No 197
Date 2008・02・28・Thu
【L change the WorLd】感想【L change the WorLd】感想 人が、人を消す事が果たして許されるのだろうか。 悪事が止まらない、法の力がなかなか思うように及ばない世界に嫌気がさし、自分が新世界の神となって要らない人間を葬り去る事で“善人だけの理想郷を創る”事を目指し、最初こそその理想の為の殺人が、最後は保身の為の殺人となり、最終的には単なる大量殺人犯となり下がってしまった夜神月。 神には程遠い傲慢で保身に走った愚かな殺人犯。 本作ではLが早々にデスノートを燃やしてしまい、ノートに書き込む事による殺人はなくなったが、“自分にとって必要のない人間を消し去る”というデスノートに変わるモノを携え、Kこと久條希実子なるオリジナルキャラが登場した。 生物とは、動物と植物、 そして“菌”を生物とみなすのか、という問題を少し前に読んだことがある。 菌類の中には人間に役立つものもあるが、毒性の強い菌は環境やワクチンに耐性を持ち進化し、猛威を奮って勢力を伸ばす。 今回元となったのがエボラ出血熱で、人為的操作の元、その何倍もの強い毒性を持った菌を作り出し、久條の判断で要らない人間を消し、膨れ上がった人口を理想的な人間の数まで淘汰しようという目論見があった。 原作では、Lの他にN(ニア)など、頭文字で呼ばれるワイミーズ・ハウス出身のエリートが何人か居るとは思ったが、この映画ではかなりの数が居る事が分かった。その中で気になったのが欠番で、多分Fの様に殉職を意味するのだろうと思う。 アジアの小さな村から出た伝染病患者に防備服の団体が現れ、注射を打たれるシーンではじめは治療に来たのかと思いつつ、でも何か様子が変だし…と思っていたところ、話が進むうちにあれは菌を採取しに来たのだと分かった。 それは後の“映画でのNear”の耐性を持った体質から察するに、多分この菌はこの村付近で活動する機会をじっと待っていたのだと思う。それが何かのきっかけで発症し、ウィルス殺人を目論む久條と、ウィルス兵器で儲けようとする的場の利害が一致し、的場の“商品の素の独占”により外部持ち出し禁止の為、村は焼き払われたのだろう。 悪人の居ない理想郷を創ろうとした夜神月と、 生態系を守る為の淘汰を試みようとした久條希実子と、 どちらも自分の物差しでの人の選別は同じ。 だが、 最後は死神に命乞いする月と比べ、自ら開発した猛毒菌と心中しようとした久條に潔さを感じた。 天才一人だけでは明るい未来は築けない。 Lの死後、久條が正しい方向で理想を修正したかどうかはこの作品では分からない。 名前の通り、悠久に希望を結実させる子であって欲しいものだ… だが、人としての寿命が限りあるものであっても、遺志は連綿と繋げて行く事はできる筈。LがNearに託した様に。 そして、 正義と悪は純潔思想による選民の様に、背中合わせの危ういバランスの上に成り立っているのではないかと考えさせられた。 さて、小ネタ(笑)。 ●デスノートはもう不要と、ノートを燃やすLにリュークが本当に燃やしていいのか、それで月は神になれるとさえ言った、という問いに月の最期が神の最期として相応しいとは思えない、と言い切ったL、ある意味死神以上です(^^;)。 ●で、そのデスノートを燃やす時、断末魔の叫びが聞こえた。多分ノートに書かれた人たちの声なんでしょう… ●「L走る!」 というキャッチ・コピーに思わず私も「おお!」とつられましたが、原作でLは月とテニス対決しているよ?その方がスゲくねぇ? ●「子守は苦手分野なんですが」 難事件には得意でも子どもは苦手、Lカワイイ!!! ●電車内で土足のまま座席に座るのは止めましょう(^^;)。 ●チャリンコのかごにNearを乗せ、これは【E.T】のパロですか!? ●Lの部屋にあった、甘党の彼におよそ似つかわしくないポテトチップス・コンソメ味。 月を意識してなんでしょうが、 そのコンソメ味のポテチをバリバリと食べるNearに、子どもながらも頼もしさを感じたに違いない。子ども苦手のLがNearに打ち解けた瞬間。 ●真希の父の出した最後の数学の問題の答えの 13:11の MKとは、物質の暗号ではなく 二階堂博士の研究者仲間 「松戸 浩一」というイニシャルにもひっかけていたんだね(嘘)。 ウィルス(絶望)から救う者の名前のイニシャルとして、二重に意味があったら天晴れだったんだけれどねーーー 可能性があったのはNearだけれど、BOYはNearって名前をLに命名されちゃったしね。 ●何故真希がウィルス感染症状が即座に出なかったのかは低血糖だったから、という事にからんで、 Nearも平気だったのは、沢山の甘いお菓子を前に目もくれず、一目散にコンソメ味のポテチに手を伸ばした、というのがその証拠。相当の辛党だって事でヨロシク。 じゃ、超甘党のLは一番発症しやすくヤバイ; ●真希を乗せたタクシーの運転手、前作ではバスの運転手で、ちょい役ながらとてもインパクトのある田中要次さん、再登場!で、全く関係のないキャラなのかと思ったらバスの運転手からタクシーの運転手に職を変わったとかで、大変な事件に2度も関わっている同一人物という設定に笑ってしまった。 ●Lは何でもできる! 医者でもないのに機内でワクチンを接種させている。 いやLの事、医師免状も持っているに違いない。つくづく有能な人物を死に追いやったモンだよ、月! ●ブルーシップのメンバーで、一番肝が据わっていたのが三沢初音なる女性クルー。眉一つ動かさずに殺人をしていく彼女。機内で感染した時にも冷静さは失わなかった。 その反対に、冷徹にすら思えた的場の命乞いのシーンは月を彷彿とさせ、情けなさ全開(全壊?)。 ●映画ではワイミーズ・ハウスは日本支部もあるんだね。どうりで日本人が多い筈です。 ●今回結構集中して見ていたハズなんですが、久條希実子って父親がやはり研究者でワイミーズ・ハウスに預けられたという設定なんですね。パンフで分かった。劇中でそんな説明あったか記憶にありません。 今作品、 R指定ではなかったと思うのですが、ちょっと二階堂博士の死に際がエグすぎ… 監督が変わったな、と思ったらやっぱり変わっていました。 もっと主張を、という松山さんの働きかけのせいかどうかは分かりませんが、 Lが走り、猫背を正し、子どもと意志の疎通を図るというちょっと考えつかなかったシーンがてんこもりだったのですが、 Lフィーチャーの映画という事で、Lをもっと見たいというファンの希望は叶ったという点では満足しています。 ただやっぱり月以上のLの対峙者は現れないと思いました。 ※画像はパンフレット |
No 196
Date 2008・02・21・Thu
アニメ【NARUTO】感想■267話「潜入!毒蛇の巣窟(アジト)」2008年2月14日放送
脚本/西園悟 絵コンテ/木下ゆうき 演出/おおくまネコ。 作画監督/ウクレレ善似郎、木下ゆうき 大蛇丸のアジトに潜入する事は、任務とはいえ、サイには厄介な事だったに違いない。 「厄介事をやり過ごすには笑顔が一番。それが作り笑いであっても」とはサイの弁ですが、 サイの作り笑いにサスケは騙されやしなかった。いや、正確にはサスケはサイには無関心だったのだと思います。 しかしサイには無関心でも、ナルトに関しては無関心を装いきれず、その証拠に口を噤まないサイに幻術をかけ、恐怖を味あわせます。 兄弟に対する、サスケとサイの認識の違いが興味深いです。 サイはサスケに、ナルトがサスケを本当の兄弟の様に思っている、と告げました。 それはとても『強い絆』に違いないのですが、サスケにとって兄弟とは殺したい男・イタチただ一人なのです。 他人であっても強い絆で『兄弟の様に思っている』と言われても、 サスケにとっては血縁として切っても切れない『忌々しい続柄が兄弟』なので、 それを初めて会ったサイに言われても鬱陶しいだけなのだと思います。 サイはサイで、 血縁関係こそなかった、今は亡き兄との絆とは何なのか分からなくなりつつあります。 情をもって人と接する事を止められた事が原因だと思います。 忌わしくて葬りたいと思うサスケと、 他人であるサスケに血縁を超えた関係を感じるナルトと、 他人に絆を感じつつも無理やり止められたサイと、 三人三様の兄弟感があり、 誰が一番辛いのか、 そもそも絆とは一体何なのか、考えさせられてしまいます。 ところで、 木に化けたヤマトの分身の目がコワイよぉ; 原作ではさらりと描いているのに、 アジトに潜入するのにあんな大穴を空けたんじゃ、音はしなくとも振動で気付かれてしまうんじゃないの?(^^;)。 大穴を開けた後に突入するシーンも、口笛なんか吹いたら気付かれちゃうんじゃないの?(^^;) ダンゾウから渡された火影直轄の暗部の資料を、サイの部屋に置き忘れてきたカブト。やっぱりA型じゃないと思う(^^;)。 このアジトにはサスケとカブトしか部下がいない、という割には空き部屋が沢山ありそうだった(笑)。 カブトが軟禁するとかいうと、どうも良からぬ方向へ想像してしまう(ははは;)。 軟禁された直後のサイの警戒ぶりが細かい! その割には、大蛇丸側のサイの持ち物チェックが甘い!!!(笑) カブトの立ち去る足音をチェックするサイに萌え! |
No 195
Date 2008・02・12・Tue
アニメ【NARUTO】感想■266話「未完の頁(ページ)」2008年2月7日放送
脚本/西園悟 絵コンテ/高橋滋春 演出/高橋滋春 レイアウト作監/清水恵蔵 作画監督/福井明博 大蛇丸のアジトへ向かう途中の川でメスを洗うカブトと大蛇丸のやりとりが笑える(^^;)。使用済みのメスは早くきれいにしないと切れ味が落ちるとか、死体ストックは常にきちんと保存しておきたいというカブトのこだわりというか几帳面さに、絶対大蛇丸はイラッと来ていた筈(笑)。それにカブトの細かさを血液型によると思っている大蛇丸がちょと意外。占いを引き合いに出す大蛇丸って、オトメかもしれない(笑)。 しかし、どれくらいの時間移動し続けていたか分かりませんが、ここまで大事な本を落とした事に気付かなかったサイも意外!それだけ大蛇丸との接触が緊張に満ちていた、って事なんでしょう。 ダンゾウからの文書から、サイをアジトへ入れることを許した大蛇丸ですが、信用し切っている訳でもなさそうで、まだサイを「サイとやら」と呼んでいます。 一応仲間扱いにはするが、味方という意識はないのね。 九尾化したナルトがどれだけ破壊の限りを尽くしたか教えるヤマト。 以前にも書きましたがカカシとナルトの関係を「先生と教え子」とするのなら、 ヤマトとナルトの関係は「上司と部下」なんです。 ヤマトも言っていたけれど、ナルトを傷付けないようにわざと真相をぼかして言わないという手段はとらず、 真相と向き合う事で自分の現状を把握させ、辛くともそれを乗り越えていく強靭な心と、甘えられる立場からは卒業したのだという現実を分からせたのだと思います。この際、カカシとヤマト、どちらが優しいとかいう次元で語るのはナンセンスだと思っています。性格の違いがあるにせよ、カカシとヤマトとでは立場が違うのです。 後に明らかになる事ですが、 サイの未完成の絵本の結末は、現時点ではサイ自身もどう完結させようか先送りにしています。 今までのサイの人への接し方から、サクラもナルトもサイとサイの兄に見立てた少年達の結末は多分「戦い」なのだと予測しているのだと思います。サイとおぼしき人物の表情が描かれていないところに、サイの兄への思い(好きだということには変わりはないのですが)への逡巡が感じられます。 これも今後の展開から分かって来る事ですが、 サイにとって、大蛇丸のアジトへ潜入し、ナルトとサスケの繋がりを確認する事=自分と兄との繋がりを確認する事だと思っています。 サイについてはこの任務が終了した際にでも改めて触れたいと思います。 |
No 194
Date 2008・02・10・Sun
アニメ【NARUTO】感想■265話「裏切りの果て」2008年1月31日放送
脚本/西園悟 絵コンテ/濁川敦 演出/濁川敦 作画監督/徳田夢之介 日頃の行いが憶測を悪い方向へ持って行ってしまう、って事ですね… サイの上司 ダンゾウは昔三代目と争った人物だという事、 以前木の葉崩しを目論み三代目を狙った大蛇丸の元へ部下のサイを送った事から、 ダンゾウは大蛇丸と手を結んで再び里を狙うと想像を巡らす。 それにしてもヤマトの「事と場合によってはサイを始末しなければならないかもしれない」って、ヤマトからも大蛇丸からも両方から命を狙われているのね、サイ(この子の命って一体…それも暗部の根の者なら仕方ないとでも言うのか!)。 チャクラを使いヘトヘトになって足がおぼつかないナルトに、足手まといになるくらいなら容赦なく見捨てると言い放つヤマトを冷淡とみるか、 それとも、 いつまでも守られる側ではなく、一人前だと認め、あえて厳しく接するヤマトの言葉を尤もだとみなすか。 発せられた状況と、発した人物を理解していれば、厳しい物言いもその人を思ってこそ、なんだけれど、実際はなかなか真意を理解しにくいかもしれません。何といっても感情が大きく作用する動物ですから、人間は。 大蛇丸を追うヤマト、ナルト、サクラの動きの機敏さ。特にサクラが手を滑らせて木から落ちてそれを受け止めるまでのヤマトのシーンはとても敏速に描かれていました。 それにしても、カブトの術でサイそっくりの死体を発見した時の描写、カラスが上空で円を描いていて、演出が細かい!!! 任務を成功させる鍵はサクラの医療忍術だと、 休憩を取りナルトを呼んで、サクラの怪我の真相を告げるヤマト。 「キミたちを傷付けたりはしない」と命懸けで班を守るカカシとの差別化を図ろうとしたという訳ではないでしょうが、殆どの人にはヤマトのアプローチは結構冷めているように映るのでは。 ああ、毎度感想がギリギリす; 10号の原作。 そう簡単にサスケがやられるとは思わないんだけれどね… 私のたわごと。 何故万華鏡写輪眼を使い過ぎると失明するのか。 それは、万華鏡写輪眼が術者本人をも飲み込む程強大で凶悪な作用をもたらし、果ては精神破壊を起こすから。 眼を合わせなくても指先を見ただけでも術に嵌るのなら、 術者の視力そのものを奪うのは、自己防衛反応だから。 |
| WIND OF MOON |
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