何回もこのブログで書いていますが、
「ガンと戦ってはいけない」
と唱える医者もいます。
そのこころは、
「どうせ負けるのだから抗癌剤治療で辛い思いをするのは無駄ですよ」だと思います。
その考え方も一理あります。
しかし、その医者独特の考え方・持論を、
患者さんに、
真実を知らせないまま押し売りするのは、
犯罪に近い行為だと考えます。
現在も、
その医者の騙されて1年以上前から再発が確認されているのに、
患者さんには知らせずに、
無治療で経過を診られてしまい、
辛い自覚症状が発現した段階になり、
いきなりホスピスを紹介されたというお気の毒な患者さんを診ています。
その患者さんは、
まったく副作用を訴えることなく、
辛い自覚症状は、
ドンドン軽快していっています。
ホスピスに行ったら、
行き先も、到着時刻も決められてしまうところでした。酷い話だと思います。
その患者さんは、
ホスピスに行くより、
人生を楽しく、
そして遥かに長く楽しむことができると思います。その患者さんのように、
まったく副作用を感じることなく、
ガンという厄介な病気が、
良い方向に向かうこともありますが、
必ずしも、そう都合良くいくとは限りません。
過去に標準的抗癌剤治療をタップリと執行され、
耐え難い辛い思いを経験させられた患者さんがいます。
その経験がその患者さんのトラウマになり、
常識はずれの少量でも(私の場合それが多いのですが・・・)、
耐え難い吐き気が出るというかたがいます。
その患者さんは、
お住まいが遠方のため、
毎回1泊入院での治療ですが、
クスリで眠くなる状態にして、
抗癌剤を使わないと酷い吐き気に襲われます。
はじめに使った量も、
標準量から比べれば、
4分の1程度なのですが、
それでも強い吐き気に襲われ、
我慢ができない、
とのことで、
仕方なくその半分量にしました。
はじめの量では、
腫瘍マーカーも低下しており、
効果が確認できましたが、
残念ながらそこまで量を落とすと、
治療効果が出なくなりました。
そこで、昨日は、
効果が認められたはじめの量に戻して点滴をしました。
今朝、その患者さんを診に10時半頃、病院へ行くと、
すでに、退院していました。
看護師の報告では、
別段吐き気は訴えていなかったとのことでした。
昨日、その点滴をする前に、
いくら量を減らしても、
吐き気が出てしまう、
そして、それが辛いのであれば、
治療を続けることはできない。
減量して効果が無くなっていることは確認されているので、
その量での治療は意味が無い。
効果が認められるはじめに使った、
標準量の4分の1程度は使わなければならない。
それで副作用が、嫌なのであれば、
無治療にするというのも一つの考え方ですよ。
一般的には、あの抗癌剤は標準量でも吐き気は非常に少ないクスリですよ。
と話しました。
それで、
「ある程度は我慢しなければならない」と考えた結果、吐き気が出なかったのかもしれません。
標準量の抗癌剤治療を受けた患者さんでは、
抗癌剤治療をイメージするだけでも、
気持ちが悪くなり、
吐き気がしてしまうという状態にまで陥っているかたも少なくありません。
しかし、その吐き気は、最大耐用量の抗癌剤による、
「本当の吐き気」と違います。「本当の吐き気」は
ご自身ではドウすることもできません。ただ耐え忍ぶしかありません。しかし、精神的な問題で発生する、
「見かけの吐き気」は、
精神力でもある程度カバーできるような気がします。
抗癌剤治療のために病院に行く日の朝になると吐き気がする、
しかし、抗癌剤の点滴が終わると同時に吐き気も治まる。
そして、次の週の抗癌剤治療の日の朝までは快調に生活することができる。
という患者さんもいます。
「精神的な、見かけの吐き気」は、
ある程度の我慢が必要になるときもあります。
抗癌剤治療では、
いくら量を減らしたからといっても、
まったく副作用無くそれをおこなうといのは、
難しい場合も少なくありません。
特に、辛い治療を経験された患者さんではなおさらです。
多少の我慢は必要なときもあります。
ご自信の置かれた状況と、
その副作用、治療のメリットとを、十分に考えて治療方針を決めてください。以上 文責 梅澤 充
タイカーブ(Lapatinib)という分子標的薬があります。
ハーセプチンが効かなくなった後に、
効いてくれることが期待されるクスリです。
現在、私が診ている患者さんのなかでも、
数名のかたが使われています。
しかし、そのクスリはまだ日本では承認されていません。
輸入をしなければ使えません。
はじめは有効だったハーセプチンが
時間の経過とともに無効になると、
その次の手を打つのは、
非常に悩みます。
今までは、ほとんど手はありませんでした。
それが、タイカーブの出現で、
大きな希望が見えてきました。
しかし、現在日本では未承認です。
輸入をすれば誰でも使えますが、
非常に高価です。昨年から、
承認の審査に入ってはいるようですが、
いまだに見通しも立っていないようです。
一方、スーテント、ネクサバールという
同じく分子標的薬は、
今年に入り立て続けに認可されました。両者ともとても高額な薬価がつきました。スーテントはグリベックで効果が無くなった消化管間質腫瘍(平滑筋肉腫)
および、根治不能または転移性の腎細胞癌に対して、
ネクサバールは、切除不能または転移性の腎細胞癌に対して、
健康保険で使えるようになりました。
いずれの適応症も、
ガンの中では少数派です。方や、タイカーブは、
ハーセプチンが無効になった乳ガンが対象です。承認後に見込まれるその利用者数は、
スーテント、ネクサバールの比では無いはずです。遥かに多くの患者さんが
待ち焦がれています。日本での承認は海外に比べて遅れていると言われますが、
日本で承認されるということは、
その薬剤費のほとんどを国が面倒をみるということに繋がります。
3割の患者負担でも間違いなく高額医療になりますから
国は、7割以上の負担を強いられます。ご承知のとおり、
今でも健康保険の財政難が叫ばれていますので、
そうアッサリと承認してはくれないように思います。
タイカーブの承認が遅れている理由の一つであるように感じます。
たくさんの患者さんが待っているクスリは、
なかなか承認されず、恩恵に与る患者さんが少ないクスリはすぐに承認。何とも納得いかない話しです。
もっとも、タイカーブの場合は、
ハーセプチンが無効になった場合に、
ハーセプチンと併用で使うのか、
タイカーブ単独で使うことで承認するのかでもめている、
したがって、承認が遅れているという噂も耳にしますが、
真相は不明です。
しかし、いち早く承認されているアメリカでも、
保障の大きな保険に入っているお金持ちしか使えない。
お金の無い患者さんは、
保険が無いため、
日本では保障されている最低限度の標準治療すら受けることができない、
というのが現状だと思います。
日本でもタイカーブは、
現在すでに一部のお金持ちだけには許されています。
他の新薬についても同様です。どちらの医療が良いのでしょうか・・・・
皆平等、
などという理想(?)は有り得ないと思います。
資本主義の世の中では、
格差はあって当然だと思います。
努力、能力の差は当然存在します。
しかし、それが露骨に寿命の差になっているのを見ると、
少々悲しい気分になります。
以上 文責 梅澤 充
常々感じていることを、
コメントで、先輩?後輩?の医師が指摘してくれました。
再掲します。
昔、医者の『大丈夫ですよ』の一言が患者さんを納得させていた
よくない?時代もありました。
それじゃあ現在は、というと、今は何かと対立構造の土俵上に
先に上がってしまってから、両者が対峙しているように思えてしかたがありません。
共に同じ目的~根治もしくは、より快適なより長い生存~を望んでいるはずなのに
歯車が合わないことが生じるのはなぜでしょう。
患者は自分だけの歯車の合う主治医を求めて、東奔西走。
医者には、かみ合わない患者に合わせるだけの余裕もない。
私は医師ですが、最近ガンを得て、両者の意識の乖離を
どうにかできないかと考えています
「大丈夫ですよ!」
この一言は、
「患者さんを納得させる言葉」というより、
患者さんを大きく勇気付け、
元気を与える言葉だと思います。その一言は、
患者さんの免疫力も大きく向上させることだと思います。それを、どの医者も言うことができたのは、
患者さんにとってとてもいい時代だったと思います。私が、医者になって間もない頃の
昔(?)の医者は、
その一言で、
患者さんに大きな安心感を与え、
また、治療としても利用していたように感じます。その言葉の根底には
「結果が同じであれば、
クヨクヨ心配させるよりも安心して生活させてあげるほうが良い」という、結果を知っている医者の
患者さんへの優しさが流れていたように思います。
医者のその気持ちは、
昔も今も変わらないと思います。
しかし、現在
真正面から「大丈夫ですよ!」
と言い切れる医者はほとんどいないと思います。知らない方がいいような、
知れば患者さんが不幸になるようなことまで言わなければなりません。
多くの患者さんは、
聞きたくもないことを聞かされ、
大きく免疫力を落とします。
何故でしょうか、
それは、患者さんの知る権利の問題もありますが、
ナンでも訴訟の現在の日本での、
訴訟に備えるためでもあります。
とても傲慢な考え方かもしれませんが、
7月24日の「アバスチンの効果」で書いたような、
「たとえ0.5%と言えども、死に至る可能性のある副作用が存在する」ということを知って、
ビクビク心配しながら、
そのアバスチンを使うより、
統計的にハッキリと延命効果が知られているのですから、
患者さんは何も知らずに、
良く効くことだけを期待しながら、
それを使う方が、
こころのQOLは大きく違うはずです。
心配しながら使っても、
「大丈夫ですよ」の一言で、
大船に乗った気持ちになって使っても、
副作用の発現確率は同じです。勿論、ご家族だけには、
事前にその真実は伝えておかなければなりません。
私は、真実はご家族だけにした方が、
患者さんは幸せであるという場合も少なくないように思います。
それが許されたなら、
患者さんも医者もどれだけ幸せか分かりません。
しかし、
7月26日の「医者のストレス」で紹介したような、
異常に心配性の患者さんやご家族では、
もはや、知る権利云々の問題ではなく、
医者がいくら「大丈夫ですよ」
と言っても聞く耳は持たない、
とても不幸な患者さん、ご家族だと思います。
そのリスクを伴うあらゆる治療は、
ご自身で拒まれているのと同じです。
患者さんに最善のことをしてあげたい、
と、どの医者も考えていると思います。
しかし、ナンでも訴訟の現在の日本では、
医者は自分の身も守らなければなりません。
患者と医者の意識の乖離は、
そこらへんに大きな原因があるように感じます。
「お任せします」と言われる患者さんも少なくありませんが、
他人にである一患者さんの言葉からは、
何処まで、
任せられているのか、
信頼されているのか、
見当がつきません。
本当に、医者を信頼して、
その医者にすべてを任せるという、
明らかな姿勢があれば、
乖離は少しは解消されるように思います。
しかし、それは理想的な患者さんと医者との関係であり、
いつも、言っているとおり、
患者さんは、病気・治療に対するある程度の知識を持って、
医者と対峙しなければならない現実が続くように感じます。
以上 文責 梅澤 充
私が診ているお二人の患者さんが昨日から入院しています。
今朝、お二人の顔を見てきましたが、
その後クルマの中で、
フト、あることに気がつきました。
お二人とも同じ病気です。
しかし、その経過・病態は大きく違っています。
お一人は再発するも、
まだ根治の可能性も残されており、
その完治・根治を目指して、
一昨日の「続・アバスチンの効果」で紹介したまいくまさんのコメントのように、
標準治療という一種の白旗を揚げることを拒み、
標準とはかけ離れた治療をおこなっています。標準治療では半分の患者さんは20ヶ月以内に亡くなるという病気です。その隣のベットでは、
再発と同時に根治を諦めた患者さんが治療をおこなっています。今は、抗癌剤の量がまったく標準ではない
副作用を感じない治療をおこなっています。その患者さんは、
再発を来たしてから7年以上経過しています。PS. はゼロです。
見た目には、まったく健康そのものです。
当時の標準治療では、
平均15ヶ月程度しかなかったはずです。
私がその患者さんを診はじめたのは、数ヶ月前からですが、
その7年間は、
抗癌剤治療専門の先生に言わせたら、
「標準治療からは大きくかけ離れた、効くはずがない治療」をノラリクラリと続けていました。
そのノラクラ治療は、
その患者さんには最善だったのですが、
主治医が変わったらしく、
標準とまではいかないまでも、
“けっこうまともな治療”を続けたところ、
酷い骨髄抑制が起こり、とうとう「治療方法は無い」宣告と同時にサジを投げられ、私のところに来ました。
前者の患者さんは、
なんとか根治することを祈るばかりですが、
はじめから根治は諦めた、
後者の患者さんでも、
7年間もそして現在も元気で普通の生活をされています。
そして最近登場した新しいクスリにより、
さらに元気な生活は続けられると思います。
根治を諦めなければならない状態に至っても、
長生きすることを諦める必要はありません。エビデンスに裏打ちされキチンキチンとした標準治療ではなく、
抗癌剤治療の専門家は「効かない」と言う、
患者さんに合わせたノラリクラリの治療の方が、
確実に長生きするように感じます。本日も、
自覚症状もまったく無く
ただ病気を抱えているだけの患者さんが、
まったく効いていない、
しかも極めて辛い標準的抗癌剤治療を
はじめた途端に病人に仕立てられてしまい、
その治療を続けるべきか否か迷いセカンドオピニオンに来られました。
健康保険の範囲では、
他の治療方法が無いからという理由だけで、
お義理で執行しているだけと思われる
そんな馬鹿げた治療を続ける意味はまったくありません。
現在、抗癌剤治療を続けている患者さんは、
その治療がご自身にとって、
本当に正しい治療であるのか否か、
再検討した方が良いと思います。以上 文責 梅澤 充
本日はお叱りのコメントをいただくことが予想されますが、
敢えて日々強く感じていることを書きます。
ガンという厄介な病気を抱えた患者さんの
精神的なストレスは、
健常な人間には計り知れません。
しかし、そのガン患者さんを診る医者にも大きなストレスがかかっています。
イレッサやタルセバ、
あるいは、一昨日、昨日と書いたアバスチンのような、
低いとはいえ死に至る副作用を合併する可能性がある薬剤では、
それを患者さんに処方するときには、
医者は大きな精神的なストレスを感じます。
勿論、一他人である医者のストレスなど、
患者さん本人の大きな不安感とは比較にならないとは思います。
しかし、医者のストレスも小さくはありません。
自分の処方が原因で患者さんが死に至るかも知れないのです。自分の携帯の電話番号を教え、
異常事態が発生したときには、
24時間対応しなければなりません。
実際に夜中に起こされたこともありますが、
その肉体的なストレスは、
24時間心配していなければならない精神的なストレスに比べたら、
ドウということはありません。
それだけストレスを感じながらその処方をおこなっても
当然、医者は無報酬です。
イレッサ、タルセバ、アバスチンなどの、
致死的な副作用が知られている薬剤では、
死亡確率は存在していても、
統計データ上は明らかに、
それを無使用の患者さんに比較したら長生きできることが分かっているから、
多大なストレスを感じながらもそれを使います。そのような精神状態・思考のうえで
医者はそれらの薬剤を使います。
そのような時に、
患者さんご自身、あるいはご家族が、
イロイロと副作用について独自に調べてこられ、
「○○のような場合もあるようですけれど大丈夫でしょうか?」
「○○のようなときには危険だと書いてありますが、
私の場合は大丈夫ですか?」と、書物に書いたあることを矢継ぎ早に質問されてこられることがあります。
「大丈夫ですか?」の答えは、
「分かりません」だけです。
何度も書いているとおり、
人間の身体は極めて個性的です。はじめてのクスリを使った時に、
特定の患者さんに、どのような副作用が発生するか、
そんなことは誰にも分かりません。そこまであらゆる心配をして、
「大丈夫か?」と確認されてくる患者さんに対しては、
危険性をはらんだ薬剤は一切使えなくなってしまいます。
もしご家族が、
そこまで心配されているのであればなおさらです。
不幸にして患者さんが副作用で亡くなられた後、
ご家族がナンと言ってくるか容易に想像できるからです。
リスクを伴わないガン治療は存在しません。
標準的抗癌剤治療では1~2%の確率で副作用にて死亡します。標準的抗癌剤治療での治療関連死については、
患者さん、ご家族ともあまり気にすることなく、
その危険な治療を受けておられるようですが、
確実に延命効果が証明されている、
新しい分子標的薬などでは、
遥かに確率が低くても、
異常に心配されます。
何とも不思議な心理です。
アバスチンなどは、
大腸・直腸ガンの患者さんでは待ち焦がれていたクスリであり、
大金を使って輸入してまで使っていた患者さんも何人も診ました。
現在も自費で使っている患者さんもいます。
また、使えずに目を瞑っていった患者さんもたくさん診てきました。
しかし、異常に心配性な患者さん、ご家族は、
せっかく巡り合えるチャンスが到来したのに、
本当にもったいない話しだと思います。
患者さん、ご家族のご心配は分かりますが、
それを処方する医者も少なからずストレスを受けながら、
使っています。
患者さん、ご家族の異常なまでの心配は、
医者のストレスを助長させます。
そのような患者さんでは、
せっかくのクスリも使われることはありません。
少なくとも私は使いません。
医者はリスクについては当然説明してあるはずです。
それを、さらにご自身で調べ上げ、
重箱の隅を突いてこられるといことは、
「そんなクスリは使わないでくれ」と言っているのに等しくなります。
どんな治療にも防ぐことができないリスクがあります。
そのリスクを100%防ぐにはその治療をおこなわないことです。リスクについての心配は分かりますが、
それが度を超すと、
チャンスを失うことになります。
アバスチンなどの場合、
「0.5%に当たってしまったならウンが悪かった」くらいに割り切れない患者さんでないと、
主治医は使ってくれないと思います。
以上 文責 梅澤 充
昨日の「アバスチンの効果」について幾つかのコメントをいただきました。
まいくまさんが面白いコメントを寄せてくれました。
一部再掲します。
「エビデンスに基づく治療」を「データに従ったデータ通りの治療」
と狭くとらえると、エビデンス通りの治療を行うに至った段階で
(30ヶ月に延びたにせよ)白旗をあげる、
という逆説めいたことになります。
つまり、あきらめないためには、いかにエビデンスに従わない治療を
続けられるかにかかっている、ということに、理屈のうえではなってしまいます。
難しい理屈ですが、
そのとおりだと思います。
勿論、カプランマイヤーの生存曲線の右端の方に、
限りなくゼロに近くギリギリのところで、
踏み止まっている、
ごく一握りのラッキーな患者さんは存在します。
すなわち、エビデンスどおりの治療でも、
数千人のうち数名は、
何年も生きていることができる、
ということです。
しかし、その確率たるや、
「ア○リ○スでガンが治る」のと同程度ではないでしょうか。
また、もしかするとごく稀なそれらの患者さんは、
ア○リ○スだけでもそれだけの期間に生きていられたのかもしれません。
現在の根治不能の状態のガンに対する標準治療とは、行き先も、到着時刻もシッカリと決められた、
強制収容所行きの列車に乗るようなものかも知れません。そして、その乗り心地たるや、
惨憺たるものです。収容所直行の列車に乗ったその瞬間から、
患者さんの運命は決まってしまっているとも考えられます。まいくまさんの逆説的な論法はとても興味深く読ませていただきました。
素敵なコメントをありがとうございました。
まいくまさんと同様の考えの患者さんが、
ご自信で考えたまったくエビデンスも無く、
健康保険の適応も無い治療を明日受けに来られる予定です。
本日もそのような患者さんが、
町田まで治療に来られています。
エビデンスどおりに、
行き先の決まった列車に乗ることを拒んだ患者さんです。
しかし、私のおこなっている治療も
残念ながら多くの患者さんでは、
到着時刻は未定ですが、
概ね行き先は決まっています。
私ができることは、
可能な限りその乗り心地を良くすることと、
到着時間を限りなく遅くさせ、
車窓の景色をできるだけたくさん楽しんでいただくことだけです。したがって、
はじめて来られた患者さんでは、
ご乗車を拒否することもあります。
根治という目的地が見えているような患者さんの場合です。
乗り心地は悪いことが予想されても、
私の列車へのご乗車はお断りして、
そちらに乗っていただくことをお勧めしています。
私が抗癌剤治療をおこなうよりも、
手術や放射線治療により根治への道が
残されているような患者さんの場合です。
しかし、私の治療や、
昨日のアバスチンのような薬剤による延命治療でも、
その延命期間の間に、
さらに延命が可能な治療方法が開発されるという可能性も残されています。
そして、その先には、
根治への道が開けているかも知れません。昔はハーツー遺伝子という
厄介な遺伝子を持った乳ガンでは、
抗癌剤は非常に効きが悪く、
年単位で長生きできる患者さんはほとんどいませんでした。
しかし今までは、
ハーセプチンの登場により、
年単位で元気に生活することは当たり前です。
そして、つい最近までは、
ハーセプチンというクスリが効かなくなると、
次ぎに効いてくれるクスリはほとんどありませんでしたが、
現在ではタイカーブ(国によりタイバーブ)という
分子標的薬が開発されてハーセプチンが無効になっても、
まだまだ長生きができるようになりました。このようにクスリのリレー、
言い換えれば、
命のリレーは、
確実に進んできています。諦めること無く、
着実な治療を続ければ、
明るい未来が開けてくる可能性は十分にあります。
もう一つ、霞さんからのコメント、
私も新薬、新薬と願ったのに肝心の体が抗癌剤でボロボロになったとはね。
この辺のやはり投与量のさじ加減が重要だったなんて
当初の私にどうして知ることが出来よう。
のようにならないでください。
さじ加減は極めて重要です。
ただし霞さんの場合、
その主治医のもとでは、
「治療方法は無い」
だけの話しであり、
アバスチンの出番はまだありそうに感じます。
諦めないでください。
以上 文責 梅澤 充
日々たくさんの治療成績データが出されてきます。
毎日といっていいほど、
新しい治療成績のデータを目にします。
カプランマイヤーの生存曲線といグラフです。
すべてエビデンスとされるような多くの
ほとんど亡くなった患者さんから得られたデータです。
そのすべてのデータで示されていることは、
どのくらいの期間、患者さんが生きているか、
ただそれだけです。
逆に言えば、
どのくらいの期間で亡くなられていくか、
だけが示されています。
ほとんどのデータは、「やっぱり、この程度ね」というものばかりです。「オ、ずいぶん延びた!」と感じるデータも時々見ますが、最近では、
直腸・大腸ガンに対して、
アバスチンの普及で、
欧米のデータを見ると、
目を見張るものもあります。
アバスチンを使ったグループ使わなかったグループを比較すると、
1年近くも差が出てきています。アバスチンを使ったグループでは、
生存期間中央値が30ヶ月を超えるデータも出てきています。
多くの場合アバスチンは、
直腸・大腸ガンに対して、
FOLFOX や FOLFIRI とIFLとよばれる、
(欧米ではゼローダを使った別メニューもありますが・・・)
所謂標準治療と併用で使われます。
FOLFOX、FOLFIRI、IFLは一般的には、少なくとも日本の標準治療としては、
2週間ごとに繰り返されます。30ヶ月を超える生存期間を考えると、
60回もそのラクとはいえない治療を繰り返すことになります。普通の人間がそこまで耐えられるはずがないと疑問を持ち、
イロイロ調べてみると、
キッチリ2週間ごとではなく
かなりチャランポランに治療が遂行されていたようです。
抗癌剤治療があまり得意でない外科医が、
大腸・直腸ガンの抗癌剤治療をおこなっているある病院では、
1回の量は標準量のようですが、
2週間ごとでは、
白血球、血小板の減少など、
骨髄抑制という致命的ともなる副作用が大きくなるために、
2週間ごとには、
どうも怖くてできないようで、
おっかなビックリに、
3~4週間に1回の割合でおこなっています。
はっきりと統計データは出されてはいませんが、
不慣れな医者がビクビクしながらのほうが
患者さんは明らかに長生きしているように思われます。標準的なFOLFOX、FOLFIRI、IFLなどは、
一人の人間では、
執行可能な回数は限定されていると思われます。もし、そうであれば、
2週間に1回よりも、
3週間、4週間に1回のほうが、
それが使える“時間”は、
1.5倍~2倍になります。すなわち、「治療方法はありません」宣告までの時間が延びることになります。勿論、耐性出現の問題もありますので、
そう単純な計算どおりには行かないとは思いますが、
完全に型にはめこんだ標準的抗癌剤治療よりは、副作用を恐れながらの
チャランポラン治療の方が、
患者さんはラクであり、
長生きができるように感じます。2週間に1回の割合で治療を繰り返していく、
というのは、
たまたま、エビデンスを出すための治験をおこなったときの治療スケジュールが
そうであったというだけであり、
3週間、4週間に1回の割合で治療を繰り返したデータが無い、
すなわち、エビデンスが無いからだけの話です。
さらに、標準量とされる投与量も、
治験のスケジュールに従っただけであり、
その量がすべての患者さんに最適などということはありえませんし、
「量を減らしたら効かない」
と主治医に言われた、
ということを患者さんからしばしば聞きますが、
その量では、
エビデンスを出すための治験が行われていない
だけの話しであり、「量を減らしたら効かない」ではなく、「その量ではデータが無い」が正しい言い方です。少なくともその主治医は、
その量で使った経験が無いのですから、
「効かない」
とは言えないはずです。話しは逸れましたが、
アバスチンには、
腸管穿孔、血栓症、異常高血圧などの
致死的な副作用も1%以下の確率ですが有りえます。しかし、その副作用により、
不幸にして亡くなられた患者さんも含めたデータで、
平均すると明らかに長生きしているのですから、
使った方が、
お得だと思います。アバスチンの使用は、
今までは、かなり厳しく、
様々な制約が付けられ、
自由には使えませんでしたが、
現在は、かなり自由に健康保険で使えるようになりました。いまだに、馬鹿げた(私の勝手な感想)イレッサ裁判は、
継続中のようですが、
3ヶ月で亡くなるはずの病態から、
イレッサでQOLを維持して、
年単位で普通の生活をされている患者さんも
たくさんいることを考えるべきだと思います。
以上 文責 梅澤 充
インフォームドコンセントとは、
今では、誰でも一度は耳にしたことのある言葉です。
80年代の後半頃から日本でも使われはじめた言葉です。
丁度その頃、私はシカゴにいましたが、
そこでは医者が患者に完全に説明するのは
当たり前になっていました。
とても読む気にならない保険の契約約定のような印刷物が、
これから治療を受ける患者さんすべてに渡されていました。
それは、医者の善意、
患者さんの権利、
というより、
訴訟になった時に、
医者の武器にするためであるように感じました。
しかし、理由はともかく、
患者さんは、その読む気にならない説明書(?)を
シッカリと読めば、
自分がこれから受けるかもしれない治療の、
メリット・デメリットを理解することが可能です。
そのうえで自分の治療を選択できます。
日本では、インフォームドコンセント(Informed-Consent)とは、
「説明と同意」と訳されますが、
患者には、ご自身の病気・治療に関して知る権利があり、
医者には、それを患者に知らせる義務があり、
その治療方法を患者自身が決定する権利を持つこと、を意味します。
そのインフォームドコンセントを
日本のガン治療の中心とされる某がんセンターが、
全国に普及させようとしています。
その某がんセンターで治療中の患者さんが
セカンドオピニオンに来られました。
その患者さんは、
「某がんセンターで治療をすれば、
治してもらえると思っていた」と、トンでもない勘違いのうえで辛い抗癌剤治療を続けていました。そのガンが、
標準的抗癌剤治療で治ることは有り得ません。
同様の勘違いをしたまま、
そのがんセンターで治療を続けた挙句、
それは間違いであったことに気付き、
あるいは、「治療方法無し」宣告で、
はじめて目を覚まし、
その後セカンドオピニオンに来られた患者さんは、
何人いるか数え切れません。
すべての患者さんは、
その某がんセンターでは、
インフォームドコンセントを受けているはずです。
某がんセンターにおけるインフォームドコンセントとは、「患者を誤解させたうえで、患者の欲しない治療に導く手段」であるかのように感じます。
勿論、患者さんの理解力の差も、
無視することはできません。
病状の説明書には、
きちんと「延命のための治療」と書かれていても、
患者さんご本人が、
勝手に希望的観測のもとに
「治る」と信じ込んで治療を続けているというケースもあります。
必ずしも医者の説明が不備だというわけではないと思います。
しかし「延命のため」と書いてあっても、
そのあまりにも短い延命期間についてまで言及している説明書は、
稀にしか目にしません。
お得意のエビデンスとは違う数字が明記されていることすらあります。そこに作為を感じしてしまうのは、
邪推でしょうか。
邪推ではないとすると、
十分な時間の取れない貧しい日本の医療では、
医者に騙され、
患者さんの欲しない医療に誘導されることを阻止して、
満足いくインフォームドコンセントを遂行するためには、
患者さんサイドで事前にある程度の情報は仕入れておく必要があります。
本来は、まったく何も知らない素人の患者さんでも、
十分な説明・解説により、
ご自身の治療を選択していくべきですが、
それは日本の医療事情では、
無いものネダリです。
やはり、何回も書いているとおり、
知識武装は絶対に必要だと思います。ある大学病院で肺ガンの診断を受け、
イレッサの内服を勧められた患者さんが、
その大学の治療に疑問を持ち、
セカンドオピニオンに来られました。
肺ガンにしては、
チョット様子がおかしいので、
イロイロと話しを聞いてみると、
20年以上前に甲状腺ガンの手術をしていることがわかりました。
その甲状腺ガンの再発と考えると、
“不思議な肺ガン”のすべてが納得いくので、
先ず、甲状腺ホルモン剤だけを処方したところ、
2週間で腫瘍マーカーの大幅な減少を認めました。
甲状腺ガンの再発で間違いないと考えられます。
その事実が分かってからも、
その大学病院では、
肺ガンの治療をするとの考えを捨てません。
肺ガン治療と甲状腺ガン治療ではまったく違います。
大学の医者も当然、
肺ガンではなかった、
甲状腺ガンの再発だったということは分かったはずですが、
一度診断をつけた病名は変えようとはしません。
患者さんに真実を知らせることすら拒むようです。
大学の威厳を保つためには、
インフォームドコンセントなど、
ドウでもイイようです。日本のインフォームドコンセントなど、
がんセンターでも大学でも、
その程度のもののようです。
「シッカリと説明を受けている」
などと考えたら酷い目に遭う可能性は十分にあります。
ご注意ください。以上 文責 梅澤 充
昨日の深夜にいただいたコメントを削除しました。
私自身のことを批判したコメントでした。
批判するのはご自由ですが、
匿名での批判はご遠慮ください。少々腹が立つ内容でしたが、
誤解されているかたも多いと思われますので、
内容を要約して掲載します。
批判を要約すると、
「免疫力を殺さず、ごく少量の抗癌剤で治療するほうが長生きをする」
という梅澤の記述は、
「抗ガン剤を標準治療する医者が副作用がありますが長生きできます」
というのと大差がないと思う。
ということと、
「梅澤は勤務医である」というが、
何処で勤務しているのか不明だ、
町田胃腸病院にも白鬚橋病院にもわかすぎクリニックにも勤務していない。
うめざわクリニックと町田森野クリニックの関係も分からない。
勤務医としての 梅澤氏に診察してもらいたいので 現在の勤務先を公表してほしい
サプリメントを売っている意味が分からない。
という何とも矛盾した支離滅裂な内容でした。
私がおこなっている治療と標準的抗癌剤治療の間で、
大差がないと思うのであれば、
日本中、何処でも誰でも受けることはできる、
標準的抗癌剤治療を受けてください。
私が診る必要はまったくないと思います。
私は、大きく違っていると考えています。
また、町田森野クリニックは、
改名して「うめざわクリニック」になりました。
紛らわしくて申し訳ありません。
また、私の勤務形態ですが、
私が診ている患者さんは、
私の勤務形態をご存知ですので、
敢えて、このブログを読まれているかた全員に
それを開示しようとは思いません。
少々特殊な勤務形態をとっています。
その理由も、
実際に治療をしている患者さん、
これから治療をはじめる患者さんには、
ご理解いただいていますので、
開示することは控えます。
特殊な勤務形態となっている理由の一つですが、
私は、勤務医もしていますが、
「うめざわクリニック」という自由診療専門のクリニックを
町田胃腸病院の直近で開業しています。
患者さんに最善の治療を受けてもらいたい、
と考えての苦肉の策です。なお、勤務している医療機関については、
そこは、都内の交通至便の場所であるため、
現在、週に2日ですが、
ほぼ満席状態であり、
ここで、その場所を開示してしまうと、
収容能力は、まだあまり大きくはなく、
また、私にも限界があり、
すぐにパンクしてしまいます。
現在治療中の多くの患者さんに迷惑をかけてしまいます。
今のところ、
まだ名前は伏せています。
受け入れ態勢が整いましたなら公開します。
町田の「うめざわクリニック」にセカンドオピニオンに来られ、
そこで、治療方法について話し合い、
お互いに納得し、
私が診ることになった場合、
場所的に都内のほうが便利であれば、
そして、空きがある状況でしたなら、
そちらを紹介して、
そこで治療をおこなっています。
また、健康食品・サプリメントに関する、
私のスタンスは、
何回もこのブログで書いているとおりです。
通信販売をしているように誤解されていますが、
私は、原則、自分自身で診ていない患者さんには、
健康食品の処方・販売はしておりません。
続けて使用されている患者さんに対しては、
お住まいが遠方などという理由がある場合には、
こちらから郵送することはありますが、
通販はしていません。
依頼のメールがよく来ますが、
すべてお断りしています。
健康食品・サプリメントに関して、
シッカリとした理解が無い患者さんにお分けすることはありません。
また、紛らわしいと、
お叱りをいただいた、
うめざわクリニックのホームページの窓口から、
セカンドオピニオンの依頼や質問をたくさんいただいております。
うめざわクリニックのホームページからの依頼は、
私のアドレスに転送されてきます。
そこで、何故か、文字化けしてくるメールがたくさん見られます。
システムの何処かに欠陥があるのだと思いますが、
今後、セカンドオピニオンの依頼や、
ご質問は、
私のメールアドレス、[email protected][email protected]まで、直接お送りいただきますようお願い申しあげます。本日は、
意味のよく分からない批判のメールをいただき、
少々腹が立ちました。
以上 文責 梅澤 充
このブログでは、
何回も何回もしつこく、
患者さん、ご家族は、
ガンに、ガン治療に対する知識をつけてください。
と訴えています。
知識とガン患者さんの寿命は確実に比例していると思います。
勿論、エビデンスはありませんが・・・・
しかし、私が患者さんに
「知識を付けろ」というのは簡単ですが、
現実問題としては、
まったく素人の患者さんには、
難しいところもたくさんあります。
膨大な情報の中から、
自分に必要な情報が何処にあるのかすら分からないことも少なくないと思います。
本日も何人かの患者さん、ご家族が
セカンドオピニオンに来られましたが、
一所懸命に情報収集はしているものの、
あまり当該患者さんには必要の無い知識というかたもおられました。
本日のセカンドオピニオンでは、
かなり有用な情報を提供できたと自負しますが、
やはり、素人の患者さんがはじめから、
ガン・ガン治療という
極めて難しい問題に喰いついていくのは、
少し無理があるかも知れません。
7月16日の「大学教授」に対して、
がん研やがんセンターは、外科手術を受けるケースや緊急性の場合、
技術力は高いだろうと素人判断で一般に思うのではないでしょうか。
癌について知識を持って病院を選ぶというケースは、緊急性のときはきついです。
オペが終わって、冷静に癌と向き合える状況になってからいろいろと知リ始める、
というケースも多いんじゃないでしょうか。
見た目だけでは、どんな人なのか奥深く真実まで判断できないし、
肩書きに揺れる面は誰にでも多少あるんじゃないですか。
いい病院であっても必ずいい先生にあたるというわけにも行かず、
それともはずれの先生にあたるのか、外科手術のときは困るなあ。
というコメントをいただきましたが、
急を要するときには、
どうにもならないと思います。
何処の病院でどのような治療を受けるかのは、
その患者さんの運命のようにも感じます。
実際に
「あの先生が手術をしていたら結果はまったく違っただろうに・・・」と感じることは少なくありません。
しかし緊急時に何処の誰先生が、
この状況では一番優れているであろう、
などということは、
ガン治療の現場に身を置く医者以外には、
知る由もないと思います。
緊急事態を回避されたなら、
その後の治療に関しては、
可能な限り重要な情報を得て、
今後の治療の計画を立ててください。
先日、切除不能のガン治療をはじめてから、
随分と時間が経っている患者さんに対して、
「どのような治療を希望していますか、
何か使って欲しいようなクスリなどありますか」と聞いたところ、
「それが、素人で分からないから、
先生にお願いしているんですよ!」と憤慨されていたかたがいました。
それも真理だと思いますが、
どのような治療を希望しているのか、QOLなのか、
寿命の長さなのか、
リスクなのか、
コストなのか、ご自身のお考えを何もお持ちでなければ、
治療の計画など立てられるはずがありません。
アドバイスのしようがありません。
知識を蓄えるきっかけとしては、
セカンドオピニオンはとても有意義な時間だと思います。ただし、
治療に対して何を最重要に考えるのか、
その優先順位だけは
明確にご自身で決めておかなければなりません。それが無いと、
セカンドオピニオンに行かれても、
ただ、ガン、ガン治療に対する一般論なレクチャーだけで終わってしまいます。
本日はそのような患者さんはおられませんでしたが、
ご自身のご希望だけは、
明確に決めておかなければ、
無駄な時間とお金になってしまいます。
私のセカンドオピニオンでは、
患者さんご自身の同席は必ずしも要求はしませんし、
また、紹介状も必須ではありません。
患者さん、ご家族からの情報だけでも、
相談にのっています。
しかし、手術を受けたのが2年前なのか3年前なのか、
また、再発が確認され、
辛いと言われる抗癌剤治療がはじまったのが、
今年なのか去年なのかも、
患者さん、ご家族揃って知らない、
というかたにお会いしましたが、
それでは、限られた時間内での、
有用なアドバイスは不可能です。
最低限の情報だけはシッカリと把握して、
多くの医者からセカンドオピニオンを受けてください。以上 文責 梅澤 充
患者さんは、
いろいろな情報を仕入れてこられます。
「レミケードを使ってもらえないか」と言ってきた患者さんがいます。
ガン患者さんでは、
レミケード(Infliximab)という名前は聞いたことがないかたも多いと思います。
現在、日本ではリウマチの治療薬として健康保険での使用が認められています。
欧米では他の自己免疫疾患に対しても使われています。
レミケードは免疫活動を司るサイトカインの一つである
TNF-αという血中物質に対する抗体です。
抗体治療薬としては、
ハーツー蛋白に対する抗体である
乳ガン治療薬のハーセプチンや、
VEGFに対する抗体であるアバスチンなどは、
よくご存知と思いますが、
レミケードもその一つで、
リウマチに対する今流行の分子標的薬です。TNF-αに結合して、
その働きを抑制することで、
リウマチの原因の一つと考えられる免疫力を抑制し、
リウマチの症状を改善させるクスリです。
「免疫力を抑制してしまったらガンには良くないではないか」と考えてしまうと思いますが、
ガンに対する免疫力は、
7月14日の「ガンと免疫」から
7月15日の「ガンと免疫・続き」7月16日の「大学教授」まで数日にわたり、
何回も書いたとおり極めて複雑なメカニズムで成り立っています。
TNF-αはガンに対する免疫力を高めるサイトカインである、
インターフェロンγという物質を増加させ、
さらに、一時期、抗腫瘍免疫の主役とも考えられていた、
サイトカイン、IL-12(インターロイキン-12)という物質を
誘導してくるという性質があるように考えられています。
すなわち、抗腫瘍免疫を増強させます。
ただ、何度も書いていますが、
これもあくまで仮説です。
A教授の仮説とチョット違うのは、
多くの人間のデータからの仮説という点です。
しかし、IL-12が本当に抗腫瘍免疫の主役か否かは
あくまで仮説であり真偽のほどは不明です。
しかしレミケードで治療をおこなっている
欧米の自己免疫疾患の患者さんでは、
極めて特殊なガンが多発していることが報告されていますので、
TNF‐αの抑制は、
腫瘍免疫の抑制に繋がり、やはり免疫を抑制することが、
ガンの発生に繋がっていることは間違いなさそうです。それでは、
何故、一般には免疫力増強を渇望しているガン患者さんに対して
免疫を抑制するレミケードを使うかというと、
話しは複雑になります。TNF-αは前述のように、
ガンに対する免疫力を強化する働きがあると考えられており、
一般的にガンが存在している患者さんでは、
その増加が望まれます。
しかし、ガンという病気(人間?)、免疫は、
極めて複雑なメカニズムで絡み合っています。TNF-αは、その増加により、
前述のインターフェロンγやIL-12という、
いわば
“善玉サイトカイン”を増加させます。
しかし、ガンが大きく進行して、
全身状態が悪化してくると、
何故か、TNF-αが凄い勢いで増加している患者さんをたくさん診てきました。「進んでしまったガンと、シッカリと戦ってくれるため」と思いきや、
患者さんはTNF-αの増加を見るや、
あっという間に旅立たれてしまう・・・TNF-αにはIL-1(インターロイキン-1)や
IL-6(インターロイキン-6)などの、
善玉に対抗するかのような
“悪玉サイトカイン”も増加させてくれます。
IL-1やIL-6は所謂「悪疫質」へ、
患者さんの身体を誘導するとされています。すなわち
「全身状態の悪化 → TNF-α増加 → IL-1&IL-6誘導 → 悪疫質 → 死亡」と誘導されていくように思われます。
そのような状態の時に、
レミケードはTNF-αを阻害することにより、
悪疫質からの改善が得られ、それが、所謂、末期状態のガン患者さんの、
全身状態の向上に繋がるものと考えられます。
しかし、ガンが進行して全身状態が悪化すると何故、「TNF-α増加 → 善玉サイトカインの増加 → ガンの改善」にはならないのかは不明です。「1ヶ月ですべてのガンが治る」
という素晴らしい治療により、
ノーベル医学賞が受賞されたなら、
その難問もきっと解決されると思いますが、
数百年は無理でしょう・・・・患者さんの免疫力の測定は、
当然健康保険では認められておらず、
とてもお金がかかるので、
私は、現在まったくおこなっていません。
したがってハッキリしたことは言えませんが、
免疫力を動かすというサプリメントを摂取している患者さんの経過を観ていると、
善玉サイトカインの増加によりガンが良い方向に向いていると
感じられるかたもいますが、
悪玉サイトカインの増加が抑えられているように
感じる患者さんのほうが多いように感じます。
勿論、まったく何も反応していないと思われる患者さんも少なくありません。
また、延命効果のほどはまったく不明ですが、
レミケードと同様に、
悪化した全身状態を大きく改善してくれる確率が高いと
感じられるサプリメントなどもあります。
しかし、それはすべて根拠の無い
ただの私の勘です。
ただ、臨床をまったく知らない某教授の仮説よりは、実際の患者さんを診ての勘ですから、
現実に近いとは思っていますが・・・・ガンと免疫との関係は本当に複雑です。
それをシッカリ解明している人間など何処にもいません。元気なガン患者さんが
安易にレミケードなど使うべきではありません。また、レミケードはガン患者さんに対しては、
どのような使い方をすればいいのか、
その使用方法は確立されたものはありませんが、
とても高価なクスリであり、
もし、リウマチの治療と同様に使うとすれば、
一月数十万円もかかります。
そして当然、ガンの患者さんでは健康保険では使えません。
1アンプル100mgを月に1回でも十分なようにも感じていますが、
それでも10万円以上はかかります。
ガンと免疫、さらに経済の関係は、
極めて複雑です・・・・以上 文責 梅澤 充
手術後にガンが再発してしまった、
あるいは、ガンが発見されたときから、
身体のあちこちに転移病巣が発見されたようなときには、
多くの場合、
手術でガンの完全切除おこなうことは難しく、
延命のための全身治療になります。
ガンの転移とは、
はじめにガンが発生したその場所から、
ガン細胞が血液やリンパ液に乗って、
転移場所まで旅をしてきたのです。
ガン細胞1個の大きさは10μm(ミクロン)、
1㎜の100分の一ですから、
そんな小さな細胞が、
千個や1万個飛んでいっても、
肉眼でも、機械の目でも見えません。
しかし、たった1個のガン細胞だけが、
旅に出るということは、
一般には有り得ません。
数十万、数百万個の細胞が一斉に旅立ちます。
そして、たった一個の細胞が何処かに根付けば、
転移病巣になり得ます。
一方、機械の目では、
ガン細胞が数億個にまで増え、
数mmの大きさになった時点でまで、
転移病巣は確認できません。
したがって、
見えている転移病巣が一つであっても、
その影には数百、数千のまだ見えない病巣が
隠れていると考えるべきです。
それ故、全身への抗癌剤治療が第一選択とされています。
しかし、実際には、
大腸ガンの肺転移が、
その切除手術により根治しているという患者さんもいますし、
通り一遍の型にはめ込んだ考えだけに執着し、ただ延命のためだけの抗癌剤治療に走るべきではありません。実際に肺と肝臓の両方に転移を認めるという患者さんは少なくありません。
そんなとき、
全身への抗癌剤治療をおこなっても、
肺の病巣は縮小するも、
肝臓の方は増大する。
あるいはその逆、
という現象はしばしば目にします。
その時に、
例えば、肝転移病巣が、
致命傷になる可能性が高いと判断されれば、
肝臓の動脈に管を留置して、
そこから定期的に抗癌剤を流して治療をおこなうこともあります。
放射線を使うこともあります。
ケースバイケースでイロイロな対処法があります。しかし、その対処法の選択は、
非常に難しいことが少なくありません。
多くの場合、「その患者さんにとって、何が最善か」
散々迷います。
某がんセンターのように、
一切局所治療はおこなわない、
と、シッカリと治療方針が決まっていれば、
そこの医者は、
迷うことなく、
とてもラクですが・・・・
その治療方法には、
プロである医者も大いに迷うのですが、
患者さんも、
身体のアチコチに転移病巣があるとなると、
ご自身でも、迷うのではなく、
悩み、心配します。
そして、
「ここ転移には、この治療はドウでしょうか」とご自身で治療方法を探してこられることも少なくありません。
多くの場合、
患者さんが提案してくる、
その治療方法のことは、
医者はすでに考えています。
しかし、適応は無いと判断して、
それを、医者の方から患者さんへの提示はしていません。
それでも、やはり、
身体の一部の、気になる病巣だけでも、
ナンとか縮小させたい、
あるいは消失させたい、
という強い願望から、
その治療に走ってしまう患者さんもいます。
副作用が無ければよいのですが、
多くの局所治療には副作用も当然存在します。
ガンの一部だけを、
コントロールするための局所治療のために、その副作用により、
むしろ寿命を縮めてしまう患者さんもいます。勿論、局所治療が有効な例はたくさんあります。
私も、局所治療は多くの患者さんで併用しています。しかし一般的に、
切除不能のガンは全身疾患です。
闇雲に、患者さんから見て「気になる病巣」だけに執着してしまうと、
取り返しのつかないことにもなりかねません。局所治療をおこなうときには、
主治医と十分に相談のうえ、
決定してください。以上 文責 梅澤 充
ここ数日の内容について、
ガンを患うある患者さんから
お叱りのウラコメントをいただきました。
ご家族が現職の大学教授をされている患者さんです。
ご本人が同定されない部分だけ掲載します。
さてここ数日、とある大学教授に対する批判的な記事が多いようですが
非常に個人的な愚痴ですが
一部のひとたちを「大学教授」という大雑把な分類で括られ批判されるのは、
大変不愉快です。
他の教授の事はどうだか知りませんが
十把一絡げに「大学教授はこんなもんだ!」みたいな文章を読んでいると
シツレイながら、なんだか腹が立ってきました。
怒りのあまり、思わずウラコメントしてしまいました。
・・・・・・・・・・中間省略・・・・・・・・
ムカつく教授が多いのは仕方ありませんが
そのムカつく教授のバックにも家族や、
そのむかつく教授を大切に思っている人たちがいる事を忘れないでください!
そのとおりです。
トンデモ教授は、
ほんのごく一部だとは、思います。実は私の実兄も医学部ではありませんが大学の教授です。
また、大学の教授である患者さんも何人か診ています。
医学部の教授もいます。
兄も含めてその方々にトンデモ教授は一人もいません。
トンデモ教授は、
ごく一部の、極めて特異な人間だと思います。
警察官だって痴漢を働く人間がいるのと同じです。紹介した一部の某トンデモ教授については、
「確証があるのか」
とのオモテもコメントを頂いておりますが、
シッカリとした証拠があります。
患者さんから得られた真実の元のデータは、
私は現在も保存してあります。
そのデータの真実の数字と、
論文の活字になっている数字とが、
違っているのです。すなわち改竄です。検査結果の数字を改竄して、
ご自分の推奨する、
ガンに対する健康食品に、
さも、治療効果があるかのような論文を書き、
それを発表しているのです。
真実の数字が示すものは、
「まったく効果など無い」なのですが、
「論文にもなっている」
「学会でも認められている」を宣伝文句にして、
患者さんを騙して、
売りつけていました。
そのトンデモ元教授には、
そのような事例は幾らでもあります。
その教授の著した素人の患者さん向けの書籍も、
そのような改竄データ満載です。このようなあまりにも特異な教授は、
多くはいないとは思いますが、
教授という名前だけで、
一般の患者さんは惹かれてしまいます。数名からコメントをいただいている安保教授は
そのようなデタラメは無いとは信じますが、
教授の肩書きだけで、
安易に信用すると酷い目に遭う可能性が多分にあると思います。
氏の仮説は、実際のガンを知っている一般の臨床医は、
ほとんど信用することはないと考えます。
少なくとも私は、
あの仮説の99%までは信用していません。
教授の肩書きだけを信用するべきではありません。また、“教授”ではないようですが、
「内山 守」様から、
執拗に「ガンが一月で治る」
というコメントをいただいておりますが、その根拠、データの開示を先ずおこなうべきではないでしょうか。
否、それよりも前に、
内山守様のパートナーといわれる、
ガン治療に素晴らしい実績をあげておられるラーメン屋さんを
早くノーベル賞候補として、
ノミネートしてもらうよう運動を起こすべきです。
一刻も早くノーベル賞をお取りいただき、
世界中の数百万人のガンに悩む患者さんの福音にするべきです。小生のつまらないブログなど読むより、
早く、運動を起こしてください。
データの開示もいっさい無く、
ただ、「ガンが治る」コールだけを唱えていたら、
某トンデモ教授と同じような目で見られてしまいます。それは全世界にとって大変な損失です。「くだらない」などと、
大変失礼なを書きかたをしたことを、
深くお詫び申しあげます。
日本初のノーベル医学賞を楽しみにしております。以上 文責 梅澤 充
追記:何回もお願いしてることですが、
セカンドオピニオンの予約や、
相談のメールの時に、
「○○県の○×ですが・・・・」と書かれていても、
何処の○×様なのか、
記憶力の悪い私のアタマでは
毎日何通も来るメールに対して、
イチイチ名前は覚えておりません。
返信のメールの時には、
必ず、私がお送りしたメールを付けて返信いただきますようお願いいたします。
以前にも書きましたが、
現在の日本では、
医療費削減の一環として、
在宅での治療の普及に熱心です。
高くつく入院での治療ではなく、
可能な限り安価な在宅での治療に
切り替えてもらおうと
国をあげて躍起になっています。
その一つに「在宅高カロリー点滴」があります。現在、私はまったく経口食事療法摂取が不可能な患者さんを何人も診ています。
何も食べられなくても、
毎週、元気に外来に通院して来られます。
それは、在宅高カロリー点滴のお陰です。
消化器がまだ使える患者さんでは、
胃に穴を開けて管を留置し、
そこから栄養を注入するという方法もあります。
いずれにしても、
ご自宅に居ながらにしての治療です。
昔は持続点滴となると入院と相場は決まっていましたが、
今は自宅で可能です。
人間モノが食べられなくなると元気がなくなります。
当然です、
エネルギーが無ければ、
動くことはできません。
そうなると必然的に寝ている時間が長くなります。
家に居ても1日中寝ている。すなわちPS. 4 という状態に陥ってしまいます。そうなると、即座に標準的抗癌剤治療の適応は消滅します。標準的抗癌剤治療ができなくなると、
即座に「治療方法はありません」宣告が発せられます。完全に一連の流れとしてできあがっています。考えてみてください。
元気な、病気でない人間でも、
何も食べるものが無かったなら、
何日間、普通に活動を続けられるでしょうか。
水だけしかなかったならば、
1週間活動続けることは不可能だと思います。
日本の近くの国のニュース映像で、
貧しい国民が、
皆、うずくまって寝込んでいる姿をしばしば見ます。
彼らはガンではないと思います。
ただ食べるものが無いだけです。
人間食べなければあのような状態なります。あのニュース映像の国民たちは、
全員PS.4であり、標準的抗癌剤治療の適応はありません。
「治療方法はありません」「ホスピスに行ってください」
になります。
もし彼らの中に、
ガンの患者さんがいたら、
ただ、満足な食事さえ与えれば、
PS.0で即座に標準的抗癌剤治療の適応になるはずです。
7月7日の「憂鬱な季節」でも書きましが、
ガン死ではなく餓死の患者さんが相当に多いのではないかと感じます。消化器を巻き込むガンで、
物理的に食事が摂れなくなる患者さんいますが、
ガンが進行してくれば、
そのガンに対する直接な治療や、
痛みなどに対する治療の影響で、
食事が摂れなくなる患者さんも少なくありません。
そうなると、
全身状態はドンドン悪化していきます。
そして、間も無く、
標準的な治療方法の適応は無くなります。
行き先はホスピスでの緩和ケアだけに限定されてしまいます。
現在の日本での標準的抗癌剤治療の行き先は、
ガン死ではなく、
飢餓死であるケースが相当に存在します。
ガンの進行 → 経口食事摂取低下 → 全身状態の悪化(PS.低下)
→ 治療法無し → 緩和ケア → 飢餓死という一連の流れが完全に出来上がっているように感じます。
まったく何も口から入れずにいても、
シッカリと高カロリーの持続点滴をしていれば、
人間はそう簡単には死にません。
癌性腹膜炎でも、
そのガンが、直接患者さんの命を脅かすまでには、
相当に時間はかかります。
また、そうなることを防ぐ、
あるいは遅らせる手立ては、
シッカリとカロリーを摂取して、
全身状態さえ良くしておけば、
いくらでも考えられます。一連の飢餓死に至る流れを、
可能な限り早く断ち切り、
飢餓死を避けて、ガンと戦ってください。そのためには、
在宅高カロリー点滴をドンドン活用しましょう。「そんなに栄養を入れたら、ガンを増大させる」
などと、バカなことをいう医者もいますが、
その前に、栄養が入らなければ、
飢餓死するということをお忘れなく。
以上 文責 梅澤 充
ここ二日ほど、
某大学教授のことが話題になっていますが、
大学教授と名前がつく人が、
素人向けに、
何か言ったり書いたりすると、素人さんはすぐに信じてしまいます。大学教授とは、
一般に、その学問の世界では、
ある程度、専門家から認められている人間です。
そもそも、そういう人であれば、
素人向けの書籍ではなく、
学会誌などの専門家向けの論文を書くべきであり、
そこで、専門家に認められたなら、
その後に、その素晴らしい学説は、
世間一般の素人集団にも、
広がっていきます。
教授が書く論文は、
大きな注目を浴び、
新しい発見や学説であり、
それが正しければ、すぐに評価されます。
大学の教授とは、
その地位により、
その世界の評価は受けやすい立場にあります。
それを、利用してドンドン学会で業績を残すのが普通の教授です。
立場上、極めて簡単にできる専門家への開示を
いっさいおこなうことなく、
いきなり素人向けの荒唐無稽の書籍を著すのは、専門家には認めてもらえないことが、
分かっているからではないでしょうか。私も、素人さん向けの書籍を書いていますが、
それを書く前に、
症例を一つ一つ詳しく再度検証して、
はじめに論文を書こうかと考えました。
しかし、大学を離れた無名の一外科医が書く論文など、
誰の目にも留まりません。
それよりも、
目的は、
何も知らない患者さんが、
よりご自身に合った治療にめぐり合うことですから、
論文ではなく、
ガン患者さんが誰でも読める一般の書籍にしました。
しかし、大学教授は立場が大きく違います。
一般庶民への情報の直接伝達ではなく、
学会という、
一種の監査機関の目を通して、
高いレベルでの信憑性のある学説を発表するべきだと思います。
流石に、
かの荒唐無稽の仮説(?)は、
どの学会にも報告はされていないと思います。それができないとは、
その内容が如何なるものであるのか、
ご自身が一番良く知っているということだと思います。もっとも、
大学教授といっても、
すべて捏造・改竄データだけで、
塗り固めた、
自分のクリニックの宣伝用のバイブル本を何冊も、
書き続けている元某大学教授も、いまだに生息していますので、教授の称号など安易に信用しないほうが無難です。その某元教授は、
学会でも捏造データを堂々と発表していました・・・
臨床医の経験がまったく無い、
免疫学の「某名誉教授」なども、
ガン治療の自費クリニックの、
顧問になっているという例もあります。
素人さんが、
教授・名誉教授などの称号の真の意味を知らずに、
ありがたがる風潮を利用したものです。そのようなところは、
あまり信用しない方が無難だと思います。以上 文責 梅澤 充
昨日の「ガン治療と免疫」に対して幾つかの興味深いコメントをいただきました。
その中でも、
是非、以下のページはご覧ください。
◇ 自律神経免疫療法
http://cancer.jpn.org/index.cgi/%BC%AB%CE%A7%BF%C0%B7%D0%CC%C8%B1%D6%CE%C5%CB%A1
◇ トンデモさんとの出会い
http://osha-bun.hp.infoseek.co.jp/miscellanea/abo.html
◇ 一つの仮説だけを信奉することは危険
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/297379.html
現在のガンに対する免疫の考え方の危うさが良く見えると思います。
某教授の仮説はすべてがデタラメとは、
思いませんが、ガン患者さんとしては、
けっして信じない方が無難だと思います。あの仮説を見ていると、
研究者が同僚と一杯飲みながら、
酔っ払った勢いで、
アタマに浮かんだことを好き勝手に、
面白おかしく口走った内容が、
そのまま活字になっているような気がします。
100%有り得ない内容でもないように思います。
昨日も書きましたが、
ガンに対しての免疫は、ガンの進行に確実に大きな影響を及ぼしてはいると感じます。間違いなく、
免疫の仕業、あるいは、お陰と、
考えられる経過は日々観察されます。
例えば、
恒常状態を上手く保つことができているガンが、
ご家族の病気や事故などのトラブルという、
当人とは直接、物理的な関係のない精神的なストレスなどにより、
突然、悪化しはじめる、
そして、そのストレスが回避されると、
また元の安定状態に戻る、
という現象はしばしば見られます。
これは精神的ストレスがガンに対して悪さをする。恐らくは、ストレスにより免疫力が低下し、
ガンに抵抗する力が弱くなったという結果だと考えられます。そこには自律神経も大きく関与していると思われます。しかし、そもそも、その免疫力とは如何なるものであるのか、
勝手な仮説を立てている人間はたくさんいますが、
どれが正しいのか誰にも分かりません。
角度を変えて眺めると、
ドウ見ても筋が通らない、
無理と思われる仮設ばかりです。
私自身もイロイロ仮説を立ててみましたが、
八方上手く治まる仮説は、
私の悪いアタマでは今のところ築けていません。
そして、その免疫力とされるものの尺度も、
NK活性やら、
サイトカインの産生能力やら、
免疫細胞の数だの、現在のところ、それを計る物差しがイロイロ存在していて、
どれが正しく、ヒトの免疫力を表しているのかも分かっていません。極めて高額な料金で、
独自の物差しを用いて、
免疫力と称している数字を、
頻回に調べているクリニックもいまだに存在しているようですが、
それが、本当に免疫力の指標なのか否かも不明です。何を計っているのかも分かっていないのですから、
お金の無駄だと思います。しかし、私は、約1万人のガン患者さんの、
ある一つの尺度で見た免疫力のデータを持っていますが、
それによると、
ガンを背負っていても、
全身状態が良く元気な患者さんでは、
とても免疫力が高い、
という傾向が明らかに認められています。これは、人間はガンが発生するとそれを押さえ込もうとする力が、
自然に働いてくる、ということの証であるように思います。
しかし、それすらも真実は分かりません。
免疫は極めて難しい、
ほとんど未開の分野です。どの学者も分かったようなことを言っているようですが、
そのほとんどは、まったく何も確証は無く、
勝手に屁理屈を並べて、
その仮説が正しいと思い込んでいる。
あるいは、人を信じ込ませようとしているだけだと思います。
サプリメントに関しては、
私は、まったく悪いとは考えていません。
経済的に被害が及ばないのであれば、ドンドン使ってみるべきだと考えています。それは、まったく未知の世界で、
アタル患者さんがいることは事実だからです。しかし、そこには、
「そういう運の良い患者さんが偶然存在している」というだけで、勝手に謳っている仮説などにより、
その効果が立証されているものなど存在しない、
といことだけは忘れないでください。何回も書いている、
ガン、および患者さんの個性の多様さは、
免疫力の存在が、
極めて密接に関与していることは間違いないと思います。以上 文責 梅澤 充
ガン治療において、
ガンを宿した患者さんの免疫力は、
非常に大きな力を発揮していることは、
間違いの無い事実だと思います。それは、このブログで何回も書いているとおり、
日々の診療で痛感しております。
しかし、本日ある患者さんが、
「街の本屋のガン治療のコーナーには、
○○先生や、○×先生なんかの
無治療でガンが治るというような本ばっかりですね」と言われていました。
本屋さんに出向いて現在の状況を確認はしていませんが、
たしかにネットや、
ガン関連の患者さん向けの雑誌には、
免疫学の先生などがもてはやされ、
患者さん向けの講演会などもたくさん開かれているようです。
オマケに昨日は、
すべてのガンが、3~4種類の特殊なサプリメントにより、
3ヶ月以内に完治する。
すべてのガン患者さんの腫瘍マーカーが3ヶ月以内に0になる。
ラーメン屋さんがボランティアで治療(?)をおこなっている。
2年間で十数人のガンを根治させ、
1例も治らなかった患者さんはいない。
先日も前立腺ガンの腫瘍マーカーが0になったと報告を受けた・・・・
という、
あまりにも馬鹿げた、
ウラのコメントが入っていました。
その患者さん(?)も、
免疫学の大家であるA教授のお考えに陶酔しているようでした。
このコメントは、
「腫瘍マーカーが0」という自体、
何も分かっていないかたの、
まったく信憑性の無い文章であることを露呈していますが、
大学教授という肩書きを持った人間が物を書くと、
患者さんはひたすら信じてしまいます。A教授は免疫学の大家です。
しかし、基礎医学の研究者です。
実際のガンを患った人間を診た経験はほとんどお持ちではないはずです。
研究室に閉じこもり、
黙々と動物相手、
あるいは試験管相手の仕事を続け、
論文をたくさん書かれてこられた学者先生です。
動物実験のデータや、
試験管の中の細胞から得られたデータは、
一定の傾向はつかめるかも知れませんが、
人間には直接的には当てはまりません。
まして、免疫学は、
毎年教科書の内容が書き換わるほど、
まったく未知の分野で、
多くの学者がまったく正反対の学説を唱え、
それぞれ「自分の学説こそが正しい」
と主張してあっている戦国乱世の状態です。今年まで正しいと考えられていた学説が、
来年には正反対の学説が真であった、
となることも珍しくありません。
何が何処まで正しいのかすら分かっていません。そえぞれの基礎研究者が、
自分の仮説が正しいと導くための、
傍証を幾つも並べて、
それぞれが言い争いをしている世界です。
たった一つの事象でも、
見る角度により、
様々な姿を見せてくれます。
自民党が見れば正しい政策も、
共産党から見ればまったくの愚作になるのと同じです。
考古学という学問は、
私のような素人の目から見ると、
発掘された僅かな遺品から、
何千年も前の人間の暮らしに思いをめぐらし、
その世界を想像するという、
とてもロマンチックな学問のように感じますが、
免疫学もほんの僅かな情報から、
自分の立てた仮説が正しいという方向に導いていく、
あるいは、僅かな情報から、
仮説を立てて、
一つの事象をイロイロな角度から眺め、
その傍証とし、
その仮説の信憑性を高めていく、という、
ある意味、考古学と同様の、
ロマンに溢れた学問という性格も持ち合わせているように感じます。
悪く言えば、“学者のお遊び”的な要素も多分にあります。勿論、そのお遊びの中から貴重な情報も得られていますが、
その臨床応用が、
基礎の学者と臨床医のコミュニケーションが上手く行かずに、
ほとんどおこなわれていないというのが現状のように感じます。
残念ながら基礎の研究者は、
患者さんを診たことがないのですから、
人間での応用の仕方を知りません。また、多くの臨床医は、
動物実験の結果など見向きもしませんして、
その価値を理解していません。そもそも、抗癌剤治療の専門医は、
免疫など完全に無視しています。
とても残念なことです。私も標準的抗癌剤治療に限界を感じ、
免疫治療に興味を持ち、
2年ほど覗いてみましたが、
私の間抜けなアタマでもすぐに理解しました。
「一臨床医が臨床の片手まで理解できるほど簡単な学問ではない」
「免疫の研究は賢い研究者に任せて、アホな臨床医は、
患者さんから得られる事象だけを正確にとらえて、
それを臨床に生かしていけば良い」とだけ・・・・
現在の日本のガン治療の実際は、
学者のお遊びに振り回されているように感じてなりません。実際のガン患者さんを診ている臨床医は
「ガンは転移して、治っていく」
「爪をもむとガンが治る」
などという、実際のガンの動向とは、
あまりにもかけ離れた仮説(?)は誰も信じません。ナンとか上手く基礎研究と臨床との
コラボレーションができる日が来ることを祈っています。そのためには、
患者さんも、人間のガンを実際に診たことのない学者先生の
臨床へ立ち入った話を真に受けないことも
とても重要だと思います。患者さんが、
基礎研究者の唱える、
あくまで試験管や動物でのデータを真に受けて、
ご自身の身体に当てはめてしまうから、
彼らが臨床医とコラボレーションする必要がなくなってしまいます。
誰でも、ご自身の説をまったく受け止めてくれない臨床医より、、
素人でも、自分の説を正しいと思ってくれる人間と話しをする方が楽しいでしょうから、
精力的に講演会なども開かれ、
正しいとは思えない治療に導かれてしまう被害者がたくさん出てしまいます。
以上 文責 梅澤 充
患者さんがセカンドオピニオンに来られました。
ある有名なガン治療医が書いたとされる
ガン治療に関する書籍をお持ちになっていました。
その先生の名前は何度か聞いたことがありましたが、
本を見るのははじめてでした。
その内容をみて少々驚きました。「小さな肺ガンでは局所制御率は90%もあることが、
海外の研究でも知られている」書かれていました。
それは事実であり、
まったく嘘ではありません。
しかし、そのすぐ次の行には、
「広範に広がり手術不能な肺ガンも根治の可能性もあり・・・」などと書かれています。
それを見た素人の患者さんは、
どのように感じるでしょうか、
本日来られた患者さんは、
ステージⅢ以上の肺ガンで、
根治手術は不能と診断されたかたです。
そのような患者さんがその文章を読んだなら、
「かなり高い確率で、その治療により、
ガンが根治するのことが期待できるのではないか」と勘違いをしてしまうように思います。
酷い場合には、
「手術ができない私のガンも90%の確率で根治する可能性がある」とトンでもない勘違いをしてしまう恐れもあります。
その治療で、
ステージⅢ以上の肺ガンの根治はほとんど有り得ません。その本には、
そのような肺ガンでも、
根治しているという症例が報告されていましたが、
80歳以上の患者さんと
10歳台という普通とは違う状況の患者さんでした。
また、そこで治療を受けたというある患者さんが書かれているブログで、
『治療が終わった時に、
その先生から、「もう二度と会うことはないでしょう」
と言われ落胆した。』という内容が書かれていました。
ということは、
その先生は、
治療が終わると患者さんを診ることはないということであり、
どうして根治しているということが分かるのか大いに疑問です。
また、その先生のもとでは、
数百~数千の肺ガン患者さんの治療をおこなっているそうですが、
「広範に広がり手術不能な肺ガンも根治の可能性もあり・・・」
と書かれていても、
何人治療を行い、
何人が根治したのかまったく不明です。この書き方は、
「アガリクスでガンが治った!?」
とまったく同じ手法です。アガリクスでガンが治る患者さんがいることは多分事実だと思います。
しかし、その確率は、恐らく数千分の一程度のはずです。アガリクスは経済的な大問題をのぞけば、
副作用はほとんど無いと考えられますが、
その患者さんの治療では、
大きな、そして必発の副作用もあります。その治療は素晴らしい治療だとは思いますが、患者さんが多大な効果を期待するほどの治療ではないと思います。あくまで局所制御に役立てるだけの治療でしかありません。また、とても気になったのが、
その著書の文章が、
ある患者さんが提訴した裁判で、
慰謝料のほかに和解条項の一つとして、
提訴されたインチキ免疫治療クリニックの元大学教授が書いていて、
絶版にさせられた捏造データ満載の
患者さん勧誘のバイブル本の語り口とまったく同じだったことです。
同じライターの手になるものだと思いますが、
患者さんを勧誘しようとする意図が明らかに見られます。
本日のその先生は、
患者さんを勧誘しても、
ご自身の経済的利益にはならないと思われますので、
純粋に患者さんのためと思って書かれているのかも知れませんが、
患者さんが誤解してしまうような書き方ではないかと感じます。
また、その治療では、
極めて高額なリンパ球療法とのセットを
推奨しているようで、
その先生の治療を求めに行くと、
ご丁寧にその高額な治療のパンフレットをくれるそうです。
その治療とリンパ球療法との組み合わせは、
費用対効果を考えなければ、
悪いとは思いません。
しかし、リンパ球療法を併用するならば、
その推奨施設より、
遥かに廉価で良心的におこなっている施設もあります。
高価な治療ですので、
必ずしもその推奨に従う必要は無いと思います。
何処かの某元大学教授の
インチキバイブル本とは、
その本質はまったく違うと思いますが、
患者さんが誤解してしまう書籍もたくさん出回っています、
十分に注意をしてください。
シッカリと行間を読み抜いてください。それが難しかったなら、
その本の真相を確認するために、
信頼できるお近くの病院へ、
セカンドオピニオンを受けに入ってください。そんなに上手くガンが治る治療などほとんどありません。以上 文責 梅澤 充
抗癌剤治療に対して、
大きな誤解を抱いている患者さんは少なくありません。
「大きな副作用が辛いから、抗癌剤治療は受けたくない」と考えている患者さんはたくさんいます。
そんな誤解を抱えたまま、
セカンドオピニオンに来られる患者さんもいます。
「梅澤のところなら少ない量の抗癌剤で治療してくれる」
「量が少なければ、副作用も少ないだろう」ただそれだけのお考えで、
私のところに来られるかたもいます。
メールで、
「抗癌剤の量を教えてくれ」
と言われる患者さんも少なくありません。
診ていない患者さんの抗癌剤治療はできません。
私は闇雲に抗癌剤の量を減らしているのではありません。大きな副作用に苦しみながらのガン治療が、
正しい治療であるのか、
それで、僅かな延命を得ることを患者さんが望んでいるのか、
大きな疑問を感じ、副作用の無い範囲の抗癌剤治療を目指しているだけです。抗癌剤の量が少なくて効果が出ないのであれば、
意味がありません。
治療効果は認めて、
副作用の出ない範囲での治療をおこなっています。
副作用の無く、
治療効果のある薬剤・量を見つけ出すことに、
最大の努力が必要になります。
時には、
標準量の大量の抗癌剤が必要になる患者さんもいます。
本日もそのような患者さんも来られました。
そのかたは、
標準的に大量の抗癌剤を使っても、
骨髄抑制も、
自覚する吐き気などの副作用も出てきません。
そのような患者さんに、
敢えて、量を減らすことには、
多少の疑問は持っています。
薬剤耐性の問題です。もし、抗癌剤の量の多寡により、
耐性出現までの時間に差が無いのであれば、副作用が無く、
効果が出ている間に、
可能な限りガンの縮小を期待するのも悪い考えではないと思います。しかし、量が少ない方が、
耐性の出現は遅いように思えてなりません・・・・
これは根拠はありません。
経験的にそう感じるだけです・・・
前述のように、
私が診ている患者さんのなかでも、
ごく少数ですが、
標準に近い抗癌剤治療が最適な患者さんもいます。
今、診ている患者さんのなかで、お一人は、
標準量を超えての治療が必要であると思われる患者さんもいます。
その患者さんは、
確実に、量に比例して効果が大きくなってきました。
悪化のたびに、
量を増やしていき、
とうとう標準量に達しました。
現在、それでも悪化を見ていますので、
更なる増量も必要であるように思います。
その患者さんも、
現在の標準量の治療でも、
まったく副作用はありません。
ここ数日、
薬剤耐性や患者さん・ガンの個性のことを書きましたが、
すべてのガン・患者さんに対して、
まったく均一の標準的抗癌剤治療でも、それが、最適な患者さんも稀にはいます。副作用をまったく感じないかたもいます。標準量以上が最適の患者さんもごく稀にいます。
しかし、日本人の多くは、
標準量よりは、遥かに少ない量で十分であるように感じます。ただ、その量では、
抗癌剤の殺細胞効果だけではなく、
抗癌剤により阻害されていない、
あるいは、むしろ少量の抗癌剤により、活性化された免疫力も手伝っているように思います。抗癌剤治療もガンも本当に奥の深い世界です。
本日も複雑な患者さんが、
大挙押し寄せて来られました。
イロイロなことを考えながら、
あまりにも多くの患者さんを診ていると、
悪いアタマがグジャグジャになります。
疲れました。
終わりにします。
以上 文責 梅澤 充
常々私が言いたいと思っている内容の一つを
そのまま代弁してくれたコメントをいただきました。
再掲します。
私の母は、ガンで亡くなりました。
お医者さんに言われていた予後より早く、あっという間に逝ってしまいました。
私の友達は、7年前に乳がんを患いましたが、最初抗癌剤を使いましたが、
リンパ節と骨に転移があったので、手術はおこなわず、
以後細々とホルモン治療だけをしています。
7年経ちますが、とても元気です・・・。
病院は某がんセンターですが、最近「うちの他で治療なさってますか?」
と聞かれるらしいです。
がんセンターの主治医が 「よそで何か治療してます??」とか、
患者に聞いてる姿を想像すると、
なんだか「プッ」と笑いがこみ上げてきます。
医療は、不確実性に富んでいます・・・。
「医療は、不確実性に富んでいます・・・。」という言葉は、
「ガンは、そしてそれを宿した人間は、
極めて大きな不確実性に富んでいます」だと思います。
何度も書いているとおり、
個々のガン、それを宿した患者さんは、
あまりにも個性的です。例に挙げていただいた乳ガンの患者さんのようなかたは、
現在も何人も診ています。
乳ガンに限らず、
肺ガンや卵巣ガン、胃ガンなど他のガン種でも、
ノラリクラリの治療で、
良くも悪くもならずに、
そのままで何年も経過している患者さんは
珍しくありません。
所謂エビデンスのある標準治療の
生存期間中央値などの、
何倍もの期間、
元気で治療を続けています。
7月6日の「無謀な挑戦!?」で紹介したような、
サプリメントだけで良い経過を辿っている患者さんも存在しています。
その一方で、
本日もたまたま来られましたが、
少量の抗癌剤では効かなくなり、
ほぼ標準量の抗癌剤を使って治療している患者さんもいます。
その患者さんは、
腹水が溜まってから発見された手術不能の膵ガンのかたで、
一度消えた腹水が再度溜まっては来ましたが、
本日で丁度1年目になります。
骨髄抑制の他、
自覚する副作用はまったく感じないと言います。
また、標準量の5分の1程度の量でも、
副作用で食事が摂れなくなる患者さんもいます。
勿論、食事が摂れなくなるような治療は即時変更します。
これほど、
ガン、それを宿した患者さんは、
個性に満ち溢れています。
それを、すべての患者さん、ガンに対して、身長と体重だけから決められた量の抗癌剤が均一に投入される治療が、すべての患者さんに最善であるはずがありません。身長140cm体重80kgの患者さんと、
身長185cm体重50kgの患者さんでは、
まったく同じ量の抗癌剤が投入されます。
虚しく感じませんでしょうか。
大腸ガンなどでは、
最近、欧米では良い数字も出てきましたが、
無治療で経過を診た患者群と、
標準的に大量の抗癌剤を使って治療をおこなった患者群で、
生きていることが時間に大きな差は出ていません。その事実をシッカリと認識して、
ご自身だけの治療をおこなってくれる病院を探してください。
また、コメントの中にあったように、
私が診ている患者さんのなかで、
大学病院やがんセンターの主治医(?)から、
「何処で治療をしている!?」と詰問されるかたは少なくありません。
皆さん「何もしていません」
と答えているようですが、
主治医は何処かで何かをおこなっていることは、
当然分かっているはずです。
それが、自分たちだ最善と信じる
標準量の数分の1しか使わない抗癌剤治療だとは
気付かないでしょうけれど・・・・
以上 文責 梅澤 充
少量の抗癌剤を使った治療における
ガンと抗癌剤に対する耐性の問題についてコメントをいただきました。
オモテのコメントですので再掲します。
「医者のほうは、
抗癌剤の量を減らしたならば、
ガンは縮小しない、
すなわち効果は無いと信じ込み・・・・」
と有りますが、医者がなぜ少量の抗癌剤療法を採用しないのは
下記の通りがんに抗がん剤の耐性が出来てしまうことを
最も危惧してるからではないでしょうか?
ですから先生が少量の抗癌剤療法でもがんに抗がん剤の耐性が出来てしまわない
と言うことを治療データを集積して、それらを世間及び標準療法の医師たちに
開示証明することが重要だと思います。
参考URL: http://plaza.rakuten.co.jp/yuka321/
「休眠療法」という治療法もある。
こちらは「再発癌は治らない」という前提のもとがんを治すのではなく
「がんとの共存」を目的としている。
通常では考えられないほどごく少量の抗がん剤を使い、がん細胞がそれ以上
大きくならないようにコントロールしていく‥という考え方だ。
ところが、この療法もほとんどの医師が真っ向否定している。
がんに抗がん剤の耐性が出来ちゃうから逆効果だというのだ。
標準的に大量の抗癌剤を使った治療では、
「縮小なくして延命無し」という大昔の抗癌剤治療のバイブルが
まだ脈々と生きています。
たしかに、
少量の抗癌剤を使っても、
大量の抗癌剤での治療でも、
まったく同じ期間で耐性ができるとしたならば、
耐性ができるまでの間に、
可能な限り大量の抗癌剤を使って、
大きく縮小を図っておいたほうが、
その後、増大に転じて、
もとの大きさに戻るまでの時間が稼げますから、
その方が、
一見、大きな延命効果に繋がるようにも思えます。しかし、現実問題として、
標準的抗癌剤治療でのエビデンスとして、
ハッキリと証明されている延命効果は、
けっして患者さんが満足できる数字ではないはずです。
それよりも「縮小なくして延命無し」という、
古典的な考え方での最大耐用量の抗癌剤を使った治療では、
何十年もの間、
無治療群と比較して、まったく延命効果は得られていませんでした。その事実は、
耐性獲得云々の話し以前の問題だと思います。また、出典は忘れましたが、
「縮小なくして延命無し」
という考え方は、正しくないこと、
「縮小無くても延命はある」
ということは、
休眠療法の生みの親である
高橋豊先生が随分前に科学的に証明されています。
「この療法もほとんどの医師が真っ向否定している。」とありますが、
否定しているのは、
抗癌剤治療の専門医です。
抗癌剤治療を行う外科医では、
賛同する医者は少なくありません。
抗癌剤治療の専門医は、
脈々と受け継がれてきた最大耐用量の抗癌剤を使った治療で、
「縮小なくして延命無し」
だけを実践してきたわけで、
それが、すべて否定されることになります。
当然、真っ向から反対すると思います。
抗癌剤治療の専門家でも、
その激しい副作用を気にしていないことはないと思います。
やはり患者さんがあれだけ苦しんでいるのを見たら、
「ナンとかならないものか」と考えるはずです。
しかし、「延命のために、縮小を目指すのみ、やむなし」
「副作用には目を瞑る」となっていたのだと思います。
治療データを集積して、それらを世間及び標準療法の医師たちに
開示証明することが重要だと思います。
とのお言葉をいただきましたが、
無名の一外科医が、
数十、数百のデータを出したとしても、
日本の学界一辺倒の先生方は見向きもしないと思います。
時間があれば集計したいとは思っていますが、
なかなかはかどりません。
時間が無いことと、
患者さんがバラバラだからです。
はじめから私が治療を開始した患者さんだけなら簡単ですが、
標準的抗癌剤治療を何回も繰り返した後に来られたり、
1回で副作用から逃れてきたり、
まさに瀕死の状態から復活した患者さんもいたりで、
集計方法も分かりません。
標準的抗癌剤治療のように、
統計を取る患者さんが均一ではありません。
文句ばかりは言っていられないので、
私も、独自にデータの集計、開示はするつもりでいます。
しかし、耐性の問題に関しては、
1薬剤で3年5年長い患者さんでは、
10年以上耐性ができないでいるという実態をたくさん見せられると、
少量だから耐性ができやすいということだけは有り得ないと思います。標準的抗癌剤治療で、
それだけの期間耐性ができないことは有り得ないと思います。
もっとも、その前に、患者さんの身体が持ちませんが・・・
タキソールを8年間連続使用して、
いまだに効き続けているというのは、
ギネス記録にもなるような気がします。しかし、私などが訴えるより、
何処かのサミットでもそうでしたが、
アメリカが何か一言言えば、
日本はすぐそれに従う・・・
ガン治療の世界でもまったくそのとおりです。
政治以上かも知れません
2006年2月27日の「メトロノームの様に」で書いたとおり、
アメリカでは、
少量の抗癌剤治療を頻回に使っていく治療が、
見直されてきました。
アメリカで認められば、
日本の専門家たちは、
すぐに掌を返して、シッポを振って飛びつきますから、
そう遠くない時期に、
日本でも縮小を目指さない治療が普及するかもしれません。
以上 文責 梅澤 充
「同床異夢」
このタイトルでは、
何回か書いたと思います。
しかし、最近その言葉をあらためて痛感させられる事態に
何回も遭遇しましたので、
再度、書かせていただきます。
同床異夢は、
医者と患者さんの間に、
様々な状況で発生します。
患者さんやご家族は、
ごく少量の抗癌剤での
ガンの増大だけを防ぐような、
副作用のほとんど無い治療を望んでいるのに、医者のほうは、
抗癌剤の量を減らしたならば、
ガンは縮小しない、
すなわち効果は無いと信じ込み、
抗癌剤の量は僅かに減らしただけで、
若干副作用が減少しているからそれでよし。と、一人で納得してしまっているようなケースはよく見ます。
最近、何例も続けて経験したのは、
本当の末期状態の患者さんに関してです。
患者さんもご家族も、
少しでも長く生きていたい、
と切望しているのに、
「いまさらそんなことをしても無駄、辛い思いをするだけ」と決め付けて、
ガン治療は何も無しの、
緩和医療だけを行うという状態です。医者と患者さんは必ずしも同床ではありません。
医者は、患者さんを診ることが自分の仕事です。
仕事の都合もあります。
自分の体調もあります。
仕事の優先順位もあります。
また、ナンデモ訴訟の現在の日本では、
自分の地位を守ることも絶対に必要です。それが、最優先かも知れません。しかし、「患者さんのため」
という部分だけは同床です。最期が近いと思われる本当の末期の患者さんに対して、
多くの場合、
「患者さんのため」に、
医者のほうは
「苦しい思いをさせたくない」と考えます。
しかし、患者さんもご家族も、
「少しでも長く生きていたい」と望みます。
多くの場合医者は、
「現状では、とても患者さんは苦しんでいる」と考えたならば、
医者は緩和ケアを中心に、
あるいは、それだけを考えます。しかし、それでは極めて近い将来、
確実に最期の日が来ます。それをできるだけ遅くするために、
リスクは高くても、
現状の苦痛はあっても、
何らかの治療を行ってもらいたいと、患者さんは考えます。
そこで、患者さんと医者との考え方に食い違い、異夢が発生します。医者が必ずしも冷たいわけではありません。しかし、終末期患者の治療ガイドラインという、
標準的抗癌剤治療にマニュアルのようなものがあります。
それには、
コレコレここまで状態の悪化した患者には、
人間が生きていくために絶対に必要なカロリーの補給なども含めて
ほとんど何もしない、緩和ケアだけに専念する
ということが指示されています。
ガイドラインに従って、
人間の残りの命が決められていくとは、かつてのナチスドイツを彷彿させます。恐ろしい話です。
現在、私のところでは、
そのガイドラインに沿うべき患者さんもたくさん診ています。
しかし、それに従ったなら、
本当に前の主治医の言うとおりに、
数週間で終わってしまうという患者さんでも、
半年以上、ご家族とともにご自宅で生活された患者さん、
元気を取り戻し1年近く人生を楽しまれた患者さんなど、
たくさんいます。
現在進行中の患者さんもいます。
私は、まだ経験したことはありませんが、
何も食べられない患者さんに、
高カロリーの点滴をしたが故に、
かえって寿命を縮めてしまうということも、
無いとは言い切れません。その時に、
医者が一番恐れるのは、
残されたご家族からのクレームです。すべての医療行為には、
危険は付き物です。
それを、十分に理解して、
その旨を文書で医者に示して、
ガイドラインに無い、
医者から見れば「無謀な延命への賭け」を依頼しなければ、
それを行ってくれる医者はいないと思います。
同床異夢の医者を動かすには、
患者さん、ご家族の覚悟、
そして、その覚悟があることを医者に示すことも重要です。生きていればナニが起こるか分かりません。諦めないでください。
以上 文責 梅澤 充
本日驚くべき患者さんがセカンドオピニオンに来られました。
今年の5月はじめにステージⅣのガンが発見され、
その1週間後に、
標準的抗癌剤治療が開始されました。
その治療を4週間おこない、
約5週間後の6月下旬に、
「治療方法はありません」
と突然の無責任宣告。
ご丁寧にホスピスへの紹介状も書いてくれました。
その患者さんのガンに対しては、
まだ、幾通りもの抗癌剤治療が残されています。
ただし、あまり患者数の多いガンではないため、
所謂標準治療は確立されていません。しかし、健康保険でも認められている抗癌剤治療は、
まだまだあります。しかも、その患者さんは、
まだPS.1程度の全身状態をシッカリと保っています。
仕事も続けています。
それなのに、
「治療方法は無い」
唖然としました。
なんだかキツネに抓まれた気分になりました。
もしかして、その患者さんが治療を放棄したのかとも思い、
聞いてみると、
「まだ、やり残した宿題もあるから、
半年か1年くらいは生きていたい」とのことで、けっして諦めたわけではありません。
それどころか、
「病院に行ったら、突然、末期がんと宣告をされ、
いきなり抗癌剤治療がはじまり、
たった一月で、ホスピスに行けといわれて、
ナニがなんだか分からない」と言われていました。
当然だと思います。
大学病院での出来事です。
ここまで酷い対応はあまりないように思いますが、
何処でも程度の差こそあれ、
標準治療しかしない病院では似たり寄ったりです。標準治療の終着駅は、
間違いなく緩和ケアです。そこで、ガンとの戦いを諦めて、
座して死を待つことを勧められます。標準的に辛い副作用の後に待っているのが、
ホスピスでは、
あまりにも虚し過ぎます。しかし、多くの患者さんは、
何も知らずに、
標準的なレールに乗せられ、
終着駅からゴールへと案内されてしまいます。
あるいは、
がんセンター、大学病院というブランド名だけにつられて、
その名前だけを信じて、
同じゴールに辿り着かされます。
どのコースを辿っても、
最終ゴールは同じかも知れません。しかし、そこに至るまでの、
道のりと時間、乗り心地には、
治療により大きな差が出ます。ご自身、ご家族の病気・治療の本質をシッカリ見極め、そして、標準的抗癌剤治療とは如何なるものかを十分に知って、悔いの無い治療を選択してください。本日の患者さんは、
大学病院から来られました。
一般的な患者さんは皆さん、
そこでは最善の治療をしてくれるものと信じているはずです。
しかし、大学病院など、
この程度であることも珍しくありません。
ブランド名に騙されないでください。
本日いらした患者さんは、
早速、健康保険の範囲での治療がはじまります。
以上 文責 梅澤 充
西の方では梅雨が明けたというニュースがありましたが、
東京ではまだ雨空です。
ムシムシと鬱陶しい日が続いています。
ガンという病気を抱えた患者さんでは、
その気象状況にも病状は左右されるような気がします。
春先の、新緑が芽生えてくる頃には、
患者さんの生命力も向上するのでしょうか。
何となく、患者さんは元気になっているように感じます。
しかし陽気が鬱陶しいと、
気分も晴れません。
病気を抱えているだけで、
憂鬱な気持ちでいるのに、
それに気候が拍車をかけます。
その精神状態は、
ガンに対してけっして良くは働きません。
雨の中でも、
紫陽花はきれいに咲いています。
クリニックのあるマンションの中庭(私の喫煙場)では、
小さなトカゲが、
子供に捕まえられそうになったのか、
シッポのない状態で、
湿った草むらの中をゴソゴソと動き回り、
雨が小止みになると、
寸暇を惜しんで、
蜂や蝶が花の蜜を吸っていました。
そんな光景を見ているだけで、
チョッピリだけでもこころが和み、
憂鬱な雨空を忘れさせてくれます。
ガンという病気は、
患者さんの精神状態に大きく左右されます。天気は良くなくても、
大雨でなければ、
外の散歩でも楽しんで、
今の季節しか味わえない景観を楽しんでください。
話しは飛びますが、
患者さんを憂鬱にさせるのは、
勿論、気候だけではありません。
「思うように食事が摂れない」というのは患者さんにとって、
肉体的には当然ですが、
精神的にも大きな痛手になります。
6月19日の「悪液質と餓死」でも書きましたが、
ガン死ではなく飢餓死してしまう患者さんが
少なくないように思います。先日、セカンドオピニオンに来られた患者さんでも、
「そのカロリーでは絶対に生きていくことは不可能」という食事量でした。
ガン治療を考える前に、
先ず、生命を支えるカロリー摂取を考えなければなりません。食べられないことで、
飢餓状態に陥り全身状態の悪化を来たし、
PS. が低下すると、
すぐに「治療方法はありません」
宣告になります。
たしかに、
「そのPS. で抗癌剤治療?」と首を傾げたくなるケースもありますが、
そのPS. を低下させている原因が、ガンの進行ではなく、
食事が摂れないための、
低栄養からの全身衰弱という場合も少なくありません。PS. の悪さから、
抗癌剤治療が憚られるような患者さんでも、
栄養状態の改善により、
シッカリと抗癌剤治療が可能になることは少なくありません。
「PS. の低下 → 抗癌剤治療不可能」ではなく、
「PS. の低下 → 栄養状態の改善 → PS. 向上 → 抗癌剤治療」にしてください。
しかし、多くの場合、
主治医は諦めていますから、
栄養状態、全身状態の改善を図って欲しいと頼んでも、
「ガンに栄養を与えるだけだ」などと言って、聞いてくれません
その時には、
「ガンで死ぬのはかまわないが、
餓死することだけは避けて欲しい」と頼めば、
聞いてくれるかもしれません。
主治医を説得してください。
憂鬱な季節です。
お食事を満足に摂れない患者さんは、
もっと憂鬱ですが、
栄養摂取は必ずしも口からだけではありません。諦めずに、頑張ってください。
以上 文責 梅澤 充
ガンの姿はまだハッキリとは見えないままでいるものの、
最近、腫瘍マーカーが若干上昇してきたとのことで、
ある患者さんがセカンドオピニオンに来られました。
消化器のガンで、
術後間も無く再発を来たし、
それに対して手術を行っています。
その後、更に再再発を来たし、
再び手術を行っています。
そこまでは、よく見ることですが、
その後の治療が、
普通ではありません。当然、抗癌剤治療を行うべきだと考えますが、抗癌剤は副作用が大きいという先入観から、
抗癌剤治療は避けてきました。そして、辿りついたのが、
サプリメントと漢方薬です。漢方薬といっても、
私もよく処方する、普通のありふれたものです。
ただし、サプリメントはイロイロと工夫をされて、
家計をやり繰りして、
それほど高額ではないものを
何種類も使われていました。
それだけで、実に8年間!
普通ならば6年以上前に亡くなられているはずの病気です。
経過を見ると、
過去にも何回か、
腫瘍マーカーの増加を認めていますが、
そのたびに、サプリメントの量を増やしたり、
他の代替療法を併用して、
巧みに凌いできました。
本日のセカンドオピニオンでは、
常識的には、
また、経済的にも、
ごく少量の抗癌剤を使った治療を
お勧めしたいところでしたが、
ほとんどサプリメントだけで、
8年間も凌いできた事実を考え、
また、クスリに極めて弱いという事情も加味すると、
お財布が許せば、
現在使っているサプリメントの増量や、
他にもサプリメントはたくさんありますので、
それらの追加で、
様子を観ていくのも一つの方法だと考えられます。
再再発後3年ほどたったとき、
抗癌剤治療専門の医者にも
セカンドオピニオンに行かれていましたが、
その経過を見て、
流石に抗癌剤治療は勧めなかったようです。
サプリメント以外の、
私も行っている代替療法を勧めていました。その後、5年も経って今日に至っています。
この患者さんは、
ガンをサプリメントだけでコントロールしているという、
極めて稀有なケースです。こんなに上手くいくことはなかなかありません。しかし、「治療方法はありません」
と無責任宣告をされてしまったならば、サプリメントで延命を期待するのも悪くないように思います。少なくとも、
無責任宣告に従って、
黙って緩和ケアだけを行うよりは、
遥かにマシであると思います。
サプリメントを毛嫌いしている
抗癌剤治療専門医の
「治療方法はありません」
なる無責任宣告が、サプリメントの消費を増大させているような気もします。ただ、悲しいことに、
そのような患者さんを食い物にする悪徳業者や医者が、
日本には、いまだにたくさん潜伏している事実は、
絶対に忘れないでください。また、お財布との、
慎重な協議も不可欠です。本日は極めて稀な患者さんについて書きました。
それが、普通だとは絶対に考えないでください。以上 文責 梅澤 充
治療が上手くいっている患者さんも、
その逆の患者さんもいます。
同じ人数の患者さんを診ても、
前者の方が多いと、
疲れはありませんが、
後者の方が多くなると疲れがドットでます。
その心理は患者さんの方が、
私なんかより、遥かに強く出ていると思います。
本日は前者に近い状態でしたが、
CTが故障し、
関連病院にお願いして撮影をしたりしたので、
その煩雑さでとても疲れました。
しかし、患者さんは、疲れているかたがとてもたくさんいます。
貧血や腎機能障害、肝機能障害など、
器質的に異常があり疲れを感じる患者さんもいますが、
多くの患者さんでは、
精神的に疲れているように感じます。病気が良い方向に向かっていても疲れています。
ガンという病気を宿して、
まったくの平常心でいられる患者さんなどいません。何回も「明るく前向きに」
などとは言っていますが、
その明るく元気な患者さんでも、
皆さん多くの不安を抱えて、
程度の差こそあれ、少なからずうつ状態に傾いているように感じます。うつ状だと、
ただそれだけでとても強い疲労感を覚えるようです。
あまり酷いうつ状態の患者さんは、
専門医に依頼しますが、
素人の私が、向精神薬を少量処方するだけで、
その疲労が飛んでいくことはしばしば経験します。
本日も、
とても強い疲労感を訴える患者さんがいましたが、
その患者さんの現在の生活環境を聞くと、
疲れない方が不思議なくらいでした。
「あなたは、まったく正常ですよ。
その環境で、疲れない人の方がおかしい!」と言うと、
それだけで笑顔が戻り、
疲れも多少飛んでいったようでした。
その患者さんの疲れが、
確実に飛んでいくことを期待して、
向精神薬を少量処方しましたので、
きっと元気になってくれると思います。
疲れている患者さんは、
一人だけではありません、
皆さん疲れています。
なかなか難しいですが、気分を切り替えて、
疲れを吹き飛ばしてください。以上 文責 梅澤 充
追記:お願いが、いくつかあります。
一つは、何度も書いていることですが、
メールで質問をされるのはかまいませんが、
まったく顔も知らない患者さんに対して、
詳しく状況を書いてお送りいただいても、
その個々の状態に合わせたアドバイスは不可能です。
まったくの一般論だけでしかお答えできません。
その何処でも得られるアドバイスでしたら、
メールを書く時間がもったいないと思います。
また、多くのメールは私のブログを全部読めば
答えは書いてあることばかりです。
長文のメールはご勘弁ください。
読む時間がありません。
詳しく相談したいときには、
セカンドオピニオンにおいでください。
------------------------------------
次に、これも何回も書いているのですが、
メールで返信をすると戻ってくるアドレスが、
いまだに後を絶ちません。
時間をかけて文章を作りお送りした挙句、戻ってくる。
これほど疲れる一瞬はありません。
ご自身のメールアドレスくらいシッカリとお書きください。
また、ホームページからではなく、[email protected][email protected]いずれかのアドレスに直接お送りください。------------------------------------
最後のお願いは、
先日のブログで、
患者さんの明るいブログは、
どしどしトラックバックしてください、
と書きましたが、
このブログのコメント欄を利用して、
ご自身の主張を展開するのはご遠慮ください。
次回からは今回の分も含めて削除します。
イロイロな境遇の患者さんがいます。
どうも、あまり抗癌剤治療には慣れていない主治医が、
おっかなびっくりで治療をして、
その結果、
標準的抗癌剤治療とはかけ離れた、
極めてマイルド治療になり、
そのお陰でQOLが保たれ、
標準治療では、
70%以上の確率で、
亡くなられているはずなのに、
いまだにお元気で生活されている患者さんが来られました。
また、外科の主治医からは完全に諦められている、
と思われる患者さんも来られました。
手術を行った外科医の目から見たら、
再発してしまったら、
外科医の負けであり、その後の“治ることの無い治療”では、
かなりおざなりになる場合が多く見られます。その時、多くの場合には、
少量の抗癌剤を使った、
お茶を濁す目的の治療が行われますが、往々にして、それが良い結果を招きます。その患者さんの場合にも、
単剤のおざなり治療が行われていましたが、
残念ながら効きませんでした。
そして、最後に緩和ケアと同時に提案されてた治療は、
かなり厳しい治療で、
その患者さんの全身状態では死期を早めるだけだと思われる治療でした。
何を考えてその治療が選択されたのかは不明ですが、
諦めた患者さんに対して、
早々に決着をつけたいとでも考えているようにも受け取れました。
その患者さんの場合、
たしかにかなり厳しい状況ではあるとは思いますが、
延命を目指す治療手段は
他にもまだ残されているはずです。
外科医にとっては、
敗北を喫した患者さんにかまっている時間は、
そうそうありません。
手術によって根治の可能性あるほかの患者さんに
時間をかけたいと考えるのは、
無理のないことだと思います。
少なくとも日本の貧しい医療環境では、
そうならざるを得ない事情もあります。
患者さんにとっては、
あまり時間をかけてもらえないために、おざなり治療になり、
それが、効を奏する場合もあり、
しかし、逆の結果もあります。また、思い切って大量の抗癌剤を使いこなせない、
不慣れな医者のお陰で、
QOLを保ち、
延命効果の大きい治療を受けられる患者さんもいます。すべて運命でしょうか・・・以上 文責 梅澤 充
昨夜、わかすぎクリニックの若杉院長先生の紹介で、
キノコの研究者に会いました。
ご承知のとおりキノコには、
制ガン効果もあるのではないかといわれています。事実、私も明らかにキノコが効いているという患者さんを
今まで何人も診てきました。現在も、間違いなくキノコが奏効しているという患者さんもいます。その患者さんは、
全身骨転移で手術ができない乳ガンの患者さんですが、
副作用も標準的な、
標準的抗癌剤治療を嫌い、
ホルモン剤と僅かな量の抗癌剤で治療を続けていますが、
はじめからキノコも愛用しています。
ガン発見(同時に全身骨転移)から
すでに6年も経過して
キノコの量を少し減らそうとお考えになり、
半分に減量した途端に腫瘍マーカーの増加を見ました。
はじめは、その腫瘍マーカーが何故増加したのか、
分からなかったため、
抗癌剤を変更しようかとも考えましたが、
「キノコの量を減らしたら急に腫瘍マーカーが
増えてきているのだから、
再度、キノコの量を元に戻してどうなるのか様子を見たい」というので、
患者さんの言うとおりにしたところ、
見事に、再度の低下を見せました。
他にもキノコが(も)効いていると思われる患者さんは、
何人も診ています。
話しはそれましたが、
キノコの研究者からイロイロ話しをお聞きしたところ、
様々な有名大学の医学部と共同で研究されていました。
しかし、大学病院のガン領域の臨床医だけは、
見向きもしないようです。
ウィルス対策やメタボの予防、
美顔効果など様々な分野で大きな業績を上げているようで、
厚労省も乗り気になっている分野もあるようです。
また、化粧品会社との提携もできているそうです。
何故か、ガン領域だけは、
まだ、基礎の研究者だけの興味で終わってしまっているようです。しかし、見せていただいたその基礎研究から推察すれば、
臨床応用も十分に可能ではないのかと、
感じられるものでした。少なくとも毒性試験だけは十二分にクリアーしていますので、
「治療方法はありません」と簡単に無責任宣告をするならば、
その可能性に賭けてみるのは、
けっして悪くはないと思います。
ところが、ガン治療専門の先生方は、
どうしても標準的抗癌剤治療だけに縛られ、
そのエビデンスどおりに患者さんには、
亡くなっていただかないと気が済まないように感じます。
現在、極めて多くの患者さんに使われている
タキソール(パクリタキセル)という抗癌剤も、
植物からの抽出物です。
そのほか、天然素材から作られている抗癌剤は幾つもあります。
タキソールなどとはメカニズムは違うでしょうが、
キノコにも、
ガン治療専門家が知らないだけで、
ガンに対して極めて大きな効果が隠されているかも知れません。はじめから「効かない」で一蹴しないで、
「効くかも知れない」
くらいのスタンスで見てほしいものです。
しかし、日本では、
キノコは何時まで経ってもキノコでしかないような気がします。
私も使っている、
あるとても有望なキノコのサプリメントは、
日本でのクスリとしての開発は諦め、
アメリカで、それをはじめています。
日本の抗癌剤治療専門の先生は
アメリカで認められれば、
掌返してキノコを絶賛することになるのは、
目に見えています。
日本人の知識と技術を何故認めないのか不思議です。
昨夜は、話が弾んで12時過ぎまで飲んでしまいました。
少々、二日酔い気味です。
毎晩必ず飲む、
二日酔い予防のサプリメントを飲むのを忘れました・・・
以上 文責 梅澤 充
ガン患者さんが書かれているブログは、
かなりありますが、
多くは、残念な結末を迎えてしまう内容が多いようです。
途中経過は、
前向きに元気ハツラツに楽しく読めても、
ガンの進行悪化ともに、
内容も段々と暗くなってしまいます。
それは、当然のことで、
辛い状態で、
明るい内容を書くのは不可能だと思います。
しかし、ガン患者さんが、
ブログを読むのであれば、
暗い内容のものではなく、
読んでいて、
元気をになるような、
明るいガン克服などの内容のブログなどがイイと思います。実際にガン患者さんが読めば、
勇気がもらえるような内容のブログもかつて見たことがあります。今回、そのようなブログを探しましたが、
見つかりませんでした。
「このようにして私はガンを克服して治った」という内容のブログはいくつか見つかりましたが、
そのブログのどれもが、
かなり怪しげな免疫治療クリニックや
健康食品などの宣伝のページとリンクしており、
すぐにその宣伝のページに飛べるようになっていました。
堂々とブログの本文中に、
健康食品や代替療法クリニックのことを、
完全に宣伝と思われるような書き方で、
明示しているものもありました。ガン患者さんが書いている、
ということになってはいますが、
それすらかなり怪しいように思います。
悪徳業者・医者の匂いがプンプンします。私が見たどのブログにも、
必ず出てくる健康食品や代替療法診療所もありました。
宣伝のために、
業者や医者が、お金を払って、
そのブログにリンクさせてもらっているのだと思いますが、
何回もそれを見せられると、
サブリミナル効果で、
何となくそのサプリメントを使うとガンが治るかのような、
錯覚に陥ってしまう危険性があるように思います。くれぐれも騙されないようにしてください。本日もありましたが、
よく患者さんから、
「何処の免疫治療が良いのか?」
「どんなサプリメントを選んで良いのか分からない」という質問があります。
その一つの極めて簡単な答えは、
「イロイロなところにリンクして、
盛んに宣伝をしているようなところは、
お金儲け最優先である可能性が大きく、
避けたほうが無難」ということだと思います。
お金をかけて宣伝するのは、
お金を儲けるためです。極めて単純な資本主義に理論です。
私が見たことのある、
某インチキ免疫治療クリニックも、
盛んにインターネットで宣伝をしているようです。
正直言うと、
私のこのブログでも、
宣伝したい、しても良いと思う、
サプリメントも免疫治療医院もありますが、
デリケートな問題もありますので、
一切控えています。
メールでの、
そのての質問もお答えしていません。
業者や医者がガン患者を騙り、
メールを出しているかも知れませんし・・・・
私の診ている患者さんでは、
明るい内容のブログを書けるかたも、
少なくないはずです。
宣伝抜きで、
患者さん同士の助け合いに
ご協力いただけるとありがたいのですが・・・・
また、私は診たことはない患者さんでも、
明るいブログを綴られているかたは、
ドシドシこのブログにトラックバックをお願いします。
以上 文責 梅澤 充