老齢基礎年金の繰上げ・繰下げ
年金の繰上げ及び繰下げを数回に分けて取り上げます。これもなかなか複雑なので、小生などは何度復習してもその都度忘れてしまうところです。そもそも、繰上げと繰下げという言葉が並列的に掲げられると、一瞬意味が分からなくなることがあります。「繰り上げる」とは、「順々に上の方に送りあげる。前に持って行く。」という意味です。小生は、「繰上げ当選」などの意味で上の方に送りあげるという印象が強く、「上げる=年齢を高く上げる」と連想してしまい、上手く覚えられないことがありました。「繰上げ」=「前に持って行く」と覚えればよいのです。もちろん、繰下げは「後ろに持っていく」です。
1.制度の概要
国民年金制度から支給される老齢基礎年金の繰上げ及び繰下げは、比較的単純な話ですので、まずここから始めます。老齢基礎年金の支給開始年齢は、原則として65歳です。しかし、60歳以上65歳未満の希望する時期から繰上げで受け取ることができます。反対に、66歳以降に繰り下げて受け取ることもできます。お金の時間価値や老齢基礎年金が終身年金であることから容易に想像がつくと思いますが、繰り上げると年金額が減少し、繰り下げると増額されます。
昭和16年(1941年)4月1日生まれ以前に生まれた人については、請求した時点の年単位で減額率及び増額率が決められています。しかし、これに該当する方々は、既に70歳を超えておられます。一方、同年4月2日以降に生まれた人については、年単位から月単位の減額率及び増額率に改正されるとともに、減額率及び増額率も変更されています。具体的な減額率は、0.5%に65歳になる前月までの月数を乗じた率であり、増額率は、0.7%に65歳以降の繰下げ請求時前月までの月数を乗じた率です。例えば、20歳から60歳まで40年間保険料を納め満額で基礎年金を受給できる受給権者が、60歳から繰上げ支給で老齢基礎年金を受け取ることにした場合、2011年1月現在の満額は、792100円ですので次のようになります。
792100円×(100%-0.5%×60)≒554500円
なお、付加年金というのがありますが、これについても本体の繰上げ及び繰下げに付随して、繰り上げ及び繰り下げられ、本体と同様の率で減額又は増額されることになります。
2.繰上げ支給をすると不利になる点
繰上げ支給にすると、本来の年金額が前述の減額率で減額されたままの水準で、本来の金額に戻ることはありません。その他に、次のような点について、注意が必要です。
(1)年金受給権は、請求書が受理された日に発生しますが、年金の支給は受給権が発生した月の翌月から始まること。
(2)寡婦年金は、支給されないこと、受給権がある場合も消滅すること。
(3)あたかも65歳到達のようにみなされ、原則として障害基礎年金の受給権取得はなくなること。
(4)国民年金に任意加入することはできなくなること。
(5)遺族厚生年金が支給された場合、65歳までは併給されず、どちらか一方を選択しなければならないこと。
1.制度の概要
国民年金制度から支給される老齢基礎年金の繰上げ及び繰下げは、比較的単純な話ですので、まずここから始めます。老齢基礎年金の支給開始年齢は、原則として65歳です。しかし、60歳以上65歳未満の希望する時期から繰上げで受け取ることができます。反対に、66歳以降に繰り下げて受け取ることもできます。お金の時間価値や老齢基礎年金が終身年金であることから容易に想像がつくと思いますが、繰り上げると年金額が減少し、繰り下げると増額されます。
昭和16年(1941年)4月1日生まれ以前に生まれた人については、請求した時点の年単位で減額率及び増額率が決められています。しかし、これに該当する方々は、既に70歳を超えておられます。一方、同年4月2日以降に生まれた人については、年単位から月単位の減額率及び増額率に改正されるとともに、減額率及び増額率も変更されています。具体的な減額率は、0.5%に65歳になる前月までの月数を乗じた率であり、増額率は、0.7%に65歳以降の繰下げ請求時前月までの月数を乗じた率です。例えば、20歳から60歳まで40年間保険料を納め満額で基礎年金を受給できる受給権者が、60歳から繰上げ支給で老齢基礎年金を受け取ることにした場合、2011年1月現在の満額は、792100円ですので次のようになります。
792100円×(100%-0.5%×60)≒554500円
なお、付加年金というのがありますが、これについても本体の繰上げ及び繰下げに付随して、繰り上げ及び繰り下げられ、本体と同様の率で減額又は増額されることになります。
2.繰上げ支給をすると不利になる点
繰上げ支給にすると、本来の年金額が前述の減額率で減額されたままの水準で、本来の金額に戻ることはありません。その他に、次のような点について、注意が必要です。
(1)年金受給権は、請求書が受理された日に発生しますが、年金の支給は受給権が発生した月の翌月から始まること。
(2)寡婦年金は、支給されないこと、受給権がある場合も消滅すること。
(3)あたかも65歳到達のようにみなされ、原則として障害基礎年金の受給権取得はなくなること。
(4)国民年金に任意加入することはできなくなること。
(5)遺族厚生年金が支給された場合、65歳までは併給されず、どちらか一方を選択しなければならないこと。
2011年01月28日 11:28 | 社会保険