YAPC::Asia Tokyo 2012に行ってきた
年に1度のPerlのお祭り、YAPC::Asia Tokyo 2012に行ってきました。
今回は東大の本郷キャンパスで、すごくキレイでオシャレな会場でした。ホールでひたすらLTをする「LTソン」とか、JavaScriptやPHPの話が入ってるとか、PerlらしいTMTOWTDIな感じのイベントだったと思います。
例年、LL系カンファレンスの中ではインフラ寄リの話の率が多めな気がしますが、その中で今年はソーシャル系だけでなく広告配信系(アドテクっていうんですか?)も目立った気がします。フリークアウト社効果かもしれませんが。
ただ、自分の体調がいまいちで、途中で抜けたり、2日目は起きたら昼だったりと、多くのセッションを聴いてなくて残念。特に「「新しい」を生み出すためのWebアプリ開発とその周辺」とか聴きたかったな。
以下、自分が聴いたセッションから、1コマ3行以内縛りで印象に残った部分をメモ。
1日目
オープニング (941)
- いろいろな言語を巻き取っていく
- 最多のボランティアスタッフ、スポンサー、来場者、ヤル気w
- ランチ交流企画、LTソン、立ち読みコーナーも
What does your code smells like (Larry Wall)
- 乱数列をソートするPerl 5コードをPerl 6にライブでリファクタリング
- 一時変数は状態臭、unshiftは危険の臭い
- Perl 5を選ぶかPerl 6を選ぶかはTIMTOWTDI
Acmeism, Pegex and CoffeeScript on CPAN (Ingy dot net)
- ハッカーが思いつきを共有するAcmeism
- CoffeScript→UniScript→C'Dent→Perl、Python…
- JSONのようなYAMLのようなJSONY
リアルタイム通知システムの舞台裏 (しんぺい)
- 最初は1台のサーバーにみんなで接続、コネクション管理を自分でやってるのでサーバーを増やせない
- 通知サーバーを増やして1つのサーバーでコネクションを管理。管理サーバーがSPOF、サーバーを増やすと不整合
- 通知サーバーの前にRabbitMQを置き、キューしてPu.S.H.
Perl初心者が作ったサーバ運用ツール (りーお@DeNA)
- そのときどきの運用セットアップスクリプトはパッチの嵐、スパゲティ
- Cheffはいいと思うが、レシピのテストをやりたかったので自作
- 運用スクリプトのテストでは、返り値よりサーバーのステータス
Perl Ocean (KOMORI Kazuki)
- XMPPのコミュニケーションフレームワークスイート
- Webサービスへのインテグレーションを想定、フルスタック、クラスタサポート
- mixiでトライアル提供中
Wight - Phantom's new friend (motemen)
- PhantomJSを使ってJavaScriptなページをスクレイピングするPerlモジュールWight
- 待ちが必要なところでは、要素が真になるまで待つ、というメソッドも(中身は.5秒ずつwait)
- PerlでjQuryのクエリーを生成するWight::JQueryも
続Mobageを支える技術 (xaicron)
- TERMシグナルがくると子プロセスがぜんぶ終了するが、DBDなどXSコード中はトラップできないので、Sys::SigActionを使ってトラップ
- DeNAのスマホ向けプッシュ通知API「Remote Notification API」、APNsとGDMに対応
- Leaderboard API
スマートフォン向けサービスにおけるサーバサイド設計入門 (Hisashi HATAKEYAMA)
- スマートフォンアプリ用のWeb APIサーバー
- インフラ寄りのエンジニアなのでPerlに馴染みがある
- Redis、memcached、Amon2、Teng、carton、starlet、supervisor
Redmine::ChanでIRCからプロジェクト管理 (Yasuhiro Onishi)
- IRCからRedmineを操作するIRC bot Redmine::Chan
- issue登録、確認、アサイン、ステータス変更
- SME(それめっちゃいいやん):“..”でひとつ前のメッセージをRedmineに登録
Perlアプリケーションのベンチマークとプロファイリング (Shunichiro Fujiwara)
- とにかく計測。ログ→fluentd→tail pluginzabbix、本番サーバーではプリフォークサーバーでフォークしたときに一定の割合だけ計測、並列ベンチマークParallel::Benchmark
- まず探すところはslow query log。けっこうこの改善で済んだり
- フェイルオーバーのテスト重要。設定ミスでヘルスチェックが1台だけに向いていたりw
LT:YAPC::ASIA TOKYO 2012のタイムテーブルビューアーを作ったよ(Nishibayashi Takuji)
- Androidアプリ開発に必要なのは、端末依存に負けない折れない心w
- ライブでアプリ作成
LT:Furl (tokuhirom)
- LWPと同じようなことをやって、速い
- 速くするためにいじれる低レベルAPIも
LT:Perldoc.jp 10th anniversary (ktat)
- perldocの日本語訳
- miyagawaさんが始めた、いまJPA
LT:スポンサーセッション:モバイルファクトリー
- 企画として入社、開発部でディレクションに
- 部長と結婚。「変更には慎重であれ」w
LT:おどけでねSendai.pm
- PMに登録、開催した
- 剣道に専念してたw
- 宮城大学修士過程でPerlハッカーの講義。typestarさん、yusukebeさん、dankogaiさん
LT:fluentdでコードを書けるOpsになれる話 (すずきさとし)
- エンジニアはコードを書ける。コードを書けないインフラエンジニアは「インフラ」w
- プラグインを書いてみよう
- fluentdのout_exec_filterを使って、MySQLのスロークエリーログをWebに出すプラグインをPerlで
LT:ニフティクラウドC4SA (nqunet)
- GUIでPaaS。ファイル管理やコード編集もWebから
- CLIでbashも使える
LT:ngx_small_lightでサムネイル作成 (Tatsuhiko Kubo)
- nginxで画像のサムネイルを作成するモジュール
- Apacheのmod_small_lightに300行のパッチを作ったら、「nginxでやらない?」ということで移植
LT:スポンサーセッション:GaiaX
- 去年LTした福岡拠点に続いて、東京の「プログラミング部」
- 朝練、素振り、project euler
- CodeIQとコラボ「素数戦争」。GitHubからコードを取ってJenkinsでチェック
LT:Perlで変なものを作ってみた (ふしはらかん)
- 昔作ったwemaをリメイク
- 昔はドラッグ&ドラップのためにJavaScript 300行とか書いたが、いまはいろいろ揃ってる
LT:AWS Elastic Beaksteak (Keigo Tanaka)
- AWS Elastic BeanstalkでPSGI、PHPのAMIをカスタマイズ
- 新しいバージョンのdeployを監視してリロードするスクリプトをAMIに仕込んだ
- カスタムAMIを使うためのテンプレート
LT:スポンサーセッション:Wano株式会社
- 音楽×ウェブでサービスを作る会社
- 新音楽配信サービスtuneCORE。来週リリース予定
LT:Perlでおねえさんを救った話 (hiratara)
- 「フカシギ」のおねえさんをPerlで救う
- ZBDD、binary descision diagram、pruning tree、Sharing trees
LT:Perlと人生(高橋真弓)
- 誕生 print "Hello World\n";
- 東大を目指す:do { 勉強 } while(!合格) (w
- プロポーズ: do { プロポーズ } while(!YES) (w
2日目
ウェブアプリケーション開発の現状・課題とJSX (Kazuho Oku)
- 現在キーでなくなった技術:httpd選択・シャーディング、重要になった技術:HTML5・real-time(どちらもJavaScript)
- プログラミング言語はプログラミング環境の一部にすぎない
- 書く時間より、隣の人が書いたコードを使うまでの時間のほうが、生産性に影響する
Devel::NYTProf
- ループブロックの最後の文は実行コストが高い
- 「最適化するな」
- 速い関数をたくさん呼ぶと誤差が蓄積するので、高解像度のタイマーのサポートを予定
LT:ぼくがかんがえたさいきょうのふかぶんさんとこうかようせい (りーお@DeNA)
- DNSでLBすると、プロキシーがない、DNSキャッシュがヒット、はずしたときが問題
- サーバーの中にDNSサーバー。DBサーバーのヘルスチェックが増える
- 非同期でデータを撒く
LT:Annual Report 2012 (charsbar)
- 日本人top 10:No.1はxaicronさん
- 日本で、CPANサーチ数、モジュールリリース数が落ちてる。アクティブなAuthorも少しずつ減ってる
LT:Dummy Data with Teng (karupanera)
- ダミーデータはスキーマ変更とか面倒
- Tengのインタフェースでgrep
- Storableでキャッシュ
LT:スポンサーセッション:スカイアーク
- 帯広から、愛
- ばんえい競馬
LT:About our outputs (tagomoris)
- ISUSCON 2やります
LT:Imager::HeatmapでVisualization (kawamuray)
- Imager::Heatmap書いた
- X座標とY座標のデータからヒートマップを作る
LT:ほとんど同じ画像を簡単に整理するために (turugina)
- JPEGクオリティやサイズが違う画像を整理する
- 二乗平均平方誤差
- Web UIで残すか消すか選ぶ
LT:スポンサーセッション:スターダストコミュニケーションズ
- 10代20代向けフリマサイト「ショッピーズ」、「ガールズオークション」
- MobaSiF
- ユーザーとの女子会
LT:それPHPでできるよ (do_aki)
- PHPにPerlを組み込む
- 2006年に開発が止まっていたものをPHP 5.4対応にしてGitHubにあげた
- php -rでワンライナー
LT:Perl 11 (Ingy dot net)
- Perlを速くするためにperlccとか作ってる人もいる
- 俺はPerlのパーサーとかVMとかのレイヤーをプラガブルにした
- Perl 5もPerl 6も使えるので、Perl 5 + Perl 6 = Perl 11だw
LT:おせっかい駆動開発 (M_Ishikawa)
- ドヤリング開発 = スタバでMacを広げて開発w
- ゲームサイトのための2ch監視を、HTMLのスクレイピングで
- 正規表現がえらいことに
LT:スポンサーセッション:フリークアウト
- 50ms or die
- リアルタイム広告オークション
- CPAN auther手当
LT:みんなだいすきサスペンダー(moznion)
- GitHubのpull request数にあわせてdankogai氏のサスペンダーが伸びるw
- これ自体もGitHubにあるけどpull requestが0、pull requestを(w
LT:同人誌活動の報告(まかまか)
- Acme大全:324p、表紙が若返り、用語集で「+{」に1項目、通販やってます
- ステッカー:ヘブン状態、http://の:を忘れた
- ボードゲーム:やっぱしぃ
LT:Perl 1+1耐久テスト (takesako)
- 言語ごとに1+1+…の文字列を作って解釈、実行
- Rubyクラッシュ、Pythonクラッシュ、PHPランタイムエラー、nodeランタイムエラー
- サーバーサイドで最強な言語はPerlですw
How Perl Changed My Life (Gosuke Miyashita)
- Sledgeが登場し、さくっと書け、俺すげーという万能感あって、プログラミングの楽しさを感じた
- 会社でオープンな活動への評価。評価制度もGitHubでprivate公開し、pull request。コードを書ける説得力。楽しんでやる
- Thanks to Larry Wall、Thanks to Tatsuhiko Miyagawa
Closing (Daisuke Maki)
- ベストスピーカー:yusukebeさん
- YAPC::Asiaは東京でなくてもいい
日本語テキストで使われている単語を辞書順にリストアップするワンライナー
テキストがUTF-8でMeCabがEUC-JP仕様の場合。
$ nkf -e text.txt | mecab -O chasen | grep -v '^EOS$' | nkf -w | sort -f -k 2,2 | cut -f 1 | uniq > wordlist.txt
校正とかの補助に。例えば、「Android」と「Anrdoid」、「すべて」と「全て」、「コンピュータ」と「コンピューター」が近くに並ぶ。
「ビアンカ・オーバースタディ」、「あらゆる小説は模倣である」、「BILLY BAT」10巻
講談社
売り上げランキング: 413
ちょっと前に、筒井康隆が「ライトノベル始めました」ということで「ビアンカ・オーバースタディ」を発表して話題になった。まあ、ドタバタとエログロとジュブナイルとパロディとSFが得意な作家なので、さもありなん。
で、あとがきで著者が、ラノベとして読むエンタメの読みかたと、メタラノベとして読む文学的読み方のふたとおりがあって、どちらで読んでいいと書いている。メタラノベというとナンだけど、ラノベの構造やパターンを抽出して、それを意識的に書く、という、パスティーシュやパロディのことかな。私はパターンとか知るほどラノベに詳しくなくてわからないけど、繰り返される説明とか、登場キャラとか、ご都合主義なあの会話とかがそうなのだろうか。
そんなこんなもありつつ、中盤のカエルが出てきてからの暴走展開で笑った。
ネットで見たネタで、ある年代のオジサンが書き慣れないエッセイを書くと、村上春樹をまねようとする、という話があった。やれやれだ。
その村上春樹の処女作「風の歌を聴け」は英語に翻訳されていないのだとか。ヴォネガットの影響が見えすぎるとか。
「すべての小説は模倣である」は、そんな「影響」から、「パクり」に近いものまで取り上げて、小説がゼロから作られるものではないこと、創作は意識や無意識で他の作品の影響の中から生まれること、ふだんなにげなく使っている言葉や言っている意見も影響のもとにあることなどを論じた新書。
- 文体はウイルス
- 寺山修司
- 澁澤龍彦
- 記憶の「影」
- 「アルンハイムの地所」「金色の死」「パノラマ島綺譚」
- 「風の谷のナウシカ」
- リルケ、芥川龍之介、佐藤春夫の恋文
- プロップ「昔話の形態学」
- ラング=パターン、パロール=表現活動
- 相互テキスト性
- シミュレーション、サンプリング、データベース、二次創作
で、本書の第3章が「模倣実践創作講座」となっていて、この作品のこのパターンを「模倣」して小説にしないか、と提案している。小説講座というより、「完全な真空」的なメタ評論みたいな印象を受けた。
ちなみに、この第3章にメタフィクションの項もあって、「日本で90年代初めごろまでもてはやされたが、よく似たものをみんなが書いたので、急速に飽きられてしまった。筒井康隆は誰も試していない方法を探し続けている驚異的な作家」と書かれていた。
ちなみに本書を最初に知ったとき、題名から、パスティーシュ小説を得意とする作家の清水義範氏の本かと勝手に誤解した。こちらは文芸評論家の清水良典氏の本である。そのへんの感覚も、テーマに合っている気がする、というのは強引か。
講談社 (2012-09-21)
「すべての小説は模倣である」には、マニアックな元ネタを使って、わかる人に非難ではなくニヤリとさせるようなパターンについても語られていた。
浦沢・長崎コンビのマンガでは、マニアックとまではいかなくても、あきらかに元ネタがわかるように使いつつ、ニヤリとさせることがよくある。特に「MASTERキートン」とか「MONSTER」とか。元ネタに対して、自分なりの仕立て上げ方に自信があるからできるんだろうな。
「BILLY BAT」10巻の一連のエピソードは、やっぱり手塚治虫のあの短編へのオマージュかな。途中、夜道のあのシーンとかでそう思った。
「WEB+DB PRESS」vol.70
技術評論社
売り上げランキング: 1544
ようやく通読したのメモ。
この号のサプライズは、日本初にして現役ハッカー(で数学者)の和田英一氏が書いた「低次元世界のオートマトン」。ライフゲームなどのセルオートマトンについて、グライダーや一斉射撃問題、乗算、素数生成などを理論的に解説している。
特集1が「実践Rails高速化」。ログやプロファイリング、さまざまな部分のキャッシュ、ActiveRecordでのクエリの最適化、ブラウザのキャッシュに乗りやすくする工夫とAsset Pipeline、Unicornの利点と設定と、実際の大規模サイト(クックパッド)での工夫について解説している。
特集2が「CoffeeScript本格入門」。メリットや文法、クラスの使い方、Backbone.jsでのCoffeeScript、ビルドツールgruntを解説。CoffeeScriptではHTMLのクラスに合わせてクラスを作ったりするのね。
特集3が「Web広告最前線」。読む前は正直軽く見てたのだけど、表示の瞬間にリアルタイムで広告を取引するRTBの話で、知らない話で興味深かった。
連載「フロントエンドWeb戦略室」は、クロスドメインでのデータのやりとりのやり方と問題を説明しつつ、localStorageとpostMessageを使って(原理的には)サーバーフリーでクロスドメインのデータのやりとりをする方法を提案。
「Comparators」連載は、ブランチ vs. フラグとして、新機能をブランチで分ける場合とフラグで分ける場合の得失について。クックパッドのChankoとか。
そのほか、SQL連載は、正規化について、SQLとリレーションモデルとの相違点をまじえて、板垣キャラを例に解説。Perl連載は、Perl内部の値の表現であるSVと、値をいちど文字列として読むとデフォルトで文字列になってしまう現象、文字列のエンコーディングなど。Ruby連載は、ActiveSupportの便利機能について。JavaScript連載は、Closure Compilerによる静的解析やJDoc。PHP連載は、モックフレームワークのPhakeとMockery。Java連載は、細かいところでのコードの最適化。「シュカツ女子ともよの会社訪問記」連載は、大手→フリー→ベンチャーと移った経歴のHolyGrail氏。
「日経Linux」2012年10月号
日経BP社 (2012-09-07)
新連載「組み込み用Ruby「mruby」のすべて」がスタート。まつもとゆきひろ氏自身によるmrubyの解説。今回は開発の背景と概要について。
特集1が「Linuで楽々アプリ開発超入門」で、具体的な題材を使ったプログラミング入門。シェルスクリプトが、Webのコンテンツをメールで送る例。JavaScriptとCoffeeScriptが、マウスクリックイベントを使ったゲームと、そこでのオブジェクトやthisなどについて。Ruby on Railsが、Amazonの商品情報を検索する蔵書管理アプリ。ADK+Androidが、Androidで取得した天気情報をLEDの色で表示するガジェット。で、なぜかErlangとHaskellのパートがあって、nクイーン問題を解いてたw。
シェルスクリプトといえば、シェルスクリプト連載が、ncでSMTPを叩く方法と、TODOリストのCGIアプリ。
あと、みんな大好き「シス管系女子」も、「#!シス管系女子」となって、シェルスクリプト編に突入していた。
特集2がトラブルねた。2コママンガを使ってインパクト強くまとめている。消したファイルの復活などけっこう詳しく書いてて参考になるけど、狙いの落としこみに若干ブレと思われる点も(rmに--no-preserve-rootオプションを付けるとか)。
特集3が中華Pad。Part1がかつての悪いイメージに対して今は実用的になっているという話、Part2がカスタムROMの導入。Androidタブレットでは、巻頭のレポートコーナーで、Nexus 7でroot取得して横向きに対応するネタも。
LPIC連載が新しくなって、「新人エンジニアのLinuxサーバー構築ストーリー」に。今回はUbuntuをちょっとかじった新人が、CentOSでパッケージをインストールする話。ちょうど、「Linux活用超入門」連載も、Ubuntuのパッケージやパッケージ管理システムの使い方。
enakai00氏のサーバー構築・運用連載は、KVMに仮想ネットワークを追加し、仮想マシンに仮想NICを追加し、ブリッジにする話。次回は発展してNATとのこと。
OSS開発者インタビューは、Linuxのkprobesメンテナーの平松雅巳氏。
旧型PC+Linuxディストリビューション連載が、Core SoloマシンにAndroid-x86。ちなみに、巻頭のレポートコーナーでもディストリビューション紹介があった。
ほか、美女Linux連載が環境変数の設定。ハイブリッドAndroidアプリ連載が、画面の切りかえや、画面サイズに合わせた描画、変数のスコープについて。PaaS連載がGoogle App Engine。カーネル機能連載が、/dev/zeroや/dev/nullなどの疑似デバイス。
「Ubuntu Magazine」Vol.9
アスキー・メディアワークス (2012-09-06)
売り上げランキング: 609
恒例となったUbuntu専門誌の第9弾。特集は「厳選フリーソフト」。ほとんどGUIベースのもの縛りで便利ツールを紹介している。自分も、前にUbuntuレシピでも見たCuttlefishを入れてみた。ほか、ソフト関連では、連載「発掘!! お宝アプリ」も。
「激安VPSで始める自分クラウド」は、VPSの比較レビュー。特に、以前との比較などをちゃんと押さえている。そのまま次の記事「多機能クラウド自作ガイド」につながる。こちらは、ownCloudのインストールから、拡張アプリによる強化、DropboxやGoogleドライブとの同期まで。
「Androidを学ぶ&遊ぶ」は、中華Padにssh/VNC/RDPクライアントを入れてUbuntuにアクセスする方法や、Androidのchroot環境にUbuntuを入れるLinux on Androidの紹介など。ガジェット系ではあと、「なんでもUbuntuで使いたい」が、KoboをUbuntuでアクティベーションしたり、アンプ基板にボタンを増設したり、AndroidスティックにUbuntuをインストールしたり。
「ホンヤクしようぜ」は、今回はUbuntu自体のUI翻訳について。
「プログラミングの基礎」は、Scratchでブロックを並べて画像を動かしてみる、プログラミング入門。
「Ubuntu Serer強化テク」は、Munin、MediaWiki、aptキャッシュサーバー、bindによるDNSキャッシュサーバー、syslogdの集約。自分的にはapt-cacher-ngに興味。
「コマンドライン入門」は、シェルスクリプト入門編で、画像を連続変換する例。これを読んで試して知ったんだけど、最近ではconvertの-crop操作で+repage相当がデフォルトになってるのね。
で、みんな大好き「うぶんちゅ!」は双子ネタで…(ネタバレ回避)。「宇文津之介」は娘に名前が付いた。
HTML5 Conference 2012のパネルディスカッション「Web最先端、エキスパートたちの視点から」メモ
HTML5 Conference 2012のパネルディスカッション「Web最先端、エキスパートたちの視点から」を観たメモです。なお、全文書き起こしでもなく、ご本人のしゃべった通りの言葉遣いや順序でもなくて、キーワードを抜粋した箇条書きのようなものです。
パネリスト
- 白石俊平氏
- 小松健作氏
- 羽田野太巳氏
- 及川卓也氏
- モデレーター:新野淳一氏
テーマ1:この3年間を振り返って
白石:波が来るとは思っていたが、こんな大きなイベントになるぐらい大きな波になるとは思わなかった。最初の勉強会はマンションの一室で、7人ぐらいしか集まらなかった。
新野:2009年。MSもAdobeもHTML5をスルーしていた頃。
小松:衝撃を受けた。APIなど。それが今では、会社でHTML5の仕事ができるようになった。
羽田野:もともとCanvas APIが面白いと思っていた。canvasというドメインは取れなかったので、html5.jpというドメインを取った。2007年。当時は冷たい視線だった。最近はいい意味で語られるようになった。デバイス系APIなどでWeb業界以外の人もホットになってきた。
及川:Google Chromeの登場が、会社にも自分にも世の中にも大きかった。気が付いたらブラウザにOSにIMEと、前の会社と競合していた(笑)。よい競争。白石さんや羽田野さんを巻き込んだり、小松さんが作ったWebSocketのサンプルでデモしたら会場に本人がいたり。
テーマ2:Webはなぜ成功したか
及川:誰もが勝手にいじりまくれる。ハック、マッシュアップ。それが標準に還元される。「永遠のβ」、つまり進化し続ける。
新野:Webの新技術は、出たときには未成熟なのが面白い。それをみんなで叩いていって成熟する。
小松:意外性。CanvasやLocal Storageなど、ブラウザでそれをやるかという、技術者から見た衝撃。Webはとんでもないポテンシャルをもっていて、それが引き出されている。
白石:先に仕様書が出てきて、誰がこんなマニアックな仕様を実装するんだと思ったら、あっという間に実装される。で、実装してバグが見つかり、仕様が変更される。わくわく感が続いている。
羽田野:わざと冷たく違う側面を言うと、「Appleのおかげ」または「Appleのせい」ともいえる。iOSでFlashが動かず、やむをえずHTML5に、ということで一般の人に浸透した面がある。また、AppleやAppStoreの規制に不満を持ってWeb技術でアプリを作るケースも。
及川:スマートフォンの影響も。今はそうでもないが、かつてはほぼWebKitだったので、マルチプラットフォームをあまり考えなくてよかった。また、モバイルの(比較的)低速な回線で、画像でなくCSSで工夫するようになった。
羽田野:ハードウェアの進化。スマートフォンのCPUやタッチパネル。リーズナブルな価格のクラウド。
テーマ3:これから、3年先
白石:予想は難しい。JavaScriptやWeb技術がいまより使われるとは思う。
新野:「JavaScriptは業務アプリの開発言語として有力な存在になる」というエントリーを書いた。コメントで賛否両論が来た。
白石:自分は信じる側。
小松:デバイスAPIにより、関わる業界が増えている。TV、家電、自動車など。それにより、いまでは想像できないことが起こっているのではないか。
羽田野:あらゆるディスプレイがWebでできている世界。カーナビやTVなど。ふたを開けたらWebだった、という。
新野:そのための鍵は。
羽田野:WebIntentなど。技術はだいたい揃っている。あとはコストや安全性。APIがどうこうというところとは別のものが鍵になる。
及川:やれることが広がる。デバイス間やデバイスとクラウドがつながる。スマホをリモコンにするとき、認証はクラウド、コントロールはピアで、など。また、いままでWeb技術はWebの人どうし、同じノリの中で作ってきた。disる意図はまったくないが、これから家電業界や自動車業界など、ノリの違う人たちも入ってくる。そこでいかにドライブ感を保っていくか。
白石:ところで、3年後には「HTML6」が出てる?(笑)
小松:HTML5.1ぐらい?(笑)
羽田野:「5」とか番号はなくなるかも。
白石:「新しいHTML」(笑)。
羽田野:「HTML.next」という名前もあって、それ「新しいHTML」と変わらない(笑)。