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2度目の電通事件

 東京大学文学部を卒業して電通に入社したほどに優秀な人材が、なぜ入社1年目にして自ら命を絶つところにまで追い込まれていったのでしょう。報道されているところによれば、「君の残業時間は会社にとって無駄」、「目が充血したまま出勤するな」、「女子力がない」などとパワーハラスメント、セクシャルハラスメントを受けていたとみられ、「誰もが朝の4時退勤とか徹夜とかしている中で新入社員が眠いとか疲れたとか言えない雰囲気」(本人のTwitterより)という状況の中で、深夜勤務が常態化、時間外労働時間は月100時間を超えていたということがいわれています。

 概して日本人には、良い意味で、「周りに迷惑をかけてはいけない、協調性がとても重要」という意識を強く持つ傾向があります。しかし、電通という会社は、そういう日本的な倫理観と利を追求する企業本来の目的が極度に先鋭化して怪物化し、聡明な若者でも理性的な判断ができないような精神状態に追い込んでゆく奇妙な組織としての体質及び文化があったものと思われても仕方がないのです。きれいごとを言っているのかもしれませんが、世間をあっと言わせるアイデアはもっと自由で個性を尊重する多少の遊び心を持った組織から生み出されるのであって、こんなにも人を追い込んで仕事をさせる組織はその対極に位置しているとしか思えません。

 昨年12月、自ら若い命を絶った高橋まつりさん、心からご冥福をお祈り申し上げます。

 電通新入社員自殺に見る、過労死事件頻発の理由とは
 第二電通事件から企業が学ぶべきこと

<東京労働局の対応>

 東京労働局は10月14日、労働基準法に基づき電通本社等を立ち入り調査しました。出退勤記録等を調査し、是正勧告や刑事告発も視野に実態解明を進める方針とのことです。さらに、子会社5社にも立ち入り調査も行われたとのことです。

 通常の調査は事業場のある所轄が対応しますが、今回は事件の大きさ等を考え、東京労働局の過重労働撲滅特別対策班(通称かとく)が動いています。

 11月7日 東京労働局などは、電通本社(東京・汐留)と3支社に労働基準法違反の疑いで一斉に強制捜査に入った。違法な長時間労働が全社的に常態化していた可能性が高く、労務管理の資料などを押収して立件を視野に解明する方針。
(朝日新聞電子版号外)

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