「Q.E.D. iff」19巻、「空のグリフターズ」1巻
人気ミステリーコミック「Q.E.D. iff」の新刊が発売。さらに今回は、新シリーズの第1巻も同時発売された。
以下、ネタバレに気をつけているつもりだけど、未読の方は念のためご注意を。
「Q.E.D. iff」は、「ドッペルゲンガー」と「春の嵐」の2編を収録している。
「ドッペルゲンガー」は、メキシコの麻薬マフィアをFBIやDEA(麻薬取締局)が追うという、アメリカのドラマや映画みたいな話。いつもに比べると本格ミステリー色は薄めだけど、そこに無限連分数をからめている。
本筋の謎じゃないけど、死の間際に自分の顔が見えるという処刑法“ドッペルゲンガー”の謎が最後の最後に解けるところは、ちょっとびっくりした。あと個人的には、「恩師に頼まれた用事があるので」と皆と別れた塔馬君が、そこにつながったかというのが面白かった。
「春の嵐」は、富豪の女性占い師が海で亡くなった事件を追う。年下で元ホストの夫や、占い師の親族などがからんで、犯人は誰かというだけでなく、いったい何が起きたのかというのが謎となっているのがミソ。それも、作為と不作為が入りまじった状況(ミステリーの名作でいうと「用語がわからなかったので楽器を凶器にした」とか「犯人が車で事故死したので犯行計画が中途半端に実行された」みたいな)を解きほぐしていくところが好みだった。そして最後は切ない結末に。
「空のグリフターズ」は、騙されて手ばなさなくてならなくなった先祖代々の島を取り戻そうとする女子高生の神入空が100億円を狙う、コンゲームかケイパーもの(になると思う)の新作。互いに微妙に意識している幼馴染の青海路と、かつて世界経済を滅しかけたという謎の天才少年の秋山風月とで、3人がチームを組む。
読切ではなく連続ストーリーで、最初に結末(主人公が1兆円を手に入れてロンドンで捕まったが自白していないところ)から始まる。そして連続してストーリーが進みつつ、1巻の中でもいくつかのエピソードを積み重ねていく。作者さんいわく「海外ドラマのようなストーリー作り」を狙ったとのこと。
この巻の最後はクリフハンガーな引きで終わるし、秋山風月の行動は絵で描写されているけど説明されていないところがあるしで、次も楽しみ。
「ダイオウイカvs.マッコウクジラ」
タイトルが「ダイオウイカvs.マッコウクジラ」、サブタイトルが「図説・深海の怪物たち」、さらにキャッチコピーが「オオムミヘビがクジラを襲っているのではない。クジラが美味しくいただいているのだ!」。これだけで読みたくなって読んだ。
深海生物のおもしろい生態を、軽妙な語り口と多数のイラストで紹介している本。軽妙とはいえ、人によっては嫌味に感じるかもしれないけど、自分は面白く読んだ。
まず、伝説のオオウミヘビ「シーサーペント」の正体を探る。第1候補は、タイトルのとおりダイオウイカ。そのほか、深海ザメのラブカが登場し、さらにミツクリザメやウバザメ、メガマウスなどにつながる。そして、リュウグウツノガイが「発見」されるにしたがって、オオウミヘビの目撃談もなくなっていく。
そのほか、デメニギスは頭の中身が透けていると言われるけど、透けている部分は実は保護膜だとか。オウムガイとイカとタコの系統とか。
というわけで、寝る前に布団の中で頭を休める読書に読んだ。