メルクマール

この作品は、仁太たちが大人になる物語であり、そのためには、あの日で凍結された”超平和バスターズ”を再結成させて、その上で発展的に解消させる必要があると、前回書きました。　一応、そういう展開になりつつあります。　

「あの頃のほうが、何だって出来た気がする」と気付いた時が、大人への入口でしょう。　大人になっていくことは、自分の可能性を狭める過程だからです。　でも彼らは、一度童心に戻って、無茶をやる必要がありました。　

ロケットを作るためには火薬が必要で、子供だけでは無理だという話ですが、 確かに、火薬類取締法23条で、18歳未満の火薬類の取り扱いは禁止されています。　学生運動の影響で、日本は火薬の取り扱いが厳しいんですよね。

でも、手紙をつけたパラシュートを打ち上げる程度でであれば、打ち上げ花火ほどの火薬は必要無いので、無資格で大丈夫です。　専門ショップでロケット用火薬を買うには、日本モデルロケット協会が発行しているライセンスが必要ですが、4級なら誰でも取得できます。　おもちゃのようなロケットですが、それでも時速800kmで高度2000mくらい上がり、花火の高度（数百メートル）よりも高く上ることになります。　

しかし、それでは安直なので、彼らが大人になるという目的は達成できません。　二十万円という大金を作るためにバイトをして、さらに芽衣子の母親を説得して、という過程が必要なのです。

芽衣子の母親は、仁太たちを逆恨みしているのかな。　それは無理もない話で、自分のせいだと考えるのは辛すぎるから、人のせいにもしたくなるでしょう。　彼女もまた、娘が死んだ日で、時間が止まっているのですね。

めんまが、仁太抜きで集まろうと言ったのは、ロケットに載せるものの相談なのかな…。　だとしたら、物語のクライマックスは、ロケットを打ち上げるシーンなのでしょう。　これは盛り上がりそうだ。　『なつのロケット』や『ほかごのロケッティア』を思わせます。　まぁこれらは、ロケットで人工衛星を打ち上げるという、はるかに本格的なものですが。　仁太たちは、子供のころの無邪気な計画を実行することに意味があるので、本格的なロケットは必要ないでしょう。

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