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あつじ屋日記
まんが家・山本貴嗣(やまもとあつじ)の日記です。 作品から日々思うことまで色々書いてます。
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やる気のホルモン~感情と意思
ネットの記事で見つけた話ですが

やる気のホルモンTRH

 記事の信憑性は私の専門分野ではないので判定できませんが、自分の人生での経験(もっぱら仕事であるマンガ執筆)と照らし合わせて少し書きます。

 「やる気ホルモン」というのは「TRH(甲状腺刺激放出ホルモン)」のことだそうです。

「分泌されると集中力を増し、次の仕事へとつなげていくはたらきがあるとされる」
 とか。ふーん。
 ところが
「難点はTRHがとても感情的なホルモンだということ」だそうで。

「TRHが分泌されるのは、好きなこと・興味があることに対してか、実行することによって好ましい報酬(栄誉、お金、快感など)が得られることがわかっているときなのだ。あとは、ひとつのことを実行しはじめて集中力が高まっていかない限り、分泌されない。

つまり、TRHのサポートを受けるには、目の前にある実行しなければならないことを好きになってしまうか、それによって報酬を得られるようにするか、はたまた何も考えずにはじめてしまうかの3つにひとつの選択しかないのだ」
ですとー!

 きょうはナイスな女体が描けるぐへへへへへ、って日は執筆前からやる気まんまんですが。
 それにしても、そういうものがない場合、記事の言うところの三番目の「まず始め」ないとどうにもならんというのは、そのとおりだと思います。
 んで、そのとにかく始めるしかない日は、やる気があろうがあるまいが乗ろうが乗るまいがとにかく始めてきたわけで、だから何十年も締め切り守って(虫垂炎で落としたこととか稀にありますが)きたわけで
 これは「感情」とは関係ないんです。
 無論「落として仕事を失う恐怖」
 なども最初はあったですが、もはや、そういう喜怒哀楽とは無関係に、必要なことを必要なときにする。それは感情ではなく「意思」に属するものです。
 そう言えば私が18歳のとき小池一夫先生の劇画村塾に入塾した際、最初に師匠から言われたことの一つが、プロのマンガ家になるためには
「一日何時間か(最低一時間だったかもしれません。30年以上昔で記憶定かならず)必ず机の前に坐ることができるようになること」
 でしたが、そんなことは自分にとっては当たり前のことで、プロ野球選手を目指すのにキャッチボールができること、とか言うのと同じくらいデフォルトのものでしたが、今思えば貴重なアドバイスだったなあと(笑)。

 最近見たディスカバリーチャンネルの番組で、ある科学者が
 「幸福とは感情をコントロールできることだ」
 と言っていましたが、これまた同感で
 私は近年、喜怒哀楽は自己の行動を決定する補助的な要素とみなしています。
 悲しみや怒りも、自分の本心を示す一種の警報のようなもので、火災報知器が鳴ったら、現場にかけつけて消火する間中鳴り響かせておく必要が無いのでOFFする(住人を非難させる必要があれば別ですが)ように、無用な感情はOFFして必要なことをする。
 それが「抑圧」になって新たな病理を発生させるようなら、あえて抑圧はしませんが、そうでない場合、無用なものは切る。
 少なくとも感情に自己の行動の最終決定権は渡さないようにしています。

 その回路を自己に築き上げてきたからこそ、何年か前「うつ」で通院中も一度も落とさずに仕事をしてこれたのだと思います。
 やる気が起きない(気分が出ない」ので、動けないという方の中には、無論重篤で本当に行動不能な方もおいででしょうが、何割かの方は、その感情と別の回路で行動することができるのをご存じないか認めたくない方が確実に混じっておいでなように思います。

 ほかのテーマともかぶってくる話なんですが
 人から攻撃されて、反撃する勇気のない人は、まず怒りブチキレでもなんでもして(感情を燃料にして)対抗する方法を学ぶ必要があるでしょうが、それはあくまで通過点であって、武術の達人は、たとえば私が突然襲いかかっても、そんなことで激怒したりブチキレる必要はなく、ただ人が目の前の蚊を叩くように、感情とは無関係に必要なことをただ行って私を叩きのめすと思います。
 つまり意思を発生させ、行動するのに、いちいち感情の助けはいらないということです。

 てなわけで毎度くりかえしのテーマになりますが

 人は感情の奴隷ではなく
 感情の主人であった方が、生き易い。
 感情は「私」に仕える召使いの一人に過ぎず、私=感情ではないし、私という存在は、感情や思考の総和を超えたもっと大きなものです。
 感情が傷ついたからといって、自己の全存在が否定されたように錯覚して感情的になっておいでの方がいられますが、それは勘違いだから大丈夫だから、あなたの本質には傷一つつかない、大海の表面に浮かぶ波の一つが砕けたようなものだから、ということを、どううまく伝えて慰めたらいいか、よく悩むことがあります;
コメント
この記事へのコメント
TRHの抑制因子
くまくまでございます。 ご無沙汰致しております、だいぶ秋も深くなって参りまして「風邪」の季節にもなってまいりました。 ここでTRHの話題がございましたので老爺心ながら「おまけの知識」ヨウ素の含まれるうがい薬や喉スプレーですが、多用(一日1~2回で10日位を目安に、それ以上使用する)すると「甲状腺」が怠けだし「基礎代謝」の低下を引き起こします。  これ、実は「低体温」「疲れやすい」「風邪ひき易い」なんていう事にもなりかねませんので、お気をつけ下さいませね。うがいや喉のスプレーとは言え、あくまでも「医薬品」なので。
2008/11/14(金) 22:32:05 | URL | くまくま #eI0qnTzk[ 編集]
友人にも風邪っぴきが増えています
>くまくまさま
 お久しぶりです。お元気ですか。
 イソジンなどのうがいは多様しない方がいいと聞いていましたが、そうですか。気をつけますね。
 情報ありがとうございました!
2008/11/15(土) 06:15:59 | URL | 貴嗣 #pmWGJPUI[ 編集]
私の好きな小説に、こんな一説がありましたっけ。
『……あなたのような人は必ず、精神のどこかに「心臓(ハート)」を隠している。「心(ハート)」と「意志」を切り離し、不死身の怪物として振舞う……』


私は感情と意志は相補的なものだと思っています。感情は意志に従うべきだが、しかし意志そのものは、感情が煮詰められることでしか生まれ得ないのではないか、と。
煮詰められた意志を持ちうる人は、感情の奴隷にはならないのかもしれない、しかしそこに至るまでが大変なのではないでしょうか。

あ、冒頭の句は「ブライトライツ・ホーリーランド」ですね。宗教ネタ満載のイカレたアクションモノですが、妙に哲学的でファンタジーなので楽しめるのではないかとちょっとお勧めさせていただきます。
元ネタは「心臓の無い巨人」の物語ですね。
http://enkan.fc2web.com/minwa/sonota/13.html
2008/11/24(月) 06:33:44 | URL | yocc #-[ 編集]
>yoccさま
 ふふふ、なかなかいいフレーズですねえ!♪
 心臓の無い巨人<実は同じことを先日、私も考えてたんですよ。私の話をそういうふうに受け取られるお客様もいらっしゃるだろうなあと。
 ご慧眼です。
 しかし実態は少し異なりまして
 もはや「感情の反応が生み出すプロセス」「マインドのゲーム」を超えて「在ろう」というのが近年の日々の在り方です。
 一般の感覚からすると、かなり違和感があるでしょうから、どこまで語っていいのか、誤解を招かない形で語るにはどうしたらいいか、悩むところでして(汗
 でもせっかく素敵なコメントをいただきましたので、近いうちにざっとでも記事にまとめてみたいと思います。
 執筆の合間をぬって下書き進めますので
 どうか気長にお待ちください。
 ありがとうございました♪
2008/11/24(月) 18:35:36 | URL | 貴嗣 #pmWGJPUI[ 編集]
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