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厚生年金基金 解散決定相次ぐ

 厚生年金基金制度を事実上廃止に追い込む法律が施行されてから10箇月が経過しました(厚生年金基金に関する改正点_2014年4月15日)。この法律が施行される以前から、大企業では厚生年金基金の代行返上と新型企業年金への移行が既に完了していましたが、残っていた総合型の基金も解散を決定する動きが顕著になってきていると報じられています。これまで、国が支給する年金の上乗せを担っていた厚生年金基金が解散することで、将来の年金支給額は、当然減額になります。総合型の厚年基金に加入していたのは主に中小企業ですが、これらの比較的規模の小さい企業が手軽に始められる企業年金制度の創設又は現行の企業年金制度の手直しが急務という感じがします。

=== 日経新聞電子版 平成27年3月1日 ===

 中小企業の従業員などが加入する厚生年金基金の8割が基金を解散する。厚生労働省の調査によると、1月末にある471基金のうち、368基金が解散方針を決定した。年金の受給者が増える一方、保険料を負担する現役世代が減り、存続が難しくなったのが背景にある。中小企業の従業員の年金の受け皿をつくる動きが国と民間の金融機関の双方に出てきた。2012年2月のAIJ投資顧問による年金消失事件の発覚から3年がたった。国が同事件を機に厚年基金に解散を促す法律を作ったことを受けて、解散方針を決める基金が相次いでいる。

 厚年基金は、02年に国に代わって厚生年金の一部を運用する代行部分の返上が認められたのを機に大きく減少した。01年3月末は1800だったのが、今年1月には3分の1以下の471基金しか残ってない。このうち279が解散、89が代行返上を決め、8割にあたる368基金が厚年基金をやめる方針だ。

 解散を決めたのは、ガソリンスタンドや運送業など同業の中小企業が集まってつくっている基金だ。上場企業が加入している場合もある。例えば、ガソリンスタンド経営のサンオータスが加入する「神奈川県石油業厚年基金」、スポーツ用品のゼットが加入する「大阪装粧」、東京ソワールが加入する「東京アパレル」などだ。

 年金受給者の増加と現役世代の減少で、年金の支払額が保険料を大きく上回る状況が続く。厚年基金全体の支払超過額は13年度は3300億円にものぼり、改善のめどはたたない。さらに、14年3月末で3709億円の積み立て不足が存在する。1基金あたりの不足額は36億円だ。厚年基金が解散してしまうと、公的年金に上乗せする企業年金はなくなってしまう場合が多い。上乗せ額は平均で月7千円程度だ。公的年金そのものも少子高齢化で細るなか、月数千円だとしても企業年金の重要性は増している。

 解散後の受け皿として、国と金融機関が動き出している。厚労省は中小企業でも導入しやすい簡易型確定拠出年金制度を作る。保険料の負担や商品数を絞って、中小企業の事務負担を軽くする。厚労省は今国会に企業年金改革法案を提出して、成立すれば、17年1月から実施する。金融機関では法改正を先取りして、日本生命保険が1月から中小企業向けの確定給付企業年金の受け付けを始めた。3月末までに数十社からの契約を見込み、5年間で1500件の獲得を目指す。年金資産は最低1.25%の予定利率を生保が保証し、企業の追加負担を抑える。

=== 引用 終わり ===

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