レノボは元々中国の国営機関から設立された会社で、香港を拠点にした後にアメリカに本社を移行。世界にPCを販売する会社となりました。中国内でのシェアはトップ、海外の市場シェアもトップになっています。
日本進出は2005年。日本IBMの事業を買収することで設立されました。日本進出後はNECとの合弁会社を設立し、NECのPC事業を統合するまでに至りました。今回のケータイ事業売却検討に至ったのも、この経緯があったからではないのでしょうか。
しかしながら、日本ではシェアトップになっていたNECがまさかここまで追い詰められることになるとは10年前には考えられなかったことですよ。私がケータイ事業に関わったのがそのくらいの頃ですから。
そうなったのも全てスマートフォンの隆盛によるもの。日本では当初あまり流行らなかったスマートフォンも、アップルのiPhone発売以降急激に変わり、猫も杓子もスマートフォンになっていったわけです。さらにAndroid開発が進んだことで、今日有名になった海外の大手が急成長を遂げています。韓国のサムスン電子・LGがその代表例でしょう。
対して、日本のケータイ市場は、ガラパゴス化が進んで以降、徐々にその隆盛が衰えることとなりました。確かに1990年代後半にもデンソーやパイオニアをはじめとしてケータイ市場黎明期から作り続けていた会社が消える事態もありましたけれども、ガラパゴス化が進んで以降の撤退は長年作っていた会社が消えているというふうなので、事態は深刻です。
三菱電機のケータイ事業撤退を皮切りに、京セラの三洋電機ケータイ部門の買収、先述のNEC・カシオ・日立の合弁会社設立、富士通と東芝の事業統合、ソニーとエリクソンが合弁で設立したソニーエリクソンの解体に至るまで日本企業にいい話は舞い込んで来ません。さらに国内シェアトップをNECから奪い取ったシャープでさえも本体の苦境に併せて苦しい立ち位置に立っていますし、NECとドコモに関してはユーザーインターフェイスを統合しているパナソニックでさえも同様の立ち位置になっていると言っていいでしょう。その間隙をぬって、アップル・サムソン電子・LGだけでなく、ファーウェイ(華為電子)やHTCが参入し勢い付いているのは、最近のケータイ市場を見れば明らかなところです。
今後日本市場ないしは海外市場で日本メーカーに活路はあるのかというと、正直難しいところでしょう。それこそ、海外メーカーができないオリジナリティを確立するだけでなく、安く提供できることも重要なのではないのでしょうか。あとは新興国の人間が興味を持ってもらえるようなケータイ作りをしていくことも重要になっていくのではないのでしょうか。

