先日、Bbmf社のケータイマンガ『戦闘女神アヌンガ』の26話が配信になりました。
あまり自作の解説など書かないのですが(作品は作品の中で語りつくすのが原則ですので)
今回は例外的に少し補足しておきます。
ケータイ配信でご覧になってらっしゃらない方には申し訳ありませんが(紙媒体の単行本でお見せできるときまでお待ちくださいませ)あまりネタバレにならない範囲で触れることにいたします。
まず
冒頭で回想する巧馬と聖の小学生時代のエピソード。
遠足に行った先で、クモに食べられそうになったチョウを、聖が逃がしてやろうとする下り。
結果は間に合わずチョウはクモに食われるんですが、その前後の聖の行動と反応。
淡々とした慈しみと物事に捕らわれない在り方に、こんな子供がいるのかと思われたかもですが、実はモデルが存在しまして
昔、武術の取材で私がお世話になった方の子供時代の親友。
小学生でこそありませんでしたが、ほぼ「まんま」のエピソードがあり、その話をしてくださった方は当時「巧馬と同じような驚き」に打たれたそうです。
そのお友達は、武術にも才能のある方で、学生時代もはんぱなくケンカが強かったそうですが、後々正式な武術の師に入門されたそうです。そういうネタのような人間が世の中にはひっそりと実在しているというのが、この世のおもしろいところだと思います。
いつか使いたいと思って二十年近く暖めていました。
アヌンガのこのエピソードで使えたことを、本当にうれしく思っています。
ふだんから私も言及しております「とらわれない」生き方の、一つの見本ではないでしょうか。子供にだってできるんだからオレにだってできらあ!くらいに、気楽に思っていただくのも一興かと存じます(笑)。
26話は、アヌンガが死に瀕した巧馬に手を差し伸べる重要な回でもあり、聖と巧馬の過去と思いを描く重要な回でもあります。いつにも増して力が入ってカラーシーンもたくさんあります。
今後の展開にもご期待ください。
それから、もう一点補足ですが♪
悪役のドクター・レザが手にしたチェスのコマ。
印象的に思われたお客様もいらっしゃるようですが実はこれ、山本の創作ではなくて、アフリカはニジェールで出土した素焼きの墓標がモデルです。本当にこういう形をしてるんですよ(サイズや質感はいささか異なりますが)。
どう見てもアレに見えるんですけどね(笑
側面の表現を見ると、解釈によっては両性具有的なシンボルにも見え、意味深なデザインだと思います。
この場面はレザが一人チェスに興じながら今後のアヌンガ攻略に思いを馳せるシーンです。
ご覧の画像は製作途中の図なのでチェス板の塗りわけもまだしてありませんが、コマは通常のチェスのコマをアフリカ風に私がアレンジしたものです。
レザはチェックメイトしようとコマを進めているのですが、相手が女神アヌンガですので、左隅の本来キングであるはずのコマをクイーン(?)にしておきました(笑)。
仮面の呪術師みたいのが「ビショップ」、のっぺらぼうの卵型頭のが「ポーン」、レザの袖に隠れて彼のサイドの「キング」がいます。
レザの持つコマはいわゆる「ルーク」です。
本来は古代ペルシャの二輪馬車だったそうですが、変化して今のような塔になったとか。アフリカンで塔と言えばこれ!と思って私が「採用」したのが、これでした。ちなみにレザはアヌンガを象徴する女神像の二つ横にコマを置きます。バックランクメイトと言われる有名な手で(と言ってもシロウトな私、うっかりコマ配置を間違えてるかもしれませんけど)(汗)、ゲームはこれで「つみ」なんですが、あくまでチェスはチェス。現実の戦いはマンガをご覧ください♪
ではまたー。
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