険料を納付しておきたいという希望があったためといわれています。免除後の追納という制度を利用することも出来たのですが、加算金が課されることや前納制度が利用できないなどの不便を被っているとの指摘もあったようです。
(3)国民年金保険料免除の遡及期間を過去2年に
保険料免除の遡及は、通常の保険料納付の時効と同様、過去2年分となりました。学生納付特例及び若年者納付猶予についても同様です。このことは、対象となる前年及び前々年の所得により制度適用のための要件審査ということを意味しますので、最大で4年分の所得証明書が必要になってくると思われます。
(4)付加年金保険料の納付期限延長
予め付加保険料納付の申出を行った期間については、通常の国民年金保険料と同じく、2年の時効が適用されることになりました。
国民年金に関する厚生労働省の顕著な考え方は、(1)保険料納付率を高めて制度への信頼を確保する、(2)そのために未納者に対する厳しい取立てをも辞さない、(3)困窮者に対して免除制度の積極的利用を促す、といった飴と鞭の併用といったところのようです。
2014年07月21日 18:00 | 社会保険