本日で今年も半分が終わります。
本当に早く感じます。
全力疾走でいつまで持つか分かりませんが、
まだまだ走り続けます。
この半年間にも、
多くの出会いと、
悲しい別れをたくさん、
文字通り嫌と言うほど経験しました。
患者さんとの出会いは、
私が忙しくなるだけであり、
あまり嬉しくはありませんが、
悲しいことではありません。
しかし、別れは、
何時、どのような形であれ、
辛いです。
悲しいです。
今月だけでも、
たくさんの別れに遭いました。
お一人お一人の元気だったときの顔が思い浮かびます。
私の診療はすべて予約制になっていますが、
予約が入っているべき場所に、
名前が無い、
来るはずの時間に来ない、
こころにポカンと空白ができます。
毎日、その繰り返しです。
旅立たれた患者さんは、
病気の束縛から逃れ、
ゆっくりと休まれているか、
あるいは、大空を自由に飛び回っているのでしょうから、
あまりお気の毒には感じませんが、
残された人間の悲しさは募ります。
しかし、今年のお正月を迎えるのも無理、
と言われた患者さんが、
いまだにお元気で外来に来られるのを見ると、
とても嬉しくなります。
それがあるからやっていられるのだと思います。
話は変わりますが、
今月は健康太郎氏、自然崇拝者ですが氏などのコメントから、
このブログもゴタゴタしました。
お陰で、ほとんど読んだことのなかった、
他人のブログも少しだけ覗く機会を与えられました。
お気づきかと思いますが、
あまりにも露骨に他人の文章を引用されていたのには驚かされ、
当たり前の、書かなくても良い、
「勝手に掲載するな」
という一文を入れることにしました。
また、ブログで公開しているからには、
引用されるのは当たり前という、
チョット非常識なコメントもあり少々驚きました。
また、ガンビジネスに手を染める業者絡みの人間がほとんどだと思いますが、
ご自身の治療?(手法?)を押し売りする患者さん?が
多いことにも驚かされました。
また、一見お金儲けとは無縁のようにNPO法人の衣を着て、
ガンが治ることを謳って、
ガン患者さんの会員を集めている
極めて怪しげな集団なども存在していて、
患者さんが食い物にされている実態も垣間見ることもできました。標準治療の副作用の厳しさに耐え切れなくなり、
そこから逃げ出そうとすると、
イカサマ集団がお財布を大きく開けて待ち構えている、恐ろしい時代ですね。「ガンが治る」
を謳っている民間療法や健康食品などは、
99%以上はウソだと考えて間違いは無いと思います。ガンは世界中で何万人もの研究者が、
必死になってその治療を考えています。
しかし、一つもガンが治る方法など発見されていません。
もし1%の確率でガンが確実に治る方法が、
存在するのであれば、
世界中の学者、製薬会社が放っておきません。そもそも医者が無責任に、
何も知らない素人の患者さんを扇動していることが一番の問題でしょうが、多方面からシッカリとした情報を仕入れて、
ご自身の価値観、目的をシッカリ確認して、
騙されないようにしてください。何回も書いているとおり、
このブログは、
私の価値観と、
多くの患者さんから感じ取ることができる価値観を視点にして書いています。
私の価値観は他人のそれとは違うはずです。
それを押し売りするつもりは毛頭ありません。
しかし、ご自身の価値観をシッカリと持っていないと、
足元がぐらつき、
ご自身には合わないかもしれない私の価値観に
引きづられてしまうかも知れませんし、
同様に怪しげな治療?に誘い込まれて、
お金ばかりか、
命まで失ってしまうことにもなりかねません。昨日の「ガン治療は難しい!」でも書いたとおり、
ガンという生き物は、
極めて多様な性格を持っています。
同時にそれを宿した患者さんの個性も、
それにも増して多様なはずです。まだ今年も半年残っています。
ご自身の治療の目的、
価値観をシッカリと確認して、
悔いの無い方向に進んでください。難しいガン治療の
舵取りをしていくのは医者ではありません、
船頭は患者さんご自身でなければならないことをお忘れなく。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
ここ数日、
玄米菜食主義者のとぼけたコメントを発端に、
昨日の「最終目的」も含めて、
ガンという病気に対する考え方について書きました。
そもそもガンの発生・存在そのもの意義が、
ほとんど分かっていませんから、いざ発生してきたガンに対しての戦い方も分かってはいません。分かっていることは、
発生してきたガンを放置すれば、
ほとんどの場合、
それを宿した人間は、
ガンによって殺されてしまう、
ということだけです。
極めて視野の狭い、
実際のガン患者さんを診たことの無い、
一部の免疫学者などは、
ご自身の研究分野である免疫だけでガンは治ると主張していますが、
ガン患者・治療を知っている臨床医は、
そんな説は誰も認めません。
それは真実ではないことを臨床医は皆知っています。
然るに彼らは、
医学知識の無い素人の患者さんだけを相手に、講演会・セミナーなどと称して、
高額な参加費を徴収して、
あちこちで辻説法をしているようです。そしてそこには様々なガンビジネス業者も密接に繋がっているようです。コメントの玄米信者氏もその類のようです。
正当な論理であるならば、
医者に解説をして、
実際に患者さんを診ている臨床医にそれを実践してもらえば良いのですが、
そんなことはしません。
まともな医者はそんなことはないことを十分に知っていますから。
免疫や自然食品だけで、
ガンが治るのであれば、
ガン治療などまったくできない、
未開の地の住人はガンで死ぬことなどありえないはずです。
何回か書いたアメリカの無保険者も、
ガンでは死なないことにります。
日本でも有機無農薬の野菜しかなかった江戸時代から、
ガンは存在していました。
さらに当時は庶民はほとんどは、
玄米食だったはずです。
あるいは、健康にもっと良いとされる、
稗や粟などの雑穀だったはずです。
先日、日本から遠く離れた、
あまり国名を聞いたことが無い国にお住まいの日本人が、
セカンドオピニオンに来られました。
その国では、
医療はレントゲン写真を撮るくらいで、
クスリなどを使う治療は一切行えないそうです。
私のところにセカンドオピニオンに来られるのですから、
当然、ガンを患ってその治療に悩んでいる患者さんです。
その国では、
ガンになると、
緩和ケアか外国での治療しかないそうです。
そのような国の食料は、
汚染されていない新鮮なお魚に、
有機無農薬食品だけではないでしょうか。
緩和ケアでそのような食生活をして、
ガンが治っているの見れば、
高いお金を払って海外でガン治療を考える住民はいないはずです。
話が偏ってきましたが、
ガンという得体の知れない化け物のような生き物を、
飼育するのは容易なことではありません。一元的にこれが良い、
などという方法は存在しません。多くの患者さんは、
ガンという病気と出会うのは、
ご自身がはじめてでしょうから、
何か、ご自身で当たった治療?があると、
それが最善の治療であるかのごとく錯覚してしまいますが、
それは大きな勘違いです。
免疫に対する間違った知識を持って、
他人に勧めてしまうことは大いに問題ですが、(それを植えつける医者の方が大きな問題ですが・・・・)ガン治療を考えるとき、
免疫力を無視することはできません。そもそもガンという化け物は、
「人を死に至らしめるために発生する」という考えがあります。
生命の誕生から何億年もの年月が経っているといわれますが、
その生命の存在の目的は、
その種の保存にあるとも考えられています。
そのために進化をしています。
もしそうであるとすれば、
人間はある程度の年齢になると、
早く死んだ方がその種の存続には都合が良いことになります。そのためにガンが登場するという考えもあります。もし、その考えが正しいとすれば、
ガンという生き物は、
神様が人類という生物の繁栄のために、
遺伝子に組み込んだプログラムということになります。そうであれば、
ガンとの戦いは神様との戦いでもあり、
一筋縄ではいきません。免疫でガンが治るなどと、
とぼけたことは言っていられません。
勿論、抗癌剤だけで、
治ることなど、
未来永劫考えられないように思います。
しかし、人類の英知の結晶である抗癌剤が、
(と言っても戦争の副産物)
ガン患者さんに大きな福音をもたらしていることは事実です。
多くのガンで、
標準的抗癌剤治療でさえ、
無治療よりは延命効果が確認されています。
しかし、僅かな延命だけであり、
激しい副作用に患者さんは悩まされることになります。
それでは僅かな時間延命を得ても大きな意味はありません。そもそも、神様との戦いに、
力ずくで挑もうとすること自体が間違いだと考えます。抗癌剤の歴史は100年もありません。
しかし、その100年の進歩には目覚しいものがあります。
一方、人類の歴史は猿人から数えると数百万年以上もあります。
その数百万年にわたり、
神様が仕掛けたとはいえ身体に起こった不都合は、
自分の身体が勝手に戦ってくれてきたはずです。
その力は、
数百万年の間、
脈々と受け継がれてきたはずです。
当時より進化しているかも知れません。
それをたった数十年の歴史しかない抗癌剤が、
凌駕できると思えません。
手術、放射線、抗癌剤、免疫、
すべての余すことなく使い尽くすのが、
最善のガン治療だと考えます。しかし、抗癌剤と免疫のバランスは、
非常に難しいものがあります。免疫に重きを置くと、
ガンが進んでしまったり、
逆に、抗癌剤の量を減らしたら、
ガンが縮小したりと、本当にガンという生き物と、
それを宿した患者さんは、
百人百様で、
同一の患者さん、ガンなど、
一度も診たことはありません。個性溢れるそれぞれのガンに対して、
最善の方法を見つけていくのが、
臨床医の仕事だと考えています。現在、東京では新芽の季節が終わり、
緑が濃くなってきていますが、
山などに行き、
新緑を楽しんだり、
新鮮な空気を吸うだけでも、
患者さんによっては、
下手な抗癌剤治療より、
余程効果があるように感じることもあります。
ガン治療では、
患者さんのこころの問題も小さくないと思われます。
美しい新緑の芽吹きを見たならば、誰しも来年もまた見たいと考えると思います。何回か書いているとおり、
標準治療で延命効果が大きくないのは、「生きていたい」と考えられなくなるほど、激しい副作用に悩まされることも大きな要因だと考えます。ガン治療は、
本当に奥が深いことを、
いつも感じさせられます。一つの方法だけで、
解決できる問題ではありません。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
先日、沖縄戦の終結記念日を特集したテレビ番組で、
まったく正反対のコメントが流されていました。
軍人ではなく、
防空壕に逃げ隠れた地元住民たちに対して、
アメリカ兵は、
ガソリンを撒き火をつけたとか、
住民が逃げ隠れている防空壕そのものを、
埋めてしまい、
住民を虐殺した。という証言と、
同じ星条旗を身に付けたアメリカ兵は、
白旗を揚げた住民に対して、
食事を与え、
怪我人に対しては優しく手当てをしてくれたりと、
とても親切に扱ってくれた、
日本政府の宣伝とは大きく違っていたので驚いた。という証言が流されていました。
まったく両極端に見えるような兵士たちも、
戦争という忌まわしい最悪の状態を、
一刻も早く終結させるためを考えての行為だったのではないかと思います。
残酷な殺戮も、
そのための一手段だったのではないでしょうか。
一方の敵国住民を手厚く保護するのも、
目的は同じだったように感じます。
同じ白衣を身に付けた医者でも、
まったく正反対とも思える態度を示すことがあるようです。
再発患者さんに対して、
手術をしてくれた外科の先生は、治る可能性を追求して、
積極的に局所治療をしてくれる、
と言っていたのに、次に、その病院に行くと、
腫瘍内科に行ってくれと言われ、その腫瘍内科では、
「根治など有り得ない、
全身の抗癌剤治療しかない」と言われた、
という患者さんは、
しばしば見受けます。外科医も内科医も、
ガンという忌まわしい病気との戦いに、
一刻も早く終止符を打ちたい、
と考えているのではないでしょうか。その手段として、
外科医は、
目の前のガン患者一人一人を診て、
それぞれに見合った治療を考えていく手法を選択し、腫瘍内科医は、
ガン患者を一つのマス・集団ととらえ、
均一の治療での解決を考えているのではないでしょうか。私は、目の前の一人一人の患者さんに見合った治療を
考えていくことが、
最善の治療だと考えていますが、
それは手間もかかります。
日本のすべての医者の考え方が変わったとしても、
ガン患者さん全員に対して、
それを考えていくことは、
現実的には無理であるような気がします。
何回も書いているとおり、
十人十色の患者さん、
千差万別のガン細胞に対して、
均一の治療など存在し得ません。
千人の患者さんすべてに最善の均一治療など有り得ません。しかし、腫瘍内科医は、
一人でも多くの患者さんに適合する治療を探すことで、
ガンという強敵に対抗すること考えているのではないでしょうか。しばしば患者さんから聞く、
外科医と内科医の、
同じ病気に対する対処の違いには、
正直呆れることも多いのですが、考えてみると、
最終目的は同じようにも思います。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
いくつか興味深いコメントをいただいております。
抜粋再掲します。
一方で、ベルトコンベアで大量生産ならぬ、大量治療を行っている日本は、
平均寿命は欧米より長く、5年生存率も高いのは、何故なのでしょうか?
国民の意識の高さからか、あるいは、医師逹の絶え間無い努力のお陰か・・・
日本の新生児死亡率は世界最小です。
日本人の平均寿命が世界一であるのは、
新生児医療を行っている
日本の小児科医が頑張っているためだと思われます。
ベルトコンベアの均一治療のお陰ではありません。
日本では、
ガンの発生予防に努力している先進各国に比較して、
ガン患者数は増加しているそうですので、
小児科医が頑張っても、
平均寿命世界一の座は早晩奪われることになると思います。
ベルトコンベア治療では、
世界共通のエビデンスどおりの数字しかでませんから。
それよりも、
ただ欧米には化学療法の経験が豊富な医者も多く、
多少量を少なくしたり間隔をあけたりしても効果はそう変わらない
ということを知っているので、
あまり患者に無理をさせないように配慮はしてくれます。
このような心配りの方が、
患者さんに楽しい人生を提供し、
その上、長生きさせると思います。
実際、大腸ガンの標準治療では、
日本ではキッチリと2週間毎に、
抗癌剤爆弾を投下していく治療がお好きな先生が多いように見えますが、
それから比べると、
2週間のはずが、
3週間になったり、
場合によっては、
4~5週間にずれ込んでみたりと、
欧米の、
かなりチャランポランな、
治療スケジュールのほうが、
生存期間が大幅に伸びているというデータも見たことがあります。
まじめな日本のお医者さんの治療では、
患者さんは苦しく辛いばかりで、
長くは生きられないように思います。
最後に、欧米では承認イコール保険でカバーではありません。
承認はあくまでも販売を許されているということ。
新薬は保険でカバーされないこともあるのです。
何回か書いていますが、
日本では、
欧米に比べて新薬の認可が遅れているという、
ドラッグラグが、患者さんの間でしばしば問題されていますが、いただいたコメントのとおり、
日本での承認と、
欧米での承認では、
大きく意味が違います。日本で承認されれば、
その薬価の最低70%、
さらに多くの場合、
高額医療になりますから、
80~90%を健康保険が負担をしてくれることになります。
自己負担が10~30%で、
新薬を使うことができます。
先日認可されたタイケルブなども、
30日分で最大でも73000円程度の負担で
その恩恵に与ることができます。
他国の保険制度は知りませんが、
日本の健康保険は相当に有り難い制度だと思います。
また、日本の場合、欧米で認可されれば、
多くの薬剤は輸入することができます。
輸入さえすれば、
誰でもそのクスリの恩恵を、
他の先進国の患者さんと同様に、
先取りできます。実際に私も、
アバスチン、ネクサバール、スーテント、タイカーブなど、
多くの患者さんで、
先取りして使っていました。
勿論、その場合の自己負担金額は、
少なくはありません。
ある程度のお金持ちに限られてしまいますが、
それは、欧米とて同じことだと思います。
一部の社会福祉の整った国では、
誰でも安い医療費で、
治療ができるのかも知れませんが、
税金は日本とは比較にならないと聞きます。
日本の医療は、
日本のお国事情に合わせて、
長い時間をかけて
形成されていったものではないでしょうか。
その結果、
6月23日の「矛盾」で書いたように、
「医療はタダ」
と考えてしまう状況になってしまい、
欧米と比較して、
当たり前のドラッグラグに悲しむようになったのではないでしょうか。
「医療はタダ」ではない、
ことを考えれば、日本の医療は、
世界と比較して遅れてはいないと思います。日本では最低限度の健康保険での医療だけしかないと
勘違いしているから、
日本の医療は遅れていて、
忌まわしいドラッグラグも存在しているように感じてしまうだけです。
今も、世界の最先端の治療をしている患者さんを、
何人も診ています。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
ここ数日抗癌剤のことばかり書いて、
「代替療法は悪だ」的な内容になっていましたが、
人間が知らない間に働いている自然の防御力、
恐らくその原動力は免疫力だと思いますが、
それは確実に存在している、
と考えています。
と言うより、
そう考えざるを得ない状況をあまりにもしばしば経験します。現在も手術前に1回45mgのタキソールだけを
毎週9ヶ月続けて、画像上は見えなくなり、
このまま消失してしまうのではないか、
と思われるほど効果的に効いている乳ガン。
同じく1回45mgのタキソールを2週間に1回
9年間使い続けて、
いまだにガンが縮小を続けている乳ガン。
経口抗癌剤とサプリメントだけで、
6年間も進行しない、
手術不能肺小細胞ガン。
ごく僅かな抗癌剤の持続点滴だけで、
6年間も眠ったままの胃ガン。
などなど、常識では説明できない不思議な事例は枚挙に暇があります。抗癌剤は正常な細胞も殺しますが、
同時にガン細胞も殺してくれるクスリです。しかし、現在私が使っている量の抗癌剤では、
正常な細胞も多くは殺さない代わりに、
それほどたくさんのガン細胞を殺してくれるとは考えらません。抗癌剤の殺細胞効果は、
その量に比例します。少ない量の抗癌剤では、
当然殺細胞効果は小さくなります。しかし、効くはずのない量の抗癌剤が、
見事に効いてくれる、さらに、標準量で使って効かなかった抗癌剤を
量を大幅に減らして使うと再度効果が観られるという、
一見、摩訶不思議な現象もしばしば経験します。大量で効果無し
少量で効果が出る。この現象は、
ガンという不可思議な病気に対して、
現在の人間が持ち合わせている、
極めて貧粗な知識の範囲では、
免疫力としか説明が付きません。その免疫力に対して、
如何にもそれを解明し尽くしているかのように謳っている
おめでたい学者先生もいますが、
実際の臨床からみれば、
免疫の真相はほとんどは闇の中で、
それぞれの研究者が、
一つの現象を、
ご自身の理論に都合の良いように、
勝手な仮説を立てているだけです。
少量の抗癌剤で効果が出る患者さんがいる反面、
抗癌剤の量を増やさなければ効かないガンがあることも事実です。
何回も書いていますが、
現在、標準量の抗癌剤を使って治療している患者さんもいます。
副作用が無く、
効果が大きければ、
量を減らす必要はありません。
ガン治療において、
患者さんの免疫力は忘れることはできません。
それを無視すれば患者さんは長生きはできません。しかし、免疫力だけで、消失してくれるほど、
ガンという生き物は甘くはありません。一臨床医に分かることはその程度です。個性に溢れるガン細胞であり、
それを宿した十人十色の患者さんですから、
免疫力だけで消えてしまうガンが、
存在しないとは言いきれません。
しかし、私がかつて覗いたことのある免疫治療クリニックでは、
1万人以上の患者さんのデータがありましたが、
「本当にその免疫治療でガンが治った」かも知れないと思われる患者さんは、
2~3人です。
数千人に一人程度の確率です。
それとて、本当にその免疫治療の成果だか否かは不明です。
何もせずに治ったモドキにの状態になった患者さんが、
たまたまその免疫治療をしていただけかもしれません。ガン治療を免疫力だけに頼るのはあまりにも愚かです。勿論、肺ガンなどでは、
標準治療よりは、
無治療に近い免疫治療のほうが無難かも知れません。
選択肢が二つしかないのであれば、
私は、迷わず後者を選択します。
一般的に抗癌剤治療と免疫治療とは、
完全に相対峙するものと考えられていますが、私が現在行っている抗癌剤治療は、
ある意味免疫治療ではないかとも考えています。抗癌剤が、
その量によっては、
免疫力を増強してくれることは、
証明されています。タキソールが9年間も、
5-FUなどの他の抗癌剤でも5年以上も、
最長で16年間も効き続けている、
という現象などは、
「タキソールや5-FUは抗癌剤ではない」と考えないと成り立ちません。
9年間も16年間も耐性が成立しないなどということは有り得ません。タキソールなどは、
少量ではガン細胞をアポトーシスに誘導するということが分かっています。
免疫力絡みのアポトーシスであれば、耐性はできなくても不思議ではありません。しかし、同じ様に使っても、
数ヶ月しか効いてくれないガン・患者さんもいます。
ガン治療は本当に、
千差万別、十人十色です。
はじめから免疫力をまったく無視して、
標準的抗癌剤治療のように、
大量の抗癌剤だけに頼るのは、
愚かな治療だと考えます。しかし、人間の英知の結集である抗癌剤を
はじめから毛嫌いして敬遠してしまうことは、
もっと愚かな考えだと思います。人間の英知と、
生物が生き抜いていくために
何億年もの時間をかけて自然に備えてきた力の両者を
上手く利用していくべきです。その両者はけっして反目するものではありません、上手く使えば、
両方を生かすことが可能です。ガンという生き物は、どちらか一方で、
戦えるような甘い相手ではありません。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日の「食事療法でガンが治る?」で、
抗癌剤は害悪であり、
食事療法でガンが治ると信じ込まれている?
著作権侵害者のことを書きました。
このブログを読まれているかたで、
そんな馬鹿げた考えをお持ちのかたはいないと思いますが、
人間、何の根拠も無くても、
何回も同じことを
イロイロな立場の人間から聞かされると、
少しずつ信じてしまうこともありますので、
それはウソだということを書きます。
たしかに、
何回も書いているとおり、
最大耐用量の抗癌剤を使う標準治療では、
大きな害悪だけを受けてしまい、
寿命を縮めてしまう患者さんが出ることは事実です。しかし、その治療とて、
無治療よりは長く生きていることができることは証明されています。
その事実一つとっても、
抗癌剤は害悪だけではないことは明らかです。食事療法では延命効果すらまったく不明です。また抗癌剤治療は、
標準治療だけではありません。
現在5年を超えて抗癌剤治療を続けている患者さんは、
数え切れません。乳ガンはじめ、胃ガン、大腸ガン、肺ガンなどでも、
長期間抗癌剤治療を続けている、
あるいは残念ながら亡くなられた患者さんでも
5年以上抗癌剤治療を受け続けたかたは相当数に上ります。
その患者さんたちの治療では、
休薬期間は無しです。身体にダメージを与えない治療であれば、
休薬する必要はありません。海外旅行などで、
一回二回と治療が飛んでしまうことはあっても、
休薬はしません。
抗癌剤が“害悪”だけであれば、
休み無く抗癌剤を使い続けることなど不可能です。
現在経口抗癌剤で最長の患者さんは、
16年以上治療を続けています。
ガンはシッカリ存在して、
大きくなったり小さくなったりを続けています。
その都度飲み方を変えています。
点滴治療では、
タキソールを9年以上の患者さんもいます。
髪の毛は抜けず、
シビレもまったく感じないと言います。
手術ができなかったそのガンは、
いまだに存在を主張しています。
その患者さんは、
2週間に一度の点滴ですが、
一度も休んだことはありません。
抗癌剤が“害悪”だけであれば、
それほど長期間身体に入れ続けることは不可能です。
それが一人や二人ではありません。当然、いくら少ない量であっても、
身体がまったく抗癌剤を受け付けてくれない患者さんが
存在することも事実です。
しかし、そのような患者さんでも、
多くの場合、
試行錯誤で種類・量を工夫すると、
多少は効果のあるクスリ・量が見つかり、
治療を行うことは可能です。
少なくとも、食事療法やサプリメントなどよりは、
遥かに有効です。標準的抗癌剤治療の悪い面だけを強調して、「無害であるも無効」な治療?に引きづりこむ、
そして、多額の治療費用を巻き上げる、
という手口が横行しています。
十分にご注意ください。標準治療だけを行なっている多くの病院で、
それができなくなり、
「もはや治療法はありません」
と宣告された患者さん、あるいは、
私も何回も書いていますが、
「再発、切除不能のガンは治らない」
(治る確率は低い)
ということを知った患者さんに対して、潜在的に患者さんの脳裏に刻まれている「死への恐怖」を利用して、根拠の無い代替療法を押し付けたり、
「ガンが治る」というサプリメントを売りつけたりする輩は、
少なくありません。「近い将来ガンで死ぬ」と考えた患者さん、
そのご家族では、「ウソでもいいから」と簡単に騙されます。
ご自分から騙されに行きます。以前も書きましたが、
ガンが治る代替療法やサプリメントは
宝くじと同じで
ただの「夢」です。その「夢」を買うつもりで、
高いお金を払うのであればけっして悪いものではなく、食事療法、代替療法、
ガンが治るというサプリメントやなどは、
「必要悪」でもあるように思います。患者さんの夢の値段と、
購入価格が折り合えば夢を買うことは悪くないと思います。希望を失った患者さんへの、
一筋の夢だけは与えてくれるのではないでしょうか。ただ、食事療法は、
お金だけではなく、食の楽しみまで失いますから、ご自身の価値観に照らし合わせて、
慎重にお考えください。しかし、そんなものでは、
ガンは治らないという現実は忘れないでください。それでガンが治るならば、
抗癌剤が使えないアメリカの無保険者は、
ガンで死ぬことはありません。そして、抗癌剤は害悪ではなく、
使い方により、
患者さんの大きな支援者なってくれることも忘れないでください。少なくとも食事療法などの代替療法や、
ガンが治るというサプリメントなどよりは
確実に大きな力になってくれます。間違っても、
そんな「治療モドキ」にのめり込んで、
抗癌剤治療を捨てるなどという
愚かなことだけはしないでください。また、「梅澤が玄米菜食を頭ごなしに否定している」という、ガンビジネス業者か
宗教絡みの臭いのするするコメントがありましたが、
「それだけに頼るのは、あまりにも愚かだ」
と考えるのは、
私の勝手な価値観であり、
他人に押し付けるものではありません。私のブログをシッカリとお読みください。
残されていた長くはなかった人生で、
食べたいものを食べることを許されずに
逝かれてしまった患者さんをたくさん診ています。そのような患者さんを診ていると、ストレスを感じるような食事療法は愚かだと思うのが、私の価値観です。何回も書いているとおり、
百人百様のご自身の価値観でガン治療は判断するべきだと考えています。また、全身骨転移で手術不能乳ガンの患者さんで、
7年間もホルモン剤だけで、
まったくガンの進行も無く、
仕事と美食に人生の楽しみを見出しながら豊かな生活を
送られている患者さんも現在診ています。
その患者さん以外にも、
再発乳ガンの患者さんでは、
ホルモン剤だけで、
2年などという短い時間ではなく、
長期間普通の食生活で人生を楽しんでいる患者さんは少なくありません。
勿論、玄米菜食が、
乳ガンの経過に良い影響を与えていないという証拠はありません。
美食には興味が無く、
食への拘りの無いかたもいます。
そのようなかたには、
玄米菜食は悪くは無いと思います。その食事でストレスを感じないのであれば、
それは悪くはないと思います。なお、私が警告を与えたブログは、
どなたが書かれているのか、
著者もその内容も見るほど暇ではありませんが、
ある読者が教えたくれたページに、
私の書いた文章がそっくりそのまま、
掲載されていたので、
著作権の侵害である旨警告しただけです。
その著者が余命宣告をされていたことは知りませんでしたが、
余命宣告をされているからといって、
刑法違反が許されることにはなりません。
また、がんセンターなどの余命宣告ほど、
当てにならないものはありません。
また、「コメント欄の閉鎖」を提案されてこられた読者のかたもおられます。
私の記事を曲解されたうえでの、
嫌がらせのようなコメントが増えてくるようであれば、
閉鎖することも考慮いたします。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
一昨日の「不幸な考え方」で紹介した馬鹿げたコメントの投稿者は、
かなり問題のある人物のようですね。
コメントの内容から考え相当の変人だと思いましたが、
このブログのある読者が教えてくれました。
「玄米菜食でガンが治る」と信じ込まれており?
それをインターネットを使い
辻々で吹聴してるそうです。私のこのブログも著作権を侵害されていました。
私の考えとまったく違う氏の主張のために、
私のブログの記事が引用されていました。
氏の背後には、
動物実験だけで、
人間のガンを診たことの無い、
有名な免疫学者やガンビジネス業者がついているそうです。
コメント主はガンビジネスの宣伝マンのようです。そういえば、
一昨日「金儲けのためにガン治療をしている医者はいない」と書きましたが、
その免疫学者に金魚のフンのようにくっ付いて、
根も葉もない「免疫でガンが治る」という主張を繰り返してしている、
医者や、何故か歯医者までも、
ガン患者さんをお金儲けに利用しているようです。彼らの行っている行為は、
ガン治療ではありませんから、やはり、ガン治療を行っている医者はお金儲けは考えていない、
というのは正解だと思います。真摯にガン治療を行っている医者を、
私腹を肥やす悪人呼ばわりして、ガンビジネスに走る、
本当の悪徳医者を擁護しているように思えます。玄米菜食でガンが治るという妄想に駆られている御仁は、多くの場合、
抗癌剤を完全に否定します。体力を奪い、ガンを進行させる、
諸悪の根源であるかのように根拠無く吹聴します。たしかに、最大耐用量の抗癌剤治療は、
それが、ガン細胞に命中しなかった場合には、
そのような状態に至ることは珍しくありません。
しかし、標準治療とて、
無治療よりは、
延命効果はあることは証明されています。
食事療法やサプリメントではガンは治りません。勿論、世の中宝くじに当たる人間も存在しますから、
人間生きていれば何が起こるか分かりません。
何もせずに自然治癒することもあるのがガンですから、
その患者さんが、
たまたま食事療法をしていれば、
食事でガンが治ったということにされると思います。
サプリメントなどでも同様です。
食事療法の信望者や、
サプリメントの業者などは、当たり前の結果として、
まったく効果が無かったときの言い訳に、「抗癌剤を使ったから効かなかった」という言葉を用意してあります。国民皆保険の日本のガン患者で、
抗癌剤をまったく使わない、
すなわち無治療で経過を診る患者さんなどほとんどいません。したがって全員、抗癌剤を使っているのですから、
一人も効果が出なくても良いことになります。ところが4千数百万人の無保険者がいるアメリカでは事情が違います。その人たちは、
お金がないため、
高価な抗癌剤を使った治療を受けることができません。
したがって嫌でも抗癌剤無しの無治療になり、その結果、食事療法やサプリメントに一抹の望みを託します。しかしガンは当然治っていません。
抗癌剤が使えないアメリカの無保険者もガンで死にます。サプリメントの中には、
延命効果や再発予防効果に対して、
確実な手ごたえを感じられるものもあります。
そして、少数の論文報告など
ある程度のデータが出されているものもありますが、
抗癌剤治療のように、
確固たる臨床データは存在していません。
まして、食事療法での効果は、
まったく未知です。
「食事療法で○○%の確率でガンが治る」などととぼけたことが書かれていた書籍を、
患者さんから見せられたことがありますが、
アメリカの無保険者は、
その確率で「ガンが治る」ことになります。
ガン治療を受けることができないのですから、
多くの患者さんは生きるために何でもすることでしょう。
たしかに食事療法は、
ガンという病気に対抗する一つの手段として、
悪い行為ではないと思います。
しかし、ニワトリかウサギの餌みたいな食事で
満足できる患者さんがどれだけいるのでしょうか。その食事を何のストレスも感じずに受け入れる人間が、
飽食の国でどれだけいるのでしょうか。そのストレスの方が、
余程、ガンに対して悪く作用する可能性があります。食の楽しみを奪われる、という、
ある意味標準治療の厳しい副作用よりも
遥かに辛い状態に身を置くことになります。
少なくとも、
私自身や身内の人間には、
それを勧めることはしません。
ニワトリの餌を食って長生きしようとは考えません。
勿論、それは私の価値観であり、
個々の患者さんで
その治療?について考えてください。
ちなみに、厳密な食事療法を行っていた患者さんを、
何人も診てきました。抗癌剤治療を一切拒否して、
それだけで治療?をしていた患者さんもいます。
しかし、効果が得られた患者さんは一人も見たことはありません。ただ、お一人だけ、
標準的抗癌剤治療と平行して、
厳格なゲルソン療法を行い、
大きな効果を得たと言われる患者さんを診ていたことはありますが、
単純に大量の抗癌剤での治療が奏効しただけだと思われます。
食事療法の信望者は、
「抗癌剤を使っては食事療法に効果は無い」
と言われますので・・・・
残念ながらその患者さんはすでに亡くなられました。
コッテリと脂の乗った最高の、やはり美味しい国産ウナギ、
タップリと脂の乗った大トロと適度な中トロ、
昨夜は、見事に綺麗な刺しの入ったステーキに
最大耐用量の極上の焼酎!
身体に良くない脂まみれ食生活を楽しんで、
長生きをすることに価値を見出せない人間の価値観からすると、食事療法は、
害悪以外の何者でもありません。治療の方針を決めるのに、
ご自身の価値観はハッキリさせることはとても重要です。
また、
如何なる価値観を持つことも自由ですが、それを他人に押し付けたり、
「抗癌剤は害悪」
という間違った宣伝だけは止めていただきたいものです。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
警告:「自然崇拝者ですが」氏、
あなたが行っている、
このブログの文章を、
勝手に他のブログなどへ投稿する行為は、
著作権の侵害です。
今後、同様の行為は一切ご遠慮ください。
また、他の患者さんの寿命を縮めるような行為もお止めください。
お一人で美味しい玄米を食べて長生きしてください。
一昨日の昨日の
「ラストチャンス」と
「不幸な考え方」と一見矛盾したような感じを受けるかも知れません。
一方で「多くの医者は患者さんことを考えていない」と書き、
方や、「患者さんのためを考えなければ医者などやっていられない」と。何処の医者も患者さんのためを思って治療を行なっていると思います。
あるいは、行いたいと思っているはずです。しかし、現在の日本では、エビデンスにガンジガラメに縛られてしまって、
医者の望むような、
すなわち患者さんのための医療ができない状況が
作り上げられてしまっているように感じます。エビデンスに縛られている理由は幾つか考えられます。一番大きな原因は、
日本の極めて貧しい医療体制にあると思います。いつかも書きましたが、
一人の医者が診る患者数は、
欧米と比較になりません。
日本の医者は一人で欧米の医者の何倍もの患者さんを診なければなりません。
必然的に一人の患者さんにかける時間は短くなります。
多くの患者さんが経験されているとおりの、
3分診療です。
短時間で多くの患者さんを診ていくためには、
エビデンスという証拠をもとに設計され、
まっすぐに敷かれたレールの上に、
次々に患者さんを乗せていくことが最善の方策になります。
少ない医者で経営効率を上げるには、
ベルトコンベアが一番です。
工業製品の大量生産と同じです。それでも、がんセンターをはじめ、
多くの病院では、
抗癌剤治療では赤字になります。
しかし、この貧困医療の大きな原因の一つは、
国民の医療に対する意識にあるように思います。水と医療と安全はタダ、
という認識をお持ちの患者さんは、
少なくないように感じます。健康保険に入っていれば、
すべてタダで最高の医療を提供してくれる、と大きな勘違いをされているかたもよく見かけます。とくに高齢者ではそのような認識のかたは多いように思います。
事実、社会保険本人は自己負担ゼロという時代が、
長く続いていました。
かつて診ていたある患者さんで、
健康保険の範囲での治療では、
有効なクスリが無くなり、
「健康保険では通らない別のクスリならば・・・・」と言ったところ、
「何で保険に入っているのに、
健康保険が使えないんだ!」といきなり怒りだしたお爺ちゃんもいました。
効果の無くなった健康保険の範囲内だけの治療で、
間もなく亡くなられました。
経済的にお困りのかたではなかったようですが、
「日本の医療 = 健康保険 = ほとんど無料」というシッカリとした認識が確立されているようでした。
ご自身の健康を守る医療には、それ相応の出費も必要だということを、シッカリと認識しなければならないと思います。健康保険で、今よりは少しはまともな医療の提供を望むならば、
健康保険料率の値上げも当然必要だと考えます。現状の乏しい財源では、
欧米に比べて新薬の承認が遅れるというドラッグラグは、
当然だと思います。タイケルブは随分早く承認されて、
チョット驚きました。
間もなくアバスチンが、
肺ガンの適応を取得するという噂もありますが・・・
もう一つの原因は、
これも患者側の責任であるように思います。
どなたかのコメントにもありましたが、
民主主義国家の住人として、
多くの患者さんで、
あまりにもご自身の責任を持てていないように感じます。何回も書いているとおり、
ガン治療の結果責任は、
患者さんが負うしかないのです。馬鹿な医者が
「責任は持てない」
などと言っても、
患者さんが死んだことに責任をとって、
腹を切る医者はいません。
医者に代わって責任を取ってくれるのはエビデンスです。患者さんがご自身の治療の結果責任を医者に転嫁するような風潮が
今の日本には多分にあるように感じます。そうなれば、
医者は自己武装しなければなりません。
そのためにはエビデンスという鎧は万全です。そのエビデンスが患者さんにとって、
大きなメリットなど無くても、医者にとっては最強の防御壁になってくれます。エビデンスという鎧を脱ぎ捨てて治療を行ったとき、その結果が良ければ、
イイのですが、
悪い結果が出て裁判にでもなった場合、
現在の日本社会の風潮からして、
医者が如何に不当に責め立てられるのか、
火を見るより明らかです。
民衆に迎合したマスコミも、
こぞって医者を攻撃するでしょう。
このような社会風潮では、医者は自分を守ることで精一杯です。患者さんのことを考える余裕などありません。「患者さんのために」
と考えても、
怖くてできない、
という状況だと思います。ご自身の受ける医療について、
日本の将来の医療について、
真剣に考える必要があると思います。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く上記文章をブログその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日の「ラストチャンス」に対して、幾つかのコメントをいただきました。
その中で、
大きな誤解をされている内容が一つありました。
ほとんどの医師は患者のためより、
むしろ患者に不利益、害でも、
医者、病院、製薬会社の利益のために、
お金稼ぎの治療しているように思います。
これは、トンでもない勘違いです。少なくとも、
私の知る範囲の医者のなかで、
お金儲けを目的に治療を行っている医者は
ごく一部のいかがわしい代替療法だけを行っている人間くらいで、
他の医者では一人もいません。
かつて、先輩でその類の医者も見ましたが、
その人間は今はガン治療はしておりません。
また、美容形成外科などの、
患者さん?の趣向のために仕事をしている医者は、
ご自身のお金儲けを考えているのだとは思いますが、
それは、その医者の自由であり、
誰の迷惑になることでもありません。
ガン治療を実際に行っている医者では、
ご自身のお金儲けを考えている人間はいないと思います。日本の医師免許は、
すべての診療科を自分での意思で選択することが許されています。
どの医者も、
お金儲けを考えれば、ガン治療を行おうとは考えません。「外科医では、お金が儲からない」
と、美容整形外科に転職することも自由です。
しかし転職する医者はごく僅かです。
大学病院や○○がんセンターの医者が、
如何に薄給で仕事をしているかご存知でしょうか。
ちなみに、私の大学病院の年収は500万円弱でした。
その他はアルバイト収入で生計を立てていました。
その収入から学会参加費用なども捻出していました。
現在の日本で、
医師免許を取得することは、
誰にでも簡単にできることではありません。
大学により程度の差はありますが、
ある程度の学力は絶対に必要です。
また、医師免許を取得した後の労働時間は、
他の職種とは比較になりません。その学力をほかに生かして、
実地勤務医と同じ時間だけ働いたなら、
遥かに優雅な生活ができます。恐らく、○○がんセンターや大学病院で
50歳以上で△△部長職の医者では、
日本の一流企業の
40歳の管理職程度の給与しか、
得ていないはずです。
あるいはそれよりも低いと思われます。
また、勤務医が、
どれだけたくさんクスリを使っても、
自分の懐とはまったく関係ありません。
数日前にも書きましたが、
現在の健康保険での保険点数制度では、
病院はいくら高額な薬剤をたくさん使っても、
ほとんど利益にはつながらないどころか、
高額な在庫確保や期限切れになる薬剤を考えると、
むしろ赤字になります。
仮に、クスリを使うことで病院に僅かな利益があったとしても、
それは医者の待遇にはまったく反映されません。
まして、製薬会社のためを思ってクスリを使うような、
馬鹿な医者は存在しません。
「割り箸事件」に象徴されるような、
現在の「何でも訴訟」の日本ですから、患者さんの不利益よりも、
自分の地位を守ることを優先する、
ということは、
十分に有り得ると思います。そしてそれが故に、患者さんには大きなメリットなど無くても、
エビデンスに守られた、
医者には一番優く安全な標準治療だけが、
何処でも行われているのだと思います。しかし、それは患者側に大きな問題があるように感じます。「医者が患者の不利益を顧みず、
金儲けのために仕事している」という、少なくともガン治療の現場において、あまりにも現実離れした思考は、
ご自身への医療を、
理想から益々遠ざける結果になると思います。何処で働く医者も、
学問的な興味はあり、
それが優先されているきらいのある医者は時々見ますが、
多くの医者は、
先ず、「患者さんのために最善の治療を」
という気持ちでいることは間違いないと思います。但し、その病院の置かれた環境により、
一見、患者さんのためではない、
と思われる治療しかできないだけのことだと思います。また、目の前の一人の患者さんのためよりも、
後世の患者さんのためを考えている医者も当然いると思います。大学病院や、がんセンターなどでは、
それも大きな使命です。しかし、現在、幾つかの大学病院や、
公立病院では、
「うちでできるのはここまでです。
あとは、保険外の治療ならば可能性はある。
それを望むなら梅澤のところへ行きなさい」と、患者さんを紹介してきます。
それは、患者さんのためを思ってのこと以外の何物でもありません。
「患者さんのために医療を行う」その気持ちがなければ、
医者など馬鹿馬鹿しくてやってられません。ガン医療では、
最弱者であるガン患者さんを、
助けてあげたい、
という気持ちがなければ、
誰も、好んで大変な仕事はしていません。コメントのような考えは、日本の医療崩壊を加速させてしまいます。認識を改めてください。以上 文責 梅澤 充
昨日の「ガンが治った!?」で書いたとおり、
「根治不能○ヶ月です」宣告から、
治ったモドキの状態になっている患者さんは、
多くはありませんが、
数%の割合で確実に存在します。標準治療では、
ほぼ100%の確率で死に至ります。また、○ヶ月は遥かに超えて元気で生活されている患者さんは、
数知れません。エビデンスの○ヶ月を下回る患者さんは、
ほとんどいません。それは、個々の患者さんの状態に合った治療を行なえば、
当然の結果だと考えています。万一、どの抗癌剤治療も無効であった場合でも、
標準治療では、
その効かない抗癌剤を、
「標準量」という、
人間が耐えることが可能な最大耐用量で、
投下されるのですから、その患者さんの被爆・被害は、
極めて甚大であり、
それにより大きく寿命を縮めますから、患者さんは無治療で経過を診るよりも、
外れた爆弾により、
早く逝かれてしまいます。すべての患者さんに対して、
まったく均一な治療など、
存在するはずがなく、
愚かな治療だと思います。
勿論、標準量が最適量の患者さんが存在することも事実であり、
私自身、
現在、その標準量の抗癌剤を使って治療を続けている患者さんもいます。
その患者さんでは、
その量でも、
白血球の減少も見られず、
副作用を感じないと言いますので、
その患者さんにとっては、
最善の治療であると思われます。
しかし、多くの患者さんでは、
標準量では、
副作用の大きさ、悲惨さに比べ、
その治療で得られるメリットは相当に小さいと思われます。ガンの縮小という、
患者さんにとっては、
大きな喜びは得られずとも、
容認できる副作用の範囲で、
抗癌剤を少しだけ有効に使って、
長生きする方がトクだと考えています。
勿論、それは私の価値観であり、
ホンの○ヶ月でも延命ができるなら、
どれだけ苦しい副作用でも耐える、
という価値観をお持ちの患者さんにとっては、
その治療でも悪くはないはずです。
しかし、私と同様の価値観をお持ちの多くの患者さんでも、
標準量と称される、
最大耐用量の抗癌剤での、
治療を繰り返し受けてしまい、
身体がボロボロになり、
PS. を大きく低下させてしまった状態で、
時々来られますが、そのような状態になってしまうと、
ごく少量の抗癌剤すら、
身体が受け付けなくなってしまっていることもあります。「何でここまで・・・」
「今頃来ても・・・」と、絶句せざるを得ない患者さんも少なくありません。
極めて困難であろうとは思われますが、
根治のチャンスさえあった患者さんもいます。
しかし、私がはじめて診たときには、
それは、すでに夢に終わっていました。
それにトライするチャンスも与えられることなく、
「標準」という名の、
ただただすべての患者さんに均一の治療を、
推し進められていました。
やはり、
「皆が受けているのだから、
最善の治療に違いない」あるいは、
「○○がんセンターならば、
最高の治療をしてくれるに違いない」という文字通り致命的な勘違いのもとに、
その治療の真実を知らずに、
それを受けて、
途中で、その治療の矛盾に気が付いても、
昨日も書いたように、
そこから飛び出す勇気が無く、
結局、治療のチャンスを逃している患者さんも少なくありません。
幸い本日セカンドオピニオンに来られた患者さんでは、
まだ全身状態は保たれており、
もしかして根治の可能性も有り得る、
という状況でした。
もう少し早く来ていただいたほうが良かったのですが、
まだ可能性は残っている状態ですので、
心の中でホッとします。
以上 文責 梅澤 充
再発ガン、手術不能のガンは治らない、
ということを何回も書いていますが、
それは標準治療でのことです。
今週診た患者さんの中では、
4人のかたは、
「ガンが治ってしまった」かも知れない、という状態になっています。どの患者さんも、
ガンが治るなどということは、
まったく予想されなかったかたです。勿論、標準治療はしておりません。
標準治療を続け、
「もはや治療法はありません」
と言われた患者さんもいます。
その患者さんは、
はじめて私のところに来られたときにも、
全身状態はけっして悪くはなく、
PS. は0 ~ 1 という状態でした。
健康保険で行える標準治療は無い、
というだけで、
白旗が揚げられていました。
100%死に至る標準治療の真実を知って、
その治療を避けて、
来られた患者さんもいます。
標準的なことをしていたならば、
標準的な結果しか得ることはできません。その結果は、
エビデンスどおりに○ヶ月以内に
半数の患者さんが死ぬという結果です。そんな結果を望んでいる患者さんは、
多くはないはずです。その治療の本当の成績を知らないから、
受けてしまっているだけだと思います。何回も書いていることですが、
「標準治療 = 最高の治療」
ではありません。「標準治療 = 最低限度の治療」
です。「治ったかも知れない」
と思われる患者さんを診ると、
本当に最低限度の治療をしないでよかったと思えます。勿論、そのような状態になる確率は高くはありません。
しかし、標準治療では、
それはほとんどゼロ%ですから、
それよりは遥かに高い確率で、
その状態が得られます。
勿論、卵巣ガンの術後の抗癌剤治療のように、
治ったモドキの状態かも知れません。
したがって、
治ったように見えている患者さんでも、
抗癌剤治療は続けています。副作用を感じない範囲であれば、
これからも何年でも治療を続けることが可能です。その治療の頻度も、
経口剤だけの患者さんもいますし、
月に1~2回のかたもいます。
「治ったかも知れない」と思われるような状態にまでは至らずとも、
ガンと完全に同居しているという、
良好な経過を辿っている患者さんは、
もともと全身状態の良いかたがほとんどです。抗癌剤治療で全身がボロボロの状態になってから
はじめて来られる患者さんでは、
あまり良い経過は期待できません。ガンの状態は、
相当に厳しくても、全身の状態が保たれていれば、
その後は良好な経過が、
期待できると思います。全身状態が悪くなる前に、
ご自身の治療方針を
シッカリと確認してください。そのためには、
4月28日に書いた「治療を止める勇気」も必要です。
標準治療に不信感をいだきながらも、
そこから逃げだす勇気がなく、
ダラダラと続けてしまい、全身状態がボロボロになり、
はじめて来られる患者さんも少なくありません。しかし、その状態では、
良好な予後は期待できません。以上 文責 梅澤 充
何回もしつこく書いていますが、
現在ご自身が受けておられる、
あるいはこれから受けるガン治療の、
目的が何処にあるのか、それを知らない、
知ろうとしない患者さんが、
少なくありません。再発ガン、切除手術不能のガンに対する標準的抗癌剤治療とは、
そのガンが根治することは、
はじめからまったく想定されていません。100%死に至ることが前提の治療です。「再発ガンを放置すれば、
確実にその患者さんは死ぬ、
それよりは少しでも長く生きることができる。」ただそれだけが、
標準的抗癌剤治療の目的と言っても過言ではありません。ある程度の年齢の以上の患者さんであれば、
そして、その治療で大きな副作用を感じないのであれば、
その治療も悪くはないと思います。
しかし、まだお若い患者さんで、
お子さんも小さいようなかたが、
それで満足できるはずはないと思います。
医者はそれがエビデンスどおりの治療で満足するかもしれませんが、
ご本人にとっては、
堪ったものではありません。
何回も書いているとおりの、
完全な同床異夢です。
患者さんと医者との、
目的地の違いに気付かず、
ただ、標準治療を数回受けただけであれば、
まだ取り返しがつくこともありますが、
治療内容によっては、
医者がエビデンスを錦の御旗にして目指す
最終目的地点を目指さざるを得なくなることもあります。勿論、再発ガン、切除不能のガンで、
根治を目指すことは、
極めて困難であることがほとんどです。
しかし、その可能性はゼロではありません。
事実、死ぬことが前提の標準治療から逃れ、
「根治したのではないか」
と思われる患者さんは何人もいます。常識・エビデンスに囚われずに
注意深く探せば、
何処かに根治への道も開けているかも知れません。エビデンスなど無くても、
と言うより、
「○カ月以内に半分の患者さんが死ぬ」などという不吉なエビデンスなど存在しない、もっと長く生きる可能性も十分にある治療を見つけたほうが、
得策だと思います。当然その時、
「ガンが治る」などという
詐欺まがいのサプリメントがいまだに横行しているようですが、
そんなものに手を出すのは、
自殺行為であることは言うまでもありません。
ガン治療は、
先ず、主治医の目的地をシッカリ確認して、
それがご自身の望むところでなければ、
別の道を探してください。その時、
ご本人には、
本当の目的地を話さないことも、
十分に考えられますので、
ご自身のいないところで、
ご家族だけが話を聞くのも悪くないと思います。
本日も、
道を間違えておられる、
まだ若い患者さんが来られました。
お気をつけください。
以上 文責 梅澤 充
大腸ガン手術後の再発予防のための抗癌剤治療について、
内科医と手術を行った外科医の意見の相違についての記事がありました。
末梢神経障害による
手足の重篤なシビレが、
その治療を受けた患者さんの10%に出現するという治療と、
その副作用は無い、
身体に比較的優しい抗癌剤治療を受けたグループでは、
手術後6年目の生存確率が4%違う、
というデータをめぐって、
内科医と手術を行った外科医の意見が分かれていました。
4%の差は、
生きている確率の差であり、
その時点での再発率の差ではありません。
「4%生存確率が向上するメリットより、
10%の患者さんに重篤な神経毒性が出るという事実を重視すべき」という外科医の意見に対して、「10%の患者さんで出現するの神経毒性よりも、
4%の生存確率を優先するべき」という内科医の意見が載せられていました。どちらの考えが正しいのでしょうか。
勿論、両者ともに正しいと思います。
しかし、その答えは、
内科医でも外科医でもなく
患者さんご自身が決めるべきことです。
問題は、
患者さんが冷静に考えて決めることができる
環境に置かれている否かです。内科医は、
ご自身の価値観から、
10%の副作用については、
ごく軽いかのように説明し、
4%の生存確率の高さを強調し、
副作用は無視して、
ご自身の考える治療を勧めると思います。
逆に外科医は、
10%の副作用が如何に重篤で、
4%など気にする必要の無い僅かな数字であることを強調し、
副作用の軽い再発予防治療または無治療を勧めることになると思います。
私の価値観から判断すれば、
再発予防の標準的な抗癌剤治療は、
副作用のわりに大きなメリットは無いと考えます。多くの種類のガンでは、
再発予防の抗癌剤治療での
生存期間の延長は僅かであり、私自身であれば、
その治療は受けません。しかし、僅かに数%でも、
再発確率が下がる可能性があり、
無治療の患者さんより長生きできる
確率が高くなることは事実です。
その数字を、
「僅か」と考えるか、
「大きい数字」と考えるかは、
患者さんの価値観により変わります。QOLと延命、
どちらをどの程度重視して、
ご自身の人生を考えるのか、
それは、
個々の患者さんが決めることです。
腫瘍内科医は、
ガンおよび患者さんの個性を無視して、
すべての抗癌剤治療を、
型どおりに患者さん全員に均等に行う傾向が強いように感じていますが、人間の生き方、
価値観まで、
それに付き合わされては堪りません。腫瘍内科医から、
抗癌剤治療を取り上げたら、
仕事が無くなってしまいますので、
止むを得ないとも思いますが・・・・
ご自身の一生涯を、如何に生きるかについてくらいは、
医者の判断ではなく、
患者さんご自身で決めてください。そのためには知識武装が、
絶対に必要です。
可能な限り多くの医者の考え方を聞くのことも、
大きな判断材料になると考えます。
以上 文責 梅澤 充
一昨日「タイケルブ」で、旧称?「タイカーブ」(Tykerb)、
一般名称「ラパチニブ」について書きましたが、
それについて、
薬価を調べてくれたかたがいるようです。
正式には今週19日金曜日に決定されるようですが、
1620.7円だそうです。
1700円台との話も聞いていましたので、
少し安くなったのでしょうか・・・・
いずれにせよ、
自費で輸入薬を買うのとは大違いです。しかし、残念ながら、
健康保険では、
乳ガンに対してしか認められていません。しかも、まだ正式な添付文書は読んでいないので、
ハッキリはしませんが、
恐らく、
健康保険で併用が認められる抗癌剤は、
ゼローダだけになると思います。現在、乳ガンでタイカーブを輸入で使っている患者さんでは、
健康保険ではハーセプチンを使い、
ゼローダを併用しているかたもおられますし、
ハーセプチンとさらに別の抗癌剤も使っているかたもいます。
しかし健康保険では、
それは許されなくなります。
表向きは、
お得意の「データが無い」という理由ですが、
一番の理由は、
特にハーセプチンなどと併用されたなら、
医療費がベラボウに高騰してしまうが故ではないか、
と邪推しております。
私は以前から、
乳ガン以外の他の種類のガンにも使っていますが、
治療効果は少なくはありません。しかし、お財布へのダメージは、
相当に大きくなります。今後、日本で世界一安い薬価で、
市場に出ることになりますが、乳ガン以外の患者さんでは、
しばらくは、
その恩恵に与ることはできません。市販された後、
全例調査というのが義務付けられており、
乳ガン患者さん以外では、
自費でもそれを使うことは、
許されません。
しばらくはお預けです。
今しばらくお待ちください。
勿論、今までどおり、
輸入であれば、
問題無く使えますが、
せっかく、
国内で認められたのですから、
自費でならば、
お上の懐は痛まないわけだし、
認めてくれてもよさそうなものですが、
お役人は融通が利かないようです。
しかし、
タイケルブもそうですが、
一般的には、ガンを治す目的で使われるクスリではありません。
延命のためのクスリです。輸入などをして使えば、
ベラボウに高額になる薬剤を使うことにより、
それを使わない患者さんよりは、
長生きができる、
ただ、それだけを目的に使われるクスリです。
それでも、
「使いたい」と言われる患者さんもいますし、普通のかたは、
「使いたくても使えない」と言われます。お金と寿命の密接な関係は、
何時でもつきまといます。お金のあるかたも、
そうではない人も、
ご自身の命の値段は、
日頃から考えていた方が、
いざというとき、
如何するか、慌てずに済むと思います。
タイケルブ以外にも、
異常に高額な輸入の薬剤を、
延命目的に使っている患者さんも診ています。
そのクスリの目的も、
効果も十分に理解されて使われています。
勿論、経済力の問題もありますが、
ご自身の価値観・人生観をシッカリと持っておられ、
その上で迷うことなく使われています。
何はともあれ、
現在、乳ガンでタイケルブをお使いの患者さんは、
次回からは、
自費ではなく、
大手を振って健康保険で使えます。
おめでとうございます。
と同時に、
健康保険では認められないため、
それが使えないまま、旅立たれた多くの患者さんを思い出します。
ご冥福をお祈りいたします。以上 文責 梅澤 充
過去にタイカーブと言う名前のクスリを、
何回か紹介しましたが、
一昨日そのタイカーブ(Tykerb)の、
日本での承認記念の講演会がありました。
日本名は「タイケルブ」となりました。
ハーセプチンが無効になった患者さんに有効な分子標的薬です。外来診療が終わってから行ったので、
最後の方しか聞けませんでした。
日本でのその新薬の使い方についての話でしたが、「データがあります」
「データはありません」
「エビデンスはありません」その言葉が何回も何回もしつこく繰り返されていました。如何なるガン治療も、
すべてデータ・エビデンスに支配されているようです。勿論データは極めて重要です。
しかし、それはあくまで他人のデータであって、
現在患っている患者さんに当てはまるか否かは別問題です。
拠点病院の医師たちは「これからはテーラーメイドの時代です」などと
表向きには言っていますね。
というコメントをいただきましたが、
タイケルブは分子標的薬です。標的になる分子が、
患者さんのガン細胞に存在していなければ効きません。患者さんのガン細胞の性質に合わせて、
クスリを使っていくことだけで、
テーラーメイドのガン治療と
称している部分もあります。ガン細胞にとっての、
テーラーメイドであって、そのガン細胞を宿した患者さんにとっては、
データというマニュアルにしたがって均一に作られ、
提供されるているただの定食のように感じます。
テーラーメイドではありません。新しいクスリが出て来ることは、
それだけ武器が増えることであり、
それはとても有り難いことです。
特に日本の場合、
幾ら高額な新薬でも、
健康保険で認められるということは、
高額医療という制度により、
患者さんの経済的負担の限度額も、
上限が決まっています。
自費での青天井ではなくなります。
これも、本当に有り難いことだと思います。
しかし、
そのせっかくの有り難い新薬も、
個々の患者さんに合わせて使われるのではなく、治験から得られたエビデンスだけに縛られ、
均一の定食メニュの一つに加えられるだけでは、
有り難味も半減です。しかし、幸いなことに、
今回のタイケルブは内服薬です。
標準量は、ゼローダとの併用で、
1日1回5錠の内服ですが、
この量では、
相当の副作用がでてきます。
しかし、内服薬は、
ご自身で、ご自宅で飲むのですから、
副作用が辛ければ、
自分で減量することができます。
残念ながら、
内服量が減れば、
効果も減弱すると思われます。そのことを、
しっかりと認識できる患者さんであれば、
ご自身の価値観に照らし合わせて、
飲む量を自己調節できます。点滴だと、
決められた量の抗癌剤が体内に入れられてしまいます。
ひとたび身体に入ってしまった薬剤は、
抜き去ることはできませんが、
その点内服薬は、
ご自身の意思が反映できます。
ご自身で、
調節して量を決めてください。
当然、そのときにも、
頻回に検査を行い、
ガンの動向を診ていかなければならないことは、
言うまでもありません。そのガンの動向と、
副作用を天秤にかけて下さい。タイケルブは日本の健康保険では、
乳ガンだけですが、有効性が期待できるのは乳ガンだけではありません。
ハーセプチンと同様に、
胃ガンをはじめ、
多くのガンでの有効性が期待できます。私のところでは、
既に、多くの種類のガンでの効果が確認されています。
そのクスリにより長生きしている患者さんはたくさんいます。
エビデンスが無い、
データが無い、
などと言っていたら、
何もできません。
お墓の中で、
将来のデータを見ても意味がありません。治療薬をガン細胞に合わせるのではなく、
そのガンを背負った患者さんを診て治療を行なう、
本当の意味でのテーラーメイド医療が
日本で実現するのは、
相当に先のことだと思います。ご自身のテーラーメイド医療は、
ご自信でも模索してください。以上 文責 梅澤 充
ある意味絶望的な、
しかし、見事に現実を言い当てていると思われるコメントをいただきました。
根治の可能性がゼロなら・・・
ブログに書かれていたと思いますが、
結局、一生懸命、検査しても根治の見込みの無い患者には、
無駄と考える医師が多いのでしょう。
何回かこのことは書きましたが、
そのとおりだと思います。
稀に、本当に諦めなければならない状態の患者さんにも遭遇しますが、
可能な限り最期まで諦めない、
という考えでガン治療を行っているつもりです。
しかし、私も20年前は違っていました。
「どうせ何をやったってダメでしょ!」という考えに支配されていました。
必死になって“ダメな患者さん”を診ている先輩外科医を見て、「随分と無駄なことをしている」
と感じていました。ガンという強敵に対しての外科医の武器は、主にメスです。メスは、ガンの根治を目指して振るわれます。その結果、
何ヶ月か何年後かに、
再発を来たした場合、
卵巣ガンなどでは、
再発しても治る可能性もありますが、
外科医が扱うガンの多くは、
目指していた根治への道は閉ざされることになり、
後は、何をしても治ることは無い、
「どうせ何をやったってダメでしょ!」という考えに至ってしまいます。
したがって、多くの場合、
一度手術で虐めた患者さんの身体を、
再び傷めつけようとは考えていないように感じます。治らないガンに対して、
身体に優しい治療を、
第一考えるはずです。多くの外科医はそうだと思います。
特に、手術が上手で、
手術に自信をもっている外科医ほど、
そういう傾向は強いように感じます。
(私が上手というわけではありません)
しかし、ガン、治療、生、死についての考え方は
医者の年齢によっても、
大きく変わってきます。外科医は若いうちは、
自分のメスで患者さんのガンを治したい、
と強く考え手術を行いますが、
それが、手術後に再発を来たすと、
強い敗北感を味わいます。
そして、その後は、
「どうせ何をやったってダメでしょ!」という考えに直ぐに帰着していました。
それと同時に、
「何をやってもダメな」治らないガンであれば、
治る可能性の高い患者さんのために
自分の時間を使いたいと考えるはずです。しかし、外科医も歳を取ってくると、
死というものが身近な存在になってくるためか、
考え方が変わってきて、
ガンの手術を行った結果が、治るか、死ぬかの二つだけではない、
ことに気が付いてくるように思います。少なくとも私は歳を取って初めて気が付きました。
必ずしも
「どうせ何をやったってダメでしょ!」ではない。
と考えるようになります。
一方、術後の再発予防のための、
標準的抗癌剤治療以外には、
はじめから、
治ることはなく、
死ぬことが前提のガン患者さんばかりを診ている腫瘍内科医が、
如何なる心境で日々の治療を行っているのかは不明です。
患者さんのためにと思って治療を行っているのだとは思いますが、
少々アタマが硬い先生が多いように感じます。
また、ご自信の価値観を患者さんに押し売りしている先生も、
しばしば見受けます。
腫瘍内科医は、
「どうせ何をやったってダメでしょ!」と考えてしまったなら、
仕事はまったく無くなります。
ご自身の仕事には、
当然、誇りを持っているでしょうから、
その治療には、
何らかの意義を感じて日々の治療に励んでいるのでしょうけれども、
私にはその意義・価値はほとんど理解できません。
腫瘍内科医の考えは分かりませんが、
少なくとも多くの外科医では、「どうせ何をやったってダメでしょ!」であれば、
“ダメではない患者さん”に自分の労力を使おうと考えます。その結果、
“ダメな患者さん”の治療はおざなりになります。それも、日本の医療の貧しさの一つの表れだと思います。医者が余裕を持って仕事ができる環境があれば、治らないガンを宿した患者さんに対しても、
もっと肌理細やかな治療を考えることができるはずです。日本の医者は、
欧米の医者の3~5倍の患者さんを、
一人で診ているというデータもあります。
欧米の医者は、
日本の医者の4倍程度の時間を
一人の患者さんにかけることが許されています。
日本の医療はやはり貧しいと思われます。
そんな中で医療費はさらに削減されようとしているようです・・・・以上 文責 梅澤 充
昨日の「一喜一憂」で、「検査の頻度」に対していただいたコメントの
チョット気になることを書きましたが、
まだ、気になるところがあります。
それとも抗がん剤の作用ってのは、
1週間かそこらの、とても短い応答時間で
現れるもんなんでしょうかねえ?
それなら毎週見るのも意味がありそう。
これに対しては、
別の読者が、
事実を書いてくれましたが、
多くの患者さん、
および医者は、
論文になっている事実と、
ご自身で経験してきたことだけで、
極めて奥の深いガンという病気の
真実を知らない、
知ろうとしないのではないでしょうか。
何回も書いていますが、
主治医から
「そんな量では効かないと言われた」と言う患者さんはたくさんいますが、
その主治医は、「そんな量」は試したことが無いのです。それなのに、
何故「効かない」と断言することができるのか、
私には不思議でなりません。
たしかに論文では、
そしてエビデンスでは、
有り得ない量ですが、論文やエビデンスと現実は、
大きく違っているのです。その抗癌剤の作用機序や、
細胞分裂のスピードなどを考えると、
そんなに早く効果が出るはずがないとしても、
理論と現実は、
大きくかけ離れている場合も少なくありません。実際に効果は見られるのです。
恐らく、
理論と現実を引き離している犯人は、
免疫力だと思いますが、
その確証を知っている人間はいません。放置すれば人の命を奪ってしまうガンという病気に対して、
手術、放射線、抗癌剤治療などで対抗します。しかし、いずれの治療でも、
人体に甚大な被害をもたらします。手術などその最たるもので、
人の身体を切り刻むという最低の治療方法です。
しかし、それに見合う見返りが期待できるから、
行うのです。
すなわち、ほとんどの場合、
手術でしかガンの根治は得られません。
その根治のために、
神様からいただいた身体に傷をつけてまで治療を行うのです。
一方、標準的な抗癌剤治療では、
患者さんの身体に大きな被害がもたらされるであろうことは、
十分に予測されます。しかし、その効果は、
エビデンスとして○○%の確率で効く、
無治療よりは、
平均△ヶ月長生きができる。分かっていることはそれだけです。多くのガンでは、
あまり大きな見返りが期待できないまま、
その治療は行われます。放置すれば死に至るガンという病気の治療を別の方向からみると、もし何らかの治療に、
効果が期待できないとしても、
被害が無いのであれば、
試してみる価値はあると考えます。サプリメントも、
害を及ぼすものはあまり無いと思われますので、もし、無料であれば、是非試してみる価値があると考えています。患者さんの身体に被害を与えないであろう
と思われる量の抗癌剤による治療であれば、もしその治療に効果が無ければ、
すぐに別のクスリ・量に乗り換えれば良いだけです。
標準治療では多くの場合、
2~3種類の抗癌剤を使った治療が終了すると、
PS. の低下と同時に、
「治療法はありません」
と宣告されますが、害を伴わない量の抗癌剤での治療であれば、
遥かに多くの種類の薬剤を試すことが可能です。
下手な鉄砲もナンとかです。知らない、
見たことが無い、
そして、既成概念にだけ囚われているのは、本当に恐ろしいことで、
多くのチャンスを失っています。腫瘍マーカーの検査一つとっても、
保険に縛られてしまい、
その細やかな不可思議な動きを、
頻回に観ている人間は多くはありませんから、
その動きの素早さはご存じないと思います。
また、
「あなたのガンは腫瘍マーカーには出ません」と言われた患者さんはたくさんいます。
しかし、それは30種類もある腫瘍マーカーのうち、
2種類程度を観ているだけであり、
反応を示している可能性のあるものを、
10種類程度、一度に調べてみると、
見事に跳ね上がっているマーカーが見つかることは、
珍しくありません。
ひとたびそれが見つかれば、
その後は、それを一つの指標にして、
ガン治療を進めることができます。
「腫瘍マーカーは無い」
と言われるガンでも、意外なマーカーが指標になっている患者さんは、
何人もいます。現在の医療をみていると、見ていない、
見たことが無い、
ことに対して、
その存在をすぐに否定してしまう傾向があるように思います。見たことがない事実は、その人が知らないだけのことなのですが、ご自分の知らない事実は、
簡単に否定してくれる傾向にあります。これでは医療の進歩は期待できないと思われます。最後に、
気になるコメントで、
「梅澤の技量が優れている!?」というような内容がありましたが、
私はまったくの凡人です。
もし他の医者と違う点があるとするならば、
ガンおよびそれを宿す人間の奥の深さ、偉大さ、
それに比べた自分の知識の少なさを、
少しは知っていることだけだと思います。
以上 文責 梅澤 充
昨日、一昨日の
「検査の頻度」および
「検査の頻度・続き」に対して、
いくつかのコメントいただきました。
その中で気になるところが何点かありました。
抜粋再掲します。
べつに標準治療を行なってるお医者さんも、
悪気があって検査を減らしてるわけでなし。
数字に一喜一憂するのも
結構つらいもんですよ。
悪気を持って検査を減らしているのではないと思います。
少なくとも、
腫瘍マーカーの検査は、
月に一回しか、
健康保険では認められていません。頻回に調べることができないのは
日本のガン治療は、
ほとんどの病院では、
健康保険での治療が原則ですから仕方ないのです。また、昨日も書いたように、
検査をしても、
エビデンスに縛られていたら、
次の手が無いのです。したがって検査結果を知ってもあまり意味が無いのです。問題はその後の一文です。
「数字に一喜一憂するのも、けっこうつらい」まさに、そのとおりだと思っています。
病気を管理していく医者にとっては、絶対に知っておくべき結果なのですが、
患者さんにとっては精神的な負担にもなります。頻回な検査の大きな欠点の一つは、
患者さんが、
一喜一憂してしまうことです。腫瘍マーカーの採血や画像診断を受けたとき、
その結果を
患者さんによっては、
入学試験の合格発表のように捉えてしまいます。
有罪か無罪かの判決を聞くような気分の患者さんもいると思います。
そして、腫瘍マーカーが、
僅かに増えただけで、明日にでも死ぬかのように悲観してしまう患者さんもいます。これはガンという病気に対して、
良い影響は与えません。
ガンの悪化を助長させかねない精神構造です。
勿論、今日上がっていても、
次に下がっていれば良い、
と、極めて前向きに考えて、
数字の多少の増加など、
まったく気にされていないように見受けられる患者さんもいます。
そのように、
検査結果を気軽に受け止めてくれる患者さんであれば、
こちらも、まったく気兼ね無く頻回に検査ができ、
それこそ、
「次の検査では、改善傾向を勝ち取るぞ」と気合も入るのですが、
あまりに激しく落ち込む患者さんを見ると、
知らぬが仏で、頻回には検査しない方が患者さんのためなのかな、
と、フト考えるときもあります。現在、腫瘍マーカーの僅かな動きで、
あまりにも激しく動揺してしまう患者さんも診ています。
検査結果も怖くて見たくないと言います。
そのような患者さんでは、
患者さんのことを一番真剣に考えていて、
信頼できるご家族にだけその結果をお話して、
ご家族と治療方法を検討して、
治療を組み立てています。
しかし、世の中よくできたもので、
そのご家族は、
普通ではありえないほど、
知識が豊富で、
また、経済的にも恵まれたかたで、
そのご家族と私の二人三脚で、
治療を行っています。
その患者さんは、
根治に向けて、
お神輿に乗ってガン治療を楽しまれています。
「検査結果で、一喜一憂するな」
ということは、
今まで何回も書いてきましたが、
コメントのとおり、
多くの患者さんにとっては、
結果発表は辛く、
その瞬間は緊張するものだと思います。一喜一憂
の「憂」だけを書きましたが、
結果が良かったときの「喜」
は、健常人では知ることができない、
ガン患者さんだけが味わえる大きな喜びだと思います。それを頻回に味わえるのは、
頻回の検査のお陰です。他にも、
いただいたコメントで、
いくつか気になる点があったのですが、
本日は時間がありません。
明日以降に書きます。
以上 文責 梅澤 充
昨日の「検査の頻度」では、
標準治療の場合、
何故、治療経過を追いかける検査が、
あまり行われていないのかについて、
私の勝手な考えを書きましたが、
本日は、
実際に検査が少ないが故の弊害について書きます。
標準治療は健康保険で認められている
最低限のガン治療だから
仕方が無いといえばそれまでですが、検査が少ないことで
患者さんが被る被害もけっして少なくありません。先ず、抗癌剤治療では、その抗癌剤が、
上手くガンに命中してくれなければ、
無治療よりも寿命は短くなります。その抗癌剤が、
当たっているのか、
外れているのか、
その一点だけは、頻回に観ていかなければなりません。標準治療では、
「最低○回行った後でなければ効果は分からない」と言われ、
その○回終了時点まで、
検査をしてもらえない、それで大丈夫なのか、という質問をよくいただきます。
大丈夫ではありません。最大耐用量の抗癌剤を使う標準治療では、ほとんどの場合、
1回目で治療効果は概ね分かります。一回目でガンの増大が認められているような場合には、
最大耐用量の抗癌剤治療を繰り返すべきではないと考えます。大きく寿命を縮める可能性が多分にあります。しかし、大病院でよく見るのですが、
最終の検査を行ってから、
最大耐用量の抗癌剤を使った標準治療が行われるまでに、
かなりの時間が経過している場合があります。
その場合、最終検査時点から、
抗癌剤爆弾の投下時点までは、
無治療になっているのですから、
ガンは悪化していることも考えられます。例えば、治療開始前の最終検査時点で、
10cmだったガンが、
抗癌剤治療開始時点では、
15cmになっているかも知れません。
それを知らずに最大耐用量の抗癌剤爆弾が投下され、
その3週間後に検査を行ったところ、
ガンが12cmになっていた。
検査の経過は、
15cmにまでガンが成長していることは知らないのですから、
10cmで治療を行い12cmになっている事実だけを見て、「悪化している」と判定されますが、しかし、実際には治療効果はあるのです。そこらへんにも、
「○回は繰り返さないと判定できない」と言われる理由があるようにも思います。
一般的には、15cmも12cmも、
まったく知らない状態で○回治療を続け、
その後の検査ではじめに10cmであったものが、
8cmになっていることが確認されてはじめて、
「治療効果有り」と判定されます。
勿論、何も検査をせずに、
治療を続けた結果、
20cmになってしまっている、
という許されざる事態の発生も予想されます。
抗癌剤治療を行うときには、
必ず治療直前と、
次の抗癌剤爆弾投下前に、
再度検査を行うべきです。治療中も勿論、
可能な限り頻回に検査を行うべきです。CTなどの画像診断では、
毎週観ても、
多くの場合、ほとんど変化は観られませんから、
あまり意味はありませんが、
腫瘍マーカーであれば、
毎週観れば毎週確実に動きが観察できます。
したがって、
抗癌剤の点滴を毎週行うようなスケジュールの治療では、
腫瘍マーカーくらいは、
毎週観察するべきです。私は、抗癌剤が点滴される度毎に
腫瘍マーカーくらいは調べるべきだと考えています。
それは実行しています。
そして、その動きと、
画像診断の結果を踏まえての、こまめな舵取りが、
より長い延命につながるはずです。「決まったスケジュールを○回繰り返す、
そして、その後に効果を判定する。」
という標準治療などよりも、可能な限り頻回に検査を行っていくほうが、
より大きな延命につながることは間違いありません。少なくとも、
抗癌剤爆弾で寿命を縮める可能性は、
大きく減らすことができます。寿命を縮めてしまう可能性の高い
外れた抗癌剤爆弾の被爆を無くすこと、
すなわち、その治療を中止し無治療にするだけでも、標準的抗癌剤治療よりは長生きできることになります。さらに、
ただ中止にするだけでなく、
エビデンスなど存在しなくても、
治療の舵取りをしていくだけで、
大きな延命につながります。検査の頻度一つ見ても、
標準治療が、
最高の治療ではないことがよく分かると思います。以上 文責 梅澤 充
多くの患者さんが直面している、
興味深いコメントをいただきました。
一部抜粋再掲します。
「標準治療」という言葉を聞く度に気になるのですが、
母の主治医は検査をしたがらないのです。
腫瘍マーカーの検査もCTもイレッサ服用前と服用1ヶ月後に行っただけです。
こちらからお願いしてもとってくれません。
ネットで闘病者の方のブログを読んでいると、
結構、同様の悩みを抱えている方がおられます。
検査の頻度には標準というものがないのでしょうか?
「検査をしてくれない」という悩み?は、
多くの患者さんから聞きます。
昨日の「病気への認識・続き」ではありませんが、
買いたくもないものを
病院というお店の命令で、
高いお金で強引に大量に買わされた挙句、
本当に買いたいものは売ってくれない、
という構図のように見えて、
失礼ながらとても滑稽にも思えます。
たしかにセカンドオピニオンに来られる患者さんの話を聞いたり、
現在までの経過を拝見すると、
本当に検査が少ないことに驚かされます。
何故、それほどまでに、
検査を省略してしまうのか、
私には理解できません。
理由を考えてみます。
そもそも検査とは、
その結果により、
何か行動を起こすために行われます。
行動を起こす根拠になるものです。しかし、日本のほとんどの患者さんが受けている、
と言うより、
真実を知らされることなく、
受けることを義務付けられている標準治療では、終着駅も、そこに至るルートもはじめから決まっています。
患者という乗客により終着駅到達時刻に多少のバラツキがあるだけです。標準治療専門の医者は、
毎日毎日、
一本レールの軌道上しか動かすことができない列車を運転しています。
よく飽きないものだといつも関心しています。
目的地もルートもはじめから決まっていて、
毎日見慣れた、当たり前の風景ですから、
途中で、外の景色を眺めてみようという気分は
沸いてこないのではないかと推測されます。また、途中で景色の異常に気付いても、
敷かれたレールを変えることはできませんから、
それを観ても仕方がないことになります。したがって、運行状況を確認しようとはしないのではないでしょうか。
乗り心地の極めて悪いその列車に初めて乗った患者さんは、
外の景色も見てみたいはずですが、
外の空模様は時間経過につれて、
確実に悪化していくだけですから、窓には暗幕が張られたまま、
その列車は終着駅を目指して走り続けます。しかし、何回もしつこく書いているとおり、
ガンも患者さんも同じものなど、
世界中を探しても一つも存在しません。ガンは患者さんと同様に生き物です。
時々刻々動きます。
検査によって、
その動きを観察しなければ、
ガンという生き物を飼育することなど不可能です。本来、検査結果により、
逐一舵取りをしていく必要があるはずですが、エビデンスに則り、
しっかりとスケジュールが決められた治療を、
粛々と遂行していくだけの標準治療では、
途中の経過により、
その治療を変更していくことは、エビデンスというレールが整っていないため、
ほとんどできません。したがって、経過を診る検査をすることに
大きな意味は持たないのではないでしょうか。特に肺ガンの治療などでは、
多くの場合、
ファーストラインの標準的抗癌剤治療を
決められた回数繰り返した後、
初めて効果判定を行い、
効いていれば、
しばらく身体を休めて、
再度増大してきたならば、
今度はセカンドラインの標準治療に移ります。
そして多くの場合、
セカンドラインが最終回で、
それ以降の抗癌剤治療は
行われていません。
セカンドラインまでの治療を
エビデンスどうりにキッチリと行うと、
多くの患者さんでは、
もはや抗癌剤という爆弾を
受け入れることができるだけの体力が残されていません。
また、エビデンスも無くなってきます。
したがって、
まだ元気であっても治療は終了を宣告され、
緩和ケアを勧められます。決まったレールの上だけを、
ただひた走る治療では、舵取りは必要ありません、というより、ハンドルなどはじめから用意されていませんから、
その指標も不要ということになるのだと思います。そんな治療が、
最善の治療ではないはずですが・・・・以上 文責 梅澤 充
昨日の「病気への認識」を書いて、原稿を送信したあと、
フト考えると、
日本の多くのガン患者さんは、ほとんど自己主張をすることなく、
主治医の言いなりの、
エビデンスで医者が守られた治療を受けているだけですから、ご自身の考えを尊重する場など
与えられていないことに気付きました。しかし、ご自身が受ける、
ご自身の生活・命に直結する治療を、
何故、ご自身で決めることが許されないのでしょうか。あまりにも異常な事態だと考えます。また、
6月7日の「アービタックス」でも書きましたが、
治療の費用を負担するのは、
病院ではなく患者さんです。高価な抗癌剤を最大量使えば、
お値段も最大になります。さらに、最大耐用量の抗癌剤治療では、
白血球の減少もほぼ必発であり、白血球を増やす必要も出てくるため、
g‐CSF(ノイトロジン、グラン、ノイアップなど)という、
異常に高価なおクスリも必要になります。
場合によっては入院も必要です。それらの費用はすべて患者さん負担です。 夕食に200グラムのブタ肉が食べたくなり、
「ブタ肉を200グラムください。」「ダメです、あなたは今晩は600グラムの牛肉を食べなさい!」と、無理やり3倍以上の値段を払って、
食べたくもないものを、
買わされるようなものです。
何処の店でも同じことを言われます。
それを買わなければ、
空腹に耐えるしかありません。何故、これほど馬鹿げた商売が医療では成り立つのか、
不思議でなりません。病院としては、
幾ら高額な薬剤を使っても、
利益はごく僅かです。それどころか、
在庫負担費用や、
期限切れで廃棄される薬剤などを考えると、
ほとんど利益は無いどころか、
場合により赤字になります。こんなに馬鹿げた商品の流通は医療以外には有り得ないと思います。また、病院が購入する抗癌剤はじめ、
すべての薬剤、
それ以外の様々な医療材料には、
消費税がかけられています。
消費税支を払ってそれら物品を購入、仕入れをしますが、
患者さんの健康保険での医療費、
すなわち病院に支払われる料金には、
消費税はかかりません。
現在の5%の消費税は、
それが無いときに比べると、
すべて病院の一方的な損失になっています。
一般的な商売では、
消費税を払って品物を仕入れ、
客からも消費税を払ってもらって、
商品を販売します。
健康保険での医療だけは、
病院だけが消費税を払い、
その消費税を含んだ物品をもって行われる治療には、
消費税を徴収することは許されません。無能・無策な政治家の思惑通り、
もし医療費非課税のまま、
消費税が10%に上がったなら、
日本中の多くの個人病院は、
潰れることになると思います。徒然に書いていると、
変な方向に話が逸れましたが、
生活も命も費用も患者さんのものなのに、
すべて医者が決めるというのは、あまりにも異常です。何故、このような異常事態が延々と続いているのか、
そして、これからも続かなければならないのか、個々の患者さんおよび、
ご家族は真剣に考える必要があると思います。その一因は、
先日書いたとおり、
患者さんの自己責任の無さだと感じますが、
原因はそれだけでは無いはずです。
当たり前であり、
仕方が無いことですが、
医療に対する患者さんの知識不足も大きな原因です。
そのほかにも、
幾つもあると思います。
それを考えて、
改革していかないと、何時までたっても、
ガン患者が望む、
患者のためのガン治療は、
夢で終わってしまいます。衆議院議員選挙も近いようです。
命と財産を守る医療を考えての投票も必要だと思います。以上 文責 梅澤 充
ガンという病気・治療への、
考え方、捕らえ方は、患者さんによりまったく違います。何回も書いているとおり、患者さんの個性、
ガン細胞の多様性と同様、
十人十色、千差万別です。ガンはまったく悪化の兆しを見せていないのに、
あるいは、腫瘍マーカーが僅かに上昇しただけなのに、
極めて深刻に考えて、
悪い方向、良くない経過を辿っていると、
思い込んでしまい、
大きく落ち込んでしまう患者さんもいれば、逆に、
ガンは画像上も確実に増大しているのに、
極めて楽観的に考えている患者さんもいます。一般的に、
現実逃避の願望はどなたにも多少は有るようで、
楽観的に考える、考えたい、
という患者さんのほうが多いように思います。そして、その考え方のほうが、
予後は良いように感じます。悲観的な患者さんの予後は、
けっして良くありませんし、
こころのQOLは大きく落ちると思います。しかし、ガンは確実に悪化していることが、
画像診断上も明らかであり、
その黒い影の増大を患者さん自身の目で見ていても、
ガンの存在による自覚症状が無く、
一方、抗癌剤の副作用は辛いからとの理由で、
効果があることは分かっていても、
その治療は嫌だ
という患者さんがいます。
ある程度楽観的に考えることは、
とても重要なことだとは思いますが、
それがチョットいき過ぎな場合もあります。患者さんの副作用に対する苦痛は、
医者には分かりません。したがって、
患者さんが辛いといえば、
その治療は止めて他の治療へ変更します。
しかし、その変更した治療が、
はじめは効いていても、
いずれ効かなくなり、
再度、その副作用で中止した治療が、
必要になることもあります。
その時、
他に効果の出る可能性の高い治療の方法が無い場合などは、
効いていたけれど、
副作用で中止したその治療が、
一番手っ取り早く使え、
有効性が期待できる治療になります。
そのことを患者さんに話しをすると、
「でも、副作用が辛いから・・・・」「それでは止めておきましょうね、他の治療を探しましょう」「他の治療は効きますか?」「それは、やってみなければ分かりません」「そうですか、効かなかったら、ドウなるのですか?」「効く治療が無く、このまま悪化すれば、
生きていくことはできなくなります」「それならば、前の治療をしてください」「でも、副作用が辛いんでしょ、
その治療をしてもガンが治るわけではありませんよ」「あれは、大したことはありません、
チョット気になっただけですから、それより長生きすることの方が大切ですから」
・・・・・・ガンという病気は、
悪化していけば、
必ず人の命を奪ってしまう病気です。
それを防ぐために、
“その時”を遅くするために
抗癌剤治療は行われます。
治療の目的、
ということについては、
何回も書いていますが、
ご自身の治療に何を求めるのかについては、
常に考えておかなければなりません。私は、
治ることがほとんど期待できない、
ただ延命のための抗癌剤治療では、
患者さんが容認できない、
あるいは正常な日常生活に支障を来たすような副作用があれば、
それを続けることは、
患者さんからのご希望が無ければ行いません。
治療方法を変えます。
多少の副作用があっても、
患者さんが了解しているということは、
容認できる範囲と判断してその治療を続けています。
副作用は極力小さくする努力はしていますが、
副作用を完全に無しにすることは容易ではありません。
「まったく何も感じない」
と言う患者さんも少なくはありません。
しかし、半数以上の患者さんでは、
抗癌剤を使うことで、
多少の違和感は感じておられるようです。
それが、容認できる範囲か否かは、
医者には分かりません。
ガンという病気の本態と、
その患者さんだけが知り得る副作用の重篤さを、
秤にかけて、その治療を継続するべきか否か、
ご自身でお考えください。以上 文責 梅澤 充
ある大学病院で、
再発大腸ガンの治療を続けておられる、
若い女性の患者さんがセカンドオピニオンに来られました。
イロイロと治療を続けてきて、
最終手段として、
アービタックスを使うことを勧められ、
それを使い始めていました。そこまでは、
至極当然の成り行きなのですが、
そのアービタックス単独では無く、
イリノテカンという抗癌剤が併用されていました。その患者さんにとって、
イリノテカンは、
かつては有効に作用してくれたクスリでしたが、
それが効かなくなり、
別の治療に変更して、
さらにそれも効かなくなってのアービタックスへの変更でした。
アービタックスは、
現在の日本では、
アービタックス単独、
または、イリノテカンとの併用でしか、
健康保険での使用は認められていません。その患者さんにとってイリノテカンは、
既に効かなくなったクスリです。
しかも、副作用が非常に大きかったと言います。
何故、それをはじめから併用するのか意味が分かりません。
さらに意味の分からないことがありました。
その患者さんは、
「アービタックス単独で使って欲しい」
と主治医に懇願しても、
それは一蹴されたそうです。
本来治療内容は、
患者さんが決めるべきことであり、医者はそのためのアドバイスをするだけです。高額な抗癌剤の代金も、
医者ではなく、
買い手である患者さんが支払います。その買い物も、
売り手である医者が決めるというのは、
あまりにも異常なことだと思います。しかし、日本の医療の現場は、
その異常な状態が続いています。本日セカンドオピニオンに来られた患者さんでも、
その治療に効果は認めるも、
副作用があまりに辛く、
日常生活ができないと言うので、
「主治医に減量してもらった方が良いですよ」というと
「先生にクスリの量まで要求して良いのでしょうか?」でした。
そのような異常な状態に陥っている、
大きな原因の一つは、
何回も書いていますが、
患者さんの自己責任の無さ
にあるように感じます。標準治療は、
患者さんにではなく、
医者にとって一番安全な治療なのです。何といっても、
エビデンスという鎧に医者は守られるのです。その治療で患者さんが、
極めて不幸な結末を迎えてもそれもエビデンスです。
誰の責任でもありません。ところが、
抗癌剤を減量して治療を行うという、
エビデンスのないことをして、
不幸な結末が、
訪れた場合、
医者は、「何故、そんなエビデンスの無い治療をした!」と、ご遺族に詰め寄られたときに、
何の反論もできません。いくら患者さんに優しい治療であり、
それを患者さんが望まれても、
医者にとってそんな危ない治療は、
誰もしません。もしそれを希望するなら、
唯一、署名捺印した文書で、
患者さんご本人、
およびご家族のお考え、
結果責任の所在について明記して、
それを主治医のもとに持参して、
お願いするしかないと思います。
それによって、
患者さんが望まれる治療にこぎつけたという患者さんは、
何人かおられます。
治療の結果責任の所在を、
再度お考えください。以上 文責 梅澤 充
ガンという病気は、
高齢になるほど高い確率で発生してきますので、
現在、かなりご高齢の患者さんも診ています。
70歳を超える患者さんも10%程度はおられると思います。そのほとんどのかたは、
ご家族が私のことを何処からか探し出し、
セカンドオピニオンを求めて来られ、
その後、患者さんとして治療を開始した方々です。はじめからご高齢の患者さんが、
直接私のところに来られるのはごく稀です。セカンドオピニオンでは、
主に、まだ若いお子様などのご家族に、
私の治療方針を説明して、
患者さん(ご家族)の、
治療に対するご希望をお聞きして、
そのうえでお互いに納得した後から治療を開始しております。
多くの場合、
私との意見交換は、
ご家族が中心になります。
ご高齢の患者さんご本人は、
何処まで理解されているのか私にも分かりません。
恐らくあまり理解されていないまま治療を受けておられると思います。
セカンドオピニオンのとき、
または、治療開始早々の時には、
それでよいのですが、
実際の治療が続いているのに、
あるいは治療の変更も必要になったときなども、
まったく患者さんに同席されないご家族も少なくありません。
状況の説明をしたくても、
理解できない患者さんであれば、
それも叶いません。
当然ご家族には、
独自の生活もご事情もあるのでしょうけれども、
はじめだけ、
連れて来て、
後は預けっぱなし、
しかも、預けられた患者さんは、
ご自身の病気・治療について、
あまり理解されていない、
となると、
まともな治療などできるはずがありません。
誰にも均一な標準治療であれば、
理解も何も無く、
ただ決められたとおりにクスリを入れていけば良いだけですから、
患者さんの理解など、
あまり必要ではないかもしれません。
しかし、
個々の患者さんに合わせて治療を行おうと考えたなら、
微妙なさじ加減も必要になります。それを説明しても、
理解できない。
私の行っている治療も、
まったく理解されていないと思うと、
虚しくなることもあります。
標準治療をして、
標準的な副作用を感じていただき、
予後も標準的に終わる方が良いのかな、
と感じることすらあります。
高齢の患者さんと一緒に病院に来ることはほとんど無く、
お一人で通院を続ける患者さんが
徐々に悪化して、
本当に最期のときを迎えるような状態になって
入院しなければならなくなり、
はじめて慌てふためいて病院に来て、
「どうしてこんなになった」
と詰め寄って来たご家族もいます。
徐々に悪化している状態についても、
ご家族が来られなければ説明のしようがありません。
それを「メールで説明しろ」
と言われるご家族も時々いますが、
忙しいご家族のために、
メールで会話をするほど
私もヒマではありません。
ご高齢の患者さんと一緒に病院に来ることができない、
という状況は、医療の地域格差と同じです。ご自身のお住まいの地域の貧粗な医療を嘆く方もいますが、
それから脱却するために、
遠方まで通院することができる患者さんもいますし、
経済的、時間的制約から、
それは叶わず、
納得のいかないその地域での医療を、
泣く泣く受けている患者さんもいます。
それぞれの治療環境は、
その患者さんおよびご家族の、
生活状況により、
決定されます。
ご家族が時間をとることができないという環境にある、
ご高齢の患者さんであれば、
その状況に見合った治療で終わることになります。
ご高齢の患者さんお一人や、
老夫婦だけで来院されるのを見ると、
悲しくなります。
許される限り、
若いフレッシュなアタマをお持ちのご家族が、
同伴されたほうが良いと思います。勿論、ご高齢でも、
若い人よりシッカリとした考えをお持ちのかたもおられます。以上 文責 梅澤 充
何回も書いていますが、
ガンという病気を宿してしまい、
そのまま放置するわけにもいかず、
何らかの治療が必要になったとき、その治療の目的、
その治療で得られるもの、
失われるもの、
について、
シッカリと認識しておかなければなりません。治療の目的が、
ご自身のアタマの中でハッキリと整理されていないと感じる患者さんへは、
「治療の目的はナンですか?」と端的に聞くことがあります。
セカンドオピニオンを依頼してきたご家族は
その目的は十分に理解していても、患者さんご自身は、
まったく答えを持っていない場合も少なくありません。中には、
「抗癌剤治療でガンを治すこと」と堂々と言われる患者さんもいます。
そこまで言わなくても、
「ガンが小さくなること」と言われる患者さんは少なくありません。
医者も何も知らない患者さんに対して、「ガンを叩きましょう」
「ガンを小さくさせましょう」さらには、
「中には、ガンが消える患者さんもいる」などと間違いなく患者さんが誤解をしてしまう説明をするだけで、肝心の予後については、
ほとんど触れることは無く、
患者さんに勘違いをさせたまま、標準といわれる、
予後がエビデンスとしてハッキリと分かっている
治療に突入します。エビデンスを唯一の治療の根拠にしているわりに、
そのエビデンスについて、
患者さんに説明しないのは、
如何なる理由からでしょうか。インフォームドコンセントが叫ばれて久しいですが、
日本中、
本当にシッカリとしたインフォームドコンセントを実行している病院は、
皆無ではないかと思われます。冷酷な真実を患者さんに伝えないのは、
日本人的な優しさ故かもしれませんが、
インフォームドコンセントをシッカリしてしまったならば、
標準治療など受ける患者さんがいなくなることを
危惧してのことのように思えます。
これもしつこく書いているとおり、
根治手術が不能である場合、
ほとんどのガンでは、
抗癌剤治療により“治る”ことはありません。抗癌剤治療で、
一時的にガンが縮小しても、
また必ず、
増大してきます。それが、ガンと抗癌剤との偽らざる関係です。無責任な医者の言う、「ガンが消える患者さんもいる」とは、
「画像診断上一時的に見えなくなる」というだけの意味であり、
ほとんどの患者さんが思い描いてしまう、
「ガンが治る」
こととはまったく違います。したがって、すべての抗癌剤治療の目的は、
延命ということになります。その延命時間はどの程度なのか、
そしてその代償がどの程度なのか、
治療開始前にシッカリと認識しておかなければなりません。すべてその治療の根拠になっているエビデンスで明らかにされています。また、そのガンに対する標準治療での生存期間中央値が
1年もないことがエビデンスとして出ていても、「治らなくてもいいから、最低10年くらいは生きていたい」と言う患者さんもいます。
たしかに奇跡的に10年以上、
抗癌剤治療を続けながら、
元気で過ごされている患者さんも診ています。
また、標準治療よりは、
間違いなく長生きしてくれていると考えています。
しかし、そのガンの種類により、
ある程度「相場」が決まってしまっていることも事実です。ご自身の身体に宿したガンの種類により、
その後の経過は大きく違ってきます。先ず、ご自身のガンの場合の一般的な予後を
正確に知ることから、
治療選びははじまると思います。それに対しての知識がまったく無いと、
進むべき道を大きく逸れてしまいます。あまり重篤には考えたくない、
というお気持ちは分かりますし、
「なんくるないさ~」も、
「ケセラセラ」も重要ですが、先ずは、甘い認識は捨てて、
現実を見つめて、
シッカリとした情報のうえに
治療の選択をしてください。そのうえで、
「なんくるないさ~」
「ケセラセラ」で、
人生を楽しんでください。以上 文責 梅澤 充
本日は、いつもどおりの何の変わりも無い一日でしたが、
私の誕生日です。
それをご存知の何人かの患者さんから、
おめでとうメールをいただきました。
お心遣いありがとうございます。
本日でまた1歳年を取ることになります。
よくここまで生きてきたものだと、
自分でも感心します。
あと何年生きているのかなんてまったく分かりません。
明日の朝、
冷たくなっているのを発見されるかもしれませんし、
ありえないでしょうが、
50年後も妖怪のようになって生きているかもしれません。
父親も伯父も肺ガンになりましたので、
そのうち私の肺にもガンがヒョッコリと顔を出してくると思います。
したがって、がん保険の対策だけは万全です。
自分の生に対して執着の無い人間が、
他人の生を必死に繋ごうとしているのも、
なんだかとても滑稽な感じがします。
もし、私が自分の価値観・死生観を患者さんに
強要しようとしたら、
そして、大学病院などで勤務を続けていたら、
恐らく、多くの患者さんに対して、
無治療への道を案内していたように思います。
大学病院では、
標準治療か無治療以外には何もありませんから・・・・
6月1日の「肺ガンと標準治療」でも書きましたが、
肺ガンなどでは、
標準治療を受けるくらいなら、
無治療のほうが遥かに患者さんのためになるように考えています。そのほかにも、
標準治療か無治療か、
2者択一を迫られたなら、
迷うことなく無治療を選択しなければならないガンも、
幾つもあります。それを実行しているトンでもない医者も、
大学病院には生息しています。
絶対に治療を行うべきガンでありながら、
抗癌剤治療への無知・偏見から、
患者さんを騙して、
無治療への道を歩まされているかたも時々見ます。
まだ、間に合う状態の患者さんもいますが、
無治療で深みにはまり、
取り返しがつかなくなってから来られる患者さんもいます。
まったくお気の毒なことです。
と同時に酷い話です。
無治療ではなく、
副作用を極力少なく配慮した抗癌剤治療でも、
残念ながら最期を迎えなければならない患者さんも当然います。
しかし、ガンという病気に対して、
まったく抵抗しないでの最期よりは、
患者さん、ご家族は余程満足できると思っています。
今年もたくさんの悲しい別れも経験しました。
さらに、この歳になると、
自分より若い患者さんも見送らなければなりません。
歳を取っていれば良いというものではありませんが、
まだ若い患者さんは、
お子さんも若いのです。
旅立つ患者さんは、すべての束縛、苦しみから逃れ、
自由になることでもあり、
可哀想だとはあまり考えないのですが、残されたご家族は本当にお気の毒に感じます。今年もすでに、
小さなお子様を残して、
無念の旅立ちをされた患者さんも何人もいます。
私は学生時代、小児科学には、
興味がありましたが、
自分より小さい子供が死んでいくのを見るのが嫌で、
外科を選びました。
しかし歳を取ると、
避けていたことが近づいてくるものですね。
毎日「死」を考えない日はありませんが、誕生日という特殊な1日は、
特にそれを考えさせられます。先日、飛行機が墜落して、
200名以上の人間が死んだそうですが、
何故、その人たちは、
その飛行機に乗ったのでしょうか。
人間の命は、
本当に神様に操られていると感じることは少なくありません。
ガンという病気を宿してしまい、
嫌でも「死」を意識されている患者さんも少なくないはずですが、
人の命・死は、
本当に神様に支配されているように思います。患者さんにできることは、
最善の策を講じた後は、
「なんくるないさー」
と肝を据えて、
楽しく生活することだけだと思います。
楽しい生活は最善のクスリの一つです。たまたま海に落ちたから良かったですが、
どんな人間でも、
明日、頭の上から飛行機が落ちてきて、
そのまま、逝かれてしまうかも知れません。
楽しい旅行の最中に、
一酸化炭素中毒に襲われるかも知れません。
神様に抵抗することはできません。患者さんは、
クヨクヨしないで、
楽しい時間を過ごしてください。但し、ガンという病気は、
油断は禁物です。以上 文責 梅澤 充
PS. 申し訳ありませんが、
このブログを見ての、
「おめでとうメール」はご遠慮ください。
5月28日の「経験と苦労」に対して、
以下のコメントをいただきました。
一部抜粋して再掲します。
最初から抗がん剤治療をしなければ父は、
もう少し元気で居れたかもしれないと今でも思っています。
現在、知人が大腸がん末期で肝臓に三センチの転移ガンとリンパ節、
腹膜転移があり、原巣ガンのみの手術を終えて、もう直ぐ抗がん剤治療が始まります。
本人は現在は、病人とは思えない位とても元気でガンと戦うと言っています。
自分の生命なので治療も自分が選ぶ事です。
でも私が、もしガンになったら、標準抗がん剤治療は、絶対に受けません。
苦痛の延命など、いらないのです。
抗癌剤治療を治療をしなければ、「もう少し長く生きていられたかもしれない」か否かは、分かりません。抗癌剤治療はすべて実際に行ってみなければ結果は分かりません。
肺ガンなどでは、
6月1日の「肺ガンの標準治療」でも書きましたが、
標準治療を受けなかった方が、
長生きできたと思われる患者さんはたくさん見ています。
しかし、その肺ガンに対する標準治療でも、
無治療より長生きできる患者さんがいることは、
間違いない事実ですし、
現在では、無治療よりは
生存期間中央値が、
数ヶ月長くなることがエビデンスとして証明されています。
しかし、
標準的抗癌剤治療では多くの場合、
治療を受けなかったほうが、「もう少し長く元気で居られた」と思われます。何回も書いているとおり、
自覚症状も無く、
機械の目でガンという病気が発見され、
それが手術で切除することができない、
というだけの理由で、何処から見ても健康人である人間が、
抗癌剤治療という、
ただ点滴をするだけの治療のために、
何故、入院までしなければいけないのか、そのカラクリをシッカリと考えなければなりません。数時間の点滴治療を行なうだけです。それだけのために、
何故入院が必要なのか。本日も多くの患者さんが、
抗癌剤の点滴治療のために、
来られました。
本日が初回の患者さんもいます。
新幹線での通院の患者さんもいます。
しかし、入院が必要な患者は一人もいません。
現在、余りにも遠方にお住まいのため、
入院している患者さんはいますが、
お近くお住まいであれば、
当然、外来通院になる方々です。
標準治療を行うとき、
主治医から、
「体力のある今のうちに治療しましょう」
「現在の体力なら治療ができる」などということを言われる患者さんが少なくないように思いますが、
その言葉は何を意味しているのでしょうか、
その計画されている抗癌剤治療は、
大きく体力を奪ってしまう、という事実を主治医が一番良く知っているということを
如実に現した言葉です。
患者さんの身体に相当に大きなダメージを与える
ということが分かっているのです。
したがって、
そのダメージに耐えられるだけの体力が無くなった患者さんでは、「体力 - ダメージ」が、
マイナスになってしまう。すなわち生きていけなくなるという、
恐れがあるため、
「体力 - ダメージ」が、
まだ、プラスですむであろうと考えられるだけの体力が、
残っている患者さんに対してだけ、その特殊な治療は、
遂行されます。一時的に大きく体力が奪われたとしても、
年単位での延命が得られるのであれば、
その間に体力の回復を待って、
元通りの生活をすることができるかも知れません。
実際に、そのような種類のガンもあります。
しかし、多くのガンでは、
抗癌剤治療による、
体力消耗の改善を待つだけの時間は与えてはくれません。多くの場合、
失われた体力のまま、
治療前の元の元気な状態に復することなく、
人生を終わってしまいます。現在の体力を消耗してしまい、
健康な状態であった人間が病人になり、その状態で、
無治療と比較して、
僅か数ヶ月の延命を得ることを、
望まれるのか否か、十分に考えてから、
ご自身の治療を選択してください。ガンを宿した患者さんの身体は、虐めない方が、
遥かに長生きできると思います。勿論、そのガンと戦うときに、
抗癌剤は絶対に必要ではありますが・・・・「体力のある今のうちに治療しましょう」
「現在の体力なら治療ができる」という言葉の意味を、
再度お考えください。
以上 文責 梅澤 充
世の中、
本当にしつこいというか、
ヒマなお人もいるものですね。
しつこいコメントを無視して
まったく関係の無い内容で
ブログを更新していたのですが、
それでも執拗にコメント寄せてくる人がいます。
余りにもしつこく、
かつ的外れであり、
このブログを読まれているかたにも、
多大な不快感を与えているようですので、
削除しました。
ご自身もブログを書かれておられるようですので、
その宣伝にこのブログを使いたかったのでしょうか。
一人で「薬事法違反」だと騒いで、
他人を犯罪者呼ばわりしてしていましたが、個別の名称をあげているわけでもなく、
私自身が自分の体調に合っていると思われる
エビデンスの無いサプリメントを
毎日飲んで、
その結果と思われる好調な臨床データも出ているいることは事実ですし、
何処にも違法性はありません。
「にんじんジュースを飲んだら、ガンが縮小してきた」と言うのと同じです。
5月30日の「医者とサプリメント」で薬事法違反が問われるのであれば、
ガンや健康に関しての書籍を出されているかたや、
ブログを書いている人は、
片っ端から逮捕されてしまいます。
なお、もし私が無罪であれば、かの御仁は、
何ら根拠も資格もなく、
無実の他人を犯罪者であると、
大衆の面前に公表しているわけであり、
名誉毀損という、
刑事犯罪行為を犯していることになります。その事実には気づかれなかったのでしょうか。御仁は、極めて卑怯な人間であるらしく、
ご自身の実名を明かすことはされていませんが、
住所氏名が特定して、
刑事告訴を行うことも可能です。
また、どのようなブログを書かれているのか、
興味も無いので、
読んでいませんが、
その程度の人間が書いていることは
アタマの片隅に置いて読んだ方が無難だと思います。
また、御仁は医者である私がタバコを吸うことに対しても、
大きなご不満をお持ちのようですが、
私は、患者さん対しても、
禁煙を勧めることはしておりません。
タバコを吸うことが、
ご自身の健康を損ねる可能性があることを、
知らないで吸っている人がいれば別ですが、
すべて自己責任のうえで、
そのリスクを了解しての行為に対して、
何故、第三者が、
それをたしなめる権利があるのでしょうか。医者にはそのような権利は無いと考えています。
私は道理の分からない子供を診る小児科医ではありません。
私が診ている患者さんはすべて分別のある立派な大人です。
勿論、自らの意思で、
タバコを止めたい、
と言う患者さんには、
そのお手伝いはします。
以前にも、このブログで、
「チャンピックス」という記事も書いています。
私は、ガン治療に対しても、
自分の価値観を押し付けることはしておりません。副作用に悩まされているも、
その治療が有効であるような場合、その治療を継続するか否かは、
すべて患者さんに決めてもらっています。「副作用が辛くても、ガンが良い方向に向いている方が有り難い」と思われる患者さんもいれば、
副作用を感じながら、
治らない病気と同居するのならば、
そんな治療は受けたくない、と言う患者さんもいます。
それを決めるのは医者ではなく、
患者さん本人です。事実、効果的だった治療でも、
副作用が辛いため、
命は短くなることは覚悟で、
無治療での緩和ケアを選択された患者さんもいます。
第三者的には大した副作用ではないように思われましたが、
その辛さを分かっているのは患者さんだけですから・・・・
かの御仁にはまったく理解できないようですが、
現在の標準治療は、
その個々のすべての人間で違っているはずの価値観までも、
何処かの共産主義国のように、
一方向に強要されているように感じることも、現在の標準的抗癌剤治療に大きな疑問を持つ一つの要因です。
同時に、医者の権限についても常に考えています。基本的に私は、
すべての治療は
あくまで患者さんがご自身の責任のうえで、
ご自身の価値観に一番合ったものを選択するべきだと考えています。自己責任を持つためには、
ご自身の知識は絶対に欠かせません。何回も書いているとおり、
患者さん、ご家族には知識武装をして欲しいと願っています。
しかし、その知識を医者と同等レベルに引き上げることは不可能です。しかし、知識を増やす努力は重要ですので、
その一助になればと思い、
このブログを書いています。
また、ガン治療という、
素人のかたには、
まったくの未知の世界の現実を、
少しでも分かってもらうことも、
大きな目的になっています。
そのためには、
サプリメントも重要な存在の一つです。
サプリメントについても、
シッカリとした知識・認識を持っていないと、
酷い目に遭う可能性も多分にあります。
そのような患者さんはたくさん見てきました。
また、私自身も、
このブログを読まれている方々と同様に、
私自身の誰にも犯されたくない価値観・人生観・死生観を持ち、
それに則って日々の生活、
および医療という仕事をしております。それを非難する権利は誰にも無いと考えています。
余りにもくだらないコメントはご遠慮ください。医者もただの人間。
聖人君主ではありません。
もし、そうあって欲しいと願うならば、
医者の経済的、社会的待遇を、
改善することが第一です。
なお、一昨日、くだらないコメント削除しようとしたとき、誤って、残しておきたいコメントを削除してしまいました。まことに申し訳ありません。心当たりのあるかたは、
再送お願い致します。以上 文責 梅澤 充
何回も書いていますが、
最大耐用量の抗癌剤を使った、
標準的抗癌剤治療が、
必ずしも“受けるべきではない治療”だとは考えていません。
しかし、切除不能あるいは再発肺ガンに対しては、
標準治療は、
多くの場合、
受けるべきではないように思います。以前からもたくさんありましたが、
特に最近、
肺ガンに対して、
標準治療を受けてしまい、それまで元気で、
まったく病人ではなかった患者さんが、
その治療がはじまるや、
いきなりボロボロの病人にされてしまい、さらに、
ガンも大きく悪化した状態に陥ってから、
セカンドオピニオンに来られる患者さんが目立ちます。人間ドックなどで、
発見される肺ガンでも、
手術が不能である場合は少なくありません。
健康診断で発見された肺ガンは、
割合は知りませんが、
恐らく、手術ができないケースの方が多いように思います。
人間ドックや健康診断を受けるのは、
病気ではない、
健康な人間です。昨日まで健康だった人間が、病気を抱えているというだけで、
いきなり病院に隔離され、
人間が耐えられる最大量の抗癌剤という毒薬が投下され、
たちまち完全な病人にされてしまう。それで、その病気が治るのであれば、
悪くはないと思います。しかし、その治療では、
ガンが治ることなど、
はじめからまったく想定外です。
無治療よりは、
数ヶ月長く生きているということだけを目指した治療です。
その数ヶ月は、
今でも、3~4ヶ月です。しかも、
その治療では、
使われた抗癌剤が、
上手くヒットしなかった場合、
寿命を縮めることも十分に起こり得ることです。辛い思いをした挙句、
寿命を縮めるのです。
余りにも馬鹿らしい治療だと思います。勿論、それがすべての患者さんに降りかかる悲劇ではありません。
抗癌剤がヒットして、
しかも、大きな副作用は感じない、
という稀有な患者さんがいることも事実です。
運が良ければ、
その当たりくじを引くことになりますが、
大凶を引いてしまうこともあります。
凶か吉かは、
命懸けでくじ引きをしなければ結果は分かりません。もしくじを引くことを決めたなら、
昨日の「生への執着」でも書いたように、
「なるようにしかならない」と割り切って、
運を天に任せるしかありません。その覚悟ができない患者さんは受けないほうが無難だと思います。如何なる治療でもそうですが、
その治療が、
本当にご自身が望まれているものであるのか否か、
シッカリと確認してから受けないと、
取り返しのつかないことになります。
特に肺ガンの標準治療については、
慎重に検討しください。以上 文責 梅澤 充