他人の空似、じゃないですが
漫画を描いていてうっかり何かに似てしまうことがあります。
もの描きは時流を読んだり、組み合わせるベストの要素を計算して新しい作品を作り上げたりしますんで、話の設定や人物のデザインその他が似ることも少なくありません。
私にも何度か経験があり、
あるときなど、作りかけの作品が、あるテレビドラマと類似点があることを発見し(つまが録画していたのでたまたま知った。でなければ見落としているところでした)あわてて修正したものでした。
こちらの方が先に描き始めていても(その点で良心に恥じるところは何もなくても)
世の人にあらぬ誤解を招き、「パクリ」のレッテルを貼られるよりは変更した方が早い。
「李下に冠を正さず」
というやつです。
しかし、まったく知らずに作られた二つの作品(私の作品と他者の作品)で
一つくらいならまだしも、三つとか共通点があると(マジであるんです、そういうことが!)
世間は絶対偶然とは思ってくれませんから
こちらの先行がはっきりと証明できない限りは、誤解を招かないように変更を加えるしかありません。
些細な例としては、今回の画像のサイのバケモノ(ケータイ配信漫画用敵キャラの一つ)ですが
去年の暮れに描いたイメージラフ
それがこの春、遅ればせながら映画『300』のDVDを見ていたら、この種の甲冑デコレーションのサイがちょい役で出ていて、私は急遽「没」にしてしまいました。
昔の銅版画などに描かれたサイ(有名なんでご存知の方も多いかと)のイメージを膨らませて、先史時代のサイの祖先系のイメージとからめてみたんですが
やっぱりパクリと思う方がいると思うと面倒で没に
というわけで
よほどゆずれないもの以外は、パクリ嫌疑をかけられそうなアイテムやエピソードは可能な限り没にしていくよう心がけております。
ただもの描きとして言えるのは
世の中のパクリ疑惑(漫画に限らず、音楽その他)の何%かは、偶然というには不自然な共通点が何個かあるけど実は「無実」だったというケースが必ずあるのではないかと。
法的には先に出した方に権利があったり(特許みたいに)色々ルールはありますが、真実は本人だけしかわからないわけで
軽はずみな断罪はできないように思います。
科学がお好きな方はご存知と思いますが
「平行進化」「収斂(しゅうれん)進化」というやつで、まったく無関係の別種の存在が、同様の環境に適応した結果クリソツな形になってしまうことは、ままある話です(イルカとサメとか、潜水艦と鯨とか)。
今後も、誤解を受けないよう、気を配っていきたいと思います。
追記
ケータイ配信描き下ろし漫画は
今月末、2008年5月30日ごろの配信スタートになる予定です。
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