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あつじ屋日記
まんが家・山本貴嗣(やまもとあつじ)の日記です。 作品から日々思うことまで色々書いてます。
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「あります」
 以前も書いたことがありますが再録。

「・・・であります」
 というフレーズ。
 人によっては軍隊言葉を思い出されるかもしれません。
 が、あれはそもそも山口方言なのだそうです。
 明治維新で薩長が天下を取って長州の方言がああいう形で定着したという説を聞いたことがあります(真偽のほどは存じませんが)。
 ただアクセントとかイントネーションが違います。
 普通、他県のひとが「・・であります」と言うと割と平板に言うでしょう。しかし実際は「あ」にアクセントがくるのです。

 以前、井上ひさし氏の『国語元年』をNHKでテレビドラマ化した際、故・川谷拓三氏が長州出身者の役で、しきりと
 「・・であります」「・・でありますよ」
 と言っておいでだったのですが、この言い方が平板で、長州出身者の私は不満でした。
 わかりやすく言うと、英語で「アニマル」を「ア」を強くして「ーニモウ」と発音するような感じで「ーります」と言うと思っていただければ正解です。
 無論そこまでオーバーではないし、けして「あ」を伸ばすわけではないのですが、イメージはだいたいお分かりいただけると思います。
 こういった抑揚が表現されない山口弁は、アクセントやイントネーションのない英語といっしょで、それはもはや山口弁ではありません。今風の平板言葉(例「さーふぁー」)では話せないのです(笑)。
 別に川谷氏の落ち度とかいうのではなく、お忙しくて限られた時間でそこまで方言指導をされる余裕がなかったのかもしれません。
 
 とか言いながら今ではめったに帰省できない私。
 まだ故郷に山口弁は残っているのでしょうか(汗)???

(この記事は2004年当時の私の雑文を元に再構成したものです)
「ちゃ」
 これまでにも申し上げてきましたが、私の田舎は山口県の防府市です。
 御国言葉に「ちゃ」があります。
 「ちゃ」というと、高橋留美子先生のマンガ『うる星やつら』のヒロインであるラムちゃんの話すセリフの終わりについたことで、全国的に有名になったフレーズだと思います。

 防府だと「・・・ちゃ」は呼びかけの時に使います。
「山本ちゃ」
 と言うと「山本ってば」とか「山本よう」みたいな意味になって。

 あと例えば誰かが私を指して
「あれが山本ちゃ」
 と言う場合は「あいつが山本だよ」の「だよ」の部分に相当します(「だってば」に近いかもしれません)。

 亡くなった祖母などは、何か呆れたことがあったりすると「ちゃっ!」と単独で使っていたりもしました。
「なんとまあ」とか「まったくもう」とか言った意味です。

 とは言え、私は1977年に初めて高橋先生とお会いしてから(当時はどちらもまだアマチュアだった)一度も彼女の前で山口弁や防府弁?を使ったことがありません。そもそも同郷人と話すとき以外は標準語です。
 つまり高橋先生が私の山口弁を作中に取り入れるということは、ありえないのです。

 さて、ではラムちゃんの「ちゃ」はどこから来たのか。もしかして高橋先生の故郷、新潟でもそういう方言があるのか。
 あるとき、むくむくと疑問がわいて、ご本人に電話をかけました。
 「あー、あれは私の故郷の言葉じゃないですよ」
 高橋先生曰く。
 要約すると、先生が最初に「・・・ちゃ(あるいは「だっちゃ」?)」言葉を目にしたのは井上ひさし氏の小説だったとか。同じく高橋先生の作品に、ラ○ちゃん以前に「だっぴゃ半魚人」というキャラがありましたが、ラムちゃんが「だっぴゃ」では可愛くないので「ぴゃ」ではなく「ちゃ」にしてみたとか。
 もはや何十年も前のことで詳細は確かではありませんが、だいたいそういう経緯だったようです。
 もしかすると佐渡の方では「ちゃ」と言うかもとのことでした。
 「うる星」連載中は、色々な地方のファンの方から
「うちの田舎でも『ちゃ』と言います」
 というファンレターをもらったそうです。

(この記事は2004年6月の私の雑文を元に再構成しました)
「幸せます」
 先日、テレビの「ご当地ネタ」番組を見ていたら、私の故郷山口県のお国言葉で
「~していただけますと助かります」
 というのを何と言うか?というQがありまして

 わかりませんでした(笑)。

 正解は
「~していただけますと、幸(しあわ)せます」
 です。

 言われて思い出したんですが、確かに子どものころ、故郷の防府市でもそういう言い回しをよく聞きました。
 祖父母も使っていたように思いますが、私の母がほとんど方言を使わない人だったこともあって、私は使わないフレーズで、長年いっしょに暮らしている妻も初耳と言っていました。
 「幸せます」
 というのは文法的におかしいではないかと思われる方もおいででしょうが、番組の解説によると、山口県では「しあわせる」という動詞があるため、これもありなんだそうです(知りませんでした)(爆
 ちなみに私は、ふだん同じ意味のことを言うときは「幸(さいわ)いです」と言います。

 しかし、故郷を後にして30余年。
 まだ、こういうフレーズが現役で使われているというのは、なんだかうれしい気がします(すべてが同じトーンで染め上げられた世界はつまんないですし、生物の多様性という点から見てもあまり賛成できませんので)♪


 ところで

 同じ番組(つまが見ていた番組を横目で見ただけなので、タイトルとか覚えていません)で、愛知県の方言として
「あらすか」
 という言葉を取り上げていて、愛知出身の出場者が、他の土地の人には通じなくてレストランの名前と間違えられるという意味のことをおっしゃってました。
 実は私、小学生のとき2年ちょっとの間住んでいた静岡県の志太郡大井川町で、まったく同じ方言を聞いていました。
「そっただことが、あらすか」
 と言うと
「そんなことが、あるものか」
 というような意味になります。
 私の故郷には今はなくなっていましましたが、当時はアラスカという名前の美味しいレストランがありましたので、テレビの話どおり、私もレストランを連想したものです♪
 しかし、大井川町は距離的に愛知県とはかなり隔たっていまして、同じお国言葉が使われているというのは興味深いものがあります。
 どなたか、静岡県の方で、お使いの方がいらっしゃいましたら(あるいは逆に、自分は大井川町より愛知県寄りだが使っていなかった、というような方がいらっしゃいましたら)お教えいただけますとしあわせます♪
 ではではまた。


追記
 mixiにも同じ日記をアップしましたら、マイミクさまから
<「そんなことがあるのですね」という意味で使われることもあるんじゃないかと思います。
山梨では語尾に「し」を付けますね。「来いし」「呑めし」「寄ってきし」>
 というコメントをいただきました。
 また
<自分の方(西三河地方)ではあまり聞きませんね~
あ、でも東三河では使ってたような…でも自分の記憶だと「あれすか」なんですよね~
似たようなのに「しれすか」ってのもありました。意味は「しるもんか」>
 とおっしゃる方も。
 私が静岡に住んでいたのは何しろ40年も昔で、家の前の道なんか舗装されてなかった時代ですんで、もはや記憶は定かならずです(汗

追記2
 新婚旅行でアラスカに行かれた名古屋の方からの情報です。

<親の世代が多いですかね「あらすか」って言うの。

「ちょっと、~さん入院されたげな」(ちょっと、~さん入院したんだって)
「そんなことあらすか~。きんのうまで元気でらしたがね」(そんなことないよ~。昨日まで元気でいらしたよ)

「そんなことは無い!」って強く否定する時は「そんなことはあらせん!」と言います。

「あらせん」の変化形で「あれせん」(ありません)が在りますが
「あれすか」とは言いません>

 情報ありがとうございます♪
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