政府 社会保障費抑制の方針
来年度概算要求の時期が到来しています。7月22日午後のNHKニュースは、麻生副総理兼財務大臣による閣議のあとの記者会見での発言を、次のように伝えています。
=== NHK HPより転載 ===
来年度予算案の概算要求基準に関連して、「社会保障費が毎年1兆円ずつ伸びていくことを放置しておくわけにはいかない」と述べ、予算編成の過程では社会保障費を厳しく精査していく考えを示しました。
22日開かれた経済財政諮問会議で、財務省は来年度予算案の編成にあたって、各省庁が予算を要求する際の基準となる「概算要求基準」の骨子案を示し、この中で、年金や医療など社会保障にかかる費用については、「合理化と効率化に最大限取り組む」などとしています。これについて、麻生副総理兼財務大臣は会見で、社会保障費は国の予算全体のおよそ3分の1に当たる30兆円余りに上ると指摘したうえで、「今までと同じように毎年1兆円ずつ伸びていくことを放置しておくわけにはいかない」と述べ、予算編成の過程では、高齢化などで増える分を含めて社会保障費を厳しく精査していく考えを示しました。
また、諮問会議の民間議員が会議の中で、来年度の新規の国債発行額を今年度より着実に減らすよう求めたことについて、麻生副総理は「財政再建という意味から、国債の新規発行額はできるかぎり減らしたい」と述べ、財政健全化に向けて国債発行額の抑制に努める考えを示しました。
=== 転載終わり ===
税と社会保障の一体改革で消費税増税分は、主に社会保障の充実のために使われるという議論があったかに記憶していますが、毎年1兆円ずつ増加していく社会保障費をまかなうには焼け石に水だったのでしょう。数日前の日本経済新聞電子版も政府による社会保障費抑制の方針を伝えていました。記事の要点は以下の通りです。
(1)政府は2020年度までに国と地方の基礎的財政収支を黒字にする国際公約を掲げていますが、公共事業など政策経費の個別項目ごとに抑制目標を掲げ、具体的な道筋を明示する方針を決めました。社会保障費の抑制についても新たな数値目標をつくる方針です。
(2)新たな数値目標は政府の経済財政諮問会議で議論し、来年夏をメドに2016年度以降の中期計画として策定する予定です。基礎的財政収支は、政府試算によれば、黒字化には2020年度時点でも国・地方で約11兆円足りないとされています。
(3)11兆円の不足分を埋めるため、新たな計画では歳出抑制の数値目標を掲げることになり、その中でも柱となるのは医療や介護など社会保障費の抑制です。なぜなら、社会保障費は、2014年度の当初予算では初めて30兆円を突破し、10年前に比べて5割強増えて政策経費(2014年度は72.6兆円)の4割強を占めるにいたっているからです。
(4)公共事業費及び公務員人件費などは複数年度で削減幅を示す方向で議論される予定です。2014年度の公共事業費は、当初予算ベースで6兆円とピーク時に比べて4割近く減ったものの、国の政策経費では社会保障費、地方交付税交付金に次ぐ規模があります。
政府部門の1000兆円を超える累積赤字は、何かにつけ問題視される課題ではあります。しかしながら、ここ数年、特にリーマンショック以降、財政健全化の最大の足かせとなってきたのは、デフレによる税収減であったと思われます。ようやくデフレ脱却の芽が出てきたところで、このような全面的な歳出抑制の予算と中期計画を組んで、その上消費増税を断固として実行するとなれば、またもやいつか来た道へ逆戻りという最悪の展開が待っているのではないかと心配になります。
=== NHK HPより転載 ===
来年度予算案の概算要求基準に関連して、「社会保障費が毎年1兆円ずつ伸びていくことを放置しておくわけにはいかない」と述べ、予算編成の過程では社会保障費を厳しく精査していく考えを示しました。
22日開かれた経済財政諮問会議で、財務省は来年度予算案の編成にあたって、各省庁が予算を要求する際の基準となる「概算要求基準」の骨子案を示し、この中で、年金や医療など社会保障にかかる費用については、「合理化と効率化に最大限取り組む」などとしています。これについて、麻生副総理兼財務大臣は会見で、社会保障費は国の予算全体のおよそ3分の1に当たる30兆円余りに上ると指摘したうえで、「今までと同じように毎年1兆円ずつ伸びていくことを放置しておくわけにはいかない」と述べ、予算編成の過程では、高齢化などで増える分を含めて社会保障費を厳しく精査していく考えを示しました。
また、諮問会議の民間議員が会議の中で、来年度の新規の国債発行額を今年度より着実に減らすよう求めたことについて、麻生副総理は「財政再建という意味から、国債の新規発行額はできるかぎり減らしたい」と述べ、財政健全化に向けて国債発行額の抑制に努める考えを示しました。
=== 転載終わり ===
税と社会保障の一体改革で消費税増税分は、主に社会保障の充実のために使われるという議論があったかに記憶していますが、毎年1兆円ずつ増加していく社会保障費をまかなうには焼け石に水だったのでしょう。数日前の日本経済新聞電子版も政府による社会保障費抑制の方針を伝えていました。記事の要点は以下の通りです。
(1)政府は2020年度までに国と地方の基礎的財政収支を黒字にする国際公約を掲げていますが、公共事業など政策経費の個別項目ごとに抑制目標を掲げ、具体的な道筋を明示する方針を決めました。社会保障費の抑制についても新たな数値目標をつくる方針です。
(2)新たな数値目標は政府の経済財政諮問会議で議論し、来年夏をメドに2016年度以降の中期計画として策定する予定です。基礎的財政収支は、政府試算によれば、黒字化には2020年度時点でも国・地方で約11兆円足りないとされています。
(3)11兆円の不足分を埋めるため、新たな計画では歳出抑制の数値目標を掲げることになり、その中でも柱となるのは医療や介護など社会保障費の抑制です。なぜなら、社会保障費は、2014年度の当初予算では初めて30兆円を突破し、10年前に比べて5割強増えて政策経費(2014年度は72.6兆円)の4割強を占めるにいたっているからです。
(4)公共事業費及び公務員人件費などは複数年度で削減幅を示す方向で議論される予定です。2014年度の公共事業費は、当初予算ベースで6兆円とピーク時に比べて4割近く減ったものの、国の政策経費では社会保障費、地方交付税交付金に次ぐ規模があります。
政府部門の1000兆円を超える累積赤字は、何かにつけ問題視される課題ではあります。しかしながら、ここ数年、特にリーマンショック以降、財政健全化の最大の足かせとなってきたのは、デフレによる税収減であったと思われます。ようやくデフレ脱却の芽が出てきたところで、このような全面的な歳出抑制の予算と中期計画を組んで、その上消費増税を断固として実行するとなれば、またもやいつか来た道へ逆戻りという最悪の展開が待っているのではないかと心配になります。
2014年07月23日 18:00 | 社会保険