何回も書いているとおり、
急性白血病などの血液ガン以外の、
ほとんどすべての固形癌は、
抗癌剤治療では治りません。
無治療よりは、
「もしかしたら延命効果が得られるかも知れない」という、
想定の下で標準的な抗癌剤治療は執行されます。しかしその想定そのものが、
現在ではかなり不確実な存在になっています。それを今でも信じている(フリをしている?)のは、
一部の製薬会社と、
その大組織の愛犬・番犬にされている気の毒な医者だけです。
4月26日の「プラチナ製剤は猛毒?・続き」でも書いたとおり、
現在の長足の進歩を遂げている診断機器を使うという条件下で、
標準的に最大耐用量の抗癌剤治療が、
無治療と比較して延命効果あるか否かは不明です。明らかなことは、
大量の細胞毒が注入されると、
多くの患者さんのQOLは著しく低下する、
という事実だけです。しかし、まだまだ現在の日本には、
治ると信じて治療を続けている患者さんも
少なからず存在しています。
この連休中、
セカンドオピニオンを受けに来られた患者さんご家族は、
数名おられます。
大塚北口診療所は、
自宅から車で5分もかからないところですので、
休日に行くこともまったく苦になりません。
特にお年寄りの患者さんでは、
「今受けている治療の目的はナンですか?」
「今後の治療にナニを期待するのですか?」ということをはじめにお聞きします。
流石に、今のご時世、
ご自身がガンを宿していることを知らない患者さんは見ませんが、
「そりゃ、治るためですよ」
「少しでも良くなってあと10年も生きられればそれでイイです」などと、
完全にピントがボケてしまっている答えが、
たくさんあります。
その考えが間違っていることを、
お子さんは知っていても、
配偶者までそう信じているご夫婦にも時々お会いします。
標準治療で副作用がまったく出ないという、
極めて希な患者さんであれば、
「治る」と信じて、
騙され続けるのも悪くはないと思います。しかし多くの患者さんは、
歯を食いしばって、「これだけ辛い思いをしているのだから治るに違いない」という、
ご自身への慰めの呪文を胸に秘めて、ガンとではなく、
細胞毒と格闘されています。「治療法はありません」宣告が、
白衣の閻魔様から出されて、
はじめて間違っていたとこに気付きます。
時すでに遅しです。
根が真面目な母。
無理をしても、
抗がん剤をきっちり飲もうと思い詰めるのが心配です・・・
というコメントがありましたが、
飲む抗癌剤も、
ご高齢の患者さんでは、
とても危険です。
「治らない」という現実をシッカリ認識されている、
若くて頭が柔軟な患者さんでは、
無理して処方量をキッチリ飲むことなどせずに、
その抗癌剤とご自身の体調のバランスを保つことができますが、60歳を境に、
飲む抗癌剤のセルフコントロールはできなくなります。
処方された量は、
「治験」で効果を確認するために使われた量であり、
「半分にしたら効かない」
というデータは存在しません。「100%の量で飲むと〇〇%の患者さんで効果が観られた」
というデータが有るだけです。製薬会社が巨額の投資をして実行される治験ですから、
50%の量で効果が出てしまったら、
そのクスリは半分しか売れないことになります。
何百億円も投資して、
そんなバカなデータを開示する製薬会社は存在しません。ご自身の受けている治療の意味を、
シッカリと理解してください。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
3連休の最終日ですね。
本日も日本全国渋滞するのでしょうね。
私は車・ドライブは大好きですが、
渋滞程イヤなものはありません。
まったく勝手な人間です。
ところで、
ガンを宿した患者さんご家族にも、
勝手・我儘なかたがたくさんおられます。
表のコメントでも、
しばしば目にしますが、
顔も見たことがなく、
情報もほとんど皆無に近い状態で、
アドバイスを求めて来られる、
直接のメールや裏コメントがたくさんあります。
何回も書いているとおり、
メールというツールでは、
顔すら分かりませんし、
実在の人間か否かの判別もできません。切実な内容もたくさんありますが、
本当に患者さんを心配するなら、
キーボードに向かうのではなく、
お近くの病院に幾つもセカンドオピニオン巡りをするべきだと考えます。文章の内容は切実でも、
心情はそれほど心配していないように感じます。あるいは、
キーボードを叩くだけという、
極めて安直な方法で、
有効な手立てが得られるとでも考えているのでしょうか。
相当に世の中を甘く見ているように感じます。
申し訳ありませんが、
その程度の心構えだと、
ガンにも舐められてしまいます。同時に主治医にも、
そのご家族の「その程度」という心情が伝わりますから、
主治医の目も、
真剣さが薄れていくと思います。「梅澤の考えに賛同して、食事療法に励んでいる、何かアドバイスを」
「離れて生活をしているので、詳しい状況は分かりませんが・・・」などと書かれた、
とぼけたメールまであります。
何を考えているのでしょうか。
私をバカにしているつもりなのだと解釈しております。
しつこく何回も書いているとおり、
ご自身、ご家族の治療に迷いが生じたなら、
即座に、お近くの大病院に、
ご自身の足と時間を使って、
セカンドオピニオン巡りをしてください。メールでの質問には、
一切お答えしておりません。幾ら待っても、
返信は届きませんので、
その分だけ、
時間を無駄にすることになります。
ガンとの闘いは、
時間との戦いでもあります。私は明日も休診です。
(土曜日は診療日でした)
のんびり風呂に入って、
一杯飲んで寝ます。
本日もウィスキーかな、
焼酎もイイな・・・
同時に肴にも迷いますね。
今から、近くのスーパーにセカンドオピニオンに行こうかしら。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日の「何処まで粘るガン治療」で、
人間、喰わなければ生きてはいけない。
ということを書きましたが、
逆に言うと、
シッカリ栄養補給ができていれば、
そう簡単には人間は死にません。勿論、治らない癌と云う病気は、
最終的には命を奪ってしまいことも普通に起こります。
しかし、毎年40万人が、
癌で亡くなるという日本でも、
恐らく30万人くらいの直接の死因は、
癌死ではなく餓死だと想像されます。1年以上むかしの2012年3月21日の
「腫瘍内科医の心理」でも書いた、
実際に昨年の春に喧嘩をした、
某市民病院の呼吸器内科医は、
そこの住人・市民が、
食事が摂れなくなっても、
栄養補給はまったく行わずに、
そのまま死を待っていました。その患者さんは、
栄養管理さえすれば、
すぐに亡くなるような状態ではありませんでした。
入院してしまった、
その市民病院では、
何もしてくれないことに、
業を煮やしたご家族が、
タクシーで2時間以上もかけて大塚北口診療所まで、
患者さんを搬送してきました。
病院は救急車の手配もしてくれなかったようです。
餓死寸前で寝たきりだった、
その患者さんは、
大塚北口診療所で、
中心静脈栄養を開始した翌日には、
一人で歩けるようになりました。在宅中心静脈栄養にして、
ご自身の足で退院しました。最終的には、
ガンの進行により亡くなられましたが、
まだ生きていたいと、
しっかり認識している患者さんにさえ、
簡単な栄養補給すら行わないのがガン治療の現実です。
肺がんの治療では、
アリムタ+アバスチンなどの点滴を行うと、
体型に依りますが、
大柄な患者さんだと、
1回の薬剤費用だけで100万円もかかります。
それほど高額な薬剤を使っても、
治る肺ガンはありません。
生存期間中央治値は約1年です。しかし1日数千円の栄養管理だけでも、
患者さんのQOLは遥かに良くなり、
人生を楽しく過ごす時間も、
大きく伸びます。毒薬を注入することだけが、
ガン治療だと考えている医者も、
少なからず存在しているのも事実のようです。
治らないガンを宿しただけでは、
人間は痩せません。自分で十分に食べられる間は、
栄養管理はご自身でできます。
シッカリ栄養を摂取してください。ニワトリかウサギのエサを食べさせる宗教を、
盛んに布教している人間もいるようですが、
刑務所でも出されないような食事では、
長生きはできません。あれは、メタボの生活習慣病の患者さんが、
週に1回程度試みるエサです。
本日は穏やかな、
ゴールデンウィークですね。
昨夜飲んだ外科医の仲間が、
本日朝から魚釣りに行き、
釣れた新鮮な魚を寿司屋に持って行って、
それを肴に本日も一杯の予定でしたが、
先程、電話があり、
不漁のうえ、
道路渋滞でいつ着くか分からないから、
本日の飲み会は中止にしよう、
という連絡がありました。
日本全国がお休みの日は、
みんなと一緒は止めにして、
自宅でのんびりと、
美味い肴で、
一人で飲むのが一番です。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
一昨日、昨日の
「プラチナ製剤は猛毒?」「プラチナ製剤は猛毒?・続き」をはじめ、
このブログでは、
カプランマイヤーの生存曲線という、
生きている人間を実験用のネズミの生存期間を観ているような、
現実の生々しい、
あまり患者さんの心情に配慮のない、
冷酷なグラフを何回も取り上げています。
気分を害する患者さんも居られると思います。
しかし、このブログは、
勝手に流れてくるテレビやラジオではありませんので、
ご自身でアクセスしないと読むことはできません。
ご気分を害すると思われるかたは近付かないでください。
これからも猛毒を垂れ流そうと思っています。
それが現実ですから。
あの虚しい曲線は、
生身の人間の生死を表していることは間違いありません。一般的に標準的な抗癌剤治療では、
××センターのように、
多くの病院では、
エビデンスのある標準治療が無くなると、
「治療法はありません」
「緩和ケアに行ってください」と、
極めて安易に宣告されます。
一昨日の6本の曲線に乗っている、
すでに居なくなった2千人以上の患者さんも、
最終的に緩和ケアに行かれたと思います。
そして一人、また一人と旅立ち、
段階的にあの曲線はゼロに向かって行きます。
しかし現実は標準とされる治療の終了宣告が出された後に、
緩和ケアに行かれてからの「時間差」は、
けっして無視できません。生存期間中央治値での2ヶ月程度の差は、
緩和ケアのレベルの差、
医者の熱意の差だけで、
簡単に出てくる数字です。××センターや多くの大学病院や、
がん治療拠点病院などでは、
患者さんが十分に生命を維持できるだけの食事が摂れなくなっても、
十分なカロリー補給はしてくれません。人間、喰わないと死にます。これは有史以来まったく変わらない事実です。
近くの国でも飢餓死者がたくさん出ているそうです。
食べ物が無ければヒトは確実に死にます。
飽食の国に生きていても、
本人が口から入れなければ生きていけません。
落語にあるような、
ウナギを焼く美味しい匂いだけでは、
お腹は満たされません。
多くのがん治療拠点病院では、
標準治療ができない、
エビデンスのある治療が無くなったというだけで、
文字通りの「緩和」だけで、
十分な栄養管理をしてくれません。ガンを宿して、
しかもてんこ盛りの細胞毒が注入された患者さんでは、
その場で餓死とはいかないまでも、
経口食事・栄養摂取は不十分になりがちです。その時にも、
栄養補給のアシストを積極的にしてくれる病院は、
あまり多くはないように感じます。
緩和ケアでの仕事は、
痛みを軽減させるだけではありません。
栄養補給は、
長く快適に生きるためにも極めて大きな意味を持ちます。ガンの進行と同時に、
所謂「寝たきり」の状態に陥る患者さんも少なくありません。
そのとき、
患者さんのご家族は勿論、
患者さんご自身ですら、
「ガンが進んで全身の状態が悪化して寝たきりになってしまった」と、
致命的な勘違いをします。
その状態に至った時に、
ガンを宿した患者さんが、
どれだけのカロリーを摂取しているか、
シッカリ確認してみてください。
人間は基礎代謝だけで1日1200カロリーを必要とします。
そのカロリーが摂取できていなければ、
身体を起こしておくだけでも、
気怠くなり、
寝たきりになります。
単純に栄養補給を行うことだけで、
シャキッと別人に変身することも珍しくはありません。勿論「痛み止め」だけの緩和治療では、
そのまま餓死に向かってまっしぐらです。カプランマイヤーの生存曲線など、
緩和ケアの程度、
それを受け持つ医者の熱意でいくらでも動きます。残忍な曲線を幾つも晒してしまいましたが、
あのデータは、
緩和ケアだけでも大きく変わることも忘れないでください。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日の「プラチナ製剤は猛毒?」で、
肺がん臨床試験での、
3枚のカプランマイヤー曲線を提示しました。
1995年に発表された、
まともな医療機器も無かった1980年代の、
(私は勤務した某日赤病院にCTが入ったのは1985年でした)
古いデータがベースになっている、
あまりにも苦しい統計で生み出された、
肺がんに対する抗癌剤治療での延命効果が世に出てからは、
すべてプラチナ様様で、
肺がん治療はプラチナ抜きでは、
治験ができないような状態になっています。
発表当時のその数字の真偽も不明ですが、
とりあえず当時は、
ガチンコのステージⅣに対しては、
延命効果が有ったのかも知れません。しかし現在の厳しい目で見つかってしまった、
ナンチャッテステージⅣ、元気な末期肺がん患者さんに対しても、
それが言えるか否か大きな疑問があります。
当時のエビデンスはすでに腐っているように感じます。昨日の3枚のカプランマイヤー曲線、
合計6本の曲線で特に注目するべきは、
はじめのグラフの無治療患者群180人の曲線と
2枚目のグラフでのCP(カルボプラチン+パクリタキセル)を
注入された444人の曲線です。
2本の曲線の患者群の違いは、
はじめのグラフでは、
アリムタ+シスプラチンというメニューを4回こなした患者群、
しかし手術不能の肺がんを宿している。
2枚目のCP患者群444人は、
まだ何も毒は入っていない、
はじめて毒薬爆弾が投下された、
マッサラで元気な手術不能のナンチャッテ末期肺がん患者群です。
無治療患者群で生存期間中央治値は11.0ヶ月、
マッサラなナンチャッテ末期がん患者群では、
CPが注入されると10.3ヶ月以内に半分の患者さんは死ぬ。神様の悪戯か、
運悪く検診やドックなどを受けてしまったが故に、
見つかっちゃっただけで、
昨日まで元気だったのに、
ナンチャッテ末期がんを宿しただけで、
無治療で1年以内に半分の患者さんが消えていくでしょうか。「ステージⅣ」と十把一絡げにされてしまいますが、
ステージⅣの末期でも、
ピンきりです。それを個別化することなく、
すべて同じ毒薬を注入していくことが、
正しい治療だとはまったく考えられません。
日本人は「みんなと一緒」が大好きで好きですが、
すべての人間は、
生まれるときも、
死にいくときも一人だけだと思います。
話しは逸れましたが、
3枚目のグラフでは、
カルボプラチンとアバスチンは同じで、
パクリタキセルとアリムタだけが変わっています。
両者は同じ細胞毒の範疇に入れられますが、
実際に生身の患者さんに使ってみると、
性格が大きく違います。
その両者が同じ曲線を描くのは、
ナンとも奇妙に感じます。
プラチナが、
人間が生きていることができる時間を、
その毒性により決めてしまっているように感じます。大量のプラチナ製剤は、
もしかしたら僅かながら、
延命効果もあるのかも知れません。
手術不能の進行胃癌でも、
TS-1単独よりは、
生存期間中央治値は僅かに長くなっています。
胆管癌でもその僅かな時間差が出るというデータはあります。
しかし、その延命と同時に、
長生きをすることができるかも知れない人間の可能性も、
奪い去るような気もします。1995年以降、
肺がんで無治療と抗癌剤治療との比較試験ができなくなっています。
腐ったエビデンスにしがみついているのが、
現在の標準的抗癌剤治療・ガイドラインです。元気な時に、
ナンチャッテ末期ガンが
見つかっちゃった、
運の悪い患者さんは、十把一絡げのガチャガチャポンの前に、
ご自身のガイドラインを考えてみたほうが無難だと思います。勿論、「人間ドックなどを受けるな」
などと言う気は、
毛頭ありませんので、
誤解のありませんように。
ご自身の状態を常に確認しておくことは極めて重要だと考えます。
その上でのガイドラインです。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
今高騰している貴金属のプラチナ・白金を含有する、
プラチナ製剤は、
日本では33年ほど前に抗癌剤として登場しています。
シスプラチンはその長男として誕生しました。
私はその当時臨床実習をしている学生でしたが、
先輩の指導医が、
その薬剤に大きな期待をしていたのを覚えています。
4月14日の「腐ったエビデンス・続き」で、
チョッとだけ書いたイレッサに関して、
単純に不思議なんですが、
イレッサで訴訟問題が起こるくらいなら、
なぜシスプラチンでは起こらないんだろう?って思います。
「納得をして副反応を受けるから、この化学療法を受けたいです」
との考えだった患者さんや家族がどれだけいるのだろう?って思います。
というコメントがありましたが、
私も同感です。
先輩の期待とは裏腹に、
シスプラチンはじめ白金製剤は、
何人の患者さんの命を奪い、
生活を破壊してきたでしょうか。1995年に治らない肺ガンを宿した患者さんに対して、
そのシスプラチンを含んだメニューの抗癌剤治療を行った患者群のほうが、
無治療の患者群よりも、
1.5ヶ月程度生存期間中央治値が延びる。
というデータが出されました。
しかしベースになっているデータも1980年代がほとんどであり、
患者背景や薬剤の使い方など、
諸条件がかなり違う複数施設の寄せ集め(Meta-analysis)で、
相当に苦しい言い訳に終始している論文です。
しかし1995年に出されたその論文のデータを信用すると、
無治療よりは、
シスプラチンの激しい副作用に耐えた患者群のほうが、
約1.5ヶ月長生きをするそうです。しかし、それが、その治療を受けた患者さんにとって、
どれだけの恩恵になったでしょうか。そして、現在でも本当にプラチナ製剤は、
延命に寄与しているのでしょうか。その1995年のデータ上で、
対比された無治療患者群の生存期間中央治値は、
6か月もありません。
現在の厳格な機械の目を使った、
検診やドックなどで、
見つかってしまった、ナンチャッテ・ステージⅣの、
昨日までは元気だった患者さんの、
半分以上が無治療の場合、
半年以内に死ぬでしょうか。その検診・ドックを受けなければ、
末期ガンの存在にすら気づかず、
半年くらいは普通に仕事を続けていたように感じます。
しかしプラチナベースの抗癌剤治療が開始されると、
その瞬間から入院も必要な重病人へと豹変します。
下の3枚のグラフは、
何回も提示しているカプランマイヤーの生存曲線と云われる、
生きている人間をネズミのように扱ったグラフです。
一番上のグラフはパラマウント試験と名付けられた臨床試験です。
アリムタ+シスプラチンというメニューで、
4回それを繰り返し点滴を行い、
その後病勢の悪化を観なかった患者群539人が、
猛毒のシスプラチンは除き、
アリムタ単剤での点滴を受けた患者群359人と、
無治療で経過を観察した患者群180人とに、
無作為振り分けを行った時の、
生存期間の差を表しています。
2枚目のグラフは、
2006年に発表されたE4599試験と云う、
現在の肺ガン治療で最高の成績を上げているとされる臨床試験です。
CPというのはシスプラチンの弟、カルボプラチンのCと
パクリタキセル(タキソール)のPです。
ベバシズマブはご存じアバスチンです。
治験の対象患者は、
ほぼ全員PS.0すなわち元気な末期肺がん患者さんです。
アバスチンを上乗せすると、
2ヶ月のご利益があるという結果です。
アバスチンを使わずCPだけだと、
10.3ヶ月以内に半分の患者さんは旅立たれるそうです。
3枚目のグラフは、
PEM(アリムタ)PTX(パクリタキセル)CBDCA(カルボプラチン)
さらにBEV(アバスチン)の3剤を、
PEM + CBDCA + BEVの組み合わせで注入した患者群と、
PTX + CBDCA + BEVの組み合わせを比較した試験です。
ほぼ同一の曲線になっています。
どちらの治療?(毒漬?)でも、
ほぼ1年以内に半分の患者さんが逝くことが分かりました。
939人元気な末期肺がん患者さんを、
ほぼ1対1で振り分けています。
この3枚のグラフの意味を十分に考えてください。
本日は時間がありません、
私の考え方は明日書きます。



以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
当たり前のことですが、
ガン治療は、
ガンを宿した患者さんが受けるものです。
ご自身が受ける治療ですから、
すべての主導権は患者さんご自身にあります。しかし「何も分からない」を理由に、
すべての権利を、
主治医に委譲してしまっている患者さんも少なくありません。「何も分からない」は理解できます。
しかし、ご患者さん自身が、
その治療が如何に辛いかは、
誰よりもよく分かっているはずです。
主治医に患者さんの辛さは分かりません。「何も分からない」とは、
言っていても、
「その治療では治ることはない」
という事実は多くの患者さんご家族は、
うすうす分かっています。
しかし「これだけ辛いのだから治るかも知れない」
「これだけ苦しい思いをして報われないはずがない」などと、
自分自身を強引に納得させて、辛いキツイ治療を受けている患者さんもたくさん見ます。
確実に死に至ることが約束されているキツイ治療から、
抜け出すことができないでいる患者さんは、
たくさんいます。
セカンドオピニオンなどで、
患者さんのガンの状態と、
治療内容を見て、
エビデンスとして出されている、
その治療が導いてくれる場所と、
その予想時刻をお話しすると、
意外にも患者さんも良く知っていることもあります。
しかし、
「止めたいけど主治医に何て言おう」
「主治医に怒られそうだ」などと、
拷問のような治療での副作用による体調の悪化や自分のガンの存在よりも、
主治医との人間関係を重視する患者さんは少なくありません。
そのまま続ければ、
辛い副作用で地獄を見た後に天国に逝かれることが、
科学的に明らかにされているのに、
しかも、それを知っていても、
そこから離脱できないという患者さんにも少なからずお会いします。
ご自身の生活、命よりも、
人間関係を重んじる。
素敵な日本人気質なのでしょうね。
皆さん60歳以上です。
一見バカバカしいように感じますが、
人間関係が人生で一番重要だという考え方が、
間違えである、
などと偉そうなことを言う気は毛頭ありません。
それが患者さんご自身の価値観であれば、
そのとおりにするべきだと考えます。
しかし、多くの場合、
よくよく、話を聞いていると、
日本では当たり前のエビデンス一辺倒の主治医の意見と、
違うことを言って、
その病院から追放処分を受けることが心配という、
ただそれだけの患者さんが多いようです。
そして、治らないのだから、
キツイ治療からは逃れて、
ラクな治療で長く生きていたいと考えているようです。ご自宅近くに病院が一つしかないような地域の場合は、
その病院の閻魔様のご沙汰はすべて受け入れざるを得ないでしょうね。
日本にはそのような地域も少なくないのでしょう。
しかし幾つも大病院が乱立しているような、
恵まれた地域にお住まいの患者さんでも、
大病院・主治医の呪縛から逃れることができないかたもいます。犬は飼い主に付いて、
猫は飼い主ではなくその家に付く、
ということを聞いたことがありますが、
ガンを宿した患者さんは、
犬でも猫でもなく人間です。
ご自身にとって一番有利で、
希望する治療・場所を選ぶ知恵があるはずです。大都市の××センターなどでは、
犬のように忠実にご主人様の言いなりになっても、
時期が来れば必ず、
所払い、追放、遠島処分が容赦なく下されます。猫のように狡賢く、
テキトウにご主人様の顔色を見ながら、
好き勝手に振る舞う方がトクだと感じます。
何回も書いているとおり、
突然ガンを患った場合、
アタマが真っ白になり、
判断力が失われます。
突然の膨大な情報の嵐の中で溺れて、
偶然に××センターなどに、
漂着したりすると、
「溺れ死ぬことなく助かった」
そして「安住の地を得た」ような錯覚に陥りますが、
ご自身が、
とりあえず巡り合ったその病院が、
如何なる性質の病院であり、
どのような治療が行われていて、
患者さん自身の自由度はどの程度認められるのか、などなど、
情報収集に走ってください。
それはご自身ご家族の一生の問題になります。4月21日、22日の、
「がんの再発予防の真偽」「がんの再発予防の真偽・続き」で書いたとおり、
とりあえずの根治手術後にも、
様々な考え方があります。
すべての結果責任は、
患者さんご自身が負っています。
「そんな治療では責任は持てません」などと言う、
極めて無責任な医者は珍しくないようですが、その医者が提案するどおりの標準治療を受けて、
エビデンスどおりに患者さんが亡くなっても、
責任を取る医者はいません。忠犬になって後悔するよりは、賢いネコ犬になって、
上手にガンと病院と付き合ってください。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨夜は、こと座流星雨のピークがあったそうですね。
残念ながら私はその時間、
ウィスキーグラスを傾けており、
アタマの中には、
たくさんの星が乱れ飛んでいたような気がしますが、
本物の流れ星を見ることはできませんでした。
流れ星を見ると、
私の頭の中では、
必ず人間の一生と重なり合います。
遠い未知の広大な宇宙から突然地球という小さな星に近付き、
そこに存在する大気と接触する。
そして凄まじいスピードというエネルギーを放出して輝く。
むかし習った、
ニュートン先生の物理学のエネルギー計算だと、
1/2 x 質量 x 速度の二乗になりますが、
速度が尋常ではなく、
さらに地球に対する位置エネルギーも巨大ですから、
小さな石ころのカケラが、
膨大な熱エネルギーに変化して消えていく。
しかし元素は残るはずですから、
地上にチリとなって降ってくるのでしょうか。
あるいは核分裂のようなことが起こり、
元素そのものも消滅するのでしょうか。
現在はニュートン先生の物理学に、
アインシュタイン先生の理論やナンたら素粒子も絡み、
とても複雑になっているのだと思いますが、
そこらへんのところは素人にはまったく分かりません。
むかしはとても興味がありましたが、
今は、ドウでもイイことになってしまいました。
それはともかく、
暗黒の世界を、
恐らく極めて長い時間をかけて大宇宙を流れてきて、
何の因果か、
地球という小さな塊に出会うと、
一瞬の閃光を放ち、
そのまま消滅していく。
ヒトの一生も同じように感じます。
百年前に存在していた人間はいません。
少なくともこのブログを読まれているかたで、
100年前から存在していたヒトは居ないと思います。
そして100年後に存在している人間もまた、
居ないはずです。
猿人の発生からは700万年とも云われる、
人類の歴史の中で、
一人の人間が存在している時間は、
一瞬の閃光で終わる流れ星のような気がします。一人の人間が100年間生きるとしても、
人類の歴史から見たら、
7万分の1の時間・瞬間でしかありません。
さらに地球の誕生は46億年前とも云われています。
地球の誕生からみると、
700万年前の猿人類の祖先が発生してきてから現在までの時間も、
随分とちっぽけな一瞬の出来事です。
偶然、何処からともなく発生してきた人間も、
当然、何処へともなく消滅していく。
100年、長くても1000年も経つとお墓も消滅する。
骨のカケラもチリになって消えていく。星空、宇宙を眺めていると、
ヒトの存在など、
随分と小さく感じてしまいます。
今流行の?
宇宙と云っても、
東京の大阪間の500㎞だけ、
地球表面から離れると、
そこもすでに宇宙と云う空間になるのですよね。
東京・大阪間など飛行機だと1時間もかからないはずですが。
勿論、悲しいかな、
私も今という現実社会に存在させられていますから、
現実のことを考えなければなりません。
その結果、
とりあえず目先のことを最優先に考えますが、
その目先のことも、
無限の大きさの現実を思考回路の片隅に置いておくと、
ギスギスしない、
しなやかな見方ができるように感じます。
がんという、
ヒトの命を脅かす病気について考えるときも、
その人間が、
イヤでも生かされている自然界での「立ち位置」を思い出すと、
ご自身の振る舞い方にも影響は出て来ると思います。勿論それは、すべて個々の患者さんのこころのなかで、
決めることで、
医者はそんなことは考えるべきではないと思います。
流れ星、
何時観ても、
とても素敵な輝きですね。
一瞬の輝きで終わるから、
同じ境遇である人間も、
美しいと感じるのだろうと感じます。ズーット輝き続けたら、
ただの化け物ですから。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日の「がんの再発の真偽」で書いたとおり、
とりあえずの根治手術後に、
本当に再発予防効果があるのか否か、
残念ながら、
まったく分からない状態で、
さもエビデンスが存在しているかのような顔をして、
大量の細胞毒を使った抗癌剤治療が執行されているのが実態です。また、エビデンスがあるといっても、
それが海外のデータである場合には、手術技量の大きく違う日本人で、
それがそのデータどおりに有効であるのか否か、
誰にも分かりません。分かることは、
その治療を受けると、
多大な副作用を被るということだけです。それに耐えた結果については、
「神のみぞ知る」世界になります。無駄な苦痛を受けただけ、
ということも十分に起こり得ます。
2010年12月15日の「乳癌再発予防抗癌剤治療」で書きましたが、
真偽の程度は別にして、
ハーツー蛋白の過剰発現を認める乳ガンに対するハーセプチン以外で、
現在、公表されている乳ガン再発予防治療では、
最強と思われる、
AC +ドセタキセルでの治療での、
腋窩リンパ節転移を伴うも「比較的早期の乳ガン」に対して、
10年後の再発確率は38%
ACに5-FUを追加した従来のFACでは45%と、
48%に対して約16%の再発確率減少効果(45x16%≒7%)は、
ドセタキセルの副作用と比較して、
トクな数字なのか、
ソンなのかは、
個々の患者さんの価値観・死生観で変わります。AC +ドセタキセルの治療で、
50%程度の再発予防効果があるなどと言う医者もいるようですが、
実際にその治療を受けても、
38%の確率で再発を認めている事実を考えると、
無治療の場合76%の確率で再発することになります。
「比較的早期」の乳ガンでそんなバカげた数字は出ないはずです。
何処かに作為があるように感じます。
乳ガンと同じく欧米での患者数がとても多く、
早くから研究がはじまり、
比較的再発予防効果が大きいとされる直腸・大腸ガンでも、
予防効果はあっても10%程度と思われます。50%の確率で再発する患者群で、
再発確率が45%に低下するということです。有り得ない数字ですが20%の予防効果だとしても、
50%が40%になるだけです。
30%なら24%に・・・
その数字の多寡は、
ご自身の価値観・人生観で考えてください。ちなみにステージⅣの直腸・大腸癌に対する、
肉眼的な根治手術後は、
再発予防の抗癌剤治療を行った患者群と、
再発してから抗癌剤治療を行った患者群で、
生存期間に有意な差は出ていないことが知られています。
年間、何十、何百と手術を行う病院の外科医は、
病院としての再発確率を少しでも減らしたいですから、
抗癌剤治療を勧めます。
腫瘍内科医も様々な事情があり、
同じことを勧めると思います。しかし、それを受けるか否か決定するのは、
患者さん本人であることは忘れないほうが無難です。再発予防という観点からはもう一つの方法もあります。
4月2日の「大塚北口診療所で免疫細胞療法」で書いたとおり、
今月から大塚北口診療所に、
免疫細胞療法の専門医が来られて、
それを行っています。
理論的には効果は大きいと考えますが、
その治療もエビデンスはありません。
その上、経済的な負担も少なくありません。したがって「どうぞ受けてください」と、
安易に勧められる治療ではありません。
そのような治療を決める場合には、
副作用に対する心配はほぼ皆無ですが、
死生観の他に経済的価値観も大きな要因になります。
廉価ではないという、
裏のコメントもありましたが、
あの記事を書いたときに、
ホームページに不備があったようで訂正されています。
費用および、
実際の内容に関しては、
小田原の清水昭男先生が、
すべて決めておられて、
大塚北口診療所は関与していません。
大塚北口診療所では、
免疫細胞療法の効果を引き出すために、
健康保険で少量の抗癌剤治療点滴というアシストだけを行っています。相談は大塚北口診療所で清水先生が来られて、
無料で行われています。
大塚北口診療所での相談をご希望のかたも、
大塚北口診療所への連絡ではなく、
直接、
小田原の理趣会に連絡して、
大塚北口診療所での清水先生とのアポイントをとってください。再発予防の、
一つの手段であることは間違いはないと思います。無料とまではいかなくても、
健康保険で認められるならば、
何の迷いも無く、
大量の細胞毒よりは、
免疫細胞療法をお勧めしますが、
残念ながら日本は格差社会です。格差の激しい共産主義よりはマシだと感じますが。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
癌という病気を理解される患者さんが増えてきたのか、
手術後の再発予防の抗癌剤治療についての質問が、
増えてきているように感じます。
とりあえずの根治手術後の再発予防の抗癌剤治療については、
2月24日の「がんの再発予防」はじめ、
何回も書いています。
「とりあえずの」と書いたのは、
肉眼で確認可能な範囲に存在しているガンをすべて切除した、
という意味で、
目で観えないような顕微鏡レベルのがん細胞まで、
切除することは不可能です。
しかし、その〝とりあえず“の根治手術を受けても、
ミクロレベルのがん細胞が、
身体の何処かに遺残していたならば、
それは、いずれ姿を現してきます。
すなわち「再発」です。治ったつもりで安心していた患者さんでも、
残念ながら再発を来たした時、
多くの場合「治らないガン」を宿すことになります。治らないガンが発見された場合、
多くは執行猶予なしで、
標準的抗癌剤治療という全身刑の実刑判決が下されます。
残念ながら、
その標準治療は、
死を前提として、
無治療よりは長生きができるかも知れない、
ということだけが目標になります。多くの再発予防治療では、
とりあえずエビデンスと思しき数字が出されていますが、
その真偽の程は不明です。国民の生命・未来に直結するような原発事故・放射能漏洩でも、
正確な情報は国民には知らされず、
その数字は人間の手で簡単に歪めることができます。
そこまで露骨ではないにしても、
医学研究でも似たようなことも起きています。
少し前にも何処かの教授の捏造論文が問題になりました。
むかし乳癌の手術後にパクリタキセルで絶大な再発予防効果がある、
という噂・神話が流され、
多くの医者が騙されました。
私もその愚かな一人でした。
しかし2年以上むかしの
2010年12月16日の「乳癌再発予防抗癌剤治療・続き」で書いたとおりのサンアントニオでの学会報告が出されてから、
パクリタキセルを使う施設は激減しているように感じます。
サンアントニオの報告は日本人以外の患者群が対象ですが、
今考えると、
当時パクリタキセルは日本に入ってきてから、
まだ10年も経っていない時期であり、
日本人の乳ガンに対して、
予防効果云々ということ自体が間違っていました。
再発予防治療の効果が確認されるには、
膵癌などの猛烈なスピードで進むガン以外では、
最低でも10年以上の年月は必要です。
エビデンス・EBMを声高に唱えている病院でも、
再発予防と称して、
実はエビデンスなど存在しない、
再発予防治療が執行されている現実は、
極めて頻回に目にします。また、もし海外のデータとして、
再発予防のエビデンスが出されているとしても、
手術技術が海外と日本では大きく違います。
アメリカでの外科手術を何例も見ましたが、
自分の身内に受けさせたいと思う手術ではありませんでした。その手術技量が大きく違う国のデータを、
技術に卓越した日本にそのまま転用することが、
本当に正しいことか否か、
誰にも分かりません。
エビデンスがありませんから。日本でその使用が認可・承認されてから、
まだ日が浅い薬剤が、
大手を振って再発予防のための治療として使われている現状も、
頻繁に目にします。
そのような治療は、
再発確率が高いであろうと考えられる患者さんに執行されています。
モト外科医、現在ケモ屋として、
「理屈抜きに何でもいいから再発をして欲しくない」
という外科医の気持ちは分かりますが、
大きな副作用を伴う再発予防の抗癌剤治療では、
副作用というデメリットに見合うメリットが得られるという、
エビデンスが必要であるはずです。エビデンスが無いという状態での抗癌剤治療は、
確実な副作用被害だけを受けて、
再発予防効果などまったくないということも、
十分に有り得ます。「みんなが受けるから」
「普通の流れだから」
「手術とセットだから」などという安易な考え方は、
取り返しのつかない事態を招く可能性もあります。
慎重に考えて決めてください。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
ガンという病気・治療に対して、
普通の日本人は、
大きな知識は持っていません。
「家庭の医学」程度が限界だと思います。
それも病気が分かってからのにわか勉強のはずです。
それを生業にしている医者の知識には遠く及ばないはずです。
それは当然のことだと思います。
しかし大切なご家族やご本人が、
その病気を宿して、
実際に治療の直面しなければならない状況に追い込まれると、
必死に勉強をはじめて、
かなり系統だって構築された知識をお持ちの患者さんもいます。
「何でそこまで知ってるの」と、
ビックリするほどの知識武装されて、
ご家族の治療に臨まれていたかたが何人か居られます。
不思議なことに、
全員患者さんは母親、
博識の頼もしいサポーターは孝行息子さんでした。すでに旅立たれましたが、
あの息子さんたちのサポートが無ければ、
半分以下の時間で終わっていたと思われます。
それはともかく、
ご自身や大切なご家族のガン・治療を看て、
そこで得た知識・経験を、
闇雲に他の人に伝授するのは、
如何なものかと感じます。ガンも患者さんも千差万別、百人百様で、
本当に個々の患者さんで、
まったく違っています。勿論、クスリに対する効果も、
副作用も個々の患者さんはすべて別人です。
ガンに対する決定的な二大治療である、
手術・放射線治療に対する反応も、
すべて異なります。厄介なのか幸運か分かりませんが、
治らないガンという病気の場合には、
最終地点は決まっています。
問題はそこに行きつくまでの過程と時間だと思いますが、
ガン未経験者の多くの素人は、
その厳しい現実すら知りません。致死率100%という、
一見恐ろしい数字も知りません。
現実には目をそむけ、
知ろうとしません。
鳥インフルエンザや、
ダニが媒介するウィルスの致死確率が、
高々数十%というだけで、
震え上がるのに、
何故か100%は平気なようです。
100%以上の数字は存在しないはずですが、
その現実すら、
「癌」という病名の前には、
恐怖心と同時に吹き飛んでしまうようです。
そのような真っ白なアタマの素人に対して、
少しだけ知識を持った素人が何かアドバイスをした場合、
当たり前の結果として訪れた結末に対して、
そのアドバイスを与えた人間を恨むことになります。再発予防のための抗癌剤治療なども、
多くの場合、
「自分や身内の人間なら受けない」という治療ですが、もしも「受けないほうがイイよ」などと、
うっかりとアドバイスして、
その後再発したら、
終生ご家族に恨まれることになっちゃいますよ。時々、私の存在も、このブログも拙著も、
そして当然、私のガン・治療に対する考え方も、
何も知らない患者さんや、そのご家族から、
「知り合いに聞いた」ということで、
セカンドオピニオンの依頼などがあります。
勿論、すべてお断りして、
先ず、主治医と納得のいくまで相談することと、
国立がんセンターやがん研有明病院などで、
セカンドオピニオンを受けることをお勧めして、
そこで納得がいかなければ、
セカンドオピニオンを受け付けています。
はじめから目的地も到達予定時刻も知らないご家族や患者さんでは、
最終結果に遭遇して恨まれるのは嫌ですから。昨日の「健康な末期ガン患者」でチョッとだけ書いた、
大塚北口診療所の検診や人間ドックでも、
偶然に青天の霹靂で見つかってしまった、
ガンに対する知識が皆無の末期ガン患者さんは、
大塚という場所柄、
直ぐ近くの東京都のがん治療拠点施設である都立駒込病院や、
特別に有名な国立がんセンター、
あるいはご希望の大学病院があれば、
そちらで治療を受けることを勧めています。
「何故、元気なステージⅣがたくさんいると思うのか」
という質問が出るのが普通の素人さんだと考えます。手術が可能な患者さんは、
ご希望があれば、
大塚北口診療所の関連病院で、
大学病院の外科医が手術は行います。希に大塚北口診療所の私のところに来られる、
大塚北口診療所で発見された末期ガンを背負った患者さんもいますが、
多くの患者さんは、
別のところで、
納得のいく最期を迎えられていると思います。「触らぬ神に祟り無し」
「診ない患者に訴訟無し」
という医者の常識があります。素人の患者さんやご家族も、
親しい人との間の火種にもなりかねませんので、
何も知らない振りして、
当事者だけに任せるほうが無難です。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
4月17日「ガンのステージと機械の進歩」に対して、
少々とぼけたコメントがありました。
ステージⅣで普通の生活を行っていた患者さんが
相当数に上るはずですとありますが、
この考えに至った経緯を教えていただけますか?
闇雲な投稿は避けて、
先ず、ご自身のアタマで考えてからコメントを書いてください。
検診・人間ドックでは、
有り難いことに、
単純な成人病(生活習慣病?)や、
「早期ガン」だけが発見されるとお考えでしょうか。
その結果、生活習慣の改善で長生きができたり、
無事に早期のガンの根治手術を受けることができて、
命拾いをして、
目出度し目出度し、チャンチャン
で終わるとお考えでしょうか。毎年、律儀に丁寧な人間ドックを受けている患者さんでは、
けっして多くはありませんが、
一般の形だけの企業検診や、
数年に1度の気が向いたときの人間ドックでは、
ステージⅣと云われる、
所謂、末期ガンの患者さんが幾らでも見つかるのです。
検診や人間ドックは、
何処にも異常を感じない、
普通の生活を営まれている健康人が受けるのが一般的です。
身体に何か異常を感じれば、
普通の人は、
自費での検診やドックではなく、
医療機関に健康保険で診療を受けに行きます。
「仕事が忙しくてなかなか病院に来られませんでした」と言われる、
ステージⅣ・末期のガンが発見された患者さんも、
珍しくはありません。しかし、忙しく仕事をこなせるほど元気な状態であり、
病院に来る前の日に、
ステージⅣになったのではないと思います。
異常を感じたその時点で、
すでにガンは末期状態にあると推測されます。ガンという摩訶不思議な生き物の、
最大のイヤラシサは、早期で根治できる状態の時には、
ヒッソリと身を隠して、
沈黙を続けながら、
徐々に治ることのない末期ガンに成長していくことです。そして宿主・ご主人様が死ぬと、
自分も死んでいく。
変わった奴ですね。毎年40万人程度の日本人が癌で逝くそうです。有り得ないことですが、
二十歳以上の日本人全員に対して、
一斉に精密検診を行った場合、
相当数の末期ガン患者が出て来るはずです。
大塚北口診療所の人間ドックでも、
毎年、ステージⅣ・末期ガンを宿した、
元気な患者さんが何名も見つかります。
日本全国にある1万件の病院や、
検診・ドック専門の医療機関では、
全体でどのくらいの、
元気な末期ガン患者さんが見つかるでしょうか・・・以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
腹膜播種を伴う胃ガンの場合、
その播種が、
肉眼や機械の目では確認できないような、
細胞レベルでの「播種」・「散らばり」であっても、
早々にステージⅣのレッテルが貼られ、
胃の原発病巣を手術で切除することは行われず、
100%の確率で死が約束されている、
標準的抗癌剤治療だけが待っています。その標準治療の場合、
概ね1年以内に半数の患者さんが旅立たれます。腹膜播種が確認されるも、
原発病巣を切除しないと、
出血や狭窄などの確率が高く、
その後のQOLを大きく低下させる恐れがあるような場合には、
多少の播種は無視して切除手術を敢行します。
あるいは、施設によっては、
手術中の診断ができず、
腹膜播種が手術後に細胞検査で判明したような場合などです。
その場合、切除しても、
腹膜播種があれば、
その段階でステージⅣであることが判明して、
根治手術はではありません。
概ね1年以内という数字は、
切除した患者群も、
腹膜播種の判明と同時に、
即座に手術を否定して、
標準的な抗癌剤治療を執行した患者群とを、
十把一絡げにして出された数字です。
その十把一絡げを、
細かく分析してみると、
勿論、播種の軽重の程度により差はありますが、同じ腹膜播種によるステージⅣでも、
原発病巣の切除だけの非根治手術を敢行した患者群のほうが、
長生きしていることが分かっています。さらに現在では、
多くの患者さんが知るようになった、
腹膜播種を伴う胃ガンに対して、
手術前に腹腔内に抗癌剤を注入して、
腹膜播種を肉眼的に消し去ってから手術を行うことにより、
患者さんの生存期間は、
「手術否定 → 標準的抗癌剤治療」と比較して、
飛躍的に向上しています。漫然と手術否定での抗癌剤治療の悲惨さを見せられた、
外科医の良心が開発してくれた治療です。
はじめから手術を諦める標準治療と比較して、
遥かに勝っている成果を上げており、
現在高度医療という範疇で、
腹腔内に入れる抗癌剤だけは自費で、
他の治療は健康保険という、
変則な形態で認可されています。
しかし妾の子のような扱いで、
健康保険では大手を振って認知はされていません。
その公式認知に向けて、
現在フェニックス試験と名付けられた治験が行われています。腹膜播種を伴う胃ガンの患者さんを、
無作為抽選で、
腹腔内治療 → 手術患者群と、
手術否定 → 標準的抗癌剤治療の患者群に、
2対1の割合で振り分けます。治療成績が同等程度と見込まれれば、
1対1の振り分けになるはずですが、
はじめから2対1振り分けになっているのには、十分に有効性が期待できるから、
無慈悲に半々という設定ができなかったものと推測されます。
くじを引いた3分の1の患者さんの寿命は、
機械的に決められてしまうのですから。長く生きていることが、
十分に期待できるなら、
患者さんの同意さえあれば、
非情な、くじ引き振り分けの治験など行わずに、
希望者全員にそれを行い、
その後にその治療成績のデータを出せばよさそうなものですが、
それは行われることはありません。
実際に今、生きている、
生きていたい人間を、
機械的に振り分けて、
そこからデータ収集を行い、
統計学的な有意差を出して、
はじめてお役所が動き、
腫瘍内科の先生方も納得されるようです。患者さんの気持ちなどほとんど無視された状態で、
医療・医学・科学・行政・心情・主導権争い、
せめぎ合いは続きます。希望者全員にしてあげたくてもそれができない、
実際にその治験に参加している外科医の心情を思うと、
胸が痛くなります。苦しんでいるのは患者さんだけではありません。
治験担当の外科医はそれ以上に辛い思いをされていると感じます。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
4月12日の「腐ったエビデンス」をはじめ何回か、
医療検査機器の凄まじいばかりの進歩のために、
むかしの機械の鈍い目しか無かった時代に出された
データもエビデンスも、
現在では信用できない、
当時の錦の御旗はすでにボロボロであり、
現在、ガンを宿した患者さんに対して、
適応されるべきではない、ということを何回も書いていますが、
その意味が分からないという、
質問を受けました。
例えば、
肺がんなどの標準的抗癌剤治療での、
生存期間中央治値は、
パクリタキセル+カルボプラチン+アバスチンによる治療で、
概ね12ヶ月とされています。
その治療を開始すると、
12か月以内に概ね半分の患者さんが亡くなるというデータです。
パクリタキセルの代わりにアリムタという薬剤を使っても同じです。
治験対象となった患者群さんは、
すべてステージⅢまたはⅣの、
切除不能と診断された方々です。
そしてPS.はゼロのかたがほとんどです。そこでステージ分類の問題ですが、
肺の原発病巣の他に、
肺の別の場所や、
他の臓器に転移が見つかれば、
即、ステージⅣの診断が下されます。
その見つかってしまった転移病巣ですが、
むかしの解像度が低い機械では見つからないレベルの病巣でも、
現在の鋭い目を持つ最新鋭検査機器では、
簡単に判明してしまいます。すなわち厳しい目で判定されたステージⅣとの診断の下、
「手術不能 → 標準治療」
という流れに乗せられる患者さんが少なからずおられます。むかしはステージⅠかⅡ程度だった患者さんが、
現在の最新機器の目では、
いきなりステージⅣという診断が下ることがあるのです。
むかしの鈍い目で観てもステージⅣと診断された患者さんは、
現在の目で観たら、
相当に進んだガチンコのステージⅣであった可能性が多分にあります。
そのように病気が進行した状態の患者さんが、
無治療で経過観察だけをした場合と、
抗癌剤治療を受けた場合で、
ごく僅かに抗癌剤治療患者群のほうが、
生存期間中央治値が長かった。
という、むかしの事実が、
現在の抗癌剤治療の土台になっています。
治療を執行したほうが、
ごく僅かでも長く生きることができる可能性がある、
その恐らく事実とも思われる結果が判明してしまってからは、
臨床治験に於いて、
人道的に、
無治療患者群の設定ができなくなってしまいました。
したがって、
現在では種類の違う抗癌剤治療患者群同士の、
比較データだけしか得られません。解像度がむかしとは格段に違う、
鋭い目で診断された、
自覚症状もまったく無い、
元気なステージⅣの患者さんが無治療の場合、どの程度の時間、
生きていることが可能なのか、
本当に抗癌剤治療を行ったほうが延命効果があるのか否か、
そのデータ・エビデンスは存在しません。むかしの機械なら、
発見さえできなかったガンが、
現在の目では簡単に見えてしまいます。
実はステージⅣのガンを背負っていても、
むかしの検査では、
それに気付くことなく、
普通の生活を送っていた患者さんは、
相当数に上るはずです。そのような患者さんでも、
現在の厳しい目で簡単に見つかってしまって、
いきなり実刑判決を受けて、
治療が執行されることが、
本当に正しいことか否かは、
誰にも分からないはずです。副作用死も有り得る抗癌剤治療を執行するための、
錦の御旗であるデータ・エビデンスがすでに腐っているのですから。エビデンス・EBMなど、
その程度のモノです。したがって、
「無治療なら〇ヶ月」
などと云う無責任宣告も、
まったくウソであり、
医者の恫喝以外の何物でもありません。そんな脅しに屈すると、
標準的に旅立つことになります。以上 文責 梅澤 充
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4月14日の「腐ったエビデンス・続き」でチョッとだけ書いた、
イレッサ裁判終結に対して、
単純に不思議なんですが、
イレッサで訴訟問題が起こるくらいなら、
なぜシスプラチンでは起こらないんだろう?って思います。
「納得をして副反応を受けるから、
この化学療法を受けたいです」との考えだった
患者さんや家族がどれだけいるのだろう?って思います。
とのコメントがありました。
私もまったく同感ですが、
やはり極めて無責任に、
イレッサを「夢の新薬」に祭り上げたマスコミに、
最大の責任があると感じます。流石に反省をしたのか、
件の裁判のニュースに対しては、
大人しくしているようです。
3月16日の「夢の免疫治療By NHK」はじめ、
何回も書いていますが、
悲しいことに、
現在の日本のマスコミは、
視聴率、発行部数を上げるためには、
ヒトを騙すことは、
悪いことだとは考えていないようです。
今までどれだけたくさんの夢の新薬や治療、
さらに神様が登場してきたでしょうか。夢は存在しないから夢です。
医者はただの人間であり、
神様にはなり得ません。
告訴された神様もいます。
残念ながら、
日本のマスコミは、
ガンを宿した患者さんに手を貸そうとはしていないようです。視聴率のためには、
患者さんに、
ぬか喜びをさせることも、
一般のヒトまで脅しをかけるのも、
何でもアリのようです。
イレッサは、
時には牙を剥き出し、
襲い掛かることもあるクスリですが、
肺がんを宿した患者さんに対しては、
他の細胞毒よりは、
遥かに患者さんに優しく、
とてもありがたいクスリです。細胞毒では、
死に至る副作用は、
はじめからエビデンスとして、
織り込み済みですから、
裁判にはならないでしょうけれども、
ヒトの身体に対しては、
イレッサよりも遥かに残酷なクスリです。イレッサをファーストチョイスで使う医療機関が増えてきたのは、
喜ばしいことです。
イレッサの副作用で亡くなられた、
患者さんのご遺族の無念はお察ししますが、
現在もイレッサが、
多くの肺ガン患者さんの福音になっていることは、
紛れも無い事実です。
患者さん、ご家族は、
ガンという病気に対する武器の性能・性質を、
シッカリと理解してから、
それを受け入れてください。以上 文責 梅澤 充
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たしか、サイエンスでは、
人間は100mを10秒で走ることは不可能。
水泳では100mを
1分で泳ぐことは不可能。
少なくとも50秒は、
造波抵抗などのために絶対に不可能と云われていました。
超音速の飛行物体も建造不能、
と科学的に証明されていた時代もあります。
しかしそれらの記録はことごとく破られています。
医学というサイエンスの常識もその程度の過程にあります。破られることがない記録、
確実な現実は、
生れてきた人間は確実に死ぬ。
という事実だけです。
それ以外の現実は、
すべて未知の世界です。
現在大塚北口診療所では、
未知のヒトを何人も診ています。同一の抗癌剤の連続使用記録時間も、
大塚北口診療所の患者さんで、
何人もタイトルホルダーが居ると思います。
UFT10年越え、
TS-1やゼローダ、パクリタキセルの
継続使用5年越えはゾロゾロいます。
皆さん、ガンとの同居生活をされています。
膵頭十二指腸切除手術や食道全摘という、
外科医としてはとても難易度の高い手術があります。
しかしその手術を受けた患者さんの多くは、
数年でこの世を去ります。
それらの手術は、
神様がくれた生理的な解剖学的構造を破壊して、
非生理的な構造に変えてしまいます。
しかし、ガンという病気が、
それらの患者さんを長生きはさせてくれないので、
非生理的な状態で長期間観察した事例は、
あまり報告がなく、
長期間経過した時に、
如何なる事態が発生するのか分かりません。現在、大塚北口診療所に、
それらの手術後に再発をしてから来られて、
何年も経過している患者さんも数名いいます。
まったく未知の世界を歩いているのと同じです。
しかし考えてみると、
1秒でも先が見える人間など、
一人も存在しません。誰もが、
漆黒の闇の中を、
あたかも明かりが燈っていると勘違いをして生きているのですよね。
ガンや手術、
抗癌剤治療が特別な存在ではありませんね。昨日の突然の地震をみて、
くだらないことを考えた一日でした。
とりあえず、
元気で生きているうちが華ですね。
今晩も美味い酒を飲んで、
早く寝よ。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
本日は、昨日書きたかった内容ですが、
昨日は忙しすぎて時間がありませんでした。
一昨日の「腐ったエビデンス」では、
現在の抗癌剤治療では、
無治療と比較して、
本当に延命効果があるのか否か、
甚だ疑問がある、ということを書きました。
現在の厳格な鋭い機械の目で発見される、
まったく自覚症状を発生していない、
「治らないガン」を宿した患者さんが、
現在の文字通り厳しい抗癌剤治療を受けた場合、
無治療と比較して延命効果があるか否、
現在のデータは存在しません。無治療で経過を診た患者群が存在しないので、
抗癌剤治療患者群での延命効果そのものが不明です。勿論、キツイ化学療法は、
QOLという観点からは、
けっしてお勧めできる治療ではありません。
そもそも死が前提で構築された治療ですから、
ロクなものではないことは、
容易に想像できると思います。
どうせ死ぬんだから、
生きている時間だけ少しでも延ばせばそれで良し。たくさんのエビデンスを生み出している製薬会社は、
とりあえず延命効果があれば、
その薬剤が認可される。
(現在は無増悪生存期間の延長で認可)
そして目出度く大手を振って販売することができる。
そのためには、
生きている時間の数字という証拠が必要であり、
必死にエビデンス作りに励む。
そしてそのエビデンスに医者が踊らされる。
ただその繰り返しだけのように感じます。
しかし治らないガンを宿した患者さんの多くは、
普通の生活を営んで生きています。その平穏な生活を終生失ってまでも出された数字が、
患者さんにとって、
どれほどありがたいものでしょうか。平穏な生活を送っている患者さんの、
その時間を少しでも長く楽しんでもらいたい、という発想は、
製薬会社にも、
その家来に成り下がった医者にも感じることができません。腐ったエビデンスにしがみついたままで、
発想の転換を感じることができず、
とても残念に思います。
宝物のような時間を作ってあげることが、
現在のガン治療医の最大の使命だと感じていますが、数字数字の世知辛い社会になってしまっています。現在の抗癌剤治療では、
その統計データを観ていると、
もしかすると細胞毒は、
表向き、患者さんの生存期間中央治値を伸ばしてくれるかも知れない、しかし、逆に大量のプラチナ製剤などの毒が、
患者さんが生きていることができる時間を制限してしまっている、
というようにも感じます。胃がんも肺がんも、
大量のプラチナ注入により、
概ね1年程度しか生きていることができません。
細胞毒が生存時間の決定因子になっている可能性も、
多分にあるように感じます。しかし現在の無治療患者群のデータが存在しませんから、
誰にも分かりません。件のイレッサ訴訟もケリがついたようですが、
肺がんに対するイレッサの治療成績は、
プラチナ製剤中心の抗癌剤治療よりも、
遥かに長い生存期間を生み出しているというデータもあります。
少なくともQOLはまったく違うはずです。
勿論、イレッサは、
残念な副作用で寿命を縮めた患者さんが存在することは事実ですが、
細胞毒よりも、
患者さんには優しく、
大きな延命効果を生む可能性があります。
現在は遺伝子検査で、
イレッサの効果の多寡を知ることができます。
効果が期待できる場合、
大量の細胞毒を注入するのであれば、
イレッサなどを、
その前に使うべきですし、実際にそのような方針で治療を行っている病院も、
遅まきながら幾つも見るようになりました。
細胞毒の腐ったエビデンスにしがみつくよりも、
遥かに賢明で、
患者さんには優しい治療だと考えます。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
大塚北口診療所に抗癌剤治療に来られる患者さんの数には、
大きな波があります。
毎週、10日毎、2週間毎、3週間毎、毎月1回などなど、
治療の周期も全員で違うので、
最小公倍数の日に当たると、
たいへんなことになります。
本日はそれに近い1日でした。
患者さんの数が少ない日や、
雑用の無い休診日などの、
時間に余裕があるときには、
自分の生き方、
死に方、
あとどのくらい生きているのかな~などと漠然と考えます。
先日、診療の合間に、
外で葉桜を見ながら、
タバコを吸っていたときに、
経験したことのない、
へんてこな動悸・不整脈を感じました。
その時、
死ぬならゆっくりと、
快適な時間を楽しんでからで、心臓でポックリ死ぬのは嫌だなと考え、
すぐに心電図をとり、
信頼できる循環器科の医者に診てもらったところ、
アッサリと、
「これは何でもないですよ」
「心配ならホルターでも試したら如何ですか」
と言われ、
その後は何も起こらず、
ホルター心電図も診てはいません。
しかし、人間50年以上も生きてくると、
いつ何時、何が起きてもおかしくはありません。
ヒマな時は、
そんなつまらないとこを、
ボンヤリと考えることもありますが、
本日は、
そんなことは、
すっかりとアタマから吹っ飛ぶ、
ブヒーな1日でした。
ガンを宿した患者さんも、
ストレスにならない範囲で、
忙しく生活するのも、
精神衛生上、
悪くはないように感じます。ブヒー
ブヒー以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
ガンという病気が発症した場合、
余程の高齢者でない限り、
多くの種類のガンでは、
一般的には放置すれば、
天寿を全うすることはなく、
ほぼ確実に死亡する。
それならば、
無治療・放置よりは少しでも長く生きることを考える。
先ず長く生きることだけを目標にする。ガンの進展・増大により人間が死ぬ、
だからガンを取り去ろうと考えたのが、
外科手術の考え方です。
局所に留まるガンであれば、
物理的なナイフではなく、
放射線と云う見えないメスで、
その部分だけ消滅させてしまおう、
と考えたのが放射線治療です。
それらの治療が上手くいくと、
患者さんは天寿を全うできる可能性が出てきます。
しかしそれらの治療が叶わないとなった場合、
放置するよりは、
少しでも長く生きることを考えよう。そこで、癌という毒には毒を以て制する、
という考えの下に、
細胞毒・抗癌剤治療がはじまったと思われます。そして20年ほど前に、
目出度く幾つかの種類のガンで、
無治療患者群よりも、
抗癌剤治療を執行した患者群のほうが、
生存期間中央治値が僅かに長かった。
というデータが出されました。それ以降、
治らない、
すなわち手術・放射線治療が不可能なガンには、
抗癌剤治療が当たり前という風潮が発生して、ずずしくも
「がんの三大治療」などと云われています。
しかし手術・放射線治療との、
根本的な違いは、抗癌剤治療では死が前提であり、
どうせ死ぬのだから、
その最終地点到達までの時間が少しでも遅ければそれで良し。という考えが基本のように感じます。そして延命効果が認められなかった時代に、
無治療患者群と、
抗癌剤治療患者群との生存期間中央治値の比較試験が行われて、
目出度い結果が生まれました。
それ以降は、
人道的に無治療での経過観察患者群を設定することができなくなり、
すべての臨床試験において、
比較対象は、
別の抗癌剤治療患者群ということになり、無治療で経過を診たときの予後は、
現在のデータとしては存在していません。現在在るのは、
20年以上前の、
鈍い機械の目で診断された患者群だけでのデータです。その後、長足の進歩を遂げた鋭い目を持つ器機で診断された、
治らないガンを宿した患者群での、
無治療データは存在しません。むかしの機械ならばステージⅡorⅢでも、
現在の厳しい目だと、
簡単にステージⅣという診断が付くことは珍しくありません。
もしかしたら、
現在の厳しい目で見つかってしまった、
治らないガンの場合、
無治療患者群と、
多大な副作用被害を受けた抗癌剤治療患者群と比較して、
生存期間中央治値に差があるか否か、
まったく不明、
というのが現実です。
したがって、
今流行の
「無治療の場合、余命〇ヶ月」
など言う宣告自身、
はじめから医者の戯言・ウソです。
標準治療勧誘へのただの口上です。抗癌剤治療執行のための錦の御旗エビデンスも、
時間が経って古くなると、
腐ってきて、
その御威光は無くなるのです。「腐っても鯛」ではありません。
「腐ったらただのゴミ」です。すでに腐敗臭を漂わせている、
古いエビデンスにしがみつくのは如何なものでしょうか。
現在の標準治療を受けた場合、
「〇ヶ月以内に半分の患者さんは死ぬ」
「通常、平穏な日常は失う」
これはまだ腐っていない、
まだ新鮮ピチピチのエビデンスです。さて、何を選択するのが、
最善でしょうか。じっくりお考えください。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日の「汚染水と抗癌剤」に対して、
先生は患者さんが命を守るために必要なことは、
包み隠さず情報提供されているということですよね。
日本の医師が自分の良心を曲げずに仕事ができる環境を望みます。
というコメントがありました。
包み隠さず情報提供をする、
ということが本当に良いことなのか否か分かりません。すでにシッカリとした覚悟ができているような患者さんでは、
余計な心配を避けるべく、
残念な事実を「隠す」こともしばしばあります。
少なくとも日本では、
たった25年前までは、
「癌」という病名告知すら「絶対禁忌」であり、
それを日本社会が容認していたのですから。
民意がそう容易に変化するとも思われません。
しかし腹の中は別でも、
インフォームドコンセント、エビデンス、EBM、
ただそれだけを唱えて、
それが患者さんにとって最善の治療だと、
たとえ口先だけでも言っているなら、
保身・訴訟防止のインフォームドコンセントやEBMではなく、
本物のインフォームドコンセントをするべきだと考えています。
現在の日本医療環境では、
十分な時間など取れないことは百も承知していますが、
最低限度、
この標準治療を受けると、
普通の日常生活に支障を来す、
重篤な副作用を受ける可能性は多分にあります。
そして○ヶ月以内に半分の患者さんは死ぬという、
エビデンスが知られています。
この病院ではその標準治療しか行っていません。
そして治療不能となった時には、
他の病院での緩和ケアを受けてもらいます。
現在は無治療で経過を診たというデータ・エビデンスは存在していません。
あなたは、その標準治療を希望しますか?
副作用は絶対に無い無治療を選びますか?
程度のことを話す時間は確保できると思います。その情報すら与えることなく、
大きな苦痛を伴う治療を執行することは、正しい医療行為ではないと考えます。
ただの「騙し討ち」だと感じます。何回も書いているとおり、
エビデンスなど、
患者集団での統計データであり、
個々の患者さんすべてで、
その病態、生活様式、価値観。死生観が違います。
それを十把一絡げに、
死へのベルトコンベアに乗せるのは如何なものでしょうか。
「包み隠さずすべての情報を提供する」
それは、
その言い方次第で如何様にも変わります。目の前の患者さんの状況に対して、
医者が持っている知識は、
十把一絡げのエビデンスと論文からの知識、
それと高々30年程度の拙い経験だけです。
「エビデンスがすべて」と考える医者も存在しているようですが、
そのような考え方で、
「包み隠さずすべての情報を提供」すれば、患者さんの生きていることが可能な時間は、
その医者に勝手に決められてしまい、
患者さんは絶望だけを感じると思います。絶望的なエビデンスだけしか無くても、
それは患者集団でのデータであり、
たった一人の運命を決定づけるものではありません。
しかしエビデンスがすべてだと、
標準治療を執行した場合の、
お粗末なデータの提示でだけ終わります。
下の文章は、
現役の大学病院のある有名なガン治療医からいただいたメールの一文です。
これがガンを診る医者の本音であり、
そうあって欲しいと思っています。
UFTを処方して1ヶ月毎にマーカーを測っていた時代は、
抗癌剤に苦しむ人もなく、
いい終わり方をした患者さんが多かったように感じます。
結局終わるんですから、なんでわざわざ名前に釣られて、
がんセンターで辛い思いをする気になるのか、
一般の方には実情が分からないんでしょうね。
あと1年と言われて家族も本人も慌てるんでしょう。
非標準治療で3年間も元気でいてくれると、
ご家族は少なくとも感謝してくれます。
ゆっくりと宝物のような時間を過ごせたと喜んでくれます。
そういう時間を作ってあげることが医者の仕事、
というかそれぐらいしかできないのが我々医者なのだと思います。
何十年も生きてきて、
最後に辛い治療を受けておしまいというのでは浮かばれません。
座右の銘にしたいありがたい言葉です。
私もそれが現在の医者の仕事だと考えています。
これが多くのガン治療医の本音だと思います。一般的な腫瘍内科医の先生とは、
大きく違うでしょうけれども。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
現在進行形で、
まだ30年以上もかかると言われる、
福島の原発事故処理過程で、
「汚染水が漏れています」と数日前から報道されています。
「汚染水が漏れている」という事実だけは、
何回も何回も、
繰り返しニュース番組の音声で流されています。「汚染水」という言葉だけが繰り返し使われていますが、
そこにどれだけの、
放射性物質が含まれて、
何処がどのように汚染されているのか、
如何なる被害が予想されるかについてはほとんど聞きません。僅かに「1㏄あたり何万ベクレル」という言葉も、
申し訳程度に聞こえることもありますが、
漏れているのは㏄というレベルではありません。
1リットルは1000㏄です。
漏れはそのさらに1000倍のトン単位です。
100トンはラクに超えているようです。
だとすると、
漏れている放射性物質は、
兆単位にも上ることも十分に考えられます。
その被害については、
どこも口を噤むのは何故なのでしょうか。
民放は電力会社がスポンサーであれば仕方がないのかも知れませんが、
スポンサーは国民であるはずのNHKも黙るのは何故でしょうか。
細胞毒・抗癌剤治療の説明をする医者の言葉のようにも聞こえます。インフォームドコンセントを声高に唱えながら、
その治療の害悪の説明だけは、
何故か小声になります。日本の社会はそんなモノなのでしょうね。
昨日の「抗癌剤の延命効果」でも、
チョッとだけ書きましたが、
インフォームドコンセントという名の下で、
患者さんに与えられる情報は、
実はごく僅かです。患者さんが一番知りたい部分は、
上手にオブラートに包んで、
聞こえないように情報提供がなされます。セカンドオピニオンなどに来られて、
私が診療情報提供書を見て、
その事実をお話しすると、
はじめて耳にする現実の情報に、
ビックリ仰天する患者さんご家族をしばしば見ます。
ご家族にすら正確な情報が与えられず、
残忍な治療が執行されていることも後を絶ちません。
各地のがん治療拠点病院と云われる施設でも、
同様の現象は頻繁に起こっています。何も知らされずに治療を続けていたら、
すでにこの世にいないという患者さんは何人もいます。
恐ろしい話は幾らでも有ります。この国では、
自分の命を守るのは、
ご自身とご家族だけかも知れません。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
手術後に再発予防として抗癌剤を使うと、
僅かながら再発確率が減少すると言われています。
それがエビデンスとされています。
胃癌・大腸・直腸癌などでは10%程度の、
再発予防効果があるのではないか、
と広く認識されています。
統計的に50%の確率で再発を来すであろう患者群に対して、
予防のための抗癌剤治療を全員に執行すると、
10%減少して、
45%程度の再発確率になる、
ということです。
もしその数字が本当ならば、
半分の患者さんは、
細胞毒など使う必要はなく、
天寿を全うすることになります。100人のうち5人の患者さんだけが、
抗癌剤治療を受けた恩恵に与ることになります。45人は抗癌剤爆撃を受けても、
再発をしていずれ死に至る。
50人は必要の無い爆撃を受けただけ。という解釈もできます。
その時、
不要な爆撃を受けた患者さんの寿命はドウなるのでしょうか。
毒を盛られることなく、
何も被害を受けなった患者さんと、
同等のQOLで天寿を全うすることができるのでしょうか。
様々な細胞毒が、
再発予防として使われています。
古典的な5-FUや、
古いと言われてもまだ日本では33歳のシスプラチン。
また、パクリタキセル、ドセタキセルなどは、
発売されてからまだ20年程度、
日本で使われ始めてからは15年程度しか経っていません。
またガンの種類により、
承認されてから僅か数年のモノもあります。
それが、すでに再発予防として使われています。
したがって、
それらの薬剤を大量に注入された患者群で、
その後30年40年50年と経過を診たデータは存在し得ません。幸か不幸か、
日本人の平均寿命は80歳を超えています。
50歳の患者さんの平均余命は、
30年以上残されています。
細胞毒の大量注入により、
再発を免れたとしても、
それが快適に長生きをするという、
多くの人間の望みに叶うものか否か疑問もあります。
まして50%の再発確率患者群では、
少なくとも半分の患者さんは、
必要の無い毒を注入されることになります。
その人たちの20年30年後は、
どのようなことが起こるのでしょうか。
東京電力の福島での大事故による放射性物質の漏洩・散布に対して、
大きな不安を抱いているかたは少なくないはずですが、
抗癌剤にも将来の不安があります。
「ガン → 再発の可能性がある → 大量の抗癌剤治療」
という図式が、
ガンを患っただけの患者さんにとって、
本当にトクか否か分かりません。製薬会社には大きな利益があることだけは間違いありませんが。
卵巣がん手術後の標準治療の場合は、
その後得られる無治療期間を考えると、
良くない治療だとは思わない、
ということを何回か書いています。
しかし、ここ数週間で、
予定通りの回数を実行したガン友はすべて亡くなった。
しかし6回の予定を1回だけで止めた、
さらに1回目の途中で離脱した(パクリタキセル分割)、
あるいは3回で無効と判断されて中止した、
などと云う患者さんが、
標準的に得られる平均的な無治療期間よりも遥かに長く、
元気で生活している、
という事例を何例も見せられています。
勿論「何例」などと云うのは、
統計的に科学的に何ら意味はありません。
そして生きているから私の目の前に出て来るのであって、
亡くなった患者さんが来られることはありません。
しかし標準治療のガン友はすべて旅立ち、
1回で離脱した患者さんだけが残っているというのは、現在の標準治療を象徴する、
あまりにも皮肉な話であり、標準的に最大耐用量の抗癌剤を注入することの意味を、
真剣に考えて判断する必要があるように感じます。科学的な結論が出るのは、
30年40年後でしょうね。
否、製薬会社はそこまで統計は取らないでしょうから、
未来永劫、謎のままかも知れません。
患者さんは目先の恐怖だけが目に入り、
細胞毒に泣きつく状況は続くでしょうね。多くの患者さんの目の前に提示される情報は、
患者さんにとって有利なポジティブデータだけです。
その陰に潜んでいるであろう、
ダーティーでネガティブな情報は隠されてしまいますので、
慎重に対処してください。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
いつものことですが、
「抗癌剤治療は終了します」と、
突然、腫瘍内科の主治医に宣告された患者さんが、
セカンドオピニオンに来られました。
しかし、いつもと少々違うのは、
その主治医は、
「けっして見放したのではありません」と、
訳の分からない説明を加えたそうです。
その患者さんは、
「治療中止宣告」で、
アタマの中が真っ白で、
何をドウ言われたのか、
ハッキリと記憶に無いそうですが、
「見放したのではない」という言葉は、
覚えているそうです。
突然の無治療宣告は、
晴天の霹靂の「癌宣告」と同じか、
それ以上に患者さんを動揺させると思います。「見放してはいない」としても、
腫瘍内科医から「抗癌剤治療中止」宣告が出された、
ということは、
すなわち治療を中止して、
「緩和ケア行き」を意味します。
「見放した」のではないとすると、
治療中止宣告後は、
患者さんはその腫瘍内科には、
何をしに、してもらいに行くのでしょうか。2月22日の「治療打ち切り」でも書いたように、
「治療法はありません」
「緩和ケアを探してください」という絶望的な宣告の後に、
毒性が抜けて、
体調の向上が得られるという患者さんもいます。しかし腫瘍内科での「治療終了」宣告後、
大量の細胞毒でボロボロにされて、
その毒が抜けて体調が戻ってきたときに、
再び、毒薬による再攻撃を加えるのでしょうか。
腫瘍内科医から、
抗癌剤治療終了宣告は、
すなわち「緩和ケア行き」を意味するはずです。それを察したから、
宣告を受けた患者さんは、
更なる治療を求めて、
セカンドオピニオンに来られました。
「見捨てたわけではない」などという、
意味不明の言葉など信じない方が無難です。腫瘍内科では大量の細胞毒を注入する標準治療を執行中ですら、
効果確認のための頻回な経過観察を嫌っています。
「無治療の刑」を宣告した患者さんに対して、
経過を追って診ていくとはとても思えません。残念ながら、
毎年40万人前後の患者さんが、
癌で亡くなります。
40万人の患者さんは、
何時の日にかは、
諦めなければならない日が来ます。
それはすべての人間が、
100%の確率で死ぬことと同じです。
ガンに対する治療を中止するも、
諦めないとは、
何を考えているのでしょうか。
お祈りにでも賭けるのでしょうか。
標準治療終了後に、
細胞毒の身体に優しい、
「新しい使い方」を考えてくれるなら、
“有り難い”ことですが、「細胞毒は標準的に大量に使わなければ効かない」
と信じている腫瘍内科の先生では、
“有り得ない”ことだと思います。治らないガンに対して、
標準治療を受けている患者さんは、
必ず出される「終了宣告」で、
「見放される」前に、
逃げ出すか、
避難場所をあらかじめ確保しておいてください。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
ガン細胞あるいはその塊が、
腹膜という場所に転移している状態を腹膜播種とよびます。
播種とは文字通り「播かれた種」です。
種は癌細胞です。
腹膜という存在自体、
文字で表現をするのは非常に難しいのですが、
このブログでも何回か、
文字でも苦しい説明しています。
腹膜という物体の存在の仕方を知りたい方は、
過去のこのブログか、
何処かのホームページで検索してください。
簡単に言うと、
お腹の皮膚の一部をごく僅かに切って、
その下の脂肪組織、筋肉組織、
その下にある腹膜の一部を切って、
そこに青いインクを注入したときに、
青く染まる部分ということになります。そして、その染まる部分とは、
お腹の中全体です。
肝臓、胆嚢、脾臓、胃、女性ならば卵巣の全部、
および小腸、大腸の大部分を包んでいる膜が、
すべて青く染まります。腹膜播種とは、
その青インクがガン細胞ということです。したがって、
ごく一部にでも播種があれば、
お腹の中全体にガン細胞は広がっている可能性が、
非常に高くなります。
胃癌などでは、
腹腔内(お腹の中)に水を入れて、
それを回収して、
その水の中に、
顕微鏡でガン細胞が1個でも発見されれば、
手術そのものが中止にされ、
100%の死を待つだけの抗癌剤治療が、
粛々と執行されている患者さんをしばしば見ます。その場合1年間生きていることができる確率は50%程度です。
当然、小さくはない副作用はもれなく付いてきます。
腹膜播種があっても、
自覚症状はなく、
普通の日常生活を送ることができる患者さんもたくさんいます。
そのような患者さんでも、
標準的な抗癌剤治療が開始されると、
副作用に悩みながら、
半分のかたは1年以内に居なくなります。
まさに死ぬための儀式のように感じます。その治療を執行する医者は、
白衣に聴診器、インフォームドコンセントではなく、
袈裟に数珠とお経のほうが似合っています。そのような状況を、
何とか打破するべく、
腹膜播種を伴う胃ガンに対して、
手術を行う前に、
抗癌剤を青インクと同様に、
腹腔内に注入して、腹膜の隅々まで抗癌剤を行きわたらせ、
播種の存在を消してから、
手術を行うという方法が開発されています。残念ながら今はまだ、
「高度医療」という、
保険診療と別枠の自費治療です。
ただし、保険診療と同時進行で行っても、
混合診療には該当しない、
というチョッと複雑な仕組みを作って、
普通の患者さんも受けることができるようになっています。
自費になるのは、
腹腔内に入れるパクリタキセルの薬価だけのようです。
また「フェニックス試験」と云う名の、
臨床試験も行われています。何故か国立がんセンターは、
その治療は行わず、
治験にも参加していないようですが、
生存期間中央治値は2倍程度に延びているというデータが、
現在出されています。
腹膜播種が確認された胃ガンを宿した患者さんで、
国立がんセンターにセカンドオピニオンに行かれたところ、
当たり前のように、
手術無しの「生前儀式」を勧められたようです。
まだ、術前腹腔内抗癌剤治療を行っている病院は、
多くはありません。
しかし手術無しで、
抗癌剤治療だけの胃癌の予後は、
あまりにも悲惨です。「手術できません」と言われたら、「何とか手術できる方法を考えましょう」と言ってくれる病院へ、
即座に逃げてください。腹膜播種を伴う胃ガンに対する、
手術を捨てた標準的抗癌剤治療は、
完全に生を諦め、
「死に向かう儀式」以外の何物でもないように感じます。医者が診るよりも。
お坊さんが読経しながら診るほうが、
手間が省けていいように感じます。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日の「ガンと責任」に対して、
鎌田實先生が、著書「がんに負けない、あきらめないコツ」の中で
~根拠があるとかないとかツッコまなくていい。
不思議な力を持った場。日本の病院が失ってしまった癒しの空間~
と評していました。
魅力のあるところなのだなあと想像します。
というコメントがありました。
鎌田先生というかたは、
何故かニュース番組のコメンテーターとして出演されており、
それでお顔は拝んだことはありますが、
氏の著書は読んだことはありません。
したがって前後の文章は知りませんが、
温泉を称して「日本の病院が失った癒しの空間」という表現はそのとおりですね。
しかし、
「~根拠があるとかないとかツッコまなくていい。」という一文はチョッと引っかかります。
温泉は日本人にとって、
「お医者様でも草津の湯でも・・・」と、
医療と同等かそれ以上の、
ありがたい存在として、
庶民の意識の中にあったはずです。
そこには根拠など、
考える必要はないと思います。
根拠など無くても、
摩訶不思議な人間の身体と、
同等に正体不明の病気という存在に於いて、
根拠など関係なく、
「何となく良くなれば」それで十分だと思います。現在は何でも分かって、
科学的・医学的に、
すなわち学問的に理屈のつくことだけを、
ありがたがっているように見え、
さらに理屈が無ければいけないような風潮を感じます。
しかし、現在の医学・医療の実情は、
まだまだ、人間の身体、病気、自然から、
その奥深い真実を、
科学者・医者・人間自身が学んでいる時代ではないかと感じます。ガン治療を受ける患者さんが、
一番ツッコまなければならないのは、
エビデンスがあるとされる治療ではないでしょうか。そのエビデンスのお粗末な数字の意味を、
真剣に考えなければなりません。延命、再発予防といっても、
患者集団から導かれる数字であり、個々の患者さんの治療効果を担保するものではないことも、
シッカリと認識されるべきです。「病院にはない癒しの空間」とは、
そのとおりであり、
とても素敵な言葉ですが、
現在の日本の病院での、
標準的な抗癌剤治療は、
癒しどころか、
針のムシロの上に置かれて、
辛く厳しい時間を過ごすだけであるように感じます。
玉川温泉に、
直接的なガン治療効果があるとは思えませんが、精神的な癒しは、
ガンと云う病を背負った人間の生活に対して、
確実に潤いを与えてくれることは間違いなく、
それが病に対して、
悪い方向に作用することもないと思います。そこに理屈はありません。
そこをツッコんでも意味はありません。「ツッコむな」は、
鎌田先生からの愚かな医者への警鐘だと感じます。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
イロイロな方が、
それぞれ違った考え方を持っています。
まさにガンとそれを宿した患者さんと同じで、
十人十色、千差万別、
個性に溢れています。
随分とむかしの、
2007年1月3日の「休眠療法は広がらない」に対して、
いただいたビックリコメント、
あなたは、患者は何でも医師のせいにするといいますが、
仕事でやっているんだったら、責任を取るのは当たり前のことでしょう。
寝ぼけたことを言わないでください。
は、ご自身を不幸にするだけの考え方のように感じます。
医者は医療・医業を生業としていますが、
致死確率100%の治らないガンを宿した患者さんに対して、
医者に如何なる責任を取って欲しいとお考えでしょうか。副作用で苦しみ、
細胞毒の減量を懇願する患者さんに対して、
「そんな量では責任は持てません」というバカな医者がたくさんいることを何回も書いていますが、標準的に最大耐用量の細胞毒を、
生身の患者さんの身体に注入することは、
医者としての立派な「仕事」です。それを患者さんが受け入れれば、
腫瘍内科医は「責任を持つ」らしいですが、如何なる責任でしょうか。
葬儀屋の紹介でしょうか。
お墓の格安での斡旋でしょうか。
標準的な抗癌剤治療は、
副作用で死亡することも、
エビデンスとして織り込み済みの治療です。
〝責任を持って“標準治療を執行した患者さんが、
副作用で亡くなった時に、
医者にはどのような責任が課されるのでしょうか。副作用死は免れたとしても、
確実にエビデンスどおりに患者さんは旅立たれます。
その時、どのように責任を取れ、
とお考えでしょうか。
「その程度の副作用は当たり前」という暴言を吐く医者は幾らでも居るようです。その副作用に対して、
誰が如何にして責任を取れるのでしょうか。医業は文字通り仕事かも知れません。
しかし治らないガンを宿した患者さんに対して、
医者ができることなど、
ごく僅かな手助けだけです。
残念ながら、
すべての結果責任は、
患者さんご自身が負わなければなりません。投稿者の性別は分かりませんが、
「何でこんなオンナ(orオトコ)と結婚した!」
と後悔して叫んでも、
誰も責任は取ってくれません。
これは寝ぼけて書いているのではありません。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日はあと一人で完全試合を逃した投手がいたようですね。
敵チームの9人全員が3割バッターだとした場合、
一人も安打も四死球もエラーも出ないという確率は、
5~10万試合に1回程度でしょうか。
しかし9回二死からの、
しかも自らの股間を抜かれての初ヒットは、
お気の毒でした。
1回の先頭打者にヒットを打たれて、
その後完全に27人を抑えても、
データ上は同じ扱いになします。
癌の手術でも、
100%の細胞を切除しなければ失敗です。
99.99%の切除でも、
根治手術としては失敗です。しかし人間の身体は、
免疫という摩訶不思議な存在が、
これまた正体不明のオバケのような癌細胞と、
テキトウに戦ってくれるようですので、
数百、数千、数万個程度のガン細胞が残存しても、
必ずしも再発してくるというものでもなさそうです。
外科医として手術後の病理検査結果、プラパラートを診て、
間違いなく再発するだろうと予測しても、
それに反する患者さんもたくさん診てきました。再発予防の抗癌剤治療などは、
最近、盛んに製薬会社がデータ・エビデンスを作り出していますが、
むかしはそんなものはなく、
UFTを飲んでもらったり、
無治療で経過を診ていました。
しかしヤブ医者の予想に反した、
無再発の患者さんはたくさんいます。
現在の再発予防のための抗癌剤治療も、
その数字を鵜呑みにして良いものか否かは、
甚だ疑問に感じています。患者集団では、
数%の再発確率の低下という、
一定の治療成績=エビデンスが、
もし真実であったとしても、それは「集団」での治療成績であり、
一人しかいない患者さんにとっては、
効果を保障してくれるエビデンスではありません。数日前のコメントにもありましたが、
卵巣ガンで再発予防治療を拒否するも、
年単位で無治療期間が得られる患者さんもいます。
最近、そのような患者さんをしばしば見ます。
「しばしば」「よく」「たくさん」などと云う言葉は、
統計学上まったく意味の無い言葉です。
しかし、現実社会には、
そういう患者さんも、
「少なからず」存在していることも事実です。
何がご本人にとって最善の治療かは、
神様にしか分かりません。
作為的に作られた可能性も多分にある、
現在のエビデンスだけに踊らされるのは、
如何なものかと、
考えてしまいます。人生には9回二死からの、
逆転満塁ホームランも、
待っているかも知れません。ダルビッシュ君ご本人もファンの皆様も、
残念でした。
それが楽しい人生ですよね。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
ガンは根治手術を受けても、
再発してくる可能性を秘めています。NHKのおバカなアナウンサーが、
「〇〇さんのガンは絶対に再発しません」と、
お得意のトボケタ大嘘を公然と言っていたことがありますが、
再発の確率が無ければ、
それはガンではありません。
「がん」という病気の定義の一つは、
「再発の可能性があること」です。NHKのアナウンサーは、
定義も知らないで、全国放送で喋るのですね。
恐ろしい話です。
はじめから国民を馬鹿にしているのでしょうね。それはともかく、
手術が終了した後、
執刀した外科医は、
とりあえずの根治手術後には、
「完全に切除しました・取りきりました」
「見える範囲は、すべて切除しました」と、患者さん、ご家族に説明します。
それはウソではありません。
「顕微鏡レベルではガン細胞は残存の可能性はあります」という言葉が抜けているだけです。
しかし、主治医のその言葉は、
都合の良いように解釈されて、
「ガンは治った」と勘違いしてしまう患者さんも少なくありません。
そして、数ヶ月、数年後、
突然の再発宣告を聞き、
愕然とします。その場合、多くは時すでに遅しです。
治ったと思っていたガンが、
治らないガンに変身したことが確認された瞬間です。その後は、延命のための治療だけが続けられることになります。
勿論「治らないのであれば治療はしない無治療」
という正しい選択をされる患者さんもいます。
昨日、免疫細胞療法を大塚北口診療所でも行えるようになった、
と書きましたが、
免疫細胞療法の最大のメリットは再発予防です。根治手術後、
検査と云う機械の目では見えなくても、
身体の何処かにまだ癌細胞が散らばっているかも知れない、
という状態の時には、
ガン細胞の数はまだ多くはありません。
数百万、数千万、有っても数億個以内に留まっている可能性があります。
そのような、数が少ないうちならば、
億単位に増やして活性化させたリンパ球が、
それを皆殺しにしてくれる可能性も出てきます。このブログでは、
「治療の旬」という言葉を何回か使ったことがあります。
その「旬の時期」は、
患者さん、ご家族が、
「ガンが治った」と勘違いしたまさにその時なのです。再発を来してしまったガンに対しては、
免疫細胞療法では、勿論、副作用の無い延命効果や、
その他、抗癌剤治療や放射線治療の副作用の軽減効果、
QOLの向上などは、
得られると思いますが、
ガンが治ることは期待できません。その時の費用対効果を考えると、
再発を防止するためにかける費用とは、
本質的に、そのお金の意味合いが違ってきます。旬を逃すことなく、
天寿を全うする目的で、
治療費用は無駄のないように使ってください。なお、免疫細胞療法では、
抑制性T細胞という、
免疫抑制に働く細胞も同時に増殖させてしまうため、少量の抗癌剤との併用が必要です。また、ハーセプチンなどの、
抗体製剤との併用では、
極めて大きな効果も期待できると考えられています。大塚北口診療所では、
免疫細胞療法は、
現在でも何人かの患者さんには併用していますが、
さらに利用しやすくなります。
それが春の訪れを招いてくれることを祈っています。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日から新年度になりました。
それに伴いというわけではありませんが、
大塚北口診療所もこの4月から、
ガン治療の体制が少し変わります。ガン治療は、
何回も書いているとおり、
2012年9月26日の「がん三大治療」はじめ何回も書いていますが、
現在のガン治療では、
手術と放射線治療の二本柱が主役で、
おまけに脇役・二軍の抗癌剤治療の三つが、
何故か「三大治療」と云われています。
正確には「がん二大治療」です。
大塚北口診療所では、
抗癌剤治療という二軍治療は主に私が行っていますが、
手術、放射線という一軍治療は、
個々の患者さんに合った最善の施設を紹介しています。
ほとんどの手術は、
大塚北口診療所の関連病院でも十分に対応できます。
さらに、がん治療にはもう一つの脇役、
しかし主役にもなり得る、
免疫治療という方法もあります。国立がんセンターなどからの、
手術後の再発予防効果に関するデータ程度の論文しかなく、
エビデンスと云われるほどのデータは出されていませんが、
手術後のガンの再発予防のためには、
現在の細胞毒てんこ盛りで、
多大な副作用に苦しめられた挙句、
僅か数パーセントの再発抑制効果しかない事実を考えると、手術後の免疫細胞療法は、
副作用はほとんど無く、
有力な再発予防手段だと思われます。しかし大きな問題があります。
それは健康保険では認められず、
費用が安くはないという現実です。健康保険でできるならば、
全員にお勧めしたい治療ですが、
現実は自費負担になります。
何故、健康保険で認められていないのか、
「効果がないから」ではありません。
「単純に高額だから」だと思われます。もし健康保険で認可された場合、
その保険点数が、
お役所が望む程度に抑えられると、
治療そのものが赤字になり、
それを実行する施設が無くなってしまう可能性もあります。
現在の日本の財政を考えれば、
仕方がないことのようにも思います。
それはともかく、
今月から、
私が知る限りでは一番廉価な、
免疫細胞療法を行っている施設の専門医が、大塚北口診療所で出張診療をしてくれることになりました。自費の治療になると、
「廉価だと効果も低い」
「高い方が効く」と、
考えてしまう患者さんも少なくありませんが、
それは大きな致命的な勘違いです。培養して増やして活性化したリンパ球を身体に戻す治療を行いますが、
その時、
リンパ球の数と、
残存しているガン細胞の数との勝負になります。
リンパ球の数が多ければ多いほど、
勝つ確率が高くなります。お金を無制限に使える患者さんであれば、
何処の施設で行っても同じですが、一定の予算の中で治療を行うのであれば、
リンパ球1個当たりの金額が安いほど、
大きな効果が期待できます。様々な施設で、
イロイロな名称を付けて宣伝していますが、
基本的には同一であり差は認められていません。
今後、大塚北口診療所で、
同じ性能・能力のリンパ球を、
最も廉価で提供できるようになると期待されます。2クール目以降が、
極めて廉価な設定になっているようです。
同時に大塚北口診療所では、
その免疫細胞の効果を大きく引き出すために、
少量の抗癌剤との併用、
温熱療法との併用なども可能になります。最近、手術後の再発予防の抗癌剤治療に関して、
多大な副作用の代償として、
大きな効果は期待できないという真実を、
多くの患者さんが知るようになり、再発予防のための治療についてのセカンドオピニオンも多いのですが、
再発予防の治療に悩んでいる患者さんには、
お役にたてるようになると思います。免疫細胞療法は健康保険ではできませんが、
それは、出張治療というかたちで行ってもらいます。
したがって、その費用に関して、
大塚北口診療所では関知しませんので、
その他の治療は、
健康保険で実施可能です。
出張診療をしてくれるのは、
小田原の
「医療法人理趣会」清水昭男医師です。
詳しくは、
電話0465-38-1717
または、0120-678-788
でお問い合わせください。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
今年もすでに4分の1が過ぎました。
東京の桜も終わり、
今日から新年度になります。
「病気を抱えていると新年度も何もない」
という患者さんも多いと思いますが、
病気を宿しているからこそ、
新鮮な季節の移り変わりを、
敏感に感じることもあると思います。平凡なただの一日にしてはもったいないと思います。「散る桜、残る桜も、散る桜」という良寛禅師の辞世の句、
とも云われる素敵な句のコメントをいただきました。
そのコメントにもありましたが、
特攻隊員の出撃前の句であるように使われていた、
悲しい歴史もあるようです。
それは残念な人間の歴史ですが、
風向きで多少の差はありますが、
すべての花は散っていくのが自然界の掟です。
しかし、当のお花はそれを悲しんではいないように感じます。今はすでに若葉が逞しく芽吹き、
来年の満開の準備をすでにはじめています。また、人間の手で植えられた桜も綺麗ですが、
これからの季節、
人里離れた山の中で、
ポツン、ポツンと、
人知れずにヒッソリと咲いている山桜がとても美しく輝いてきます。山道のドライブを楽しんでいると目に飛び込んできます。
思わず車を停めて、
眺めてしまいます。
しかし、あの桜も、
人知れずに散っていきます。
人間も生まれるときも、
旅立つときも一人きりです。
人間は何処から発生してきて、
何処に消えていくのでしょうか。
ただのその繰り返しが、
何百万年も続いているのですね。
本日から新年度、
などと云っても、
毎年の繰り返し、
ただそれだけです。
ただし、その悠久の時間の流れも、
受け止め方次第で、
宝物にも、
無駄で退屈な時間にもなります。どうせ同じ時間を過ごすなら、
宝物に埋まって生活する方が楽しいですね。「治らないガンが発生してから、
周囲の雑音に惑わされても意味はない」という趣旨の厳しいコメントもありましたが、
そのとおりだと思います。
玉川温泉に行かれたという患者さんも、
腫瘍マーカーの動きを気にされておられるようですが、
それの低下などは期待しないほうが良いと思います。
もし今回の検査で、
100が300に上がっていたら、
「温泉に行かなかったら、500にまで上がっていたに違いない」
と考えて、
ありがたい温泉のご利益を感じてください。
精神的にリラックスができれば、
それが温泉の効能・効果のすべてだと思います。なお、雪見の温泉は、
個人的には大好きです。
マイナス25℃の旭川の露天風呂では、
髪の毛はカチカチになりました・・・
また、厳冬期の玉川温泉は、
雪上車で行く、
という話を聞いたことがあります。
その厳しい雪の時期に行きたいですね。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。