オセアニアにある国、ニュージーランド。飛べない鳥キーウィやキウイフルーツの一大生産地として、また「ロード・オブ・ザ・リング」のロケ地としても有名になりました。日本より小さいですが、自然豊かな国でもあります。
そんなニュージーランドはかつてイギリスの植民地だったことでも知られ、国旗の左上にはユニオンジャック(英国旗)があしらわれています。また南半球にある国でもあるので、その象徴とも言える南十字星が国旗の右下にあしらわれています。これはニュージーランドがイギリスの植民地だった1869年に設定され、1902年に当時の議会で制定されました。以後1907年の自治領として自立(事実上の独立。名実ともに独立したのは1947年)した時期を経て現在も使われています。
さて、多少の違いはあれども左上にユニオンジャック・右下に南十字星があしらわれた国旗がもうひとつ。そう、それは隣の国であるオーストラリア。
こちらは1901年に初めて掲揚され、1909年に現在の形に変更されました。大きな違いは、南十字星の星の数(肉眼では見えにくい星が一つ描かれている)と星の形、そして左下にあしらわれた6州と1準州による連邦構成を象徴する七稜星がある点でしょう。
それゆえに、ネット上などでニュージーランドの国旗がしばしばオーストラリアの国旗と間違えられるケースが散見し、しびれを切らしたニュージーランド政府が「変えるし!」となったわけです(笑)。
ただ、さすがに国旗というのは国の顔でもあるので、慎重に慎重を期して行われ、閣僚との議論を経て、合意が形成されればデザインの決定を行い、それを国民投票で賛否を問うという形を採るのだそうです。実に半年~1年がかりになるそうですわ。
一番もめるのはデザインでしょう。ニュージーランドらしいものになるのは決定的なんでしょうけど、ニュージーランドの首相は、私見ではありますが、ニュージーランドのラグビーチームのオールブラックスに使われているシダ植物でニュージーランド固有種のシルバー・ファーン(銀シダ)をあしらったものがいいと例を上げています。他にも、オーストラリアのカンガルーをあしらった旗があるように、キーウィをあしらった旗も出てくる可能性があるでしょうし、ユニオンジャックを外して南十字星だけの旗にする可能性もあります。またニュージーランドの本土である北島・南島をモチーフにしたデザインの旗も出てくる可能性があります。そもそも国旗の素案は1つだけではないでしょうし、コンペが行われるかもしれません。
ちなみに、独立時に変えたという事態を除けば、ユニオンジャックを左上に付けた国旗からの変更を行った例が一つだけあります。それはあのカナダ。1964年に広範囲の議論を経て議会で承認され、翌1965年に今のものに切り替わったのだそうです。
今度は紛らわしいものにならないといいですね。