「人に話したくなる世界史」
「居酒屋で人に聞かせて、ああなるほどって思わせるような話」をコンセプトとして世界史を語る本。歴史の話というと単一の国や地域の話になりがちだけど、同時代の複数の地域の関係を語ってるのが面白い。そして、全体を国際貿易が軸として貫いているのが特徴だ。
その特徴が特に印象的だったのが2章だ。中世にはヨーロッパは後進地域でムスリム圏が先進地域だったことは知っていたし、ヴァイキングが略奪だけでなく交易や開拓をしていたことも知っていた。が、本書で、ヴァイキングがムスリム圏と国際貿易をしていたことや、その交易ルートを後のハンザ同盟が継いだことを知った。
それに先立つ1章は、アレキサンドロス大王の東征を、それに先立つオリエント〜インダスの交易から読み解く。
3章からは、大航海時代からのヨーロッパ躍進の話が続く。大航海時代の始まりとアフリカ、大航海時代の東アジア圏(イスラム勢力とイエズス会)、ポルトガルとスペインが世界を二分していた時代など。また、グーテンベルクの活版印刷は、商業活動マニュアルや契約書に大きな影響を与えたとか。
8章から、それまで少しずつ出てきたイギリスが中心になる。借金やバブルを抱えながらうまく立ち回った話や、綿織物生産がインドからイギリスに移っていく過程など。
10章から南北アメリカの発展が始まる。背景には、「戦争と商売は別」というヨーロッパの考えによって中立国・中立都市が発展する構図がある。本書のオビで言及されている「母をたずねて三千里」に関しては、蒸気船によるヨーロッパから中南米への労働力移動と、イギリスの非公式帝国化が語られている。
最後に12〜13章では、イギリスのヘゲモニー(覇権)を、プラットフォームを握った者の強さという、現代のインターネットにも通じる視点から説明する。
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