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あつじ屋日記
まんが家・山本貴嗣(やまもとあつじ)の日記です。 作品から日々思うことまで色々書いてます。
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「作家」と「けなし」
 昔からある話で今更ですが
 先日も同業者・・じゃないけど友人の作家さんが、ネットで中傷されて憤慨しておいででした。
 私も数年前、ネット始めた頃は、色々ショックを受けたものですが
 最近はその手の記事には関わりあわないと言うか、そもそも近づかないので知りません(たまに見かけると、やはりいい気持ちはしないですが、でっち上げでない限りは、たとえ悪口でも貴重なご意見として拝読してます)。

 昔バスキアというイラストレーターがいました。
 『バスキア』というタイトルで映画にもなってます。
 アンディ・ウォホール役でデヴィッド・ボウイも出てました。
 バスキアは1988年に、二十七歳で亡くなった(薬物中毒で)人です。
 映画の中にこんなセリフがありました。

「(けなす連中、批評家は)俺を見下しといて
 成功したらしたで叩く
 (俺のことを)ヤク浸りだと言うが
 (俺がヤクを)絶てば
 俺の絵は死んだと言うんだ」

 なんか言いえて妙なセリフで
 そうなんだ、いるんですよね、そういう人たち。
 思わず遠い目になったものです(笑)。

 ついでに、彼が最後の方で語る印象に残ったセリフを少し。
 ネタバレなので、これからご覧になるという方はご遠慮ください(DVD出てます。絶版かまだあるのかは知りません)。

「母がしてくれた話だ、いや夢か

 魔法の冠をした王子がいた
 魔法使いが彼をさらって、声を奪い塔のてっぺんに閉じ込めた

 王子は鉄格子に懸命に頭を打ちつけた
 誰か音を聞いて助けに来てと祈って

 魔法の冠は美しい音を響かせた 何キロも先まで
 あまりの美しさに人は天に手を伸ばした
 でも王子は発見されなかった

 だけどその音は美をもたらした」

 これが本当に彼が語ったことなのか、脚本家の創作なのかは知りません。でも、若い芸術家の苦悩が良く表された下りだと思い、見たときは、いささか涙しました。
 質や程度の差こそあれ、芸術家のみならず、人生の多くは、そういったものかも知れません。
 バスキアも、もっと生きていれば、また別の世界が開けたことでしょうが・・・ 
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