今高騰している貴金属のプラチナ・白金を含有する、
プラチナ製剤は、
日本では33年ほど前に抗癌剤として登場しています。
シスプラチンはその長男として誕生しました。
私はその当時臨床実習をしている学生でしたが、
先輩の指導医が、
その薬剤に大きな期待をしていたのを覚えています。
4月14日の「腐ったエビデンス・続き」で、
チョッとだけ書いたイレッサに関して、
私も同感です。
先輩の期待とは裏腹に、
シスプラチンはじめ白金製剤は、
何人の患者さんの命を奪い、
生活を破壊してきたでしょうか。
1995年に治らない肺ガンを宿した患者さんに対して、
そのシスプラチンを含んだメニューの抗癌剤治療を行った患者群のほうが、
無治療の患者群よりも、
1.5ヶ月程度生存期間中央治値が延びる。
というデータが出されました。
しかしベースになっているデータも1980年代がほとんどであり、
患者背景や薬剤の使い方など、
諸条件がかなり違う複数施設の寄せ集め(Meta-analysis)で、
相当に苦しい言い訳に終始している論文です。
しかし1995年に出されたその論文のデータを信用すると、
無治療よりは、
シスプラチンの激しい副作用に耐えた患者群のほうが、
約1.5ヶ月長生きをするそうです。
しかし、それが、その治療を受けた患者さんにとって、
どれだけの恩恵になったでしょうか。
そして、現在でも本当にプラチナ製剤は、
延命に寄与しているのでしょうか。
その1995年のデータ上で、
対比された無治療患者群の生存期間中央治値は、
6か月もありません。
現在の厳格な機械の目を使った、
検診やドックなどで、
見つかってしまった、
ナンチャッテ・ステージⅣの、
昨日までは元気だった患者さんの、
半分以上が無治療の場合、
半年以内に死ぬでしょうか。
その検診・ドックを受けなければ、
末期ガンの存在にすら気づかず、
半年くらいは普通に仕事を続けていたように感じます。
しかしプラチナベースの抗癌剤治療が開始されると、
その瞬間から入院も必要な重病人へと豹変します。
下の3枚のグラフは、
何回も提示しているカプランマイヤーの生存曲線と云われる、
生きている人間をネズミのように扱ったグラフです。
一番上のグラフはパラマウント試験と名付けられた臨床試験です。
アリムタ+シスプラチンというメニューで、
4回それを繰り返し点滴を行い、
その後病勢の悪化を観なかった患者群539人が、
猛毒のシスプラチンは除き、
アリムタ単剤での点滴を受けた患者群359人と、
無治療で経過を観察した患者群180人とに、
無作為振り分けを行った時の、
生存期間の差を表しています。
2枚目のグラフは、
2006年に発表されたE4599試験と云う、
現在の肺ガン治療で最高の成績を上げているとされる臨床試験です。
CPというのはシスプラチンの弟、カルボプラチンのCと
パクリタキセル(タキソール)のPです。
ベバシズマブはご存じアバスチンです。
治験の対象患者は、
ほぼ全員PS.0すなわち元気な末期肺がん患者さんです。
アバスチンを上乗せすると、
2ヶ月のご利益があるという結果です。
アバスチンを使わずCPだけだと、
10.3ヶ月以内に半分の患者さんは旅立たれるそうです。
3枚目のグラフは、
PEM(アリムタ)PTX(パクリタキセル)CBDCA(カルボプラチン)
さらにBEV(アバスチン)の3剤を、
PEM + CBDCA + BEVの組み合わせで注入した患者群と、
PTX + CBDCA + BEVの組み合わせを比較した試験です。
ほぼ同一の曲線になっています。
どちらの治療?(毒漬?)でも、
ほぼ1年以内に半分の患者さんが逝くことが分かりました。
939人元気な末期肺がん患者さんを、
ほぼ1対1で振り分けています。
この3枚のグラフの意味を十分に考えてください。
本日は時間がありません、
私の考え方は明日書きます。



以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
プラチナ製剤は、
日本では33年ほど前に抗癌剤として登場しています。
シスプラチンはその長男として誕生しました。
私はその当時臨床実習をしている学生でしたが、
先輩の指導医が、
その薬剤に大きな期待をしていたのを覚えています。
4月14日の「腐ったエビデンス・続き」で、
チョッとだけ書いたイレッサに関して、
単純に不思議なんですが、
イレッサで訴訟問題が起こるくらいなら、
なぜシスプラチンでは起こらないんだろう?って思います。
「納得をして副反応を受けるから、この化学療法を受けたいです」
との考えだった患者さんや家族がどれだけいるのだろう?って思います。
私も同感です。
先輩の期待とは裏腹に、
シスプラチンはじめ白金製剤は、
何人の患者さんの命を奪い、
生活を破壊してきたでしょうか。
1995年に治らない肺ガンを宿した患者さんに対して、
そのシスプラチンを含んだメニューの抗癌剤治療を行った患者群のほうが、
無治療の患者群よりも、
1.5ヶ月程度生存期間中央治値が延びる。
というデータが出されました。
しかしベースになっているデータも1980年代がほとんどであり、
患者背景や薬剤の使い方など、
諸条件がかなり違う複数施設の寄せ集め(Meta-analysis)で、
相当に苦しい言い訳に終始している論文です。
しかし1995年に出されたその論文のデータを信用すると、
無治療よりは、
シスプラチンの激しい副作用に耐えた患者群のほうが、
約1.5ヶ月長生きをするそうです。
しかし、それが、その治療を受けた患者さんにとって、
どれだけの恩恵になったでしょうか。
そして、現在でも本当にプラチナ製剤は、
延命に寄与しているのでしょうか。
その1995年のデータ上で、
対比された無治療患者群の生存期間中央治値は、
6か月もありません。
現在の厳格な機械の目を使った、
検診やドックなどで、
見つかってしまった、
ナンチャッテ・ステージⅣの、
昨日までは元気だった患者さんの、
半分以上が無治療の場合、
半年以内に死ぬでしょうか。
その検診・ドックを受けなければ、
末期ガンの存在にすら気づかず、
半年くらいは普通に仕事を続けていたように感じます。
しかしプラチナベースの抗癌剤治療が開始されると、
その瞬間から入院も必要な重病人へと豹変します。
下の3枚のグラフは、
何回も提示しているカプランマイヤーの生存曲線と云われる、
生きている人間をネズミのように扱ったグラフです。
一番上のグラフはパラマウント試験と名付けられた臨床試験です。
アリムタ+シスプラチンというメニューで、
4回それを繰り返し点滴を行い、
その後病勢の悪化を観なかった患者群539人が、
猛毒のシスプラチンは除き、
アリムタ単剤での点滴を受けた患者群359人と、
無治療で経過を観察した患者群180人とに、
無作為振り分けを行った時の、
生存期間の差を表しています。
2枚目のグラフは、
2006年に発表されたE4599試験と云う、
現在の肺ガン治療で最高の成績を上げているとされる臨床試験です。
CPというのはシスプラチンの弟、カルボプラチンのCと
パクリタキセル(タキソール)のPです。
ベバシズマブはご存じアバスチンです。
治験の対象患者は、
ほぼ全員PS.0すなわち元気な末期肺がん患者さんです。
アバスチンを上乗せすると、
2ヶ月のご利益があるという結果です。
アバスチンを使わずCPだけだと、
10.3ヶ月以内に半分の患者さんは旅立たれるそうです。
3枚目のグラフは、
PEM(アリムタ)PTX(パクリタキセル)CBDCA(カルボプラチン)
さらにBEV(アバスチン)の3剤を、
PEM + CBDCA + BEVの組み合わせで注入した患者群と、
PTX + CBDCA + BEVの組み合わせを比較した試験です。
ほぼ同一の曲線になっています。
どちらの治療?(毒漬?)でも、
ほぼ1年以内に半分の患者さんが逝くことが分かりました。
939人元気な末期肺がん患者さんを、
ほぼ1対1で振り分けています。
この3枚のグラフの意味を十分に考えてください。
本日は時間がありません、
私の考え方は明日書きます。



以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。