「Q.E.D. iff」28巻、「ないない堂 〜タヌキ和尚の禍事件帖〜」4巻
人気ミステリーコミック「Q.E.D. iff」と、怪談が事件にからむミステリー「ないない堂 〜タヌキ和尚の禍事件帖〜」が、今回も同時発売された。
以下、ネタバレに気をつけているつもりだけど、未読の方は念のためご注意を。
加藤 元浩(著)
「Q.E.D. iff」』は、「幸運」と「論点整理」の2話を収録している。どちらも、トリックや真相は比較的単純なものの、その前に解くべき問題を正しく設定することが重要な話だと思った。
「幸運」は、たやすく捕まった容疑者が、目撃された場所から一方通行だらけの迷路のような道を通って30分以内に殺人現場に行くトリックについて推理する話だ。
事件の話と並行して、新しい道に進もうとする水原さんと父の水原警部の関係が描かれている。読んでた本が「サイダーハウス・ルール」だったのも関係あるかな。
「論点整理」は、まさにタイトルどおり、さまざまな要素が入り乱れる中から「本当は何を解決しようとしているか」を抽出することがテーマ。横領事件のとりざたされる会社で、経理部員に窃盗の疑いがかけられて、さらに怪事件が相次ぎ追いつめられ、経理部長がコネ入社のために人減らしをしようとしているところも目撃される。
荒れた感情下では「真実を見た」と思い込ませるには十分でした
ちなみに、この巻も引き続き、1話完結の形式の背景で、水原さんの米名門大学入学ネタが続いている。このへんはアメリカドラマっぽいのかな(ドラマ詳しくないので)。そして「まだ正式じゃないと答えておきました」。
加藤 元浩(著)
「ないない堂 〜タヌキ和尚の禍事件帖〜」は、「ナメラスジ」と「天狗在」の2話を収録している。前巻ではやや影が薄かった多貫和尚だけど、今回特に「ナメラスジ」では、司法試験を目指していた過去を生かして活躍していた。
「ナメラスジ」は、旧家の相続をめぐる事件。「ナメラスジ」は魔物の通り道のことで、そのナメラスジに建った屋敷での連続殺人を追う。
なぜ住み続けているんだろ?
どうでもいいけど、旧家の殺人事件で「O県」と書かれてると、岡山県を連想してしまう(単なる感想)。
「天狗在」はちょっと趣向を変えて、発掘調査で見つかった、“埋葬方法全部入り”の謎の遺体から、壬申の乱で起こった出来事を探る話。むしろ、昔のシーンの割合が多い。怪談ネタは、当時の僧が見た“赤い怪鳥”や“一つ目入道”などの妖怪、そして天狗。そうそう、「虎に羽を生やすようなもの」なんて表現も出てきた。
ちなみに作中で大海人皇子(天武天皇)が新しい時代のものとして取り入れる天文台が、陰陽寮のはじまりである。
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