メルクマール

今回の見どころは、実験で「過去が改変」され、それに倫太郎以外は誰も気づいていないという恐怖ですね。　これは怖いでしょう。　一見変わらないようでいて、実は以前とは違う世界で、周囲の仲間も、知っていたのとは違う人なのです。　見知らぬ土地に、地図を持たずに放りだされたようなものです。

そんな倫太郎にとって、地図、あるいは先達にあたるジョン・タイターに頼るのは当然でしょう。　でもタイターでさえ、倫太郎だけ過去改変前の記憶が残っている理由は分からないと言います。

でもこれ、単純な話ではないでしょうか。　過去が改変されることを、タイターは「世界線が移動する」と表現していますが、確かに、Dメールによって「世界線が移動させられた」のであれば、倫太郎の記憶も書き変わってしまうはずです。　だからそうではなく、「倫太郎が別の世界線に移動した」のでしょう。

宝くじの実験をしなかった世界に、倫太郎だけが移動したので、周囲の人と記憶がズレたと考えられます。　問題は、元の世界にいた倫太郎はどうなったのかですが、倫太郎が二人存在するわけではなさそうなので、別の世界に押し出されたか、消えたかしたのでしょう。

道を歩くときに、自分が移動したと考えるのも、自分以外の宇宙全体が移動したと考えるのも同じことです。　同様に、この件も、倫太郎だけが世界線を移動した、ではなく、倫太郎以外の世界線が移動した、とも言えます。　　

キーになるのは、携帯電話でしょう。　これまでの実験では、電話レンジにセットした携帯電話にメールを送っていて、その携帯の過去にメールが届きました。　この場合、その携帯電話だけが別の世界線に移動した（あるいは携帯電話以外の世界線が移動した）と考えられます。

今回は、電話レンジの携帯電話に届いたメールを、さらに倫太郎に転送しました。　これによって、世界線の移動の中心が、倫太郎の携帯電話、および倫太郎自身になったのでしょう。　１話でも、電話レンジに接続されていた携帯電話に倫太郎が電話したことで、今回と同じようなことが起ったのでした。

タイターの言う、「ダイバージェンス1%の向こう側へ」とはどういう意味でしょうか。　ダイバージェンスとは日本語では「発散」で、反対語はコンバージェンス（収束）です。　世界線が、時間とともにどんどん枝分かれすることを言っているのでしょう。　その枝分かれした未来の先に、「ディストピアになった未来」と、「自由な未来」があり、後者の可能性が1%ということではないでしょうか。　つまり、ほとんどの未来はディストピアに繋がっていると。　

ディストピアとはユートピアの反対で、テクノロジーの発達が人間を幸せにせず、不幸にした未来のことを言います。人間性が管理・統制された社会として描かれることが多いですね。　ジョン・タイターの未来は、そういう世界のようです。　ジョン・タイターの正体はバレバレですが…

さて、倫太郎が人類の未来を救う物語になるのでしょうか。　それとも？　忘れがちですが、１話ではクリスが殺されていて、そのミステリーでもあるはずなのです。　ここまではむしろプロローグで、ここから物語が動くのでしょうか。

ポチっとして頂けると励みになります！↓