「Q.E.D. iff」30巻、「ないない堂 〜タヌキ和尚の禍事件帖〜」6巻
人気ミステリーコミック「Q.E.D. iff」と、怪談が事件にからむミステリー「ないない堂 〜タヌキ和尚の禍事件帖〜」が、今回も同時発売された。
「Q.E.D. iff」は帯に「卒業しました」と大きく書かれているとおり、この巻が最終巻となり、次から新シリーズ「Q.E.D. UNIV.」が始まるらしい(というか雑誌ではすでに連載中らしい)。
以下、ネタバレに気をつけているつもりだけど、未読の方は念のためご注意を。
加藤 元浩(著)
「Q.E.D. iff」は、「プレステージ」「ドアが閉まる時」の2話を収録している。
「プレステージ」は、水原さんのハーバード大入学に、失踪、受験詐欺、麻薬カルテルと、盛りだくさんの内容。完全情報型の本格推理ではないけど、それぞれに起きる出来事が最後にぴたっと1つにはまる快感がある。
あと事件とは直接関係ないけど、最初のほうの海辺のシーンの意味が、そういうことだったのかと最後まで気づかなかった。
「ドアが閉まる時」は、殺人が起きたと思われ、容疑者が血まみれで現場で見つかったのに遺体がない不思議な事件を、MITの塔馬君とハーバードの水原さん(MBTAのレッドライン沿線どうしだね)のコンビが追う。
カバーの作品紹介にいわく「何重もの罠が張り巡らされていた」。断片的な要素は次々集まるのに、解決につながらないまま進み、最後にぴったりとはまる。自分的には、最初のほうのさりげない警官の会話や授業シーンがそういう意味を持っていたのか、というのが一番「やられた」と驚いた点だった。
加藤 元浩(著)
「ないない堂 〜タヌキ和尚の禍事件帖〜」は、「山の怪物」と「イタチ」の2話を収録している。
「山の怪物」は、登山グループから死者が出る話。なんだけど、時系列をバラして、誰がどう亡くなったか、そして銀花とタヌキ和尚はどうしてそこに関わったのかなど、状況が少しずつわかっていくような構成になっているのがスリリングだ。
怪談ネタは題名どおりの山の怪物で、山で呼びかけられて返事をすると怪物に連れていかれてしまうという伝説。
今回の事件は 山の怪物の声に応えたのが原因かもしれない
あと、この話から、新レギュラー(?)らしいキャラ登場。
「イタチ」は、一家4人が突然いなくなり、車が池に落ち、郵便受けが引き抜かれ、家の中にはケーキや割れた鏡が落ちているという状況を推理するという、ある意味で映画「ハングオーバー!」シリーズのふざけてない版みたいな話だ。
最後の鍵となるのがタイトルどおりの「イタチの仕業や!」という言葉で、その意味がポイントとなる。あと、「巨大な湖」とその中にある「沖の白石」の生物相。
「トイレと鉄道」
昭和生まれの私が子供のころ、ある程度の距離を走るローカル線に設けられていたトイレは、駅に停車中には使わないように言われていた。つまり、汚い話だけど、たれ流しだったわけだ。本書によると、JRでたれ流し車両の廃止が完了したのは、2001年だったという。
というように、日本の鉄道のトイレについて、歴史から紹介している新書だ。
最初期の鉄道には、トイレは付いていなかった。それが、要人が途中の駅で用を足して発車した列車に飛び乗ろうとして亡くなるという事故があり、トイレの設置が進んだのだとか。もっとも実際にはそれ以前から設置計画はあったそうだけど。
そして現在についても、汚物抜き取りや清掃の話を中心に関して解説している。たとえば新幹線で見ると、所要時間は30分程度で、全車両を回る。洗浄用の水も、つぎ足すのではなく、抜き取って入れ直している。
実は、この洗浄用の水が多いと汚物タンクがすぐ一杯になってしまうので、鉄道用トイレの開発は「いかに使う水を少なくするかという究極の戦い」なんだそうな。
ちなみに、同じ新幹線のトイレでも、東北新幹線は清水空圧式、東海道新幹線は真空式と、違う方式を採用しているらしい。
などなど、鉄道のトイレの歴史や現状についてのウンチクが得られる本。入眠前の気軽な読書で読んだ。
「新仮面ライダーSPIRITS」40
村枝 賢一(著), 石ノ森 章太郎(原著)
電磁ナイフに魂を封じ込められたZXの体が、ビクトルの超テクノロジーで……
そして、その電磁ナイフで斬られたあの男が、竜の道に残されたZXの体のもとに……
なんだ あなたか
一方V3は「帰ってきた仮面ライダーV3」化して大首領に挑む。
巻末インタビューは、前巻・前々巻に続いて、キャラクターショーのATCの源馬社長。2.5次元ショーとヒーローショーとのつながりについても。
「Q.E.D. iff」29巻、「ないない堂 〜タヌキ和尚の禍事件帖〜」5巻
人気ミステリーコミック「Q.E.D. iff」と、怪談が事件にからむミステリー「ないない堂 〜タヌキ和尚の禍事件帖〜」が、今回も同時発売された。
以下、ネタバレに気をつけているつもりだけど、未読の方は念のためご注意を。
加藤 元浩(著)
「Q.E.D. iff」は、「羽がなくても」「エッセイ」の2話を収録している。この巻では水原さんが中心となる話が並ぶ。そして、各エピソードの背景で進んできたストーリーの比重が大きくなっていて、1話目の最初のほうで意外とあっさり「いいよ」。そして1話目最後に(略)。
「羽がなくても」は、富豪の養女でSNSをやっているセレブが、命を狙われているとして警察に助けを求めてきたのを、水原さんがプレカレッジプログラムの課題として対応する話。なんだけど、話のいろいろなところで辻褄があわなくなっていて、誰が嘘をつけるか、あるいはどの部分が本当の話かが鍵となる。後から読み返すと、嘘の部分より本当の部分がなるほどと思う。
あと、水原さんのチームが、アジア人の水原さん、ヒジャブ姿の女性、黒人男性、白人女性の構成で、被害者はインドのカシミール州出身。そして結末の真相は(略)。
「エッセイ」は、水原さんが大学入試のエッセイを書くために、過去の事件を振り返る話。水原さんが暴力事件に巻き込まれた(水原さんだから心配いらないけど)事件の黒幕を推理する。そして、エッセイに向けて過去の出来事を掘り下げることで水原さんの本質(一番の長所)が明らかになるという、青春物語だ。
加藤 元浩(著)
「ないない堂 〜タヌキ和尚の禍事件帖〜」は、「死霊」と「鵺」の2話を収録している。いずれも、真相の奥に事件を“起こした”人物の心の闇があって、それが妖怪のようなものとして現れている。
「死霊」は、AがBを殺害したと目撃されたとほぼ同じ頃に、離れたところでBがAを殺害したと目撃されたという謎を解く。このシリーズではオカルトな存在は登場しても事件には直接関与しないので、誰かが間違っているか嘘をついているか偽っているかなわけだけど、ではそれはなぜかというのが鍵。そして死霊として現れるのは誰のどんな心か。
「鵺」は、新興宗教の教祖の女性の墜落死と、それを継いだ夫の墜落死が、映し鏡のように類似している謎を解く。容疑者が何人かいて、さらに被害者も含め、それぞれに隠れた動機があって、それらがからみあって複雑な事件を形作る。そしてそれが鵺として現れる。
取材者が動画や音声のデータをffmpegで小さくする小技集
記者会見などに取材のために参加したときには、ボイスレコーダーで音声データを録音したり、PCやスマホで動画データを録画したりします。
これらのデータはサイズが大きくなりがちです。そこから、重要な部分だけ抜き出したり、クラウドサービスにかけるためにサイズを小さくしたり、後のために保存するためにサイズを小さくしたりすることがあります。
これを、Linuxなどで動画や音声を扱うコマンドラインツール「ffmpeg」で実現する小技を紹介します。いずれも自分で普通に使っている技です。
なお、ffmpegはWindowsやMacでもインストールして使えると思います。
再エンコード
ffmpegにオプションなしで入力ファイルと出力ファイルを指定すると、再エンコードがなされます。
撮ったままの動画は圧縮効率が高くないので、これだけでかなりサイズが小さくなります。特に、スライド投影や、座って話している映像が続く動画などでは効果が大きいと思います。
反対に、再エンコードしない場合は、-c(コーデック)オプションに「copy」を付けます。
単体では意味がありませんが、以降でいくつか紹介するように、ほかのオプションを指定した場合に意味があることがあります。
指定区間を切り出し
開始時間と終了時間を指定することで、その区間の動画や音声を切り出せます。切り出すだけなら再エンコード不要です。
動画から映像のみ/音声のみを取り出す
動画から映像のみを取リ出すには「-an」(音声抜き)を指定します。「-c:v copy」(映像コーデックをコピー)も指定することで、映像の再エンコードなしになります。
反対に動画から音声のみを取リ出すには「-vn」(映像抜き)を指定します。「-c:a copy」(音声コーデックをコピー)も指定することで、音声の再エンコードなしになります。
音声をモノラルに
普通のボイスレコーダーでは、デフォルトでステレオで録音されても、あまりその効果はありません。「-ac 1」(音声を1チャンネルに)を指定して音声をモノラルにすることで、ファイルサイズが半分近くになります。
この場合は再エンコードが必要です。
音声のビットレートを下げる
音声認識などのクラウドサービスにかけたとき、ビットレートを下げても影響は小さいことが多いように思います。そこで「-b:a」(音声ビットレート)オプションを指定してビットレートを32kbpsにしてみます。
ビットレート変更なので、もちろん再エンコードが必要です。
最後に
それぞれのオプションを説明しましたが、複数のオプションを組み合わせることも、もちろんできます。たとえば、「動画のうち指定した箇所から、音声のみ、モノラルのビットレート32kbpsで切り出す」といったふうに。
ffmpegは便利です。使って楽しましょう。
「イクサガミ」天・地・人
歴史・時代小説で活躍する直木賞作家の今村翔吾がエンタメに全振りし、山田風太郎の忍法帖ものを意識して書いたというデスゲーム時代小説。全4巻予定のうち、現在3巻まで刊行されている。3巻目の「人」の巻の帯キャッチにいわく「全員、化物」。
ヒットしてるらしく好評も聞こえてくるし、Netflixでドラマ化されるという話をきっかけに読んでみたら、なるほど面白い。ストーリーや文章に疾走感があってハラハラドキドキだし、登場人物のキャラが立ってそれぞれの背景がからみあう。時代小説ファン以外に、バトルもの漫画のファンあたりにもウケてるらしい。
内容は読んでのお楽しみとして、山田風太郎の忍法帖もの、漫画でいうと「バジリスク 〜甲賀忍法帖」あたりは確かにモロに近い。時代小説といっても、舞台は明治11年だから、ちょうど「るろうに剣心」と同じ頃で、そのへんの要素もある。「ゴールデンカムイ」や「無限の住人」なんかも近いと思う。
というわけで、2025年に刊行されるという4巻目の最終巻(予定)「神」も楽しみにしている。
「はじめてのLinuxサーバー構築入門2025」
日経Linux(編集)
「日経Linux」の記事からピックアップして再構成し、新規記事を加えたLinuxサーバー入門のムックが発売された。私が書いた記事も再掲され、掲載誌をいただいたので、報告と宣伝を兼ねて。
第1章が新作の「Ubuntu Server 24.04 LTSでサーバーを構築してみよう」。インストールをスクリーンショット入りで紹介したあと、SSHサーバーやDHCサーバー、Webサーバーなどの「8つの家庭内実用サーバー」を構築。そしてPythonでエコーサーバーと簡易Webサーバーを実装する。
第2章が「省電力&実用サーバー構築術」で、省電力マシン選びに始まり、オンラインストレージNextcloud、AIフォトアルバムPhotoPrism、メディアサーバーJellyfin、WikiサーバーWiki.js、ファイル検索のFess、スマートホームのHome Assistant、センサー値収拾のEclipse Moosquittoなどを建てる。
第3章は「面倒なことはクラウドに任せよう」で、Amazon Lightsailでのサーバー建て入門と、Azure IoT Centralによる冷蔵庫監視を解説している。
第4章は「仮想化&コンテナーのはじめ方」で、VirtualBox vs. virt-manager、Docker & Docker Compose、lxc & LXDMosaic、Proxmox VEのそれぞれでの環境構築を解説している。
第5章は「今どきのコマンド&シェルスクリプト入門」で、シェルとシェルスクリプトの入門と解説のほか、いくつかのシェルスクリプトの作例や、標準コマンドのモダンな代替コマンド(exaとかbatとか)を紹介している。
という感じで、入門者向けではあるけど、けっこイマ風のネタも入っているのが面白い。「日経Linux」が休刊になって最近こういう出版物のが少ないとお嘆きの方から、普通にサーバー入門して試したい人まで。