「人魚ノ肉」
木下昌輝氏のデビュー作「宇喜多の捨て嫁」は、トリッキーな視点と書き方に唸らされた。で、それに続く2作目の本作「人魚ノ肉」が文庫化されたのをきっかけに読んだ。やはりトリッキーな小説だった。
幕末を舞台に、坂本竜馬や岡田以蔵、新撰組らが人魚の肉を食べて怪異に直面する。吸血鬼、ゾンビ、ドッペルゲンガー、さらには時の環の中を永遠に殺され続ける不死(?)の者など。そうしたエピソードを、1話完結の短編連作で描く。
それらのフィクション要素が、史実や伝承にある話にうまくあてはめられているのがトリッキーでうまい。沖田総司の有名エピソードにはなるほどと思ったし、斎藤一のラストにはおおそう来たかと。
さらにトリッキーなのが、1話完結の短編連作で、ほかのエピソードの人物やシーンが後のエピソードにからんでくる形式だ。「パルプ・フィクション」みたいというか。
終盤には、人魚の肉と人魚の血の関係も語られる。最終的に不死になったのは……?
コメント
コメントの投稿
トラックバック
https://emasaka.blog.fc2.com/tb.php/1445-fa547c96