仕事の合間を縫って、武良布枝さんの『ゲゲゲの女房』
(実業之日本社)を読み終えました。
大傑作♪
あちこちでとうに話題になってますからお読みになった方もいっぱいおいでと思います。
著者はかの漫画家水木しげる先生の奥様で、先生と結婚される前のことから結婚されて今日までの様々なできごとを、抑制の効いた、でも温かみのある文章で淡々とつづっておられます。
あちこち頷いたり、たまに涙ぐんだりしながら読みました。
テレビや雑誌でお見かけする(あるいは知り合いの編集さんや漫画家さんから伝え聞く)水木先生は、明るく飄々としたお人柄で、素敵だなあとかねがね思っておりましたが
これを読んで改めてファンになりました。
少年漫画誌に登場されたのが40代という遅咲きで、それまでは筆舌に尽くしがたい苦労をなさっていた、とは聞いていましたが
奥様の口から語られる現実はまたすさまじいものです。
「こんな収入で暮らせるわけがない、なにか隠してる収入があるんだろう」
と踏み込んできた税務署員に、温厚な水木先生がついに怒って
「われわれの生活がキサマらにわかるか!」
と反証を突きつける下りなどたまりません(そこまで低収入だったことはないけど、似たような思いはした経験があります)。
貸本時代に編集者から受けたひどい仕打ちの数々もすごいです。
「ため息をつくのさえ、腹が減るからはばかられる暮らし」
だったとか。
ちなみに、奥様は、先生の漫画ではいつもの水木タッチでふつーのオバサンとして描かれていますが、お写真を拝見するとけっこう綺麗でチャーミングな方です。今から半世紀近く昔の日本女性で、身長165センチというのは、今なら180センチ弱くらいある高身長だったのではないでしょうか。
一漫画家として尊敬する偉大な大先達の人生を知るのは、無上の喜びなのですが、一般の方が読まれてもおもしろい本だと思います。
あちこち印象に残ったところに付箋しながら読んでいたら、本が付箋だらけになりました(笑
若いころの思い出に、奥様いわく
「精魂こめてマンガを描き続ける水木の後ろ姿に、私は正直、感動しました。これほど集中してひとつのことに打ち込む人間を、私はそれまで見たことがありませんでした。
以来、ひたすらカリカリと音を立てて描く後ろ姿から、目を離せなくなることが、しばしばありました(中略)。私は次第に、その姿に尊敬の念を抱くほどになっていったのです。
私にはマンガの良し悪しはよくわかりませんが、マンガにかける水木の強い思いに、心打たれたので。一生懸命に描いている水木の後ろ姿を見ていると、絵が気持ち悪いとか、話が怖すぎるとか、思ってはいけない、口にしてはいけないと思いました。
来る日も来る日もそういう水木の姿を間近で目にしているうちに「この人の努力は本物だ」ということを、誰よりも身近な私が、いちばん知っている・・・そんな「誇り」のようなものを抱くようになったのでした」
水木先生もすごいけど、奥様もすごいです;
「私はいまでも千円札を見ると「これで何日、食べられるかな」とふと思ってしまいます。ときどき、金欠料理と称して、冷蔵庫のあまりものを使っておかずをつくります。(中略)
額に汗して、一生懸命、水木が稼いだお金だから、一円たりとも無駄にしたくないという気持ちは変わりません。貧乏をしたからというだけでなく、もともと貧乏性なのだろうと思います」
最近はあまり聞かれなくなった「夫唱婦随」という言葉が、実に似合うお二人です。
最後に水木先生ご本人の言葉を同書より引用します。
「好きなことだけをやりなさい。好きなことは一生懸命やりなさい」
追記
友人から水木先生のサイトを教わりました。
近況読んでるだけで楽しいです。
ただおいでなだけで癒されるというか励まされるというか・・・
もお人徳ですね。
http://www.mizukipro.com/
大傑作♪
あちこちでとうに話題になってますからお読みになった方もいっぱいおいでと思います。
著者はかの漫画家水木しげる先生の奥様で、先生と結婚される前のことから結婚されて今日までの様々なできごとを、抑制の効いた、でも温かみのある文章で淡々とつづっておられます。
あちこち頷いたり、たまに涙ぐんだりしながら読みました。
テレビや雑誌でお見かけする(あるいは知り合いの編集さんや漫画家さんから伝え聞く)水木先生は、明るく飄々としたお人柄で、素敵だなあとかねがね思っておりましたが
これを読んで改めてファンになりました。
少年漫画誌に登場されたのが40代という遅咲きで、それまでは筆舌に尽くしがたい苦労をなさっていた、とは聞いていましたが
奥様の口から語られる現実はまたすさまじいものです。
「こんな収入で暮らせるわけがない、なにか隠してる収入があるんだろう」
と踏み込んできた税務署員に、温厚な水木先生がついに怒って
「われわれの生活がキサマらにわかるか!」
と反証を突きつける下りなどたまりません(そこまで低収入だったことはないけど、似たような思いはした経験があります)。
貸本時代に編集者から受けたひどい仕打ちの数々もすごいです。
「ため息をつくのさえ、腹が減るからはばかられる暮らし」
だったとか。
ちなみに、奥様は、先生の漫画ではいつもの水木タッチでふつーのオバサンとして描かれていますが、お写真を拝見するとけっこう綺麗でチャーミングな方です。今から半世紀近く昔の日本女性で、身長165センチというのは、今なら180センチ弱くらいある高身長だったのではないでしょうか。
一漫画家として尊敬する偉大な大先達の人生を知るのは、無上の喜びなのですが、一般の方が読まれてもおもしろい本だと思います。
あちこち印象に残ったところに付箋しながら読んでいたら、本が付箋だらけになりました(笑
若いころの思い出に、奥様いわく
「精魂こめてマンガを描き続ける水木の後ろ姿に、私は正直、感動しました。これほど集中してひとつのことに打ち込む人間を、私はそれまで見たことがありませんでした。
以来、ひたすらカリカリと音を立てて描く後ろ姿から、目を離せなくなることが、しばしばありました(中略)。私は次第に、その姿に尊敬の念を抱くほどになっていったのです。
私にはマンガの良し悪しはよくわかりませんが、マンガにかける水木の強い思いに、心打たれたので。一生懸命に描いている水木の後ろ姿を見ていると、絵が気持ち悪いとか、話が怖すぎるとか、思ってはいけない、口にしてはいけないと思いました。
来る日も来る日もそういう水木の姿を間近で目にしているうちに「この人の努力は本物だ」ということを、誰よりも身近な私が、いちばん知っている・・・そんな「誇り」のようなものを抱くようになったのでした」
水木先生もすごいけど、奥様もすごいです;
「私はいまでも千円札を見ると「これで何日、食べられるかな」とふと思ってしまいます。ときどき、金欠料理と称して、冷蔵庫のあまりものを使っておかずをつくります。(中略)
額に汗して、一生懸命、水木が稼いだお金だから、一円たりとも無駄にしたくないという気持ちは変わりません。貧乏をしたからというだけでなく、もともと貧乏性なのだろうと思います」
最近はあまり聞かれなくなった「夫唱婦随」という言葉が、実に似合うお二人です。
最後に水木先生ご本人の言葉を同書より引用します。
「好きなことだけをやりなさい。好きなことは一生懸命やりなさい」
追記
友人から水木先生のサイトを教わりました。
近況読んでるだけで楽しいです。
ただおいでなだけで癒されるというか励まされるというか・・・
もお人徳ですね。
http://www.mizukipro.com/
| ホーム |