「ここまで変わった日本史教科書」
吉川弘文館
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オジサン世代が「いまの学校では鎌倉幕府成立を1192年じゃなくて1185年と教えてるんだよ。『いい箱作ろう鎌倉幕府』ってね」とドヤ顔で言ってるシーンはきっと全国であると思う。実は本書によると、いまは「いい国作ろう源頼朝」になっていて、1192年に源頼朝征夷大将軍に任じられたことをもって「名実ともに成立した」と書いている教科書が多いという。そして鎌倉幕府の成立年は、段階的に成立したので断定できないという見解らしい。
また、TVやインターネットでは「江戸時代の鎖国はなかった」といったセンセーショナルな言いかたがなされがちだ。それに対し本書では、教科書から「鎖国」の語が消えつつあり「四つの口」での外交に言い方が変わってきているとする。そのうえで、歴史上の事柄について複数の解釈ができることを学ぶ「歴史の説明」の教材として、いわゆる「鎖国」がとりあげられているという。つまり、視点によって、貿易していたようにも閉ざしていたようにも見えるというわけだ。
言い方が変わったといえば、1980年代まで「縄文式土器」と言われていたものは今は「縄文土器」と呼ぶそうだ。
あとは、遣唐使は廃止ではなく中止だったとか、江戸時代の「藩」は公称ではなかったとか、毎度おなじみの北条早雲の名前や田沼意次の評価とか。
という具合で、書名から想像しがちな煽りではなくて、けっこう地道に日本史の定説の変化が書かれている。なにしろ、がらりと変わったと強調されているのが藤原京の大きさだったりするし。
ちなみにオジサン世代としては、バブル時代とジュリアナ東京が日本史の教科書に登場しているというのはちょっとした感慨がある。もちろん、ジュリアナ東京のオープンがバブル崩壊後の1991年というのも付記されているそうだけど。
「ワイルド7」1〜50巻
ちょっと前にKindleで「ワイルド7」全50巻セットの9割引セールをやっていたので、セットで買った。いきなりマンガ50冊が送られてきて端末の記憶容量がパンクしちゃったけど。セールは現在は終了してるけど、Kindle Unlimitedの対象らしい。
というわけで、アクションマンガのレジェンド「ワイルド7」全話を久しぶりに読み返した。1969年〜1979年に連載されていた望月三起也氏の作品だ。犯罪者をスカウトして凶悪犯罪者と対決させるというストーリーのはしりで、バイク(オートバイ)と銃でのアクションシーンが切れ目なく続く。
改めて観てみると、アクション映画の画面をマンガの絵として表現しているのがうまいなあと思う。戦争映画や西部劇、ガンアクション映画などを彷彿とさせる絵とシーンが展開されている。設定や動きは非現実的なんだけど、それをほどよくリアルに見せている。主人公の飛葉が拳銃とともにポンプアクションの散弾銃(ライアットガン)を使うというのも、当時のマンガでは見かけなかったけど後から見るとリアルな感じだなあ。作者のほかの作品(「ワイルド7」続編も含む)も悪くないんだけど、「ワイルド7」が特別に感じるのは、そのへんのバランスかもしれない。
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1970年代の実写ドラマも見た世代だけど、2011年には実写映画化もされている。いろいろ不満点が多く、中でも飛葉以外の6人のキャラづけが中途半端とかはあるけど、トレーラーからバイクが飛び出して銃で暴れまくる様子は原作ファンとして胸が踊った。中井貴一の草波さんはとても草波さんっぽかったし。
「新仮面ライダーSPIRITS」14巻
講談社 (2016-10-17)
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13巻で丸の内線が御茶ノ水で一瞬外に出る場所をうまく使ってたけど、この巻ではその勢いでその近くの遊園地で戦闘……って、名前は出てないけど、ヒーローショーの聖地の後楽園遊園地!
中盤には、裏エピソードである本郷猛とルリ子のウィーンでの話が回想として挟まれる。そして後半は、ライダーマン結城が、世界の科学者たちの脳から力を集めて大首領と直接対決!
ちなみに、なぜかバーベキューでのバームクーヘン作り講座のエピソードもあった。もしかして村枝先生の得意技?
巻末インタビューは、初代「仮面ライダー」の監督の一人、北村秀敏氏。職人っぽい答え方だけど、インタビューから4か月後に亡くなったとのことで、追悼の「最初で最後の仮面ライダーインタビュー」として掲載されていた。