「ごろつき船」上・下
「鞍馬天狗」の作者である大佛次郎が、昭和ヒトケタ年代に書いた時代小説。
…というのから想像されるのとは全然違う、モンテ・クリスト伯かマンガか(おおげさか)、という波瀾万丈の冒険時代伝奇小説だ。いや、「鞍馬天狗」のことをよく知らないのだけど。
江戸幕府から見て番外地的な松前藩で起きた事件をかわきりに、あれよあれよという間に想像の上をいくスケールの大きなストーリーが展開される。登場人物もキャラが立ってるし。あの女性キャラなんて、そのまま今のマンガやアニメやラノベにでも出てきそう。とても80年以上前に書かれた娯楽小説とは思えない新鮮さ。いやー、面白いな、これ。
解説の北上次郎は、愛国啓蒙ヒーロー物語が風靡していた時代に書かれた特異な物語と紹介している。今でも新鮮なのは、そんな、国とかお上とかに縛られない登場人物たちの自由さによるのかもしれない。
なお、本書は「北上次郎選 昭和エンターテインメント叢書」の第1弾。
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