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本を読む

読書やコンピュータなどに関するメモ

「日経Linux」2013年6月号

 執筆に参加したので報告と宣伝。といっても、もうじき次の号が出ちゃう時期なんですが、ようやく読んだので。

 特集1の「Linuxを超使いやすく&快適にする77テクニック」は、主にデスクトップユースでのちょっとしたカスタマイズのTips。私は、パート3のソフト追加と、パート7のキーボード&マウスを書きました。後者はTinkPadネタを中心に。

 特集2の「No.1ディストリビューションはこれだ」は、目的別にディストリビューションを6つ選び、その理由を3つ挙げるというもの。私は“使いやすさでUbuntu”というお題を編集部からいただき、“Debianをベースに提供側がベストプラクティスと考える完成形をリリース”というようなことを書きました。13.04のことも触れていますが、4月執筆だったのでβ版での記載です。

 Ubuntu以外では、Fedora、CentOS、Arch Linu、Tiny Core Linux、openSUSEが取り上げられていて、どれも興味深いものだと思います。

 自分関係はそのぐらいにして、以下、通読メモ。

 付録で「最新LibreOffice徹底活用100選」という冊子。派手な機能とかを狙わず、日常的に使いそうなTipsを100個紹介していて、役に立ちそう。読者の評判もいいらしい。

 まつもとゆきひろ氏の新連載「言語の世界」も評判がいいようだ。自身のコンピュータとプログラミング言語の遍歴を語るようで、今回は少年時代の話から、Lispを知って影響を受けたことのあたり。

 ほか新連載で、「Samba 4によるMicrosoftネットワーク構築」。今回は、Microsoftネットワークの基礎(SMBやドメイン)と、Samba 4の特徴、インストールのあたり。

 特集3が、タブレットやスマートフォンでUbuntu TouchとFirefox OSを動かす話。Nexusシリーズだと、それほど苦労しないで動きそう。ガジェット系ではほか、Raspberry Pi連載が、動画アクセラレータのドライバを有償で買う話と、XMBCで動画アクセラレータを使うまで。

 Linuxサーバーの基礎原理連載では、pingをtracerouteで追っていたと思ったら、シェルスクリプトでtracerouteを実装していた。話の展開が面白い。

 開発者インタビューが、LibreOffice日本語チーム。「LibreOffice mini Conference」のときの写真も。

 カーネルハッカー連載が、reclaim処理の続きと、モバイルデバイスでのメモリの使い方の特徴、vmpressureの案などについて。

 旧型PC+ディストロ連載が、Core 2 Duoノート+SSD+Fuduntu+I/Oスケジューラの変更。Fuduntuは省エネを意識しているとのこと。

 ほか、おすすめフリーソフトが、ディスクの重複排除のOpendedupと、デスクトップ録画のrecordMyDesktop、写真管理のdigiKam。美女Linux連載がtar。Linux超入門連載が、トラブル対策系。AndroidのProcessingプログラミング連載が、加速度センサーの使い方と、それを使ったゲームの操作のサンプル。LPIC連載が、タイムゾーンとcron。みんな大好き「#!シス管系女子」は、if文。

「光圀伝」

光圀伝
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 発売された頃に買ったけど、「読み始めたら止まらなくなるから」と積んでおいて、今月ふと手を出したらそのとおりになった。俺の1日はどこに行ってしまったんや。

 去年のヒット作なので細かいことは省くとして、「天地明察」のように1つのプロジェクトに収束していく話ではなく、徳川光圀(光國)の生涯をエピソードを重ねていく形式で構成されている。とはいえ、特にさまざまな人物やエピソードが印象的で、やはり先へ先へと読み進めさせられる。冒頭を始め、先に結末を見せてからそこまでを語る手法もよく使われているし。

 ただ、光圀の行動の軸に「義」が置かれていて、このへんはわれわれ現代人にはわかりづらいよなあと思って読んでいた。これについては、「義ノ章」まで読み進んで、半ば意図されたものだったようだと思った。

UbuntuでGUIからjapaneseteam PPAを追加する

 64bit版とかのUbuntuをインストールした場合、後からjapaneseteam PPAリポジトリを追加することで、Japanese remix版相当のソフトを使える。PPAのリポジトリは、GUIの場合はソフトウェアセンターから追加できる。4月にUbuntu 13.04βで画面キャプチャーを取ったのをちょっと再利用。

 「編集」-「ソフトウェアソース」でソフトウェアソース設定を開いて、「他のソフトウェア」タブから「追加」で指定する。要は「sudo add-apt-repository ppa:japaneseteam/ppa」相当。

GUIからPPAを追加

「キャッチワールド」

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 「タウ・ゼロ」からバサード・ラムジェットつながりで「キャッチワールド」を読み返した。「タウ・ゼロ」が直球ド真ん中のSFとすると、「キャッチワールド」は正反対の変化球というか魔球というか暴投というか。いろいろ頭おかしくてすばらしい作品。

 どのくらいヘンかは、内容を並べないと説明が難しいので、以下ネタバレ含みで。未読の方はご注意を。

 宇宙から結晶生命体が攻撃をかけてきて人類が滅亡の淵に追い込まれてから40年。残った人類の中から報復のために人工授精で生まれ育成された人員が、バサード・ラムジェット船の艦隊でアルタイルに反撃に向かうのだった。

 という背景なのだけど、主人公の艦長が日本人だからって戦艦の名前が「憂国」。その田村艦長は、日本の屋島に本部を構える「法華宗」の僧兵の出身で、切腹を命じられながらも使命への妄執から「憂国」に乗り込む。

 バサード・ラムジェット船や異星系の描写はハードSF風の描き込み。タグボートの様子とか、宇宙船の戦闘とかも、スペースオペラ的ではなくてリアルに描かれている。……と思ったら後半ではいきなり悪魔召喚の儀式をしてリリスとか召喚する展開になるし。

 船は機械知性(人工知能)が制御してるのだけど、どうもやってることがおかしく、艦長と対立。そういう乗組員も様子がおかしく、権力争いが発生する。実はマッドサイエンティストにより育成の段階から仕組まれていたことで、人類補完計画みたいなことに。一方、マッドサイエンティストの第2の計画も発動。そしてすべてはキャッチワールドへ。最後は、詳細に描写された異星系の惑星の上を、ブッシュマンと鎧武者が駆けるのだった。

 とまあ、とにかく異なる方向のアイデアを惜しげもなく詰め込んだワイドスクリーンバロックで、バリントン・J・ベイリーですらとても整合性がとれているように感じるほど。作者はWikipediaによると生涯でSF長編を3作しか書いてないそうだけど、さもありなんと思う。

「タウ・ゼロ」

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 バサード・ラムジェット恒星船が故障して1Gの加速を続けたらどうなるか、というワンアイデアを展開したら、とてつもないスケールのハードSFになった名作。

 作中での恒星船は、今でいうとだいたい火星無人探査ぐらいの難易度のテクノロジー。船の状況に重ねて、船内の人間模様も描かれる。1970年前後の作品らしく、フリーセックス的な人間関係がそれなりにドラマチックに続くのだけど、なんか本題と浮いてないかなと思ったら、実はストーリーの重要要素だった。

 原著の発表が1970年。日本でも「すごい傑作らしい」という評判が伝わってきて、翻訳が出たのが約20年後の1992年。で、さらに約20年たってようやく読んだ。読む前は“でも今となってはそこまでのことはないんじゃない?”と正直思ってたのだけど、読んでみたらごめんなさい、本当にすごい作品だった。

 今になって読んだきっかけは、訳者の故・浅倉久志氏のエッセイ集「ぼくがカンガルーに出会ったころ」の「止まらなくなった宇宙船の話」を改めて読んだこと。ネタバレもあるので、途中までしか読まなかったけど。「これに比べれば、E・E・スミスの宇宙叙事詩も、せいぜい筋向かいの食料品店にママと買い物に行くぐらいのスケール」とか言われると、気になるよね(ちなみにこれはジェイムズ・ブリッシュの言葉)。

 ハードSFといえば巻末の設定解説。本書でも、金子隆一氏がバサード・ラムジェットと宇宙論について解説している。なるほど、そういう宇宙論が背景となってると。

 というわけで、SFファンにとっては基本作品なのだろうと思うのだけど、熱心なSF読みではない自分が2013年に読んでも面白かった。

「星守る犬」

 体調を崩してるときに布団で「星守る犬」を読んでいると、くるものがあるな。かわいそうとか、悲しいとか、泣けるとか、そういうのともちょっと違う感じで。

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 何年か前にヒットしたし映画化もされているので詳細は省くとして、流行りの言葉でいうと、機械との競争にボロ負けタイプのおっさんが犬と暮らす話。

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