最近、私の母校が、
データ改ざん云々と話題になっているようです。
あまりありがたい話ではありません。
「病気を診ずして、病人を診よ」という学祖の言葉がかすかに分かってきた、
その子弟の医者にとっては悲しい限りです。
しかし臨床データなど、
所詮あの程度の存在です。
数字一つで莫大な利益が転がり込むとなれば、
多少(かなり?)の捏造など簡単に行われてしまうのだと思います。
抗癌剤治療のデータとて同じであり、
製薬会社にとって多少の手心が加わっているモノと考えて、
その分差し引いて見なければなりません。
今回の騒動の責任は免れないでしょうが、
製薬会社の人間だけが関与して、
大学の医者は知らなかった、
ということを祈っています。
ところで、
一昨日の「がん治療のリスク」および、
昨日の「無治療ではダメです」でも、
無治療では残されたご家族に、
大きな悔いが残る。
ということを書きました。
男女合計では年間死亡者数第1位の肺がんは、
発生患者数では第3位です。
ちなみに男女合計で発生数が第1位は胃がんであり、
死亡者数は肺がんに次いで第2位です。
この統計データは、
様々なノイズは入っていますが、
捏造しても誰の利益にもならず、
概ね正確だと感じます。
死亡者数と発生患者数に乖離が見られるのは、
7月29日の「膵癌の厳しい現実」はじめ何回か書いているとおり、
ガンの種類により、
診断を受けた後の死亡確率が大きく違うからです。
発生数が3位であり、
死亡者数が1位ということは、
死亡確率が非常に高いことを意味します。
逆に胃ガンの、
発生数が1位で、
死亡者数が2位ということは、
胃ガンでは確定診断を受けても、
その病気では死なない患者さんもたくさんいることを意味します。
勿論、無治療で根治した患者さんは皆無だと思います。
ところで、
その死亡確率が極めて高い肺がんですが、
4月25日の「プラチナ製剤は猛毒?」でも書いたとおり、
「それしかない」「それが最高」といわれる、
標準的に最大耐用量の細胞毒の注入が、
本当に受けるべき治療か否か、
十分に考えなければなりません。
少なくとも、
死亡患者数1位2位を争う、
肺がん、胃がんに対する標準的な抗癌剤治療は、
「無治療」か「標準」かの二者択一の選択肢しか与えられないのであれば、
何の迷いもなく、
「無治療」を選択します。
特に肺がんの場合、
標準的抗癌剤治療に延命効果が有るか否かも、
まったく不明です。
どの治験をみても、
ほぼ1年以内に半分の患者さんが確実に死ぬ。
それもPS.0
すなわちほとんど自覚症状も無かった患者さんが消えてしまうのです。
ステージⅢb以上で手術不能でも、
元気な肺ガン患者さんが、
無治療・放置であっても、
1年以内に半分が死ぬとはとても思えません。
無治療の生存期間中央治値に関しては、
現在のデータそのものが存在しませんので、
何とも言えません。
しかし少なくとも、
元気だった末期肺ガン患者さんが、
標準治療が開始されると同時に、
入院が必要な重篤な病人に豹変します。
「再発肺癌 = 標準治療 = 仕事は無理」と、
6年近く前に診断された患者さんは、
現在もガンは治ってなどいませんが仕事は続け、
趣味の山登りを楽しんでおられます。
今回はヨーロッパの山に行くそうです。
勿論、無治療ではありません。
治療は継続中です。
治療開始後、何回目かの海外旅行のようです。
今年は小笠原にも船で行ってきたようです。
細胞毒はその程度で十分です。
標準治療では、
7回忌も近いと思われます。
無治療であっても、
3回忌はとっくに過ぎていると思われます。
「肺がん → 手術不能 → 標準治療」という、
概ね1年以内に半分の患者さんが亡くなる、
お決まりの選択肢が示されたなら、
それは冷静に考えて、
無治療という選択肢も考慮したほうが無難です。
胃ガンでも同じような成績です。
何が悲しくて登山などするのか、
私にはまったく理解できませんが、
人間の価値観は百人百様であり、
人間生きていること自体が楽しいですね。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
データ改ざん云々と話題になっているようです。
あまりありがたい話ではありません。
「病気を診ずして、病人を診よ」という学祖の言葉がかすかに分かってきた、
その子弟の医者にとっては悲しい限りです。
しかし臨床データなど、
所詮あの程度の存在です。
数字一つで莫大な利益が転がり込むとなれば、
多少(かなり?)の捏造など簡単に行われてしまうのだと思います。
抗癌剤治療のデータとて同じであり、
製薬会社にとって多少の手心が加わっているモノと考えて、
その分差し引いて見なければなりません。
今回の騒動の責任は免れないでしょうが、
製薬会社の人間だけが関与して、
大学の医者は知らなかった、
ということを祈っています。
ところで、
一昨日の「がん治療のリスク」および、
昨日の「無治療ではダメです」でも、
無治療では残されたご家族に、
大きな悔いが残る。
ということを書きました。
男女合計では年間死亡者数第1位の肺がんは、
発生患者数では第3位です。
ちなみに男女合計で発生数が第1位は胃がんであり、
死亡者数は肺がんに次いで第2位です。
この統計データは、
様々なノイズは入っていますが、
捏造しても誰の利益にもならず、
概ね正確だと感じます。
死亡者数と発生患者数に乖離が見られるのは、
7月29日の「膵癌の厳しい現実」はじめ何回か書いているとおり、
ガンの種類により、
診断を受けた後の死亡確率が大きく違うからです。
発生数が3位であり、
死亡者数が1位ということは、
死亡確率が非常に高いことを意味します。
逆に胃ガンの、
発生数が1位で、
死亡者数が2位ということは、
胃ガンでは確定診断を受けても、
その病気では死なない患者さんもたくさんいることを意味します。
勿論、無治療で根治した患者さんは皆無だと思います。
ところで、
その死亡確率が極めて高い肺がんですが、
4月25日の「プラチナ製剤は猛毒?」でも書いたとおり、
「それしかない」「それが最高」といわれる、
標準的に最大耐用量の細胞毒の注入が、
本当に受けるべき治療か否か、
十分に考えなければなりません。
少なくとも、
死亡患者数1位2位を争う、
肺がん、胃がんに対する標準的な抗癌剤治療は、
「無治療」か「標準」かの二者択一の選択肢しか与えられないのであれば、
何の迷いもなく、
「無治療」を選択します。
特に肺がんの場合、
標準的抗癌剤治療に延命効果が有るか否かも、
まったく不明です。
どの治験をみても、
ほぼ1年以内に半分の患者さんが確実に死ぬ。
それもPS.0
すなわちほとんど自覚症状も無かった患者さんが消えてしまうのです。
ステージⅢb以上で手術不能でも、
元気な肺ガン患者さんが、
無治療・放置であっても、
1年以内に半分が死ぬとはとても思えません。
無治療の生存期間中央治値に関しては、
現在のデータそのものが存在しませんので、
何とも言えません。
しかし少なくとも、
元気だった末期肺ガン患者さんが、
標準治療が開始されると同時に、
入院が必要な重篤な病人に豹変します。
「再発肺癌 = 標準治療 = 仕事は無理」と、
6年近く前に診断された患者さんは、
現在もガンは治ってなどいませんが仕事は続け、
趣味の山登りを楽しんでおられます。
今回はヨーロッパの山に行くそうです。
勿論、無治療ではありません。
治療は継続中です。
治療開始後、何回目かの海外旅行のようです。
今年は小笠原にも船で行ってきたようです。
細胞毒はその程度で十分です。
標準治療では、
7回忌も近いと思われます。
無治療であっても、
3回忌はとっくに過ぎていると思われます。
「肺がん → 手術不能 → 標準治療」という、
概ね1年以内に半分の患者さんが亡くなる、
お決まりの選択肢が示されたなら、
それは冷静に考えて、
無治療という選択肢も考慮したほうが無難です。
胃ガンでも同じような成績です。
何が悲しくて登山などするのか、
私にはまったく理解できませんが、
人間の価値観は百人百様であり、
人間生きていること自体が楽しいですね。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。