遂にこの日が来たというべきか。
日本のスーパーの老舗として知られ、バブルの頃に大きく名を馳せ、プロ野球チームまで所有していたあのダイエーが、イオングループの傘下に本格的に入ることになりました。
ダイエーは前述の通り、高度成長期に大規模な出店攻勢を掛け、総合スーパーとしては日本初の1兆円を超え、日本一の規模にまでなりました。後にコンビニのローソン設立に関わり、プロ野球の南海ホークスを譲り受け、福岡ダイエーホークスの名で運営し、拠点を今日まで続く福岡に移籍しました。
しかしバブル崩壊後はいばらの道を行くことになり、相次ぐ閉店、相次ぐリストラ、周辺会社の売却・解散などが相次ぎました。ローソンも福岡ダイエーホークスもこの時期に売却されました。
そして、産業再生機構による経営再建にまで至り、かつて包括協定を結んでいた丸紅に加え、2008年からはイオンも持分法適用関連会社になりました。
イオンが流入したことで、ダイエーのイオン化が急激に進んだと実感はしていました。実際食料品売り場などに行ってみると、イオンのプライベートブランドである「トップバリュ」の量が多くなり、ダイエーのプライベートブランドは肩身が狭くなったかのように縮こまって置かれていたなというイメージしかありません。
現在ダイエーは、中国・四国地方に関しては完全撤退し、関西を除いて一部地方ではダイエーの出店していないところもあります(例えば、関東圏は南関東のみ出店。東海地方では愛知県のみに店がある)。愛知県の場合は、現在建て替え中の金山店を含めて6店舗あるのですが、全て名古屋市にしかありません。
今回の子会社化で、イオン色がますます強まることとなり、ダイエーのプライベートブランドは廃止の方向になるようです。店舗の統廃合もますます加速することになるのでしょう。
で、事実上の子会社に置くイオンは、このところ出店構成よりも買収工作の方が増えています。
つい先日には、J.フロントリテイリング系列の大丸ピーコックストア・松坂屋ストアを買収。4月よりイオン傘下に置くことになりました。これは都心回帰に合わせた策なのではないかとも言われています。恐らく、今回のダイエー買収も都心回帰に合わせた策なのかもしれません(意外だと思うが、ダイエーは都心にも店舗が多い)。
イオン自身は過去にヤオハン・マイカルなどを買収し立て直した(ヤオハンはイオン系スーパーのマックスバリュに、マイカルはイオンないしはイオンショッピングセンターに変更された)経緯があるため、その手腕が買われることになるでしょう。
ちなみに、うちの近所にはそのイオンに買収された松坂屋ストアもダイエーもあるという特殊すぎる環境(苦笑)。しかも金山周辺にはイオン(熱田)・ミニストップだけでなくダイエーもあるので、まさしくイオングループで囲い込みが行われた状況になるわけです。
ますますガリバー化していくイオンですが、この勢いがいつまで続くのか気になるところです。
イオンがかつてのダイエーの失敗から何かを学んでほしいと、奇しくもかつての日本一のスーパーだったダイエーの子会社化で思うわけです。